保護猫のクラウドファンディング|支援先の選び方と主要5サービス

保護猫のクラウドファンディングには、返礼品を受け取る購入型、返礼を前提としない寄付型、自治体が行うガバメントクラウドファンディングの3つの形があり、起案者の種類と資金の使い道、募集方式を確かめてから選ぶのが基本です。

保護猫を支援したい人にとって、いちばんの悩みは「どの募集なら安心して託せるのか」ではないでしょうか。この記事では、資金の行き先、支援先の確認手順、税金の扱いを整理し、保護猫の募集を扱う5つのサービスと、実際に資金を集めた4件の事例を、公式ページの情報だけをもとに紹介します。

この記事でわかること

  • 保護猫のクラウドファンディングで支援できる3つの形と違い
  • 環境省の統計でみる、保護猫の活動に資金が必要な背景
  • 支援先を選ぶときに確認する5つのポイント
  • 保護猫の募集を扱う主要5サービスの比較表
  • 国内で資金を集めた4件の事例と、税控除の考え方

保護猫のクラウドファンディングは何のための資金調達ですか?

保護施設の屋内で食事をとる複数の猫たち

保護団体や個人、自治体が、医療費や不妊去勢手術、シェルター整備の費用をインターネットで募る仕組みです。

保護猫の活動では、保護した猫の医療、不妊去勢手術、フードや備品、猫が暮らす場所の確保など、継続して費用がかかります。クラウドファンディングは、こうした費用の一部を、活動に共感した多くの人から少額ずつ集める方法として使われています。

同じ「保護猫のクラウドファンディング」でも、集める人と集め方で性格が大きく変わります。個人が自宅で続ける保護活動の医療費を募る例もあれば、NPO法人が土地を取得して猫舎を建てる大型の例もあり、自治体が動物愛護センターの運営費を募る例もあります。

まず誰が何のために集めているのかを見分けることが、支援先選びの出発点です。

保護猫の現状は統計でどう表れていますか?

環境省の統計では、令和6年度に全国の自治体が引き取った猫は22,010頭、殺処分は4,866頭でした。

項目頭数
猫の引取り数(令和6年度)22,010頭
猫の殺処分数(令和6年度)4,866頭
猫の返還・譲渡数(令和6年度)17,079頭
猫の殺処分数(平成16年度)238,929頭

殺処分数は平成16年度の238,929頭から令和6年度の4,866頭まで減りました。一方で、令和6年度にも22,010頭の猫が自治体に引き取られています。殺処分が減った後も、保護と譲渡を支える費用の必要性は続いていると考えられます。

参照:環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」(2026年10月時点)

保護猫のクラウドファンディングで支援できる3つの形は何ですか?

返礼品を受け取る購入型、返礼を前提としない寄付型、自治体が実施するガバメントクラウドファンディングの3つです。

形主な起案者支援する側の特徴
購入型個人・団体支援額に応じた返礼品やお礼を受け取る形。募集ごとに内容が異なる
寄付型NPO法人などの団体返礼を前提とせず、活動への寄付として支援する形。領収書や受領証明書の発行は団体ごとに確認する
ガバメントクラウドファンディング自治体自治体が課題解決の資金を募る形。ふるさと納税の仕組みを使うため、控除の扱いが他の2つと異なる

どの形が良いかは、何を支えたいかで決まります。日々のフードや医療費のような継続的な費用なら、毎月の寄付を受け付けている団体が向いています。猫舎の建設のように金額が大きく期限のある費用なら、募集期間を区切るクラウドファンディングが向いています。地域猫の不妊去勢手術のように地域全体の課題なら、自治体の募集が選択肢になります。

関連記事:寄付型クラウドファンディングとは|仕組み・税金・主要5社を解説

保護猫のクラウドファンディングの支援先はどう選べばよいですか?

起案者の種類、資金の使い道、募集方式、領収書の扱い、活動報告の5点を確認してから選びます。

  1. 起案者の種類を確かめる:団体、個人、自治体のどれが集めているかを募集ページで確認します。
  2. 資金の使い道を読む:医療費、不妊去勢手術、施設整備など、使い道が具体的に書かれている募集を選びます。
  3. 募集方式を確認する:目標金額に届かなくても実行されるAll-inか、届かなければ成立しないAll-or-Nothingかを見ます。
  4. 領収書と控除の扱いを確認する:寄附金控除を受けたい場合は、受領証明書や領収書が出るかを支援前に確かめます。
  5. 活動報告の有無を見る:過去の募集の報告や、運営団体の公式サイトの更新状況を確認します。
確認項目見る場所確認のポイント
起案者募集ページの起案者欄、公式サイト団体名や所在地、活動内容が公開されているか
資金の使い道募集ページの本文金額と用途が対応して書かれているか
募集方式募集ページの募集要項All-inかAll-or-Nothingか、募集期間はいつまでか
領収書・控除募集ページや団体への問い合わせ受領証明書の発行有無、返礼の有無
活動報告活動報告欄、公式サイト更新が続いているか、成果が具体的に書かれているか

このチェック表は、公式ページで確認できる項目だけで組み立てています。団体の評判のような外から判断できない項目は含めていません。

保護猫のクラウドファンディングを扱う主要5サービスは何ですか?

保護施設で猫にフードを与えるボランティア

CAMPFIRE、Congrant、For Good、READYFOR、ふるさとチョイスの5つです。

掲載は編集部が公開情報から選びました。並び順は、サービス名の表記順(英字、続いてひらがな)で、優劣やおすすめ順を示すものではありません。手数料などの数字は、2026年10月時点の各公式ページの記載です。

公式ページで募集の仕組みや料金を確認できたサービスを紹介します。

CAMPFIRE

株式会社CAMPFIREが運営するクラウドファンディングで、アート、音楽、フード、社会貢献など幅広い分野のプロジェクトを募集しています。

起案者の手数料は、プロジェクト成立時に利用手数料12%と決済手数料5%(いずれも消費税別)です。募集方式は目標金額達成型のAll-or-Nothingと、1円以上で成立するAll-inの2つです。

個人が自宅で続ける保護活動の医療費を、All-inで募った例が確認できます。釧路で9頭を保護している個人が、不妊去勢手術、ワクチン、フードの費用として目標50万円で募集した例です。個人でも起案できる点が特徴です。

参照:CAMPFIRE公式ヘルプ「CAMPFIRE掲載時の手数料」(2026年10月時点)、CAMPFIRE「猫たちの未来を支える医療費クラウドファンディング」(2025年10月〜12月の募集)

Congrant

Congrantが運営する、NPOや社会団体向けの寄付・クラウドファンディングのサービスです。

単発の寄付、毎月の寄付(マンスリーサポーター)、会費、クラウドファンディングを同じ仕組みで扱い、寄付者の管理や領収書の発行を自動化する機能を備えています。

継続的な費用を毎月の寄付で支えたい場合に向く仕組みです。料金は無料プランや月額プランなど複数あり、詳細は公式ページの料金表に掲載されています。

参照:Congrant公式サイト「クラウドファンディング」(2026年10月時点)

For Good

ボーダレス・ジャパンが運営する、社会課題の解決を目的とした寄付型のクラウドファンディングです。

個人、企業、NPOなど社会的な活動を行う人が起案でき、掲載手数料は0円、集まった支援を目標に届かなくても受け取れるAll-in方式です。

動物のカテゴリがあり、保護猫のデンタルケアのための口腔内手術費用を募る募集が掲載されていることを確認できました。起案には、明確な社会課題に対応しているかなどの審査基準があります。

参照:For Good公式サイト「寄付する」(2026年10月時点)

READYFOR

READYFOR株式会社が運営するクラウドファンディングで、団体の資金調達から個人の挑戦まで幅広く扱い、動物を含む複数のカテゴリがあります。

初期費用と掲載料は0円で、基本プランは運営手数料9%と決済手数料5%(消費税別)です。All or NothingとAll-inの両方に対応しています。

保護猫の施設づくりで数百万円から数千万円規模の資金を集めた団体の実績があり、実際の事例は後の事例の項で紹介します。

参照:READYFOR公式サイト「プロジェクトを掲載する」(2026年10月時点)

ふるさとチョイス(ガバメントクラウドファンディング)

自治体が行うふるさと納税を活用したクラウドファンディングで、ふるさとチョイスのサイトで募集が掲載されます。

起案するのは自治体です。寄付する人は、住民票のある自治体にも寄付でき、その場合も控除の対象になりますが、返礼品はありません。

殺処分ゼロの維持や地域猫の不妊去勢手術など、自治体が抱える課題に資金を向けられるのが特徴です。柏市や関市の募集が実際に実施されました。

参照:ふるさとチョイス「ガバメントクラウドファンディング」(2026年10月時点)

サービス主な起案者募集方式手数料などの公式記載
CAMPFIRE個人・団体All-or-Nothing、All-in利用手数料12%、決済手数料5%(消費税別)
CongrantNPO・社会団体単発寄付、毎月の寄付、会費、クラウドファンディング複数の料金プラン(公式ページに掲載)
For Good個人・企業・NPOなどAll-in掲載手数料0円
READYFOR団体・個人All or Nothing、All-in運営手数料9%、決済手数料5%(消費税別)
ふるさとチョイス自治体自治体ごとに設定起案は自治体。寄付者の手数料は公式ページに記載なし

関連記事:クラウドファンディングの手数料はいくら?内訳と主要6サービスの料率を解説

関連記事:子ども食堂のクラウドファンディング|資金の集め方と主要5サービス

保護猫のクラウドファンディングの事例にはどんなものがありますか?

猫舎の建設から動物愛護センターの運営まで、募集の規模と起案者はさまざまです。

公式の募集ページで結果が公開されている4件を紹介します。起案者も、NPO法人、自治体と異なります。

HOKKAIDOしっぽの会(READYFOR)

北海道長沼町で犬猫の保護を行うHOKKAIDOしっぽの会が、冬に気温が氷点下20度まで下がる地域で、猫が暖かく過ごせる猫舎を建てるために募集しました。

総工費1,080万円のうち300万円はカレンダー販売などで賄い、残る700万円を募集しました。目標700万円に対し、支援総額は7,632,000円、支援者は718人で、2016年3月14日に募集を終え、成立しました。

参照:READYFOR「HOKKAIDOしっぽの会」の募集ページ(2016年3月終了)

NPO法人猫の森(READYFOR)

千葉県船橋市のNPO法人猫の森が、シニア猫や病気の猫にも専用の部屋を作るため、土地を購入して保護施設を建てる「シン・猫の森プロジェクト」を募集しました。

第1目標は2,700万円、建物の建設を含む第2目標は6,000万円でした。最終的な支援総額は53,186,426円、支援者は4,352人で、2024年7月31日に募集を終え、第1目標を達成して成立しました。

参照:READYFOR「シン・猫の森プロジェクト」の募集ページ(2024年7月終了)

柏市動物愛護ふれあいセンター(ふるさとチョイス)

千葉県柏市が、殺処分ゼロの維持を支える「つなぐサポート」プロジェクトとして、ふるさとチョイスで募集しました。

資金は、ハンディキャップのある犬猫の診療治療、地域猫の不妊去勢手術、動物愛護ふれあいセンターの施設の充実に使われます。2025年10月6日から2026年1月3日までの募集で、目標500万円に対し5,030,000円、寄付者は227人でした。

参照:柏市「R7年度柏市動物愛護ふれあいセンターガバメントクラウドファンディング実施のお知らせ」(2026年10月時点)

岐阜県関市(ふるさとチョイス)

岐阜県関市が、猫の不妊去勢手術によるTNR活動、猫の保護施設の整備、人と猫が共生する地域づくりのために、ガバメントクラウドファンディングで募集しました。

2024年10月11日から2025年1月9日までの90日間の募集で、目標270万円に対し、集まったのは2,650,000円(目標の98.1%)、寄付者は69人でした。募集ページには、関市で猫に関する苦情が168件と、犬の88件を上回ることも記されています。

参照:ふるさとチョイス「関市のガバメントクラウドファンディング」(2025年1月終了)

保護猫のクラウドファンディングの支援は税金の控除を受けられますか?

控除の可否は支援先と形で決まります。認定NPO法人への寄附と自治体の募集は対象になり得ます。

支援の形控除の考え方支援前に確認すること
認定NPO法人への寄附特別な利益が及ばない寄附であることなどの条件を満たすと、所得控除(寄附金控除)か税額控除のどちらか有利な方を選べる認定の有効期間内の寄附か、領収書が出るか
ガバメントクラウドファンディングふるさと納税の仕組みを使うため、控除の対象になる自治体から届く受領証明書の保管。住民票のある自治体への寄付では返礼品がない
返礼品のある購入型国税庁が示す条件は「特別な利益が及ばない寄附であること」。返礼品を受け取る支援がこの条件に当たるかは、募集ごとに異なる起案者に控除の可否を確認する

認定NPO法人への寄附の税額控除は、(年間寄附金合計から2,000円を引いた額)の40%で計算し、所得税額の25%が上限です。寄附の年間合計は総所得金額等の40%相当額までが対象です。手続きは確定申告で行い、寄附金の領収書を添付します。

参照:国税庁「No.1263 認定NPO法人に寄附をしたとき」(2026年10月時点)

関連記事:クラウドファンディングふるさと納税とは?仕組みと自治体の選び方

保護猫の団体や個人が起案するときの手数料はいくらですか?

公式記載の手数料は、CAMPFIREが合計17%、READYFORの基本プランが合計14%です(いずれも消費税別)。

起案する側にとっては、集まった金額がそのまま活動費になるわけではありません。ここでは、先に紹介した2サービスの公式記載の料率を、目標金額100万円が成立した場合に当てはめて整理します。

サービス手数料の内訳(消費税別)合計100万円が成立した場合の手数料(消費税別)
CAMPFIRE利用手数料12%、決済手数料5%17%17万円
READYFOR(基本プラン)運営手数料9%、決済手数料5%14%14万円

手数料は集まった総額に対してかかるため、猫舎の建設費のように必要額が決まっている場合は、手数料を見込んだ目標金額を設定する必要があります。この表は公式記載の料率を単純に掛けた計算例で、プランや条件によって実際の金額は変わります。For Goodは掲載手数料が0円と記載されていますが、その他の費用の有無は公式ページで確認してください。

起案を検討する場合は、次の順で進めると整理しやすくなります。

  1. 活動の内容と、集めたい金額、その使い道を文章にまとめる
  2. 起案者が団体か個人かで、利用できるサービスと審査条件を各公式ページで確認する
  3. 募集方式(All-inかAll-or-Nothingか)と手数料を比べ、目標金額に手数料を見込む
  4. 領収書や受領証明書を出せるかを決め、募集ページに書いておく

関連記事:ペトコトを解説|フーズ・保険・お結びの違いと保護犬猫への支援

よくある質問

保護猫のクラウドファンディングについて、関連検索でよく見られる疑問に一問ずつ答えます。

Q
保護猫の支援はクラウドファンディングと毎月の寄付のどちらが向いていますか?
A

目的によって選び分けるのが適切です。猫舎の建設のように金額が大きく期限のある費用ならクラウドファンディング、フードや医療費のような継続的な費用なら毎月の寄付が向いています。Congrantのように、毎月の寄付を同じ仕組みで受け付けている団体もあります。

Q
目標金額に届かなかった場合、支援金はどうなりますか?
A

募集方式によって異なります。All-in方式は目標に届かなくても集まった金額で実行され、All-or-Nothing方式は目標金額に届かないと成立しません。CAMPFIREは両方の方式を用意しており、For GoodはAll-inです。募集ページで方式を確認してください。

Q
個人が行っている保護活動を支援しても大丈夫ですか?
A

起案者と資金の使い道が具体的に書かれていれば、支援を検討できます。CAMPFIREでは個人が保護猫の医療費を募った例が確認できます。ただし、個人の活動は領収書や控除の対象外になることが多いため、事前に起案者へ確認してください。

Q
住んでいる自治体の保護猫の活動に寄付できますか?
A

自治体がガバメントクラウドファンディングを実施していれば寄付できます。ふるさとチョイスの公式ページでは、住民票のある自治体にも寄付でき、控除の対象になる一方、返礼品はないと案内されています。

Q
保護猫のクラウドファンディングの支援は税金の控除になりますか?
A

認定NPO法人への寄附や、ガバメントクラウドファンディングへの寄付は控除の対象になり得ます。国税庁は、認定NPO法人への寄附について特別な利益が及ばないことなどを条件にしています。返礼品のある購入型は、起案者に控除の可否を確認してください。

まとめ

3つの形と起案者の違いを理解し、資金の使い道と募集方式を確かめて選ぶことが大切です。

  • 保護猫のクラウドファンディングには、購入型、寄付型、ガバメントクラウドファンディングの3つの形がある
  • 令和6年度に自治体が引き取った猫は22,010頭で、殺処分は4,866頭まで減ったが、保護と譲渡を支える費用の必要性は続いている
  • 支援先は、起案者の種類、資金の使い道、募集方式、領収書の扱い、活動報告の5点で確認する
  • 主要5サービスは、CAMPFIRE、Congrant、For Good、READYFOR、ふるさとチョイスで、手数料や方式が異なる
  • 控除の対象は支援先と形で決まるため、支援前に領収書や受領証明書の扱いを確認する

この記事の執筆者

The Company Journal編集部

企業の取り組み・サステナビリティ・社会課題をテーマにした編集チーム。 企業や自治体の情報を編集部が一社ずつ確認し、 独自の基準で比較・整理した情報をお届けしています。