九鬼ごまとは?フェアトレード商品と国産ごまの取り組み、買い方

九鬼ごまは、三重県四日市市の九鬼産業株式会社が手がけるごま油・すりごま・ねりごまなどの製品を指して使われる呼び名です。同社は2012年3月に国内のごま専業メーカーで初めてフェアトレード認証のごま製品を発売し、2014年から三重県で国産ごまの栽培にも取り組んでいます。この記事では、会社と商品の基本、フェアトレード商品の中身、原料と品質管理を整理し、同じ課題に取り組む企業4社を同じ項目で並べます。

この記事でわかること

  • 九鬼ごまを作る九鬼産業の会社概要と沿革
  • ごま油・すりごま・ねりごまなど商品の種類と買い方
  • フェアトレード認証のごま製品が産地で何を意味するか
  • 原料の産地と、国産ごまが少ない理由
  • 同じ課題に取り組む企業4社を同じ項目で比べた表
  • 三重県での国産ごま栽培が社会に与える影響

九鬼ごまとは?九鬼産業の会社と歴史

九鬼ごまは、三重県四日市市に本社を置く九鬼産業株式会社のごま製品を指す呼び名で、創業は1886年です。

九鬼産業の公式サイトには「九鬼ごま」という名称そのものの記載はなく、「九鬼 太白純正胡麻油」「九鬼 純ねりごま 白」のように「九鬼」を冠した商品名で製品が掲載されています。この記事では、そのような九鬼産業のごま製品全体を九鬼ごまとして扱います。

項目内容
社名九鬼産業株式会社
事業内容ごま製品の製造と販売
本社所在地三重県四日市市尾上町11番地
創業明治19年(1886年)
創立昭和26年(1951年)1月10日
資本金6000万円
従業員数212名(2024年10月31日時点)

九鬼産業の沿革

1886年に英国から製油機械を購入して油の製造を始めたのが出発点です。1965年に食品ごまの製造を始め、1968年に社名を九鬼産業株式会社へ改めました。その後、2006年に農業生産法人の九鬼ファームを設立し、2008年にISO22000、2012年にFSSC22000の認証を取得しています。2024年8月には竹成第二工場のHS PLANTを開設しました。

年出来事
1886年製油機械を購入し油の製造を開始
1965年食品ごまの製造を開始
1968年九鬼産業株式会社に社名変更
2006年農業生産法人 九鬼ファームを設立
2008年ISO22000認証を取得
2012年FSSC22000認証を取得
2024年竹成第二工場 HS PLANTを開設

参照:九鬼産業「会社概要」、九鬼産業「沿革」

九鬼ごまの商品と買える場所

白いボウルに入った黒ごま

九鬼ごまの商品は、ごま油、すりごま、ねりごま、フェアトレード商品、黒ごまラテなどに分かれ、公式オンラインショップで買えます。

公式サイトのトップページに掲載されている商品名は次のとおりです。店頭での取り扱いは店舗ごとに異なるため、確実に探すなら公式オンラインショップが分かりやすい入口です。

区分公式サイトに掲載されている商品名
ごま油九鬼 太白純正胡麻油、九鬼ヤマシチ純正胡麻油
すりごま九鬼 二度焙煎すりごま 白
ねりごま九鬼 純ねりごま 白
フェアトレード商品九鬼フェアトレードいりごま白(詳しくは次の節)
関連商品黒ごまラテ

ごま油の作り方

日本貿易振興機構(ジェトロ)の事例記事は、九鬼産業のごま油を薬剤を使わない連続式圧搾法で製造していると紹介しています。ごまの皮むきでも化学薬品を使わず、物理的な摩擦で行う方法が挙げられています。記事の掲載時期は2014年3月で、現在の工程は購入前に公式サイトで確認してください。

買える場所と選び方

公式オンラインショップは九鬼産業の公式オンラインショップです。用途で選ぶなら、香りを生かす料理にはすりごまやごま油、ペースト状で使うならねりごまが目安になります。フェアトレードの商品を選びたいときは、商品名に「フェアトレード」が付くものを探します。

参照:九鬼産業 公式サイト トップページ、ジェトロ「九鬼産業の事例」(2014年3月掲載)

九鬼ごまのフェアトレード商品とは

ガラス瓶に入った白ごま

九鬼産業は2012年3月に、国内のごま専業メーカーとして初めてフェアトレード認証の商品を製品化しました。

製品化に先立って社員がニカラグアの生産者を訪ね、顔の見える商品づくりを進めたと、ジェトロの事例記事は紹介しています。

認証製品の中身と産地

国際フェアトレード認証の製品情報では、「九鬼フェアトレード一番搾りごま油」(内容量95g)のライセンシーが九鬼産業です。原料はニカラグアのデル・カンポ農協の白ごまで、製品ライセンシングの認証製品として登録されています。有機認証の区分は非有機です。

参照:フェアトレード・インターナショナル「製品詳細」

フェアトレード認証が意味すること

フェアトレード・ジャパンは、認証製品を買うことが開発途上国の生産者の支援につながると説明しています。同団体は、国際フェアトレード認証ラベルのライセンス事業、製品認証事業、教育啓発活動を主に行っています。認証は産地と取引の条件を決める仕組みなので、味や品質の優劣を示すものではない点には注意が必要です。

参照:フェアトレード・ジャパン「フェアトレードとは?」

関連記事:フェアトレードコーヒーおすすめ5選|選び方と価格の違いを解説

九鬼ごまの原料の産地と品質管理

九鬼ごまの原料の大半は輸入で、日本で消費されるごまの99.9%が輸入だと三重県は説明しています。

残りの0.1%が国産で、その生産農家の一つが三重県松阪市にあります。九鬼産業は、三重県で国産ごまを広げる取り組みを進めています(詳しくは後半の社会への影響の節で扱います)。

原料の安全を支える検査と認証

九鬼産業の公式ページでは、残留農薬の自社検査を30年以上続けていると説明しています。2008年にISO22000、2012年にFSSC22000の認証を取得し、2008年から一部商品の原材料の残留農薬情報をウェブサイトで閲覧できるようにしています。

食品防御(フードディフェンス)の考え方も、20年以上前から取り入れてきたとされています。いずれも会社自身の説明であり、第三者による評価ではない点を踏まえて読んでください。

参照:九鬼産業「安全・安心な商品・サービスの提供」、三重県「ごま(松阪の金ごま)」

同じ課題に取り組む企業4社を同じ項目で比較

九鬼産業と同じく、途上国の生産者や産地の課題に食品・雑貨の取引で向き合う企業4社を、五十音順に並べました。順位や優劣を示すものではなく、おすすめ順でもありません。

各社の公式ページに書かれた内容だけを同じ項目で並べ、今回確認したページに記載のない項目は「公表なし」としています。確認できた企業が4社のため、5社に満たない点をお断りします。

企業・ブランド取り組みの対象仕組み公表している実績開始年
九鬼産業(今回の主題)ニカラグアのごま生産者フェアトレード認証ごまの調達と商品化国内ごま専業メーカーで初のフェアトレード認証商品(2012年3月に製品化)2012年(フェアトレード商品)
dari K(ダリケー)インドネシア・スラウェシ島のカカオ農家農家と直接取引し、栽培と発酵の技術を伝えて高品質な豆を適正価格で買い取る公表なし公表なし
トニーズ・チョコロンリーカカオ産地の貧困・児童労働・森林破壊5つの調達原則公表なし公表なし
ピープルツリー経済的・社会的に不利な立場にある途上国の手仕事の生産者自然素材を手仕事で仕上げた製品の取引公表なし公表なし
森永製菓カカオの国の子どもたちと生産者対象商品1個につき1円を寄付する「1チョコ for 1スマイル」支援総額約3億3856万円(2025年3月時点)2008年

表の「公表なし」は、今回確認した公式ページに記載がないことを指します。各社が別のページで公表している可能性は否定できないため、詳細は各社の公式サイトで確認してください。

dari K(ダリケー)

dari Kは、インドネシアのスラウェシ島のカカオ生産を変えることを掲げるチョコレートのブランドです。公式ページによると、現地の農家と直接取引をして中間業者のマージンを挟まない点が特徴で、栽培と発酵の技術を伝えたうえで高品質なカカオ豆を適正価格で買い取ります。公式ページは、品質が変わらないものを高く買うのではなく、品質を高めた分を価格に反映する考え方だと説明しています。

参照:dari K「STORY」

トニーズ・チョコロンリー

トニーズ・チョコロンリーは、カカオ産業における搾取(貧困、児童労働、森林破壊)と闘う方針を掲げるチョコレートのブランドです。日本語の公式サイトには「トニーの5つの調達原則」のページがあり、調達の方針を公開している点が特徴です。ブランドの詳しい内容は別の記事で整理しています。

参照:Tony’s Chocolonely日本公式サイト「トニーズの調達方針」

関連記事:Tony’s Chocolonelyを解説|買える店と調達5原則

ピープルツリー

ピープルツリーは、フェアトレードの手仕事の製品を扱うブランドです。公式ページは、自然素材を手仕事で仕上げた製品が、経済的・社会的に不利な立場の人びとに収入を得る機会をつくると説明しています。公式オンラインショップには「食品」のカテゴリーもあります。

参照:ピープルツリー公式「フェアトレードとは」

森永製菓

森永製菓は、カカオ産地の支援活動「1チョコ for 1スマイル」を2008年から続けています。2026年1月5日の発表では、これまでの支援総額が約3億3856万円(2025年3月時点)とされ、国際NGOのプラン・インターナショナルとACE(エース)を通じて、ガーナなどの子どもたちの教育環境の改善や児童労働問題への取り組み、カカオ農家の収入向上を支援しています。

参照:森永製菓ニュースリリース「1チョコ for 1スマイル」(2026年1月5日)

九鬼産業のフェアトレードごまが使われた事例

九鬼産業の公式ページで確認できる事例は、2025年に神奈川県鎌倉市の学校給食でフェアトレードごまが使われた件です。

神奈川県鎌倉市の小・中学校の給食

九鬼産業の公式ページによると、同社は2010年にフェアトレードごまの商品化へ動き出し、2011年にフェアトレード・ラベル・ジャパンの認証を取得して、同年にニカラグアの畑と工場を視察しました。取引先は、約1,000の農家が参加するデルカンポ農協です。2012年に「九鬼 フェアトレードいりごま 白」を発売しています。

同ページは、2025年に鎌倉市がフェアトレードタウンに新たに加わり、市内の小・中学校計26校で同商品を使った学校給食が提供されたと記載しています。ここに書いた内容は九鬼産業自身の公表であり、市側の資料では今回確認できていません。そのため、給食の提供回数や使用量などの数字は載せていません。

参照:九鬼産業「ごまとフェアトレード」

九鬼ごまが社会に与える良い影響

九鬼産業は、輸入に頼るごまの国内栽培、製造時の副産物の肥料化、フェアトレードの3つの面で社会課題に関わっています。

輸入にほぼ頼るごまを、三重県内で栽培する

三重県は、日本で消費されるごまの99.9%が輸入だと説明しています。九鬼産業は2014年から三重県でごま栽培の推進活動を始めました。初年度は福祉事業所と連携し、栽培面積は10aでした。同社が公表する2025年の三重県内の栽培面積は22.5ha、生産者は55軒です。

国の「革新的技術開発・緊急展開事業」(2017〜2019年)を活用して、播種から調整までの機械化を検証し、既存の機械でごまを栽培できることを確認したとも説明しています。生産者への巡回や栽培サポートも行っています。

公的統計で全国の国産ごまの作付面積を確認できなかったため、全国に占める割合の編集部推計は出していません。確かなのは、国内消費の99.9%が輸入という規模に対して、同社が公表する22.5haという面積は、国産化の入口にとどまるという点です。

年九鬼産業が公表する三重県内の取り組み
2014年栽培推進活動を開始。初年度は福祉事業所と連携し、栽培面積10a
2017〜2019年国の事業を活用し、播種から調整までの機械化を検証
2025年栽培面積22.5ha、生産者55軒

参照:九鬼産業「国産ごま普及への取り組み」

搾り粕と表皮を肥料に戻す資源の循環

ごま油の搾り粕と、ねりごまの製造で出る表皮は、発酵させて堆肥や肥料にしていると公式ページは説明しています。搾り粕は搾油後に残る部分で、油分が約50%残るとされています。表皮は化学薬品を使わない製法のため、肥料の原料として安全に使えるとしています。

肥料は自社農場でのごま栽培に使われるほか、農業者にも販売されています。製造で出る副産物が次の栽培に戻る流れは、廃棄物を減らす面で意味があります。ただし、肥料化した量や削減できた廃棄物の量は公表されていないため、効果の大きさは数字では示せません。

参照:九鬼産業「製造工程で発生するバイオマスの有効活用」

フェアトレードで産地の生産者の自立を支える

九鬼産業の公式ページは、フェアトレードを、途上国の原料を買いたたかず適正な価格で継続的に調達する取引だと説明しています。生産者とメーカーが対等な関係で、利益も分配する考え方だとしています。日本で消費されるごまの99.9%が輸入であるため、輸入元の産地の生産者の暮らしに目を向けることには意味があります。

一方で、認証ごまの取引量やプレミアム(割増金)の金額は、確認した公式ページに記載がありません。数字がないため、産地への効果の大きさは本記事では評価していません。読者ができることは、認証製品を選ぶこと、そして産地や仕組みの説明が公開されているかを確かめることです。

関連記事:わかちあいプロジェクトとは?古着の送り方とフェアトレードの中身

よくある質問

九鬼ごまについて、よく検索される疑問に答えます。

Q
九鬼ごまはどこで買えますか?
A

公式オンラインショップで買えます。店頭での取り扱いは店舗ごとに異なるため、近くの店舗の取扱状況は店舗に確認してください。

Q
九鬼ごまは国産ですか?
A

原料の大半は輸入です。日本で消費されるごまの99.9%が輸入だと三重県は説明しています。九鬼産業は三重県で国産ごまの栽培を進めており、2025年の栽培面積は22.5ha、生産者は55軒と公表しています。

Q
九鬼のフェアトレードごまとは何ですか?
A

ニカラグアのデル・カンポ農協の白ごまを使った、国際フェアトレード認証の製品です。「九鬼フェアトレード一番搾りごま油」は、国際フェアトレード認証の製品情報にライセンシーが九鬼産業と登録されています。

Q
九鬼ごまのごま油はどんな作り方ですか?
A

薬剤を使わない連続式圧搾法で作られていると、ジェトロの2014年3月掲載の事例記事は紹介しています。現在の工程は変わっている可能性があるため、購入前に公式サイトで確認してください。

Q
九鬼ごまを作っている会社はどこですか?
A

三重県四日市市に本社がある九鬼産業株式会社です。創業は1886年、創立は1951年で、従業員数は212名です(2024年10月31日時点)。

まとめ

九鬼ごまの要点を整理します。

  • 九鬼ごまは、三重県四日市市の九鬼産業が手がけるごま製品を指す呼び名です。
  • 2012年3月に国内のごま専業メーカーで初めて、フェアトレード認証のごま製品を製品化しました。
  • 原料の大半は輸入で、三重県での国産ごま栽培は2025年に22.5ha、生産者55軒と公表されています。
  • 搾り粕と表皮を肥料に戻す取り組みも、公式ページで説明されています。
  • 同じ課題に取り組む企業は、dari K、トニーズ・チョコロンリー、ピープルツリー、森永製菓などがあり、各社の公式サイトで確認できます。

この記事の執筆者

The Company Journal編集部

企業の取り組み・サステナビリティ・社会課題をテーマにした編集チーム。 企業や自治体の情報を編集部が一社ずつ確認し、 独自の基準で比較・整理した情報をお届けしています。