Green Carbonを解説|水田クレジットの仕組みと参加方法

Green Carbonは、水田・森林・バイオ炭などの自然由来のカーボンクレジットを創出して販売する支援会社です。国内では水田の中干し期間を延ばしてメタンを減らすJ-クレジットを扱い、農家や自治体の参加を取りまとめています。この記事では、事業の中身、水田クレジットの仕組み、買い方と参加方法、同じ分野の企業、社会への効果を、公式発表と公的資料から整理します。

この記事でわかること

  • Green Carbonの事業と基本情報
  • 水田クレジット(中干し延長・AWD)の仕組み
  • クレジットの買い方と農家の参加方法
  • 同じ分野に取り組む企業3社と水田クレジットの事例
  • 社会とメタン削減への効果、注意点

Green Carbonはどんな会社?事業と基本情報

Green Carbonは2019年12月設立の、カーボンクレジットの創出と販売を支援する会社です。

項目内容
社名Green Carbon株式会社
設立2019年12月
所在地東京都千代田区麹町2-3-2 半蔵門PREX North 9F
代表者代表取締役 大北 潤
事業内容カーボンクレジット創出販売事業、植物・微生物の研究開発事業、農業関連事業・環境関連事業、ESGコンサルティング事業

公式サイトは「生命の力で、地球を救う」をビジョンに掲げています。クレジットは、温室効果ガスを減らす取り組みを国や認証機関が数値で認め、売買できるようにしたものです。Green Carbonはその創出から販売までを農家や自治体と企業をつなぐ役として担っています。

参照:Green Carbon「会社概要」(2026年10月時点)

Green Carbonの事業領域と公表している実績

水田や森林保全などでクレジットを創出し、創出済みと予定で60万tを公表しています。公式サイトの公表値は次のとおりです。

公表項目公表値
カーボンクレジット(創出済み・予定)60万t
展開国数10カ国以上
補助金・助成金の累計採択実績28.4億円
プロジェクト登録認証機関J-クレジット、JCM、Verra、Gold Standard、Puro Earth、Premium T-Ver、Isometric、Plan Vivoなど

数値はいずれもGreen Carbonが公式トップページで公表している値で、第三者が検証したものではありません。相談窓口は、クレジットを買いたい企業・法人向けと、水田クレジットを創りたい農家・自治体向けの2つに分かれています。初回相談は無料とされています。

同じ水田でも、国内は中干し延長、東南アジアはAWDと使う方法が異なります。具体的な仕組みは次の項で説明します。

参照:Green Carbon 公式トップページ(2026年9月30日更新)

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Green Carbonの水田クレジットはどんな仕組み?

水を張った水田に植えられた稲の苗

水田クレジットは、田んぼのメタン排出を水管理で減らし、その削減量を売買できる形にしたものです。

中干し期間の延長で創出するJ-クレジット

中干しとは、稲の生育途中で田んぼの水を一度抜いて土を乾かす作業です。水を張った田んぼではメタンが出やすく、Green Carbonは中干しを7日間延長するとメタン発生量を3割削減できるという説明を発表資料に載せています。この削減量が、J-クレジット制度の方法論「水稲栽培における中干し期間の延長」でクレジットになります。

Green Carbonは2026年1月14日、この方法論で国内に創出したJ-クレジット約6.5万tCO2eが完売したと発表しました。同じ発表で、2026年6月以降に承認予定の水田由来クレジットとして約100,000tCO2e、酪農由来として約7,000tCO2eの事前予約を受け付けています。クレジット量は変動する可能性があると同社は注記しています。

申請に必要な手続きや書類作成を簡略にするサービスとして、クレジットの申請登録から販売までを1つの場で行える「Agreen(アグリーン)」も提供しています。

参照:Green Carbon株式会社「中干し(水田管理)由来J-クレジットの完売を発表」(PR TIMES)(2026年1月14日)

AWD(間断灌漑)で東南アジアに広げる取り組み

AWDは、田んぼに水を張る期間と水を抜く期間を繰り返す水管理です。Green Carbonは公式の事業展開領域のページで、フィリピン、ベトナム、バングラデシュでAWDによるカーボンクレジット創出プロジェクトを進めるとしています。ボランタリークレジットに加え、二国間クレジット(JCM)の枠組みを使うプロジェクトも進めています。

国内でもAWDを新しい方法論にする動きがあり、その実証は本記事の事例の項で紹介します。

参照:Green Carbon「事業展開領域」(2026年6月2日更新)

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稲作コンソーシアムが農家をまとめる

Green Carbonは稲作コンソーシアムを発足させ、中干し延長によるメタン削減とJ-クレジット創出のプロジェクトを進めています。同社の事業展開領域のページによると、この取り組みは農林水産省に第1号プロジェクトとして承認されたとされています。

農家にとっては、クレジットの売却益が収入になる点が利点です。一方で、中干しの延長は収量や品質への影響を確認する必要があり、この点は社会への効果の項で整理します。

Green Carbonのクレジットを買う・水田で参加するには

購入も参加も公式サイトの相談窓口から問い合わせる形で、価格は公表されていません。

企業・法人向けの案内は、クレジットの購入・活用、排出量の可視化、GX戦略の設計までを一貫して支援するというものです。公式サイトには個人向けの購入窓口の案内は見当たりませんでした。

  1. 公式サイトの問い合わせフォームで、企業・法人か農家・自治体かを選んで相談する
  2. 企業は、用途(Scope3対応、制度対応など)と必要な量を伝え、調達方法の提案を受ける
  3. 農家・自治体は、水田の面積や水管理の状況を伝え、プロジェクトへの参加方法を確認する
  4. 参加する場合は、中干しの延長日数など必要な記録を取り、申請からクレジットの認証までの支援を受ける

価格や条件は個別の案内になるため、見積もりは問い合わせの段階で確認する必要があります。早期予約割引は2026年3月末までの予約が対象と案内されており、この記事の時点では終了しています。

同じ水田メタン削減に取り組む企業3社

水田のメタン削減とJ-クレジットの創出を支援する企業のうち、公式ページで確認できた3社を並べます。

3社は社名の五十音順です。順位や推奨の順序ではありません。表の項目は、Green Carbonを含む各社の公式ページと発表資料に書かれている内容だけで埋め、書かれていない項目は「公表なし」としています。

事業者取り組みの対象仕組み公表している実績開始年
Green Carbon水田(中干し延長、AWD)ほか稲作コンソーシアムで農家をまとめ、クレジットを創出して販売中干し延長のJ-クレジット約6.5万tCO2eが完売(2026年1月14日発表)2023年度(水田J-クレジットの認証取得)
NTTドコモビジネス中干し延長、籾殻炭のバイオ炭J-クレジットの創出支援と市場流通を行い、売却益を農家へ還元公表なし(目標は2030年度までに中干し延長で累計7,000ha)2024年
クボタ(大地のいぶき)中干し期間の延長、HP空調の導入クボタが管理人を務める団体として複数のプロジェクトを運営・管理公表なし公表なし
バイウィルJ-クレジット創出支援、クレジットの仲介・調達ほか環境価値の創出支援と売買を事業領域とする削減貢献したGHGの総量268.5万t-CO2(公式トップページ掲載値)公表なし

NTTドコモビジネス

NTTドコモビジネスは、新潟県長岡地域で、籾殻炭を使った堆肥の施用とJ-クレジットの創出を組み合わせた取り組みを2024年に始めたと発表しました。

対象は、籾殻炭のバイオ炭と中干し期間の延長による温室効果ガスの削減です。J-クレジットの創出支援と市場への流通をNTT側が担い、売却益は取り組む農家へ還元する設計です。

特徴は、JAえちご中越の営農指導と組み合わせている点です。中干し延長による品質低下や収量減が懸念されるため、きめ細かな営農指導も行うと発表しています。2030年度までに、中干し延長で累計7,000ha、バイオ炭で累計900haの実施をめざすとしています。

参照:NTTドコモビジネス「『籾殻炭バイオ堆肥ペレット』と『J-クレジット』を通じた米生産者の収益向上・地域産業の活性化をめざす取り組みを開始」(2024年8月30日)

クボタ(クボタ J-クレジット支援サービス 大地のいぶき)

クボタの「大地のいぶき」は、同社が管理人を務める、J-クレジット制度を使って農業分野の温室効果ガス削減を広げる団体です。

対象は中干し期間の延長とHP空調の導入で、参加費や手数料は不要と公式サイトに書かれています。

特徴は、中干し延長が収量とタンパク含有量に与えた影響を地域・品種別に公開している点です。公式サイトには2022〜2024年度生産の比較結果が並び、収量が下がった例も上がった例もそのまま載っています。

参照:クボタ 大地のいぶき(クボタ J-クレジット支援サービス)(2026年10月時点)

バイウィル

バイウィルは、環境価値の創出から売買までを事業にする会社で、公式サイトはJ-クレジットの創出支援を主要サービスの1つに挙げています。

サービスは、環境価値創出支援(J-クレジット創出支援)、環境価値売買(クレジット仲介・調達)、ブランドコンサルティング、事業開発(企業版ふるさと納税)などです。

公式トップページは、削減貢献したGHGの総量を268.5万t-CO2と掲げ、手続きが煩雑なJ-クレジット創出のサポートを課題の入口の1つにしています。この数値の算定範囲や時点は同ページには書かれていません。

参照:株式会社バイウィル 公式サイト(2026年10月時点)

水田のJ-クレジット事例|豊田市・新潟市・八幡平市

自治体が運営する水田クレジットも動いています。事業者や自治体が自ら公表した3件を紹介します。

豊田市とGreen Carbonの中干し後AWD実証

Green Carbonは、豊田市、はっぴー農産、滋賀県立大学、京都大学と連携し、豊田市内の圃場でAWDの実証を行いました。

圃場は約1,483〜1,501㎡で、「中干し後にAWD」「AWDのみ」「中干しのみ」の3条件を比べています。Green Carbonは、CO2換算排出量が中干し後AWDで-0.37tCO2/ha、中干しのみで4.89tCO2/haだったと発表しました。約5.3tCO2/haの削減効果にあたり、J-クレジットの東海地方の最大削減係数4.3tCO2/haと比べて約1.2倍の効果が期待できる可能性があるとしています。

同社は、これは実証条件に基づく比較で、2026年は新しい方法論にするための追加実証と実証地の拡大を行うとしています。

参照:Green Carbon株式会社「豊田市・はっぴー農産・滋賀県立大学・京都大学とのAWD実証で中干し延長比約1.2倍のメタン削減効果を確認」(PR TIMES)(2026年3月31日)

新潟市みどりの田園クレジットの販売

新潟市は、水田から出る温室効果ガスを減らすため、J-クレジット制度を使った取り組みを自治体として進めています。

令和7年度分のクレジットが認証・発行されたことを受け、2026年5月11日に「新潟市みどりの田園クレジット」の販売を始めました。創出方法は中干し期間の延長で、販売数量は424t-CO2、1口は30t-CO2です。最低販売単価は1t-CO2あたり7,000円(税込)で、購入対象は新潟市内に拠点を持つ法人、または今後拠点を置く予定の法人と定められました。

新潟市は、農業分野における全国初の自治体運営管理プロジェクトとしています。

参照:新潟市報道資料「新潟市みどりの田園クレジット(J-クレジット)の販売開始について」(2026年5月8日)

八幡平市の水稲中干しプロジェクトとバイウィル

バイウィルは、岩手県八幡平市と進める「八幡平市中干プロジェクト」が、J-クレジット制度の第68回認証委員会で認証されたと発表しました。

八幡平市が事務局として農家を取りまとめ、バイウィルが登録・認証手続きを支援する形です。参加は9経営体(うち法人4経営体)、対象水田は114ha、認証されたクレジットは464t-CO2と公表されています。同ページは、市町村が運営・管理者を担いこの方法論で認証を受けるのは東北地方で初としています。

参照:株式会社バイウィル「【東北初】岩手県八幡平市の『水稲中干し』プロジェクトがJ-クレジット認証」(PR TIMES)(2026年5月8日)

Green Carbonが水田のメタン削減にもたらす効果

山あいの棚田に広がる稲作の水田

水管理でメタンを減らし、削減量の売却で農家に収入が入る仕組みですが、国内全体では一部です。

国内の水田メタン削減のなかでの規模

Green Carbonは、中干し延長のJ-クレジット約6.5万tCO2eが完売したと発表しています。農林水産省によると、中干し期間の延長で認証されたクレジットの累計は、2025年11月現在で307,323t-CO2です。65,000÷307,323≒0.21で、約21%(編集部推計)にあたります。ただし、Green Carbonの値は2026年1月の発表時点で販売済みの量、農林水産省の値は2025年11月までの認証累計で、時点と範囲が完全には一致しません。

国内の稲作から出るメタンの排出量は、農林水産省が国立環境研究所のデータを基に作成した資料で、2020年度に1,200万t-CO2換算とされています。単純に比べると、65,000÷12,000,000≒0.0054で約0.5%(編集部推計)です。こちらも年度が異なるため、規模感をつかむための目安として読んでください。

項目数値時点・出所
Green Carbonが完売した中干し延長クレジット約6.5万tCO2e2026年1月14日発表(Green Carbon)
国内の中干し延長クレジット認証量(累計)307,323t-CO22025年11月現在(農林水産省)
国内の稲作によるメタン排出量1,200万t-CO2換算2020年度(農林水産省作成資料)
中干し期間の延長に取り組んだ水田約79,700ha(40道府県)令和7年産(農林水産省)
Green Carbonの値÷認証量(編集部推計)約21%上記2値からの試算
Green Carbonの値÷稲作メタン排出量(編集部推計)約0.5%上記2値からの試算

参照:農林水産省「農林水産分野におけるカーボン・クレジットの推進について」(2026年3月)、農林水産省「『水稲栽培における中干し期間の延長』のJ-クレジット制度について」(令和5年3月)

農家と自治体に収入の入口をつくる

J-クレジットは、農林漁業者の排出削減の取り組みで生じたクレジットを売って収入にできるため、農林水産分野での活用が期待されている、と農林水産省は説明しています。複数の削減活動を1つのプロジェクトにまとめるプログラム型の取り組みが広がっており、令和7年度は40道府県の水田約79,700haで中干し延長が行われたとされています。自治体が運営する新潟市や八幡平市の例も、この形です。

農家にとっては、収入が増える可能性と引き換えに、水管理の記録を取る手間が加わります。参加費の有無や売却益の分け方は事業者ごとに異なるため、クボタのように「参加費・手数料は不要」と明記している窓口もあれば、Green Carbonのように個別の案内になる窓口もあります。

関連記事:脱炭素企業とは?中小企業も可能な3ステップと事例を解説

収量・水生生物・カドミウムへの留意点

メタンを減らす取り組みには、農林水産省が示す留意点があります。農業環境技術研究所(現・農研機構)の全国8県の栽培試験では、中干し期間の延長により平均3%程度減収したとの報告があります。減収の要因には、過度の土壌乾燥などが影響する場合があるとされています。

また、中干し期間を延ばすと水生生物への影響が想定される場合は、作期の分散や江の設置などの対策を検討するよう示されています。カドミウム濃度の高い地域では、出穂期の前後各3週間の湛水管理が重要で、中干しは7〜10日前後に留める必要があるため、延長の可否は慎重に判断するとされています。

クボタの公式サイトでも、地点によって収量が20.8%減った例から14.3%増えた例まで並んでおり、メタンを減らす効果と作物への影響は、地域と品種ごとに確認する必要があります。

よくある質問

Green Carbonと水田クレジットについて、読者が疑問に思いやすい点に答えます。

Q
Green Carbonは何をする会社ですか?
A

自然由来のカーボンクレジットの創出と販売を支援する会社です。水田、森林保全、バイオ炭、牛のゲップ削減などのプロジェクトでクレジットを創出し、企業・法人向けには購入や排出量の可視化、農家・自治体向けには申請から認証までの支援を案内しています。

Q
Green Carbonのクレジットは個人でも買えますか?
A

公式サイトに個人向けの購入窓口の案内は見当たりませんでした。相談窓口は企業・法人向けと農家・自治体向けの2つで、価格や条件は個別の案内になります。購入を検討する場合は、問い合わせフォームで確認してください。

Q
中干し延長とAWDはどう違いますか?
A

中干し延長は、稲の生育途中に水を抜く中干しを慣行より長くする方法で、国内のJ-クレジットで使われています。AWDは、水を張る期間と抜く期間を繰り返す水管理で、Green Carbonは東南アジアで進め、豊田市では新しい方法論をめざす実証を行っています。

Q
中干しを延長すると収量は下がりますか?
A

平均では下がったという報告がありますが、地域や品種で結果は異なります。農林水産省は、農業環境技術研究所の試験で平均3%程度の減収が報告されたと示しています。参加前に、地域のJAや事業者に収量への影響を確認してください。

Q
水田クレジットに農家が参加すると収入はどうなりますか?
A

クレジットの売却益が農家の収入になる仕組みですが、金額や分け方は事業者ごとに異なります。クボタは参加費・手数料が不要と明記し、NTTドコモビジネスは売却益を取り組む農家へ還元するとしています。Green Carbonの条件は公表されていません。

まとめ

Green Carbonは、水田を中心に自然由来のクレジットを創出して販売する会社です。要点は次のとおりです。

  • Green Carbonは2019年12月設立で、クレジット創出販売、研究開発、農業・環境、ESGコンサルティングの4事業を持つ
  • 国内では中干し期間の延長、東南アジアではAWDで水田のメタン削減クレジットを創出している
  • 中干し延長のJ-クレジット約6.5万tCO2eが完売したと2026年1月14日に発表している
  • 価格は公表されておらず、購入も農家の参加も公式サイトの相談窓口から問い合わせる
  • 同じ分野では、NTTドコモビジネス、クボタ、バイウィルが公式ページで取り組みを公表している
  • 編集部推計では、完売量は国内の認証累計の約21%にあたるが、時点が異なる参考値である
  • 中干し延長には平均3%程度の減収の報告があり、地域・品種ごとの確認が必要である

この記事の執筆者

The Company Journal編集部

企業の取り組み・サステナビリティ・社会課題をテーマにした編集チーム。 企業や自治体の情報を編集部が一社ずつ確認し、 独自の基準で比較・整理した情報をお届けしています。