食品ロスを減らすには、買う前の在庫確認、食べきれる量の調理、食べきれない分の寄付や引き取りサービスの活用という3つが基本です。令和6年度の食品ロスは家庭系が224万トン、事業系が237万トンで、どちらにも減らす余地があります。この記事では、家庭・外食・事業者それぞれの具体的な行動と、行動を後押しする5つのサービス、自治体や企業の事例を整理します。
この記事でわかること
- 令和6年度の食品ロスの量と、国が掲げる2030年度の削減目標
- 家庭の買い物・保存・調理で食品ロスを減らす具体的な方法
- 外食や職場、店舗・事業者が取り組める食品ロス削減の進め方
- 食品ロス削減に使える5つのサービスの違い(五十音順)
- 京都市・セブン‐イレブン・印西市の取り組み事例
食品ロスは年間どのくらい出ているのか

令和6年度の食品ロスは461万トンで、うち事業系が237万トン、家庭系が224万トンです。
食品ロスとは、本来食べられるにもかかわらず捨てられてしまう食べ物のことです。環境省が2026年6月30日に公表した令和6年度の推計では、総量は前年度の464万トンから約3万トン減りました。内訳を見ると、家庭系は233万トンから224万トンへ減った一方、事業系は231万トンから237万トンへ増えています。家庭系は減少、事業系は増加という違いがあり、減らす行動は家庭と事業者の両方に必要です。
数字を読むときは、総量の増減だけでなく、家庭系と事業者系を分けて見ることが大切です。総量が減っていても、事業系が増えていれば、店舗や飲食店での取り組みはまだ途中だといえます。
| 区分 | 令和6年度 | 令和5年度 |
|---|---|---|
| 総量 | 461万トン | 464万トン |
| 事業系 | 237万トン | 231万トン |
| 家庭系 | 224万トン | 233万トン |
国は2030年度に向けて、家庭系を2000年度比で50%削減、事業系を2000年度比で60%削減する目標を掲げています。目標に近づけるには、買う、保存する、調理する、食べきる、余った分を回すという各段階での小さな行動が欠かせません。
参照:環境省「我が国の食品ロスの発生量の推計値(令和6年度)の公表について」、環境省「消費者向け情報」(2026年10月1日確認)
家庭で食品ロスを減らすためにできること

買う前に在庫を確認し、食べきれる量を作り、余った分は寄付やお裾分けで回すのが家庭での基本です。
家庭系の食品ロスは224万トンにのぼります。特別な道具は要りません。買い物、保存、調理、食べきれないときの対応という4つの場面で、できることを順に確認します。
買い物のときにできること
買い物では、まず冷蔵庫や食品庫の中身を確認してから出かけます。そのうえで使う分、食べられる量だけ買うことが、食品ロスを出さない最短の方法です。消費者庁の「めざせ!食品ロス・ゼロ」では、次の行動が挙げられています。
- 出かける前に冷蔵庫や食品庫の食材をチェックする
- 使う分、食べられる量だけ買う
- 賞味期限を、いつ食べる予定かと照らし合わせて選ぶ
- すぐに使う予定の食品は、店の棚の手前から取る
賞味期限は、おいしく食べることができる期限を示すものです。期限を過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではなく、加熱調理で活用できる場合もあります。期限の意味を理解しておくと、まだ食べられる食品を捨てずに済みます。
参照:消費者庁「めざせ!食品ロス・ゼロ」家庭での食品ロスを減らそう(2026年10月1日確認)
保存と調理でできること
買ってきた食品は、食品に記載された保存方法に従って保存します。野菜は冷凍や加熱処理をしてストックしておくと、使い切れずに傷ませる失敗が減ります。調理では食べきれる量を作ることを意識します。
それでも残った料理は、別の料理にアレンジして食べる方法があります。備蓄している食品は、災害時だけでなくふだんの食事にも取り入れて回すと、期限切れを防げます。
家庭での流れを順番にすると、次の4段階です。
- 買い物の前に、冷蔵庫と食品庫の食材を確認します
- 使う分、食べられる量だけ買い、食品に記載された方法で保存します
- 食べきれる量を作り、残った料理はアレンジして食べます
- それでも余る分は、フードドライブへの寄付やお裾分けなどで回します
この4段階は、どれか1つだけ頑張るよりも、全体を通して続けるほうが効果的です。買いすぎを防げば保存の負担が減り、保存を工夫すれば調理で使い切りやすくなります。最後の段階は、前の3段階で防ぎきれなかった分の受け皿と考えると、無理なく続けられます。
食べきれないときの選択肢
食べきれない食品が出てしまったときは、捨てる前に回す方法があります。環境省は、買いすぎて食べきれない場合や贈答品が余ってしまう場合に、フードドライブなどへの寄付やお裾分けを検討するよう呼びかけています。廃棄予定の食品と購入希望者をつなぐフードシェアリングも選択肢です。
寄付や引き取りに使えるサービスは、記事の後半で5つ紹介します。まず自宅の在庫で食べきれるかを確認し、難しければ回す先を探す順番にすると無駄がありません。
関連記事:食品ロス通販おすすめ比較|訳あり品の選び方と注意点を解説
外食や職場の食事で食べ残しを減らすには
注文は食べきれる量にとどめ、食べきれなかった分は持ち帰りを相談する方法が、外食の食品ロス削減の基本です。
食品ロスの発生量の半分以上は事業系ですが、事業系の中には外食での食べ残しも含まれます。店側の対応だけでなく、利用する側の行動も影響します。外食や買い物の場面では、次のような行動が国から紹介されています。
- 食べ残しの持ち帰り:消費者庁と厚生労働省が飲食業界向けに「食べ残し持ち帰り促進ガイドライン」を策定し、令和6年12月25日に公表しています
- 「てまえどり」:商品棚の手前にある商品を選ぶ呼びかけで、小売店舗向けに啓発資材が公開されています
- 食べきり:外食時に食べきれる量だけを注文し、食べきることを意識する
職場の会食や宴会では、乾杯後の一定時間とお開き前の一定時間を席で食べる「30・10運動」のような決まりを設けると、食べ残しを減らしやすくなります。取り組み方は、後述の事例で紹介します。
参照:消費者庁「食べ残し持ち帰り促進ガイドラインについて」(令和6年12月25日公表)、消費者庁「小売店舗で消費者に「てまえどり」を呼びかけます」
関連記事:mottECOとは?食べ残しの持ち帰り方と対応店・注意点
事業者が食品ロスを減らすためにできること
事業者は、食品の寄附、持ち帰りへの対応、販売期限や値下げのルールの見直しの3つから始めるのが現実的です。
事業系の食品ロスは237万トンで、前年度より増えています。事業者の取り組みは、規模や業種によって手段が変わりますが、国のガイドラインに沿うと進めやすくなります。
- 食品寄附:「食品寄附等に関する官民協議会」がフードバンク活動従事者向けの食品寄附ガイドラインを取りまとめています(令和6年12月25日公表)
- 持ち帰りへの対応:飲食業界向けの持ち帰り促進ガイドラインを確認し、衛生面の注意点を整理する
- 販売のルール:販売期限の見直しや、期限が近づいた商品の値下げ販売を検討する(具体的な事例は後述)
小売店舗では、消費者に「てまえどり」を呼びかける啓発資材も用意されています。自社だけで抱え込まず、フードバンクや食品ロス削減サービスなど外部の仕組みを使う方法もあります。
参照:消費者庁「食品ロス削減に向けた取組について」(2026年10月1日確認)
関連記事:過熱蒸煎機とは?食品ロス削減と高付加価値化を実現する革新的乾燥技術
関連記事:規格外の果物を生かすYASASHIKUジェラート|醤油蔵の甘酒でつくる食品ロス削減の取り組み
状況別に見る、最初の一手と回し先
自分の状況に近い行を選び、最初の行動と回し先の候補を決めるのが近道です。
次の表は、この記事で取り上げた行動とサービスを状況別に整理したものです。優劣や推奨順を示すものではなく、行動の入り口を探すための早見表です。
| 状況 | 最初の一手 | 回し先の候補 |
|---|---|---|
| 食材が余りがちで、使い切れない | 冷蔵庫の食材を確認し、食べきれる量だけ買う | pecco(登録した食材からレシピを提案) |
| 割安で食品ロス削減に参加したい | 規格外品や余剰食品の通販を利用する | Kuradashi、ロスゼロ |
| 近所の店の売れ残りを引き取りたい | フードシェアリングアプリで近くの店を探す | TABETE |
| 未開封の食品や贈答品が余った | フードドライブやフードバンクへ寄付する | セカンドハーベスト・ジャパン |
| 飲食店・小売店で廃棄が出ている | 持ち帰り対応、販売期限や値下げのルールを見直す | 国の持ち帰り促進ガイドライン、食品寄附ガイドライン |
事業者の行動は、国のガイドラインが手がかりになります。家庭の行動は、前の章で紹介した4段階から始めてください。
食品ロス削減に使えるサービス5選
買う、寄付する、引き取る、使い切るという行動別に、公式サイトで内容を確認できた5つのサービスを紹介します。
掲載順は優劣や推奨順ではなく、五十音順です(英字表記のサービスは読みで並べています)。各サービスの内容は、運営元の公式サイトに掲載されている情報にもとづきます。
| サービス | 種類 | 関わり方 | 主な利用者 |
|---|---|---|---|
| Kuradashi(クラダシ) | 割引通販・寄付つき | 割安で買う、買い物を社会貢献につなげる | 消費者、メーカー(出品・協賛) |
| セカンドハーベスト・ジャパン | フードバンク(NPO法人) | 食品や金銭を寄付する、ボランティアに参加する | 個人、法人 |
| TABETE(タベテ) | フードシェアリングアプリ | アプリで食品を引き取る | 消費者、飲食店・小売店 |
| pecco(ペッコ) | レシピ提案アプリ | 在庫食材からレシピを提案してもらう | 消費者 |
| ロスゼロ | 食品ロス削減EC | 規格外品や余剰食品を割安で買う | 消費者、食品事業者・自治体 |
選ぶときは、自分が「買う側」「寄付する側」「使い切る側」のどれに当たるかを先に決めると迷いません。買う側ならKuradashiやロスゼロ、近くの店から引き取るならTABETE、寄付するならセカンドハーベスト・ジャパン、家にある食材を使い切るならpeccoが入り口になります。サービスごとに料金や対象地域、利用条件が異なるため、利用前に各公式サイトで最新の内容を確認してください。
Kuradashi(クラダシ)
Kuradashiは、買い物が食品ロス削減と社会貢献につながるソーシャルグッドマーケットです。消費者は割引価格で商品を購入でき、メーカーは商品の出品、協賛企業としての参加、社会貢献の取り組みへの参加ができます。買い物と寄付の仕組みを組み合わせている点が特徴です。公式サイトには、支援総額194,051,084円、食品ロス削減量35,287トンが掲載されています(2026年10月1日確認)。
参照:Kuradashi公式サイト(2026年10月1日確認)
セカンドハーベスト・ジャパン
セカンドハーベスト・ジャパンは、日本初のフードバンクとして、まだ食べられるのに活用されない食品を受け取り、必要とする人へ届ける特定非営利活動法人です。活動は、ハーベストセントラルキッチン、ハーベストパントリー、フードバンク活動、政策提言と発展で構成されています。個人は金銭寄付、食品寄贈、ボランティア参加ができ、法人は金銭寄付、食品寄贈、防災食品寄贈、ボランティア参加、賛助会員入会ができます。消費者庁のフードバンク認証を取得していると、公式サイトで案内されています(2026年7月28日の活動報告)。
参照:セカンドハーベスト・ジャパン公式サイト(2026年10月1日確認)
TABETE(タベテ)
TABETEは、まだおいしく食べられるのに食品ロスの危機にある食べものを、お店とユーザーがマッチングするフードシェアリングアプリです。パン・ケーキ店、ホテル、飲食店、スーパーなどが対象で、運営は株式会社コークッキングです。ユーザーはアプリで近くのお店や商品を探し、クレジットカード決済で引き取り時間を設定し、指定時間にお店で画面を見せて受け取ります。自治体との食品ロス削減の連携協定を公式サイトで公表しており、2026年3月には呉市、文京区との協定締結が掲載されています。
参照:TABETE公式サイト(2026年10月1日確認)
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pecco(ペッコ)
peccoは、持っている食材と調味料を登録すると、今作れるレシピを提案してくれるアプリです。運営はGEEK WORKS Inc.で、iOSとAndroidで提供されています。賞味期限が近い食材があると通知し、その食材を使ったレシピも提案します。食べた料理の栄養バランスについて、管理栄養士のアドバイスを受けられる機能もあります。登録した食材の数に応じて、支援機関を通じて世界各地へ寄付する仕組みを設けています。
参照:pecco公式サイト(2026年10月1日確認)
ロスゼロ
ロスゼロは、株式会社ロスゼロが運営する食品ロス削減のECプラットフォームです。規格外品や余剰在庫などの食べられる食品を割安で販売し、事業者向けには未利用原材料を活かすアップサイクルの共同開発や、企業・自治体との連携サービスも案内しています。約2か月に1回届く不定期便(サブスク)は5,000円(税込・送料無料)で、1回のお届けで約5kg相当の食品ロスを削減できるとサイトに記載されています(2026年10月1日確認)。
参照:ロスゼロ公式サイト(2026年10月1日確認)
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食品ロス削減に取り組む自治体と企業の事例
自治体や企業が公表している取り組みから、京都市、セブン‐イレブン、印西市の3つを取り上げます。
いずれも本人が自ら公表しているページにもとづいており、数値は公表されているもののみを記載します。
京都市:「てまえどり」の食品ロス削減効果の検証
京都市は、京都生活協同組合の市内12店舗で、「てまえどり」の呼びかけによる食品ロス削減効果を検証しました。
令和3年10月から、牛乳、豆腐、食パン、うどん(生麺)の4品目の売り場を中心に、ポスターなどで呼びかけています。同時に、公募で選んだ119名のモニターが、令和3年9月から11月の家庭の食品ロス排出量を記録しました。
京都市の報告では、「てまえどり」PR対象4品目の合計廃棄率が約6割減(△59.6%)で、食料品全体の廃棄率も前年比で△13.2%でした。
参照:京都市「「てまえどり」の食品ロス削減効果について」(2026年10月1日確認)
セブン‐イレブン:期限が近い商品を値下げする「エコだ値」
セブン‐イレブンは、販売期限が近づいたおにぎりやサンドイッチなどのフレッシュフードを値下げ販売する「エコだ値」を行っています。
2024年5月から全国の店舗で始まり、緑色を基調に地球のマークをあしらったシールが貼られます。この取り組みは、令和6年度食品ロス削減推進表彰の「消費者庁長官賞」を受賞しました(2024年10月4日公表)。成果の数値は、同社のページには記載されていません。
参照:セブン‐イレブンのサステナビリティ「『エコだ値』の取り組みが令和6年度食品ロス削減推進表彰「消費者庁長官賞」を受賞」(2024年10月4日公表)
印西市:宴会の食べ残しを減らす「30・10運動」
印西市は、宴会の幹事に向けて「残さず食べよう!30・10(さんまる・いちまる)運動」への協力を呼びかけています。
運動の内容は、宴会の最初の30分と、お開き前の10分は席に座って食事を楽しむことです。注文時に適量を発注することや、開始時とお開き前に運動をアナウンスすることも求めています。ページに成果の数値は掲載されていません(2020年2月18日掲載)。
参照:印西市「残さず食べよう!30・10(さんまる・いちまる)運動」
関連記事:fabulaを解説|食品廃棄物が素材になる仕組みと社会への効果
よくある質問
食品ロスを減らすことについて、よく検索される疑問に答えます。
買い物の前に冷蔵庫や食品庫の食材を確認し、使う分、食べられる量だけ買うことが最初の一歩です。そのうえで、食べきれる量を作り、残った料理はアレンジして食べると効果的です。
賞味期限は「おいしく食べることができる期限」で、過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではありません。加熱調理で活用できる場合もあるため、状態を確認したうえで判断します。
買いすぎて食べきれない食品や、余ってしまった贈答品を持ち寄って寄付する取り組みです。環境省は、食べきれない場合にフードドライブなどへの寄付やお裾分けを検討するよう案内しています。
すぐに使う予定の商品を、店の棚の手前から選ぶことです。消費者庁が小売店舗向けに啓発資材を公開しており、京都市の検証では対象4品目の廃棄率が約6割減りました。
令和6年度の食品ロスは461万トンで、事業系が237万トン、家庭系が224万トンと推計されています。前年度の464万トンから約3万トン減りました。
まとめ
食品ロスは、買う前の確認、食べきれる量の調理、余った食品を回す工夫、そして事業者の寄附や販売ルールの見直しで減らせます。要点は次のとおりです。
- 令和6年度の食品ロスは461万トンで、家庭系は減少、事業系は増加しています
- 家庭では、在庫確認、必要な量だけの購入、食べきれる量の調理を基本にします
- 外食では食べきれる量を注文し、持ち帰りや「てまえどり」も活用します
- 事業者は、食品寄附、持ち帰りへの対応、販売期限や値下げの見直しから始めます
- 食べきれない食品は、Kuradashi、セカンドハーベスト・ジャパン、TABETE、pecco、ロスゼロなどのサービスで回せます