fabula株式会社は、規格外の野菜や加工時の端材などの食品廃棄物を乾燥・粉砕して熱圧縮し、新素材に変える東京大学発のスタートアップです。fabulaが目指すのは、捨てられていたものを素材の魅力ごと使い続けることで、焼却される食品廃棄物の出口を増やすことです。
この記事では、fabulaの会社概要、素材の作り方、製品と相談の窓口、明治などとの事例を整理します。あわせて、同じ分野で取り組む他社3社を同じ項目で並べ、fabulaが社会に与える良い影響を公的データと照らして読み解きます。
この記事でわかること
- fabulaの会社概要と事業内容
- 食品廃棄物が素材になる工程と、公表されている強度
- 製品の種類と、購入・相談の進め方
- 明治、センターオブガレージとの取り組み
- 食品廃棄物を資源に変える他社3社の比較表
- fabulaが食品ロスの課題にもたらす効果と限界
fabulaの会社概要|どんな会社が何をしているのか
fabula株式会社は2021年10月に設立された東京都大田区の会社で、食品廃棄物から素材をつくる研究開発と、その素材を使った製品の企画・販売を事業としています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 社名 | fabula株式会社 |
| 設立 | 2021年10月1日 |
| 本店所在地 | 東京都大田区南六郷三丁目10番16号 六郷BASE |
| 代表 | 代表取締役CEO 町田紘太氏、取締役CFO 松田大希氏、取締役CTO 大石琢馬氏 |
| 事業内容 | 各種商品の企画・製造・販売および輸出入、各種素材の研究開発 |
| クリエイティブパートナー | CIRCULAR DESIGN STUDIO |
公式サイトのVISIONには、形が悪いと捨てられた野菜にも農家の愛情が注がれていただろう、という視点と、「ストーリーは無限に広がる。私たちは、その一歩をつくる。」という言葉が掲げられています。廃棄物を新しい物語の入り口にする、という姿勢です。
技術面では、素材化の方法について東京大学生産技術研究所による特許出願が審査中と公式サイトに記載されています。この記事では、同社が公表している範囲を超える評価は行いません。
参照:fabula株式会社 公式サイト(2026年10月時点)
fabulaの素材の作り方|乾燥・粉砕・熱圧縮の仕組み

fabulaの素材は、食品廃棄物を乾燥させて粉末にし、金型に入れて熱と圧力で固めてつくります。接着剤に石油由来の原料を足さない点が公式サイトで強調されています。
乾燥・粉砕・熱圧縮の3工程と、色や香りの変え方
公式サイトが示す工程は「乾燥、粉砕して熱圧縮」の3つです。乾燥方法、粉末の粒度、成型温度を変えると、色・質感・香りが変わると説明されており、複数の材料を混ぜたり、成形した素材を再成型したりすることもできるとしています。
同じ食品廃棄物でも条件次第で見た目が変わるため、一点ごとに風合いが異なります。大量生産の均一さではなく、素材の個性を残す方向の技術です。
原料になる食品廃棄物の例
公式サイトが素材の例として挙げているのは、コーヒーかす、抽出後のお茶の葉、みかんなどの柑橘類の皮、規格外の白菜、コンビニ弁当です。飲食店や食品工場で毎日出る廃棄物が、そのまま原料の候補になります。
ただし、どの原料を何トン使ったかという数値は公式サイトに掲載されていません。取り扱い量の規模を示す数字は確認できないため、この記事でも推測では書きません。
公表されている強度と、読むときの注意点
白菜の廃棄物から作った素材について、同社はコンクリートの約4倍の曲げ強度があり、厚さ5mmで30kgの荷重に耐えると公表しています。一方で、強度は原材料によって異なると同じ場所に注記されています。
この数字は同社が公表した値で、第三者機関の試験結果として提示されているわけではありません。用途を検討するときは、原料ごとの試験データを同社に確認するのが前提になります。
シリカ系廃材を使う新素材initium
fabulaは2026年9月15日、センターオブガレージ社と共同で次世代インフラ素材「initium」の用途開発の実証を始めたと発表しました。initiumは、シリカを含む素材にアルコールやアルカリなどを加え、耐圧容器内で加熱して硬化させる素材で、セメントを使わず現地の資源を活用できるのが特徴とされています。
対象は廃コンクリート、廃太陽光パネルのガラス、廃瓦などで、食品廃棄物ではありません。実証期間は2026年9月11日から2027年3月31日までの予定です。食品廃棄物の素材化で培った技術を、別の廃材に広げる動きとして位置づけられます。
参照:fabula note「センターオブガレージ社と共同でinitiumの用途開発実証を開始しました」(2026年9月15日)
fabulaの製品と購入・相談の進め方
公式サイトに掲載されている製品は平皿と平版の2種類で、オーダーメイドの小物から建築材料までは金型次第で製作できるとされています。
| 製品・窓口 | 内容 |
|---|---|
| 平皿 | 直径12cm |
| 平版 | 30cm角 |
| 金型による個別製作 | 小物、家具、建築材料などを金型次第で製作可能 |
| 事業パートナーの募集 | 製品開発・技術・研究におけるパートナーシップ |
| 実証実験の相談 | 実証実験の相談・依頼を受け付け |
製品は素材のサンプルに近い位置づけ
公式サイトの製品欄は平皿と平版の2種類のみで、価格は公式サイトに掲載されていません。購入を検討する場合は、公式サイトの問い合わせ先に用途と数量を伝えて確認するのが確実です。
製品はすべて100%天然素材で、一点ずつ風合いが異なると記載されています。食器として使う場合の耐熱性や食品衛生法上の扱いは公式サイトに書かれていないため、用途を決める前に同社へ確認してください。
企業・研究機関向けの相談窓口
同社は事業パートナーの募集に加え、製品開発・技術・研究での連携、実証実験の相談を受け付けています。自社の廃棄物を素材化したい企業が、原料を持ち込んで試作するという使い方が想定されます。
問い合わせはメール(info@fabulajp.com)で受け付けています。自社の廃棄物の種類と量、試したい用途を整理してから連絡すると、話が早く進みます。
fabulaの事例|明治とセンターオブガレージとの取り組み
fabulaの公式サイトには導入事例の一覧がないため、同社のnoteで公開されている明治との共同制作と、センターオブガレージとの実証の2件を紹介します。
明治とのカカオハスクを使った景品づくり
チョコレートづくりの過程で出るカカオ豆の皮(カカオハスク)は、素材として活用する余地のある副産物です。fabulaは「明治のお菓子とヨーグルトフェア」のレシートキャンペーンで、カカオハスクを使ったコースターの制作を担当しました。
このコースターは、マグカップとペアのサステナブルコースとして用意され、2025年10月末にキャンペーンが始まりました。東京チョコレートサロンのアンケート回答者向けノベルティの制作や、カカオスタイルの展示での床材、雑貨、ゴルフティーの制作も紹介されています。制作数や販売数は公表されていません。
参照:fabula note「株式会社 明治 × fabula キャンペーン景品を共同制作」(2025年12月10日)
センターオブガレージとのシリカ系廃材の実証
センターオブガレージは株式会社グローカリンクが運営する拠点で、fabulaとinitiumの用途開発の実証を行っています。廃材の収集、素材化、試作、用途探索、企業とのPoCという流れで、建材・骨材・補修材などへの転換可能性を探ります。
成果の数値はまだ公表されておらず、結果は2027年3月31日までの実証期間を経て出てくる見込みです。そのため、現時点では「取り組みを始めた」段階として受け取るのが正確です。
食品廃棄物を資源に変える企業3社と同じ項目での比較
食品廃棄物の活用に取り組む企業は、素材化だけでなく発酵・飼料化・樹脂化など方法が分かれます。ここでは各社の公式情報で確認できた3社を、五十音順で紹介します。順位や推奨の意味はありません。
掲載は公式情報で確認できた3社に絞っています。確認できなかった会社は載せていません。下の表は、fabulaと3社を同じ項目で並べ、各社が自ら公表している内容だけを入れました。「公表なし」は、確認した公式ページに記載がないという意味です。
| 会社 | 取り組みの対象 | 仕組み | 公表している実績 | 設立年 |
|---|---|---|---|---|
| fabula | 規格外野菜、端材、コーヒーかす、茶葉など | 乾燥・粉砕・熱圧縮で素材化 | 白菜素材の曲げ強度はコンクリートの約4倍(同社公表) | 2021年 |
| 日本フードエコロジーセンター | 食品循環資源 | リキッド発酵飼料に加工 | 約200事業所から1日約40tを受け入れ、約42tの飼料を製造 | 公表なし |
| ファーメンステーション | 食品ロス・フードウェイスト、未利用バイオマス | 発酵技術でエタノール・食品原料などに加工 | B Corp認証(2022年)、農林水産省SBIRフェーズ3事業に採択(2024年) | 2009年 |
| mizuiro(不易糊工業と共同開発) | 廃棄されていた野菜・果物の残さ | デンプン主原料のバイオスターチプラスチックに配合 | バイオマス素材50%以上、CO2排出量を約34%削減(LCA試算) | 公表なし |
日本フードエコロジーセンター
株式会社日本フードエコロジーセンターは、神奈川県相模原市で食品ロスを処理してリキッド発酵飼料をつくる会社です。破砕・発酵による飼料化の処理能力は1日49tとされています。
実績ページでは、200か所以上の事業所から1日約40tの食品循環資源を受け入れ、約42tのリキッド発酵飼料を製造し、関東近郊の契約養豚事業者12戸超に供給していると記載されています。素材ではなく飼料に変える点が、fabulaと異なります。
参照:日本フードエコロジーセンター 会社概要(2026年10月時点)、同社 実績紹介(2026年10月時点)
関連記事:食品ロスを減らすためにできること|家庭の行動と5つのサービス
ファーメンステーション
株式会社ファーメンステーションは、食品ロスやフードウェイスト、その他の未利用バイオマスを発酵させ、エタノールや食品原料にする研究開発型の会社です。千葉県船橋市に本社を置き、岩手県に奥州ファクトリーがあります。
会社概要ページによると、2009年7月設立で、2022年にB Corp認証を取得しています。2024年には農林水産省のSBIRフェーズ3事業に採択されたと記載されています。微生物の力で機能性の原料に変える点が特徴です。
参照:ファーメンステーション 会社概要(2026年10月時点)
関連記事:ファーメンステーションを解説|仕組みと共創事例・社会への効果
mizuiro(不易糊工業と共同開発)
mizuiro株式会社(東京都中央区)は、不易糊工業株式会社(大阪府八尾市)と共同で、廃棄されていた野菜・果物の残さを配合したバイオスターチプラスチックの汎用成形材料を2026年9月24日に発表しました。
発表では、バイオマス素材を50%以上配合し、ポリプロピレンやポリエチレン製品と比べてCO2排出量を約34%削減できるとLCAに基づく試算を示しています。用途は文具や生活雑貨で、射出成形とブロー成形の実績があるとされています。
参照:mizuiro株式会社・不易糊工業株式会社 プレスリリース(2026年9月24日)
fabulaが食品ロスと廃棄の課題にもたらす良い影響

fabulaの取り組みは、食品廃棄物に焼却以外の出口をつくり、素材として使い続けることで環境負荷を減らす可能性があります。ただし効果の大きさを示す数値は公表されていません。
焼却や埋立に回る食品廃棄物の出口を増やす
公式サイトは、食品廃棄物が焼却の際のCO2排出や灰の埋立などの環境問題を抱えていると説明しています。素材として固めて使い続ければ、その分は焼却に回らずに済むというのが、同社の考え方の出発点です。
国内の規模を見ると、環境省の推計では令和6年度の食品ロスは461万tで、内訳は事業系237万t、家庭系224万tでした。fabulaはどれだけの食品廃棄物を素材化したかを公表していません。国全体の規模に対して、fabulaの処理量がどれほどの割合かは現時点で算出できません。
そのため、この記事では効果の大きさを断定せず、仕組みとして焼却を減らす方向に働くという点にとどめます。政府の基本方針は、2030年度までに2000年度比で家庭系を半減、事業系を60%削減する目標を掲げており、素材化は、減らしきれない廃棄物の使い道を増やす手段として位置づけられます。
参照:環境省「令和6年度の食品ロス量の推計」(2026年6月30日)
関連記事:rebakeを解説|ロスパンの届き方・料金と食品ロスへの効果
食品廃棄物の主な行き先と、素材化の位置づけ
食品廃棄物の行き先には、焼却、堆肥化、飼料化、メタン発酵などがあります。公式サイトは、堆肥化や飼料化にはコストがかかるという課題にも触れています。素材化はこれらと競合するものではなく、飼料や堆肥に向かない廃棄物にも出口を足す選択肢と考えると位置づけが分かります。
| 行き先 | できあがるもの | この記事で見た例 |
|---|---|---|
| 焼却・埋立 | 熱、灰 | 公式サイトはCO2排出や灰の埋立が課題と説明 |
| 飼料化 | 家畜の飼料 | 日本フードエコロジーセンターがリキッド発酵飼料を製造 |
| 発酵による原料化 | エタノール、食品原料 | ファーメンステーションが未利用バイオマスを原料化 |
| 素材化 | 成形品、建材などの素材 | fabulaが乾燥・粉砕・熱圧縮で成形 |
形の悪さや副産物に素材としての価値を与える
規格外の野菜やカカオハスクは、味や品質に問題がなくても、形や工程の都合で行き場を失います。fabulaは、乾燥方法や粒度で色・質感・香りを変えられることを生かし、廃棄物の見た目の個性を、そのまま製品の価値に変える方向を取っています。
明治との取り組みのように、素材を提供する企業にとっては、副産物の新しい用途と、ブランドの物語づくりの両方につながります。ただし、収益や削減量は公表されていないため、事業として十分な規模に育つかは今後の情報次第です。
企業や研究機関と連携して用途を広げる
fabulaは事業パートナーの募集と、実証実験の相談・依頼を受け付けています。廃棄物を出す側の企業が、素材の用途を一緒に開発する形をとることで、1社では出口を見つけにくい廃棄物にも道が開けます。
一方で、素材の強度や耐久性、食品衛生上の扱いなどは、用途ごとに確認が必要です。取り組みを評価するときは、同社が公表している範囲と、まだ公表されていない範囲を分けて読むことが大切です。
関連記事:ほたての貝殻から生まれた洗剤「Shell we clean?」|青森・山神の貝殻アップサイクル
よくある質問
fabulaについて、検索でよく見られる疑問に公式情報の範囲で答えます。
fabula株式会社は、食品廃棄物から新素材をつくる東京大学発のスタートアップです。2021年10月に設立され、東京都大田区に本店があります。
規格外の野菜や加工時の端材など、食品廃棄物からできています。公式サイトはコーヒーかす、抽出後のお茶の葉、柑橘類の皮、白菜、コンビニ弁当を例に挙げています。
白菜の廃棄物から作った素材の曲げ強度は、同社の公表でコンクリートの約4倍です。厚さ5mmで30kgの荷重に耐えるとされますが、原材料によって強度は異なります。
公式サイトに掲載されている製品は平皿と平版で、価格は載っていません。購入や個別の製作は、公式サイトの問い合わせ先に相談する形になります。
受け付けています。事業パートナーの募集、製品開発・技術・研究での連携、実証実験の相談・依頼が公式サイトに記載されています。
まとめ
fabulaは、食品廃棄物を素材に変える技術で、捨てられていたものに新しい出口をつくる会社です。公表されている範囲を整理すると、次のとおりです。
- fabulaは2021年10月設立の東京大学発スタートアップで、食品廃棄物を乾燥・粉砕・熱圧縮して素材にします。
- 白菜由来の素材は、同社の公表でコンクリートの約4倍の曲げ強度があり、強度は原材料によって異なります。
- 製品は平皿と平版が掲載され、価格は非公開です。購入や共創は問い合わせから相談します。
- 明治との景品づくりや、センターオブガレージとのinitium実証が、取り組みの具体例です。
- 国内の食品ロスは令和6年度に461万tで、fabulaの処理量は公表されていないため、効果の大きさは断定できません。