PASSTOを解説|回収できるもの・投函の流れと回収後の行き先

PASSTO(パスト)は、ECOMMITが運営する不要品回収サービスです。衣類・ファッション雑貨・ホビー用品を回収ボックスに入れるだけで、利用は無料です。回収された品物は専門スタッフの選別を経て、リユースとリサイクルに回ります。この記事では、回収できるもの、投函の流れ、回収後の行き先、そして社会にもたらす効果までを、公式情報と公的データをもとに整理します。

この記事でわかること

  • PASSTOの仕組みと、運営するECOMMITの概要
  • 回収できるものとできないもの、投函の流れと料金
  • 宅配PASSTO(サストモ)の使い方と対象地域
  • 回収後の選別とリユース・リサイクルの行き先
  • 導入した企業・自治体の事例と、同じ課題に取り組む他の企業
  • 衣類の廃棄削減にもたらす効果を、環境省のデータと並べて確認

PASSTOは何をするサービスか|ECOMMITが運営する不要品回収

玄関に置かれた衣類入りの段ボール箱。手放す服を仕分けしているイメージ

PASSTOは、使わなくなった衣類や雑貨を回収ボックスに入れると、次の人に届けるための選別とリユース・リサイクルが行われるサービスです。売る手間も捨てる罪悪感もなく、身近な場所で手放せる点が特徴です。

サービス名の「PASSTO」は、「PASS TO」を縮めた造語で、「次の人に渡す、未来につなぐ」という意味が込められています。公式サイトは「売るのはちょっと手間。捨てるのもちょっともったいない」という気持ちに応えるサービスとして紹介しています。ボックスは郵便局や商業施設、クリーニング店、自治体の公共施設などに置かれており、近くの設置場所は公式サイトの「パストMAP」で探せます。

仕組みは三つの段階に分かれます。まず、利用者が最寄りのPASSTOボックスに投函するか、協力店に持ち込みます。次に、PASSTOが回収して選別します。最後に、必要とする次の利用者や再資源化の事業者へ再流通します。

参照:PASSTO公式サイト(2026年9月確認)

運営会社ECOMMITの概要と取扱規模

PASSTOを運営するECOMMITは、鹿児島県薩摩川内市に本社を置く資本金1億円の企業で、回収から選別、リユース、リサイクルまでを自社で手がけています。

同社の公式サイトでは、全国に7拠点の循環センターを自社で運営していると紹介されています。年間取扱実績は14,500t(2025年4月〜2026年3月)で、衣類の分野では国内の廃棄量の約2%にあたる11,000tを回収していると説明しています。これらは同社が公表している自社の数値であり、第三者が検証した値ではありません。

参照:ECOMMIT公式サイト(2026年9月確認)

PASSTOで回収できるもの・できないもの

PASSTOが回収するのは、衣類、ファッション雑貨、ホビー用品・おもちゃです。公式FAQでは約120品目に対応していると案内されています。かびや破れがひどい物、制服、下着、水着、着物などは対象外です。

分類入れられるもの入れられないもの
衣類衣類全般、子供服、ベビー服かびや破れがひどい物、制服、下着、水着、着物
ファッション雑貨腕時計、財布、鞄、ランドセル、ベルト、帽子、アクセサリー、メガネかびや破れがひどい物、ジュエリー、靴
ホビー・おもちゃ釣具、楽器、ミニカー、トレーディングカード、ブロック、プラモデル、フィギュア、知育玩具など破損しているもの

子ども服は普段着であれば入れられますが、名前入りの体操着や制服は対象外です。大きな物は「投入口に入るもの」であれば入れられ、蓋が開くタイプのボックスは蓋を開けて直接入れるよう案内されています。

注意したいのは、設置場所ごとに対象品目が異なることがある点です。郵便局や自治体の公共施設など、設置場所ごとの案内で対象品目の書き方が異なる場合があります。持ち込む前に、その設置場所に掲示された品目の案内を確認すると、入れ間違いを避けられます。

参照:PASSTO「FAQ」(2026年9月確認)

PASSTOの使い方|回収ボックスへの投函の流れ

PASSTOの使い方は、品物を用意して、設置場所のボックスに入れるだけです。料金はかからず、何回でも無料で利用できます。

  1. 公式サイトの品目一覧で、手放したい物が対象かを確認する
  2. 公式サイトの「パストMAP」で、最寄りの設置場所を探す
  3. 設置場所のPASSTOボックスに、衣類用とホビー・雑貨用の表示に従って投函する
  4. 協力店の場合は、店舗の案内に従って持ち込む

公式FAQの案内では、PASSTOはすべて無料で、何回でも利用できます。また、間違えて入れた物は返却できず、個別の買い取りにも応じていません。手放す前に、売れる物かどうかを自分で判断したい場合は、別のリユースの手段を使う選択肢もあります。

ボックスの設置場所は、郵便局、商業施設、クリーニング店、自治体の公共施設など多岐にわたります。公式サイトの設置場所の一覧には、クリーニング店、ホームセンター、リユースショップ、宅配便の取次店なども並んでいます。通勤や買い物のついでに立ち寄れる場所に置かれていることが、続けやすい理由です。

買い取りを希望する場合は、リサイクルショップの利用が向いています。大手店の特徴は、次の記事でも整理しています。

関連記事:リサイクルショップおすすめ比較|大手5社の特徴と選び方

宅配PASSTO(サストモ)の流れと対象地域

口を開けた段ボール箱と畳まれたデニム。宅配PASSTOで発送する準備のイメージ

宅配PASSTOは、自宅から不要品を発送して回収してもらえるサービスです。LINEヤフーが運営する「サストモ」のLINE公式アカウントを友だち追加して申し込み、集荷は無料で依頼できます。

公式サイトの案内では、2025年3月3日から開始され、終了時期は未定とされています。対象は北海道と沖縄離島を除く国内全域にお住まいの方です。開始時点の案内であり、受付の状況は変わる可能性があるため、利用前に最新の案内を確認してください。

参照:PASSTO「宅配PASSTO「サストモ」でパストしよう」(2025年3月3日掲載)

宅配PASSTOの利用の流れ

  1. 「サストモ」のLINE公式アカウントを友だち追加し、専用ページを確認する
  2. 回収の必須アイテムを確認して、箱に入れる
  3. 同梱できるアイテムを入れて、箱を満たす
  4. 110〜150サイズ以下の段ボール箱に梱包する
  5. 申し込みフォームに入力し、佐川急便の集荷を無料で依頼する

集荷は専用の申し込みフォームからのみ受け付けられます。箱は自分で用意する必要があり、費用は集荷を含めて無料と案内されています。

回収できる品目と同梱できる品目

宅配PASSTOでは、アクセサリー、小型家電、おもちゃ、ホビー用品、調理器具などの必須アイテムを箱に入れることが条件です。そのうえで、衣類、タオル、ファッション雑貨、生活雑貨、アウトドア用品、スポーツ用品、食器類などを同梱できます。

店頭のボックスが衣類や雑貨を中心にしているのに対し、宅配PASSTOは小型家電や調理器具まで含められる点が異なります。

2024年9月にECOMMITとサストモが関東・中部・関西で約1か月半行った実証では、3,558名が参加し、約44tの不要品を自宅から回収したと公表されています。この実証の結果を受けて、2025年3月に全国へ対象が広がりました。

PASSTOに出したものはどうなる?選別と行き先

回収された衣類を箱に仕分けするスタッフ。PASSTOの選別工程のイメージ

PASSTOに入れた品物は、専門スタッフが1点ずつ選別し、国内外のリユースの販路と、素材として再利用するリサイクルの仕組みに振り分けられます。廃棄を避けることが前提の設計です。

回収した品物を選別するのは、公式FAQで「プロピッカー」と呼ばれる専門スタッフです。100を超える連携先があり、リユース・リサイクル率は平均して98%と案内されています。つまり、投函した品物の大半は、焼却や埋め立てではなく、次の使い道に回ります。

仕分けの考え方は、可能な限りリユースに回し、リユースが難しい物をリサイクルに回す、という順序です。公式FAQは、循環センターで選別して「可能な限りリユース」すると説明しています。

ただし、98%は同社が公表する平均値であり、個々の品物の行き先を保証する数値ではありません。

関連記事:買取とSDGsの深い関係性:持続可能な社会を実現する循環型ビジネスモデル

PASSTOを導入した企業・自治体の事例

PASSTOの導入事例として、郵便局、小売、アパレル、自治体、商業施設の5件を紹介します。

PASSTOは、郵便局、小売・アパレル、ショッピングセンター、自治体の公共施設などに広がっています。ここでは、導入した組織やECOMMITが公表している事例を、導入先の種類ごとに5件紹介します。公表されている事実だけを書き、回収量などが公表されていない場合はその旨を記します。

日本郵便|郵便局にボックスを設置

日本郵便は、全国の郵便局ネットワークを運営する企業です。

対象の郵便局にPASSTOの不要品回収ボックスを設置し、衣類などの不要品を回収しています。渋谷郵便局(東京都)と流山郵便局(千葉県)から始めた取り組みで、2026年8月時点で94局に拡大した。回収した品物はECOMMITが選別し、リユース・リサイクルされます。

公表されている成果は設置局数までで、回収量は公表されていません。

参照:日本郵便「資源循環サービス「PASSTO」について」(2026年8月時点)

ミスターマックス|全店舗で衣類回収を開始

ミスターマックスは、総合ディスカウントストアを運営する小売企業です。

2024年1月20日から6店舗で実証を行い、同年2月29日からは追加の50店舗を含む計56店舗で、PASSTOによる衣類・ファッション雑貨・ホビー用品の回収を始めました。ECOMMITの発表では、ECOMMIT独自の算出方法で一定の環境負荷軽減効果が確認されたことや、来店のきっかけになることを理由に、追加導入が決まったとされています。

公表されている回収量の数値はありません。

参照:ECOMMIT「ミスターマックスが資源循環サービス「PASSTO」による衣類回収を全店舗でスタート」(2024年3月18日発表)

アダストリア|衣類を回収してリセールと再生繊維へ

アダストリアは、GLOBAL WORKなどの衣料ブランドを展開するアパレル企業です。

2025年3月1日から、約190店舗でPASSTOによる衣類回収を始めました。回収した衣類はECOMMITの循環センターで選別され、状態のよい物はOFF STOREなどでのリセールや国内外でのリユースに、リユースが難しいポリエステル100%の衣類などは、伊藤忠商事の再生ポリエステル「RENU」の取り組みを通じて再生繊維になります。再生繊維はアダストリアの商品への採用が予定されていると発表されています。

回収量の数値は、発表では示されていません。

参照:ECOMMIT「アダストリア×ECOMMIT 循環の新スキームを始動」(2025年3月発表)

松戸市|公共施設15拠点に設置

松戸市は、千葉県にある自治体です。

2025年6月3日から、市役所本庁、各市民センター、体育館、スポーツ施設など市内の公共施設15拠点に、PASSTOの回収ボックスを設置し、衣類・雑貨の回収を始めました。ECOMMITの発表では、千葉県の自治体としては初の取り組みとされています。目的は、地域の廃棄物の削減と、市民が身近な場所で資源循環に参加しやすい環境づくりです。

回収量は公表されていません。

参照:ECOMMIT「千葉県の自治体初!松戸市内の公共施設15拠点に資源循環サービス「PASSTO」を導入」(2025年6月発表)

イオンモール鹿児島|商業施設の入口に設置

イオンモール鹿児島は、イオンモールが運営する商業施設です。

2024年3月1日から、1階のイオン鹿児島店の郵便局側入口で、衣類・ファッション雑貨・ホビー用品の回収を始めました。回収品はECOMMITにより国内外でリユース品として再流通され、リサイクルが難しい物は再資源化されると発表されています。

回収量は公表されていません。

参照:ECOMMIT「イオンモール鹿児島にて「PASSTO」を導入し、衣類・ファション雑貨・ホビー用品の回収開始」(2024年3月11日発表)

衣類・不要品の循環に取り組む他の企業・サービス

PASSTOと同じように、衣類や不要品を手放す先をつくっている企業は、ほかにもあります。ここでは、回収、リユース、リサイクルのいずれかで衣類の循環に関わる5社を、社名の五十音順に並べます。順位や推奨の順ではありません。

下の表は、PASSTOを含む6つの取り組みを、各社の公式ページに書かれている内容だけで同じ列にそろえたものです。公式ページに記載がない項目は「公表なし」と書き、推測では埋めていません。

取り組み取り組みの対象仕組み公表している実績開始年
PASSTO(ECOMMIT)衣類・ファッション雑貨・ホビー用品(約120品目)回収ボックスと宅配で回収し、選別してリユース・リサイクル年間取扱実績14,500t(全品目、2025年4月〜2026年3月)公表なし
オンワード・グリーン・キャンペーン(オンワードホールディングス)オンワードグループの衣料品店舗での回収に加え、2023年からオンラインでも回収。リユースやリサイクル毛布などに活用公表なし2009年
BRING(JEPLAN)衣類・繊維製品店頭回収と郵送回収。ポリエステルを再生原料に回収拠点2,742(2026年7月1日現在)、古着3,000tを回収(時点は公表なし)公表なし
RE.UNIQLOなど(ファーストリテイリング)販売後の服衣料寄贈、古着販売、リサイクル素材の商品開発など回収量は公表なし。ポリエステル使用量の46.4%が再生素材(2025年8月期)公表なし
ブックオフの衣料品リユース(ブックオフグループホールディングス)衣料品(買い取ったもの)国内で販売し、売れない物は海外へ輸出。再利用できない物はウエスや反毛材に衣料品のリユース・リサイクル率90%(時点は公表なし)公表なし
メルカリ個人が出品する不要品(洋服など)個人間売買のフリマアプリ取引による温室効果ガス削減貢献量が年間約85万t(FY2026.6)公表なし

オンワードホールディングス|オンワード・グリーン・キャンペーン

オンワードホールディングスは、オンワードグループの持株会社で、自社グループの衣料品を回収する循環活動を行っています。

対象はオンワードグループの衣料品で、店舗に加えて2023年からオンラインでの回収も始めました。回収品は、リサイクル毛布にして日本赤十字社を通じて被災地や開発途上国へ寄贈したり、軍手に再生産して災害支援や森林保全活動で配布したりします。状態のよい品は「オンワード・リユースパーク」でチャリティー価格で販売されます。

この活動は2009年から続いています。参照したページには累計の回収実績の記載はありません。

参照:オンワードホールディングス「グリーン・オンワードの推進」(2026年9月確認)

JEPLAN|BRINGによる衣類の回収と再生

JEPLANは、ケミカルリサイクル技術でペットボトルとポリエステル繊維の再生に取り組む企業で、衣類回収プロジェクト「BRING」を運営しています。

回収は、参加企業の店頭への持ち込みと、オンラインストアで購入したときに付く回収封筒での郵送の2通りです。古着に含まれるポリエステルを使って、もう一度ポリエステル樹脂を製造し、新しい服の原料にします。ポリエステル以外の素材も、市場の需要に合わせて分別し、協力企業と連携して再生します。

公式ページでは、回収拠点が2,742(スポット開催を含む、2026年7月1日現在)と示され、これまでにTシャツ約1,500万枚分にあたる3,000tの古着を回収したと紹介されています。

参照:BRING「服の回収」(2026年7月1日現在)、JEPLAN「BRING」(2026年9月確認)

ファーストリテイリング|RE.UNIQLOなど販売後の取り組み

ファーストリテイリングは、ユニクロやジーユーを展開するアパレル企業で、販売後の服を活かし続ける取り組みを進めています。

サステナビリティのページでは、リデュース(服のリペア・リメイクサービスの提供など)、リユース(衣料寄贈・古着販売など)、リサイクル(リサイクル素材を使用した商品開発など)の3本柱で、服を長く着続ける楽しさを提案しながら環境負荷を減らすことを掲げています。

同ページでは、2025年8月期の商品について、ポリエステルの全使用量の46.4%でリサイクルポリエステルを使用したと公表されています。服の回収量そのものは、参照したページには記載がありません。

参照:ファーストリテイリング「廃棄物管理と資源効率の向上」(2026年9月確認)

ブックオフグループホールディングス|衣料品のリユースと再資源化

ブックオフグループホールディングスは、書籍や衣料品などのリユース店を全国で運営する企業グループです。

同社は、衣料品のリユース・リサイクル率を90%と公表しています。国内で販売できなかった衣料は、夏物をマレーシア、冬物をカザフスタンのリユースショップ「Jalan Jalan Japan」へ輸出して販売し、海外でも再利用できない衣料は、パートナー企業を通じてウエスや反毛材にして、フェルトや紡績の原料に再資源化しています。

店頭での買い取りが入口になる点が、無料で手放す回収ではなく、買い取りを伴うPASSTOとの違いです。

参照:ブックオフ「サステナビリティな取り組み」(2026年9月確認)

メルカリ|個人間の売買でモノを循環させる

メルカリは、個人が不要品を売り買いできるフリマアプリを運営する企業で、クローゼットに眠る洋服などを次の人につなぐ仕組みを提供しています。

グループのミッションは「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」です。サステナビリティのページでは、メルカリでの取引による温室効果ガスの削減貢献量が年間約85万t(FY2026.6)と報告されています。

この数値は同社の算出による報告値で、衣類だけの数値ではありません。月間約2,400万人が利用していることも、同じページで公表されています。

参照:メルカリ「サステナビリティ」(FY2026.6)

関連記事:テラサイクルとは?怪しい?無料回収の仕組みとポイントの使い道

PASSTOが衣類の廃棄削減にもたらす効果

PASSTOの社会的な効果は、焼却や埋め立てに回る衣類を減らし、リユースとリサイクルの流れに乗せることです。ここでは、同社が公表する数値と環境省の公的データを並べ、効果の大きさと限界を確認します。

焼却される衣類を減らす仕組みと循環率

PASSTOの効果は、「まだ着られるが、売るほどではない」衣類の出口をつくることから生まれます。公式サイトは「売るのはちょっと手間。捨てるのもちょっともったいない」という気持ちに応えるとしており、ボックスは売ることと捨てることの間にある手放し方を提供しています。

ECOMMITの報告書「IMPACT PROGRESS REPORT 2024」は、回収した品物を状態、ブランド、製造年、素材、着用シーズンなどの情報をもとに選別すると説明しています。同社の衣類回収について、2023年11月〜2024年10月に同社のトレーサビリティシステムに登録された循環率の内訳は、次のとおりです。衣類の廃棄は1.3%にとどまり、廃棄には固形燃料(RPF)が一部含まれるとされています。

行き先割合(2023年11月〜2024年10月)
リユース(国内外での販売)88.3%
リサイクル(水平リサイクルとその他)10.5%
廃棄1.3%

循環率の内訳は、時期やプロジェクトによって異なることが報告書に注記されています。また、小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計は100%にならない場合があります。

参照:ECOMMIT「IMPACT PROGRESS REPORT 2024」(2024年版)

国内の衣類の廃棄量と比べた回収量(編集部推計)

ECOMMITの回収量を、国内全体の衣類の廃棄量と同じ単位で並べると、その大きさが見えてきます。

ECOMMITは、衣類分野で年間11,000tを回収していると公表しています。環境省の調査では、2022年の国内の衣類の廃棄量は47.0万tで、国内の新規供給量は79.8万tでした。

計算式は「11,000t ÷ 470,000t ≒ 2.3%」です。国内の衣類廃棄量の約2.3%(編集部推計)がECOMMITの衣類回収量に相当する計算で、同社が「国内の廃棄量の約2%」としている説明と同じ水準になります。

項目数値区分
ECOMMITの衣類の年間回収量11,000t同社の公表値(PASSTO以外の回収も含む)
国内の衣類の廃棄量(2022年)47.0万t環境省の調査
国内の衣類の新規供給量(2022年)79.8万t環境省の調査
ECOMMITの回収量が廃棄量に占める割合約2.3%編集部推計(11,000t ÷ 470,000t)

この比較には、三つの留意点があります。第一に、11,000tはPASSTOだけでなく同社全体の衣類回収量で、PASSTO単体の回収量は公表されていません。第二に、年次が異なります。ECOMMITは回収量の年次を示しておらず、環境省の数値は2022年です。第三に、環境省の調査で手放された衣類73.1万tのうち廃棄は64.3%、リユースは18.1%、リサイクルは17.4%でした。ECOMMITの回収品はリユース88.3%ですが、自ら選んで投函された状態のよい品が中心と考えられ、国内平均と単純には比べられません。

参照:環境省「令和4年度循環型ファッションの推進方策に関する調査業務 マテリアルフロー」(2023年3月)

焼却と比べたCO2排出量の差と、その前提

ECOMMITは、衣類を焼却せず資源循環した場合のCO2排出量を、単純焼却と比較して公表しています。報告書では、同社が回収・選別した衣類を単純焼却すると約5,722tのCO2が排出されるのに対し、資源循環した場合は約1,369tで、76.1%の削減とされています。

さらに、同社の事業活動で生じるscope1・scope2のCO2を加えると約1,591tで、削減率は72.2%です。計算は、同社の衣類の年間取扱量が過去最大だった2020年1月〜12月の6,940.7tを基にしており、輸送に係るCO2も含め、焼却時の排出量は環境省の繊維焼却時の化学繊維割合と原単位を使っています。

PASSTOの公式サイトでは、この効果を「単純焼却された場合と比べて約80%のCO2排出量を削減」と表現しています。報告書の値とは数値が異なりますが、算定の対象や前提の違いは、参照したページでは説明されていません。

PASSTOの説明ページには、CO2排出削減量の算定に前提があることも明記されています。綿などの天然繊維と羊毛などの動物繊維は、焼却時のCO2排出量をゼロとして計算しており、実際のCO2排出結果や削減効果を保証するものではないとも書かれています。数値は、同社が公表する算定値として読むのが適切です。

参照:PASSTO「VISION」(2026年9月確認)

身近な拠点が手放す行動を変える

衣類の廃棄を減らすには、手放す人が動きやすい出口が必要です。ECOMMITの報告書では、同社の回収拠点が全国で約3,500か所(2024年10月時点の累計)にあるとされ、マンションや郵便局、商業施設などにPASSTOのボックスを置く形で増やしています。

生活動線上に回収拠点があると、ごみとして出す前に手放す行動が選びやすいようになります。自治体にとっては、回収ボックスを置くことが、市民に資源循環への参加の機会を提供する手段になります。

事業者や施設が参加する場合は、PASSTOを置く側としてお問い合わせから相談できます。公式FAQでは、設置は屋外ではなく風雨にさらされない屋内が条件で、契約期間は原則1年間の自動更新、回収頻度は週1回が最大で回収量に応じて調整されると案内されています。個人は、近くのボックスの利用や宅配PASSTOから参加できます。

自治体が取り組む資源循環の別の例は、次の記事でも紹介しています。

関連記事:紙おむつリサイクルとは?仕組みと自治体・企業の取り組みをユニ・チャーム「RefF」で解説

よくある質問

PASSTOの利用前によく出る疑問に、公式FAQと各公式ページの記載をもとに答えます。

Q
PASSTOは本当に無料ですか?
A

はい、公式FAQでは、PASSTOへの投函はすべて無料で、何回でも利用できると案内されています。宅配PASSTOも、集荷を含めて無料とされています。

Q
PASSTOで買い取りはしてもらえますか?
A

いいえ、個別の買い取りには応じていません。売却したい場合は、リサイクルショップやフリマアプリなどの利用が向いています。

Q
間違えて入れたものは返してもらえますか?
A

いいえ、返却はできません。入れる前に、公式の品目一覧と設置場所の案内で対象かどうかを確認してください。

Q
名前入りの体操着や制服は入れられますか?
A

いいえ、名前入りの体操着や制服は対象外です。子ども服でも、普段着は入れられます。

Q
PASSTOに出した服は最終的にどうなりますか?
A

専門スタッフが選別し、状態のよい物は国内外でリユースされ、難しい物はリサイクルに回ります。公式FAQでは、リユース・リサイクル率は平均して98%とされています。

Q
宅配PASSTOは今も使えますか?
A

2025年3月3日に始まり、終了時期は未定と案内されています。受付の状況は変わる可能性があるため、利用前にサストモのLINE公式アカウントで最新の案内を確認してください。

まとめ

PASSTOは、手放したい衣類や雑貨を身近な場所で無料で出せて、リユースとリサイクルに回す仕組みです。要点は次のとおりです。

  • PASSTOはECOMMITが運営し、衣類・ファッション雑貨・ホビー用品を回収ボックスへの投函で手放せる
  • 利用は無料で、買い取りや返却には応じない。設置場所ごとの品目の案内を確認してから入れる
  • 宅配PASSTO(サストモ)は、北海道と沖縄離島を除く国内全域から、自宅で発送できる
  • 同社は、衣類の回収品のうちリユース88.3%、リサイクル10.5%、廃棄1.3%と公表している(2023年11月〜2024年10月)
  • 同社の衣類回収量11,000tは、環境省の2022年の廃棄量47.0万tの約2.3%にあたる(編集部推計)
  • CO2の削減率は同社の算定値で、前提を確認して読む

この記事の執筆者

The Company Journal編集部

企業の取り組み・サステナビリティ・社会課題をテーマにした編集チーム。 企業や自治体の情報を編集部が一社ずつ確認し、 独自の基準で比較・整理した情報をお届けしています。