ESGコンサルとは、投資家やESG評価機関に向けたスコア改善・情報開示を専門に支援するコンサルティングであり、TCFDやISSB・SSBJなど国際的な開示フレームワークへの対応や、FTSE・MSCI・Sustainalytics等の評価機関対応を主軸とする点で、社会課題起点の長期的な経営変革を扱うサステナビリティコンサルとは支援の入り口が異なります。本記事では、この投資家・資本市場向けの支援に強い8社を五十音順で比較します。
この記事でわかること
- ESGコンサルティングとは何か、何を依頼できるのか
- ESGコンサルとサステナビリティコンサルの違い
- 失敗しないための選び方・選定ポイント
- ESG評価機関対応(格付け・スコア改善)で比較する視点
- ESGコンサル8社の比較表と各社の特徴
- 費用・料金相場と依頼するメリット
ESGコンサルティングとは?

ESGコンサルティングとは、投資家やESG評価機関向けに、開示や格付け対応を支援するコンサルティングです。
企業のESG(環境・社会・ガバナンス)に関する取り組みを、投資家やESG評価機関から見て評価されやすい形に整理し、開示・格付け対応を支援するのが基本的な役割です。
より具体的には、FTSE・MSCI・Sustainalytics・DJSIといったESG評価機関からのアンケートや評価項目への回答支援、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)やSASB、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)、日本国内基準であるSSBJ、さらにCDPといった国際的な開示フレームワークへの対応が中心的なテーマになります。投資家からの資金調達や株価評価に直結する「資本市場向けの情報整備」という性格が強く、社内の経営理念や事業構造そのものを見直す長期的な支援とは目的が異なります。
ESGという言葉が指す範囲は幅広く、企業によって「ESGコンサル」に求める内容にも幅があります。まずは自社が何を目的にしているか(評価機関対応なのか、開示書類の整備なのか、経営戦略への統合なのか)を整理してから会社を探すと、比較がしやすくなります。ESGという概念そのものの基礎を確認したい場合は、以下の解説記事もあわせて参考にしてください。
ESG経営の基本的な考え方や中小企業における始め方については、ESG経営とは何かを解説した記事で整理していますので、あわせてご覧ください。
ESGコンサルとサステナビリティコンサルの違い
ESGコンサルは投資家・評価機関からの評価向上を起点とし、サステナビリティコンサルは社会課題起点の経営変革を扱います。
サステナビリティコンサルは、自社の存在意義(パーパス)を起点とした長期的な経営変革を扱う点で、支援の出発点が異なります。両者は重なる部分も多く、明確に線引きできるものではありませんが、依頼を検討する際に意識しておくと会社選びの精度が上がります。ESGコンサルは、既にある事業や開示情報を前提に「評価機関からどう見えているか」「TCFDやISSBの要求項目に沿って何を開示すべきか」という、資本市場からの評価を軸にした支援です。一方でサステナビリティコンサルは、パーパスの策定やマテリアリティ(重要課題)の特定、事業戦略そのものへのサステナビリティの組み込みなど、より長期的・全社的な経営変革を扱う傾向があります。
当サイトでは、社会課題起点の長期的なサステナビリティ経営支援を専門とする会社を比較した記事も公開しています。パーパス策定や全社的な経営変革を主目的とする場合は、サステナビリティコンサル7社を比較した記事もあわせてご確認いただくと、目的に合った会社を選びやすくなります。
ESGコンサルの選び方・選定ポイント
ESGコンサルを選ぶ際は、自社が抱える課題を明確にし、その領域を明記している会社を選ぶことが基本です。
具体的には、評価機関対応か、開示フレームワーク対応か、統合報告書の制作かといった課題を整理したうえで、その領域を公式サイトで対応範囲として明記している会社を選ぶことが基本になります。
選定ポイントとして、次の3点を確認することをおすすめします。1点目は、自社が重視するESG評価機関(MSCI、FTSE、Sustainalytics、CDPなど)への対応実績を公式サイトで明記しているかどうかです。2点目は、TCFDやISSB・SSBJといった開示フレームワークのうち、自社が今後対応を迫られるものに会社側が精通しているかどうかです。3点目は、単発の評価対応で終わるのか、継続的な経営支援まで含むのかという支援範囲の広さです。料金を公式サイトで公開している会社はほとんどなく、個別見積もりが基本になるため、複数社に問い合わせて支援範囲と見積もりの前提条件をそろえて比較することも重要です。
目的別の候補早見表
以下は、目的別にどのような会社が候補になり得るかを整理した早見表です。順位付けではなく、あくまで各社が公式サイトで明記している対応範囲に基づく参考情報です。
| 目的・条件 | 候補になり得る会社 | 根拠 |
|---|---|---|
| ESG評価機関対応(格付け改善)を重視したい | 株式会社ESGコンサルティング、株式会社イースクエア、KPMGコンサルティング株式会社、株式会社Sinc、株式会社YUIDEA | 各社公式サイトにESG評価機関対応の明記あり |
| ESG開示・評価対応に完全特化した専門会社を探したい | 株式会社ESGコンサルティング | 社名の通りESG開示・評価対応に特化と公式サイトに明記 |
| 統合報告書の制作もあわせて依頼したい | 株式会社クレアン、株式会社Sinc、株式会社YUIDEA | 各社公式サイトに統合報告書制作の対応実績を明記 |
| 大手監査法人系グループの総合力を重視したい | KPMGコンサルティング株式会社 | 分析から保証まで7ステージを一気通貫で提供と公式サイトに明記 |
| 脱炭素・環境算定もあわせて依頼したい | Value Frontier株式会社、株式会社ESGコンサルティング | Value Frontierは脱炭素支援を公式サイトに明記。ESGコンサルティングはSBT認定取得支援・GX-ETS検証業務など脱炭素関連の支援メニューを公式サイトに明記 |
| ESG関連データの収集・可視化とセットで国際開示フレームワーク対応をしたい | 株式会社日立コンサルティング | CSRD・SASB・GRI等の開示基準を踏まえた目標策定を、ESG関連データの収集・可視化やテクノロジー活用とセットで提供と公式サイトに明記 |
| 老舗としての実績社数の多さを重視したい | 株式会社クレアン、株式会社YUIDEA | クレアンは延べ1,200社超、YUIDEAは延べ1,000社超の支援実績を公式サイトに開示 |
ESG評価機関対応(格付け・スコア改善)で比較する視点

ESG評価機関対応とは、MSCIやFTSEなどの評価アンケートへの回答整理や、開示情報の改善支援を指します。
MSCIやFTSE、Sustainalytics、CDPなどが実施する評価アンケートや情報開示要求に対して、回答内容の整理や開示情報の改善を支援することを指し、対応の有無や具体性は会社によって差があります。
多くの競合比較記事では、ESG評価機関対応は各社の紹介文の中で軽く触れられるだけで、比較の軸として整理されていません。しかし実際に評価機関対応を依頼する立場からすると、どの評価機関に対応した実績があるかは会社選びの重要な判断材料になります。以下は、8社について公式サイトで確認できたESG評価機関対応の記載を整理した表です。
| 会社名 | ESG評価機関対応 | 備考 |
|---|---|---|
| 株式会社ESGコンサルティング | 対応 | ESG評価機関対応が事業内容として公式サイトに明記 |
| 株式会社イースクエア | 対応 | FTSE・MSCI・Sustainalytics等、評価機関名を個別に挙げて対応を明記 |
| 株式会社クレアン | 不明(公式サイトに個別の記載なし) | – |
| KPMGコンサルティング株式会社 | 対応 | 「ESG評価機関による評価を向上させるため、各評価機関の評価内容に応じた現状分析、課題特定および回答・開示等について支援します」と公式サイトに明記 |
| 株式会社Sinc | 対応 | FTSE・DJSI・MSCI等、複数のESG評価機関への対応支援を明記 |
| 株式会社日立コンサルティング | 不明(公式サイトに個別の記載なし) | – |
| Value Frontier株式会社 | 不明(公式サイトに個別の記載なし) | – |
| 株式会社YUIDEA | 対応 | ESG評価機関対応を自社メニューとして公式サイトに明記 |
ESGコンサル8社比較|比較表と各社の特徴
投資家・資本市場向けのESGコンサルティングに対応する8社を、社名の五十音順で紹介します。
この並び順は五十音順であり、支援内容の優劣やおすすめ度を示すランキングではありません。
なお、統合報告書の制作まで一括して依頼したい場合は、専門特化した制作会社を比較した統合報告書制作会社の比較記事も参考になります。
| 会社名 | 主な支援内容 | ESG評価機関対応 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 株式会社ESGコンサルティング | ESG開示・評価対応、TCFD/CDP対応支援、第三者保証、SBT認定取得支援 | 対応 | 社名の通りESG開示・評価対応に完全特化 |
| 株式会社イースクエア | 独立系のサステナビリティ専業ブティックコンサル | 対応 | ESG評価機関の名前を個別に挙げて対応を明記 |
| 株式会社クレアン | サステナビリティ経営コンサル、統合報告書制作 | 不明 | 2000年創業、延べ1,200社以上の支援実績を公式開示 |
| KPMGコンサルティング株式会社 | 分析・戦略策定・変革・導入構築・測定評価・報告・保証の7ステージ支援 | 対応 | 大手監査法人系グループによる一気通貫の変革支援 |
| 株式会社Sinc | 統合報告書制作、サステナビリティ経営伴走支援 | 対応 | FTSE・DJSI・MSCI等、複数のESG評価機関対応を明記 |
| 株式会社日立コンサルティング | テクノロジー活用型のESG経営支援 | 不明 | CSRD・SASB・GRI等、複数の国際開示フレームワークを踏まえた目標策定をデータ収集・可視化とセットで提供 |
| Value Frontier株式会社 | 環境影響評価・LCA/CFPに強いSX専門ファーム | 不明 | 30カ国以上での調査・コンサル実績を公式開示 |
| 株式会社YUIDEA | CSR/サステナビリティ開示支援、統合報告書制作 | 対応 | 延べ1,000社以上、年間50社以上の支援実績 |
株式会社ESGコンサルティング
株式会社ESGコンサルティングは、ESG開示・評価対応に特化したコンサルティング会社です。TCFDやCDPへの対応支援に加えて、第三者保証、ESG評価機関対応、SBT(Science Based Targets)認定取得支援までを一気通貫で扱っています。
SBT(Science Based Targets)認定取得支援やGX-ETS検証業務など、脱炭素に関連する支援メニューも備えており、社名が示す通りESG開示・評価対応という領域に完全特化している点が、他の総合系コンサルとの違いです。
株式会社イースクエア
株式会社イースクエアは、独立系のサステナビリティ専業ブティックコンサルです。ESGコンサルティングとESG評価機関対応の両方に対応しており、サステナビリティ研修の提供実績もあります。
競合他社の多くが「ESG評価機関対応」と一括りに紹介する中で、FTSE・MSCI・Sustainalytics等、評価機関の名前を個別に挙げて対応を明記している数少ない会社です。
株式会社クレアン
株式会社クレアンは、2000年創業、25年超の実績を持つサステナビリティ経営コンサルの老舗です。統合報告書制作にも対応しています。
公式サイトでは延べ1,200社以上、時価総額上位100社の半数以上を支援した実績を開示しており、長年の実績社数の多さが特徴です。ESG評価機関対応についての個別の記載は公式サイト上では確認できませんでした。
KPMGコンサルティング株式会社
KPMGコンサルティング株式会社は、大手監査法人系グループによるサステナビリティ変革支援を提供しています。分析・戦略策定・変革・導入構築・測定評価・報告・保証という7ステージを一気通貫で支援する体制を公式サイトで明記しています。
ESG評価機関対応についても、「ESG評価機関による評価を向上させるため、各評価機関の評価内容に応じた現状分析、課題特定および回答・開示等について支援します」と具体的に明記しており、報告・保証まで含む支援範囲の広さが特徴です。個別の実績社数は非公開ですが、サステナビリティ・コンサルティングのグローバルリーダーに選出されたと公式サイトに記載があります。
株式会社Sinc
株式会社Sincは、統合報告書制作とサステナビリティ経営伴走支援のハイブリッド型のコンサルティングを提供しています。対応企業規模も公式サイトに明記されています。
FTSE・DJSI・MSCIなど複数のESG評価機関への対応支援を明記している点が特徴で、統合報告書の制作から評価機関対応まで幅広くカバーしています。
株式会社日立コンサルティング
株式会社日立コンサルティングは、テクノロジー活用型のESG経営支援コンサルです。ESGコンサルティング全般に対応しています。
CSRD・SASB・GRIなど複数の国際開示フレームワークを踏まえた目標策定を、ESG関連データの収集・可視化とセットで提供している点が特徴で、日立グループが持つテクノロジー活用の支援体制を公式サイトで明記しています。ESG評価機関対応についての個別の記載は公式サイト上では確認できませんでした。
Value Frontier株式会社
Value Frontier株式会社は、環境影響評価・LCA(ライフサイクルアセスメント)/CFP(カーボンフットプリント)に強いSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)専門ファームです。脱炭素コンサルティング、環境コンサルティングにも対応しています。
30カ国以上での調査・コンサル実績を公式サイトで開示しており、環境算定領域における専門性の高さが特徴です。ESG評価機関対応についての個別の記載は公式サイト上では確認できませんでした。
株式会社YUIDEA
株式会社YUIDEAは、CSR・サステナビリティ開示支援の老舗で、統合報告書制作にも対応しています。ESG評価機関対応や社内浸透のためのサステナビリティ研修まで、自社メニューとして公式サイトに明記しています。
延べ1,000社以上、年間50社以上の支援実績を公式サイトで開示しており、開示支援における実績の蓄積が特徴です。
ESGコンサルの費用・料金相場
今回比較したESGコンサル8社はいずれも、公式サイトに料金表を公開していません。
支援範囲(評価機関対応のみか、開示書類の整備まで含むか等)によって費用が変わるため、個別見積もりが基本になっています。
検証できない料金を「約〇〇万円」のように書くことは避け、各社の料金公開状況をそのまま整理すると次の表の通りです。
| 会社名 | 公式サイトでの料金公開 |
|---|---|
| 株式会社ESGコンサルティング | 非公開(要問い合わせ) |
| 株式会社イースクエア | 非公開(要問い合わせ) |
| 株式会社クレアン | 非公開(要問い合わせ) |
| KPMGコンサルティング株式会社 | 非公開(要問い合わせ) |
| 株式会社Sinc | 非公開(要問い合わせ) |
| 株式会社日立コンサルティング | 非公開(要問い合わせ) |
| Value Frontier株式会社 | 非公開(要問い合わせ) |
| 株式会社YUIDEA | 非公開(要問い合わせ) |
料金が非公開である会社が多い背景については、前述のサステナビリティコンサル比較記事でも詳しく解説していますが、ここでは同記事の考え方を踏まえた上で、複数社に同じ支援範囲を提示して相見積もりを取ることをおすすめします。
ESGコンサルに依頼するメリット

ESGコンサルに依頼する最大のメリットは、専門知識を持つ外部の視点で評価基準や開示要求を整理できることです。
社内だけでは把握しづらいESG評価機関ごとの評価基準や国際開示フレームワークの要求事項を、専門知識を持つ外部の視点で整理できる点が大きな利点です。
ESG評価機関のアンケートや評価項目は年々更新され、TCFDやISSB・SSBJといった開示フレームワークも国際的な議論に応じて内容が変わっていきます。これらを自社の担当者だけで継続的に追いかけるのは負担が大きく、専門コンサルに依頼することで、評価機関からの評価向上や開示書類の質の向上につながりやすくなります。また、KPMGコンサルティングのように分析から保証まで一気通貫で対応できる会社であれば、開示した情報の信頼性を第三者保証によって補強することも可能です。
もう一つのメリットは、社内の担当者だけでは気づきにくい開示の抜け漏れを、外部の専門知見によって事前に発見できることです。ESG評価機関からの評価アンケートは、質問項目の意図を正しく理解できていないと、実際には取り組んでいる内容であっても評価に反映されないことがあります。株式会社イースクエアやKPMGコンサルティングのように、評価機関ごとの評価内容に応じた回答支援を明記している会社に依頼すれば、こうした機会損失を減らすことにつながります。
よくある質問
ESGコンサルティングを検討する際によく寄せられる質問をまとめました。
今回比較した8社を含め、多くのESGコンサル会社は料金を公式サイトで公開しておらず、個別見積もりが基本です。評価機関対応のみを依頼するのか、開示書類の整備や第三者保証まで含めるのかによって費用の規模が変わるため、複数社に同じ支援範囲を提示して見積もりを比較することをおすすめします。
ESG評価機関からの評価対応や、投資家向けの開示対応が必要な企業が主な対象です。上場企業はもちろん、取引先からサステナビリティに関する情報提供を求められている非上場企業にとっても、開示体制を整えるきっかけとして依頼を検討する価値があります。
ESGコンサルは投資家やESG評価機関からの評価向上・開示対応を起点とし、サステナビリティコンサルは社会課題やパーパスを起点とした長期的な経営変革を扱う点が異なります。両者は重なる領域も多いため、まず自社が何を目的にしているかを整理してから会社を選ぶことが大切です。
中小企業でも依頼は可能ですが、会社によって対応企業規模の想定が異なるため、公式サイトで対応企業規模や実績を確認したうえで選ぶことが大切です。自社の事業規模や依頼したい支援範囲に近い実績を持つ会社を選ぶと、支援内容とのミスマッチを防ぎやすくなります。
会社によってはTCFDやISSB(国内基準であるSSBJを含む)の開示対応まで依頼できますが、対応可否は会社ごとに異なります。株式会社日立コンサルティングのようにCSRD・SASB・GRIなど複数の国際開示フレームワークへの整合をうたう会社もあるため、自社が対応したいフレームワークを公式サイトで確認してから依頼することをおすすめします。
まとめ
ESGコンサルは、投資家やESG評価機関からの評価向上、TCFD・ISSB・SSBJ・CDPといった国際開示フレームワークへの対応を専門とする点で、社会課題起点のサステナビリティコンサルとは異なる支援です。今回比較した8社は、ESG評価機関対応を個別に明記している会社から、統合報告書制作やテクノロジー基盤とセットで開示対応を提供する会社まで、それぞれ得意領域が異なります。
料金はいずれも非公開で個別見積もりが基本のため、自社が重視する評価機関やフレームワークを明確にしたうえで、複数社に同じ条件で問い合わせて比較することが、失敗しない会社選びにつながります。