レコテックは、都市の廃棄物をデータに変える資源循環のデータインフラ「pool」を運営する会社です。poolは廃棄物の計量、回収、再資源化、調達を一つの基盤でつなぎ、横浜市の約1,200施設などで使われています。この記事では、レコテックの事業内容、poolの仕組みと料金の確認方法、導入事例、同じ分野の企業、社会への効果を、公式発表と公的統計をもとに整理します。
この記事でわかること
- レコテックの会社概要と、poolの仕組み・主な機能
- poolの料金が公開されていない理由と、確認するときの手順
- 横浜市や商業施設、オフィスビルなど5件の導入事例
- 同じ分野で廃棄物・資源循環のデータに取り組む4社
- poolが資源循環にもたらす効果と、国内の廃棄物の規模
レコテックとは?会社概要と事業内容
レコテックは、都市の廃棄物をデータ化して資源に変える「pool」を運営する会社です。2007年5月に設立されました。
同社は自社を「Resource Tech Startup」と称し、ミッションに「世代間責任を果たす」、ビジョンに「大消費地を、大供給地へ。」を掲げています。ごみを出して消費するだけだった都市を、資源を生み出す場所に変えるという考え方です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 社名 | レコテック株式会社(RECOTECH CO., LTD.) |
| 設立 | 2007年5月 |
| 代表者 | 代表取締役 野崎 衛 |
| 本社 | 東京都千代田区 |
| 事業内容 | 資源循環のデータインフラ「pool」の開発・提供 |
2026年2月には、マーキュリア・サプライチェーンファンドをリード投資家とするシリーズAの資金調達を発表しました。かんぽNEXTパートナーズ、三菱UFJキャピタル、みずほキャピタル、ヒューリックスタートアップ、京都キャピタルパートナーズも参画しています。同年5月には、TAKANAWA PITCH 2026でグランプリを受賞したと発表しています。
参照:RECOTECH「Who We Are」(2026年10月確認)、レコテック「シリーズA資金調達」(2026年2月27日)、レコテック「TAKANAWA PITCH 2026 グランプリ受賞」(2026年5月15日)
レコテックのpoolの仕組みと主な機能

poolは、廃棄物を計量してデータ化し、排出・回収・調達の三つの現場を一つの基盤でつなぐクラウドサービスです。
| 現場 | 主な利用者 | poolが担うこと |
|---|---|---|
| 排出(資源を出す) | 行政、大型商業施設、ディベロッパー、工場やメーカー | テナントや部署、建物、街区単位での計量をスマホ・タブレット・PCでデータ化する |
| 回収(資源を運ぶ) | 収集運搬事業者 | 配車から日報までを管理し、荷下ろしと同時にマニフェストB票を自動発行する |
| 調達(資源を調達する) | 自動車メーカー、総合商社、自主回収ブランド | 再生材の調達と自主回収を一つのデータ基盤で扱う(調達向けの個別ページは準備中と表示) |
参照:RECOTECH「pool」(2026年10月確認)
排出する側は、計量するだけでデータが残る
排出側の画面では、1回の計量がマニフェスト、テナント按分、ESG開示に同時に使えるデータとして残ると同社は説明しています。マニフェストは、廃棄物の処理を委託するときに排出事業者が交付する管理票です。電子マニフェストは、公益財団法人の日本産業廃棄物処理振興センターが事業として運営しています。
参照:日本産業廃棄物処理振興センター(2026年10月確認)
回収する側は、配車から日報までを一つの画面で
収集運搬事業者向けには、朝の配車から夜の日報までをまとめて扱う画面を用意しています。同社は、空振りと積み残しを出発前に解消できるとしています。さらに、荷下ろしと同時にマニフェストB票が自動で発行され、電子マニフェストの運営システムであるJWNETとの連携も完了すると案内しています。
調達する側は、再生材の由来をたどれる
再生プラスチック材の調達と自主回収の両方を、一つのデータ基盤で扱う想定です。同社は、再生材の使用義務や企業の情報開示で求められる根拠を、排出時の記録までたどれるようにするとしています。
レコテックのpoolの料金と導入の流れ
poolの料金は公式サイトに掲載がありません。資料のダウンロードか30分のデモで、条件を個別に確認します。
| 項目 | 公式サイトの案内 |
|---|---|
| 料金 | 金額の掲載なし(「規模に合わせ、柔軟に」と案内) |
| 最初のステップ | 資料のダウンロード |
| 次のステップ | 30分のデモの依頼 |
| 導入の単位 | テナントや部署、建物、街区単位での計量(排出側) |
導入を検討するときの流れは、次のとおりです。
- 資料をダウンロードして、poolの機能と対象を確認する
- 30分のデモを依頼して、自社の拠点の運用に合うかを見る
- 拠点の規模に合わせて、導入の範囲と条件を相談する
金額を知りたい場合は、問い合わせて個別に確認する必要があります。また、利用者の口コミや料金を第三者が整理した公開情報は、本記事の調査時点(2026年10月)では確認できませんでした。
レコテックのpoolの導入事例
公式発表で確認できる導入先は、自治体、商業施設、オフィスビル、解体事業者の5件です。
横浜市:区役所や学校など約1,200施設で本格導入
横浜市は、市が管轄する区役所、学校、地区センターなど約1,200施設を持つ自治体です。令和8年(2026年)4月1日から、これらの施設でpoolの本格導入が始まりました。
従来は、廃棄物の情報が紙やExcelなどに分散し、回収実績の確認や費用請求の照合で年間約40万件のデータ処理が発生していました。令和7年12月から約200施設で行った試験導入では、施設職員のデータ登録・確認にかかる業務時間が従来比で約7割減ったと同社は公表しています。この数値は試験導入のもので、本格運用後の実績ではありません。
参照:レコテック「横浜市管轄の1,200施設に資源循環データプラットフォームpoolが本格導入」(2026年3月31日)、横浜市「市役所1,200施設のごみDX始動!」(2026年10月確認)
玉川髙島屋S・C:テナントごとの排出量を自動で集計
玉川髙島屋S・Cは、東神開発が管理・運営する商業施設です。2024年11月15日に、ごみ置き場を「リサイクルステーション」としてリニューアルし、poolを導入しました。
従来は300以上のテナントの排出量を手作業で集計し、月次報告書や従量課金の計算まで毎月9時間以上かかっていました。導入後は、月間の作業時間が4時間まで減ったと同社は発表しています。
参照:レコテック「poolによる次世代型廃棄物管理で玉川髙島屋S・Cが資源循環の最前線へ」(2024年11月29日)
軽井沢・プリンスショッピングプラザ:テナント別に分別状況を可視化
軽井沢・プリンスショッピングプラザは、西武不動産プロパティマネジメントが運営するショッピングモールです。発表元によると店舗数は約240店舗で、2026年4月から順次poolの運用が始まりました。
テナントごとにICカードを付与し、廃棄物の計量データとテナント情報を紐づけます。テナント別・品目別の排出量や分別状況を可視化し、テナント向けの環境レポートを提供する取り組みです。新たな分別・リサイクルの仕組みを実装できるかも検証するとされています。
参照:レコテック「国内最大級のリゾート型ショッピングモールに、資源循環のデータインフラpoolを導入」(2026年5月29日)
日鉄興和不動産:オフィスビルの廃棄物データを一元化
日鉄興和不動産は、オフィスビルや商業施設の開発・賃貸、分譲マンションなどを手がける総合不動産会社です。所有・管理するオフィスビルにpoolを導入し、2026年8月に運用を始めました。
物件ごとに異なる方法で管理されてきた廃棄物データを集約して標準化し、ポートフォリオ全体を同じ基準で把握します。GRESBなどの開示に必要なデータ整理もpool上で行います。現在の管理・報告の形のまま導入できるため、収集運搬事業者やビル管理の現場に業務の変更は求めないと説明しています。成果の数値は、運用開始直後のため公表されていません。
参照:レコテック「日鉄興和不動産が所有・管理するオフィスビルに、資源循環データインフラpoolを導入」(2026年8月5日)
啓愛社:自動車の解体部品のトレーサビリティを実証
啓愛社は1934年創業で、金属スクラップの回収・加工や使用済み自動車のリサイクルを手がける会社です。2025年10月27日に、poolを使って自動車の解体部品の由来を記録する実証を行ったと発表されました。
実証では、解体した部品の由来や車種を記録し、最終的にできた樹脂破砕材まで情報を追跡できる仕組みを構築しました。あわせて、現場でのデータ登録の作業負荷を評価し、破砕材の重量ベースで1日に処理できる量を確認したとしています。具体的な数値は公表されていません。
参照:レコテック「ELV規則への対応に向けたpoolによるトレサビ管理実証を実施」(2025年10月27日)
関連記事:ELV規則を解説|再生プラの義務時期と日本企業の対応策
レコテックのpoolを検討するときの注意点
レコテックのpoolを検討するときは、数値の出どころと時点を、個別の発表で確認することが大切です。
- 同社サイトの「Who We Are」ページには、「年次・内容は社内の最新情報で要確認」という注記があります。そのため本記事では、沿革の年次を個別のプレスリリースで確かめられた内容に絞って紹介しています。
- 導入事例の効果は、各社が自社で公表した値です。第三者が検証したものではないため、自社の拠点で同じ効果が出るとは限りません。
- 試験導入で得られた数値は、本格運用後の実績とは別のものです。
- CO2削減量などの環境効果は、本記事で確認した公式ページでは公表されていません。
- 料金は個別の相談が前提です。他の仕組みと比べるときは、拠点数や機能を揃えた同じ条件で見積もりを取ると比べやすくなります。
レコテックと同じ分野で資源循環・廃棄物のデータに取り組む企業
レコテックと同じ分野で廃棄物のデータや再資源化に取り組む4社を、社名の読みの五十音順で紹介します。
並びは順位や推奨の順ではありません。掲載内容は、各社の公式サイトで確認できた範囲に限っています。下の表の「公表なし」は、本記事で確認した公式ページに数値の記載がなかったことを示します。条件や費用は各社に直接確認してください。
| 会社 | 取り組みの対象 | 提供するもの | 公式ページで公表している数値 |
|---|---|---|---|
| レコテック | 排出・回収・調達の資源循環データ | pool(計量管理、回収業務、再生材の調達) | 横浜市の約1,200施設で本格運用(2026年4月) |
| J-CIRCULARS | 廃棄物業界の書類・マニフェスト管理 | サーキュラープラットフォーム(2026年1月提供開始) | グループ4社、産廃対応エリア2府16県(2025年3月末時点) |
| ゼロボード | 企業のGHG排出量とESGデータ | Zeroboard、Zeroboard ESGなど | グループ企業を含む利用数15,000社(2026年9月末時点) |
| digglue | 再生材・製品のトレーサビリティ | CEトレーサビリティ、CEパスポート、CFP算定支援など | 公表なし |
| ナカダイ | 事業者の廃棄物の分別とリサイクル | リユース・リサイクル・再資源化開発 | 200以上の出荷品目 |
J-CIRCULARS株式会社
J-CIRCULARS株式会社は、資源循環コンサルティング、廃棄物マネジメント、再資源化ソリューションの3事業を展開する、愛知県春日井市の企業です。
2026年1月に、廃棄物業界向けのワンストップ型DXサービス「サーキュラープラットフォーム」の提供を始めました。契約書・許可証・請求書のクラウド一元管理と、CSV出力に対応したマニフェストの電子管理が第一弾の機能です。同社は第二弾として、配車のWeb予約と、排出量・リサイクル率・CO2排出量を可視化する「サーキュラーレポート」機能を予定すると案内しています。
特徴は、廃棄物の収集運搬から再資源化までを担う事業会社を持つ4社グループである点です。
参照:J-CIRCULARS「サーキュラープラットフォーム提供開始」(2026年1月8日)、J-CIRCULARS株式会社公式サイト(2026年10月確認)
株式会社ゼロボード
株式会社ゼロボードは、ESG関連データの収集・管理・開示とサプライヤー評価を支援するクラウドソリューションを提供する企業です。
グループ企業や取引先を含むサプライチェーン全体の温室効果ガス排出量(Scope3)の算定と可視化に対応しています。廃棄物データへの対応は、本記事で確認した公式トップページには記載がありません。
特徴は、グループ企業を含む利用数が15,000社(2026年9月末時点)と公表している点です。
参照:株式会社ゼロボード公式サイト(2026年10月確認)
関連記事:Zeroboardを解説|算定範囲・料金の確認方法と導入事例
株式会社digglue
株式会社digglue(ディグル)は、再生材のトレーサビリティ、デジタル製品パスポート、バッテリーパスポート、CFP算定を通じて、企業の資源循環を支援する企業です。
「CEトレーサビリティ」は、回収から再資源化までの受け渡しを記録し、企業をまたいで再生材の由来をたどれるようにするクラウドサービスです。排出量・リサイクル率・CO2の見える化にも対応するとしています。他に、資源循環DXのコンサルティングやCFP算定の支援も案内しています。
特徴は、回収から再資源化までの受け渡しを企業間でつないで記録することに軸足を置いている点です。
参照:digglue「CEトレーサビリティ」(2026年10月確認)、digglue「事業内容」(2026年10月確認)
株式会社ナカダイ
株式会社ナカダイは、「使い方を創造し、捨て方をデザインする」リマーケティングビジネスを展開する企業です。
リユース・リサイクル・再資源化開発の3つのコア事業で、廃棄物の削減とリサイクル率の向上に取り組んでいます。企業向けには、高度な分別技術とCO2排出量の評価で、マテリアルリサイクル率の向上とCO2の削減を支援すると案内しています。
特徴は、200以上の出荷品目と多様なルートを持ち、分別した資源の行き先を選べる点です。
参照:ナカダイ「CO2や廃棄物削減、リサイクル率のUP」(2026年10月確認)、ナカダイ「私たちにできること」(2026年10月確認)
関連記事:ナカダイを解説|分別・買取・MRCの仕組みと資源循環への効果
レコテックのpoolが資源循環にもたらす良い影響

poolは、廃棄物を実測データにして回収の無駄と現場の手作業を減らし、資源循環を進めやすくします。
実測データが、廃棄物削減の出発点になる
廃棄物は、どこでどれだけ出ているかが分からなければ減らす順番も決められません。poolは、排出のたびに計量したデータを蓄積します。同社は、推計に頼らない実測の一次データで廃棄物の排出量を見える化し、Scope3カテゴリ5(事業から出る廃棄物)の算定やGRESBの廃棄物の項目に使えると説明しています。推計値から実測値に置き換わることで、削減の効果を数字で確かめられます。
国内の廃棄物の規模から見たpoolの役割
環境省によると、令和5年度の全国の一般廃棄物(ごみ)の総排出量は3,897万t、リサイクル率は19.5%でした。産業廃棄物の総排出量は3億6,725万tで、そのうち再生利用されたのは2億79万t(54.7%)です。
| 区分(令和5年度) | 排出量 | 資源化・再生利用の状況 |
|---|---|---|
| 一般廃棄物(ごみ) | 総排出量3,897万t | 総資源化量763万t、リサイクル率19.5% |
| 産業廃棄物 | 総排出量3億6,725万t | 再生利用量2億79万t(54.7%)、最終処分量875万t(2.4%) |
レコテックは、拠点ごとの廃棄物量(t)を、本記事で確認した公式ページでは公表していません。そのため、poolが扱う量が国全体の何%にあたるかは算出できません。poolの役割は量そのものを減らすことより、施設やテナントの排出を計量して見えるようにし、再資源化や回収の改善につなげる土台をつくる点にあります。
参照:環境省「一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度)について」(2025年3月27日)、環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度実績)について」(2026年10月確認)
エリア単位でまとめて回収し、物流の無駄を減らす
1か所では量がまとまらない資源は、回収の効率が悪く再資源化に回りにくくなります。玉川髙島屋S・Cの発表で同社は、ごみの匿名性を保ったまま企業間でデータを連携し、エリアごとに一定量をまとめて管理することで、収集運搬車両の積載効率の向上と回収コストの削減につなげるとしています。従来は焼却されていた衣類用カバーを、アパレル納品車両の帰り便で回収して再資源化する仕組みも、同じ考え方で整えたと発表しています。
横浜市の事例でも、同社は今後、蓄積したデータにもとづく都市全体の回収ルートの最適化と、少量の資源を回収する新しい物流網の構築を目指すとしています。
現場の手作業を減らし、続けやすい仕組みにする
分別と計量は、現場で続けられなければ意味がありません。横浜市の試験導入では職員の業務時間が約7割減り、玉川髙島屋S・Cでは月間の作業時間が9時間以上から4時間になったと、同社は公表しています。人手によるデータ処理の負担を下げることが、分別精度とデータの精度を保つことにつながります。
同社は、複数の物件や拠点の廃棄物を管理する組織に向いていると説明しています。自社に複数の拠点がある場合は、まず資料で機能を確認し、デモで運用に合うかを見るのが現実的です。
よくある質問
レコテックとpoolについて、よく検索される疑問に答えます。
廃棄物をデータ化して資源に変える、資源循環のデータインフラ「pool」を運営する会社です。2007年5月に設立され、排出・回収・調達の三つの現場をつなぐサービスを提供しています。
公式サイトに金額の掲載はありません。資料のダウンロードや30分のデモを通じて、拠点の規模に合わせた条件を個別に確認する形です。
あります。横浜市の約1,200施設、玉川髙島屋S・C、軽井沢・プリンスショッピングプラザ、日鉄興和不動産のほか、啓愛社との実証が公式に発表されています。
同社は、複数の物件や拠点の廃棄物を管理する組織に向いていると説明しています。商業施設、オフィスビル、自治体、工場、収集運搬事業者などが利用の対象です。
はい。同社は、電子マニフェストの運営システムであるJWNETとの連携に対応すると案内しています。回収側では、荷下ろしと同時にマニフェストB票が自動で発行されます。
まとめ
レコテックのpoolについて、押さえておきたい点は次のとおりです。
- レコテックは2007年5月設立で、資源循環のデータインフラ「pool」を運営しています
- poolは排出・回収・調達の三つの現場を、計量データでつなぎます
- 料金は公式サイトに掲載がなく、資料と30分のデモで個別に確認します
- 横浜市の約1,200施設をはじめ、商業施設やオフィスビル、解体事業者で導入や実証が進んでいます
- 効果の数値は各社の自社発表で、試験導入の値と本格運用後の実績は区別して見る必要があります
- 同じ分野には、J-CIRCULARS、ゼロボード、digglue、ナカダイなどの企業があります