Sustech(株式会社Sustech)は、再生可能エネルギーの発電設備や蓄電池をAIで束ねて電力市場で運用する「ELIC」と、企業のCO2排出量を見える化する「CARBONIX」を軸にする、2021年創業の脱炭素企業です。この記事では、Sustechの事業内容、サービスの仕組み、公式サイトで公開されている事例、同じ分野の企業との違い、社会への効果を、公式情報と公的データだけで整理します。
この記事でわかること
- Sustechの会社概要とサービス一覧
- ELIC・CARBONIX・PPA・系統用蓄電池の仕組み
- 公式サイトで公開されている4つの事例
- 料金の公表状況と相談の流れ
- 同じ分野で取り組む企業との比較表
- Sustechが社会に与える良い影響と、その規模感
Sustechの会社概要と事業の全体像
Sustechは2021年6月に創業した東京都港区の企業で、再エネの運用を担うELICと脱炭素支援のCARBONIXの2つを中核にしています。2026年6月時点で累計資金調達額は150億円、提携企業・金融機関は66社を超えると公表しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社Sustech |
| 創業 | 2021年6月 |
| 所在地 | 東京都港区芝3丁目1-14 芝公園阪神ビル5階 |
| 中核サービス | ELIC(分散型電力運用プラットフォーム)、CARBONIX(脱炭素支援プラットフォーム) |
| 公表している規模 | 累計資金調達額150億円、提携企業・金融機関66社超(2026年6月) |
| 情報セキュリティ認証 | ISO 27001、ISO 27017(公式サイト記載) |
公式サイトによると、同社は企業に対して脱炭素を義務として求めるのではなく、CO2と運用コストを同時に減らす形で「続けられる」取り組みにすることを重視しています。事業は脱炭素支援、電力運用、O&M(運営・保守)、ファンド運用の4領域に分かれます。
参照:Sustech「創業5年で累計資金調達額150億円を突破」、(2026年6月16日)、Sustech公式サイト(2026年10月時点)
Sustechのサービス一覧|ELIC・CARBONIX・PPA・蓄電池

Sustechのサービスは、電力を「つくって運用する」ELIC系と、排出量を「測って減らす」CARBONIX系に大別できます。公式サイトには8つのサービスが載っています。
| サービス | 概要(公式サイトの説明) |
|---|---|
| ELIC | 再エネ設備を束ねて発電量予測・市場取引・運用管理を行うプラットフォーム |
| CARBONIX | サプライチェーンを含むGHG排出量の算定・可視化・削減・クレジット取引を支援 |
| オンサイト・オフサイトPPA | 太陽光・風力・地熱の再エネ電力を企業に供給(令和7年度 新エネ大賞を受賞と記載) |
| FIP転換アグリゲーション | FIT設備のFIP移行を支援し、発電予測と市場取引で収益改善を図る |
| 系統用蓄電池アグリゲーション | AIで充放電を最適化し、JEPXやEPRXなどの市場で運用 |
| ELIC Charge | 急速充電器のハード、ソフト開発、運営までを扱うEV充電インフラ事業 |
| O&M | 太陽光発電所の運営・保守 |
| Sustech GX Capital | 非FIT太陽光案件などへ資金を供給するファンド |
ELIC|再エネを束ねて市場で運用するAIアグリゲーション
ELICは、再エネ発電所や蓄電池を1つの仕組みとして束ね、AIで発電量を予測しながら電力市場で売買するプラットフォームです。
Sustechのリリースでは、ELICの機能を予測、取引、充放電制御、市場入札、運用管理と説明しています。太陽光は天候で出力が変わるため、予測精度と取引の巧拙が収益に直結します。個々の発電事業者が自前で市場取引を行うのは負担が大きく、束ねて任せる形が成り立ちます。2022年4月に始まったFIP制度やアグリゲーションの仕組みに対応している点も公式サイトに記載があります。
ELICの利用料や手数料は公式サイトに掲載がなく、個別の相談になります。
参照:Sustech「サービス」、(2026年10月時点)
CARBONIX|企業のCO2排出量を見える化する
CARBONIXは、Scope1〜3のGHG排出量を算定し、削減目標の設計と進捗管理まで支えるクラウド型の脱炭素支援プラットフォームです。
2026年8月20日には、JTB商事と組んだホテル向けの脱炭素パッケージが発表されました。年間のエネルギー使用量から客室数と稼働率を踏まえて「1泊あたりのCO2排出量」を算出し、宿泊客や旅行会社、法人顧客に環境配慮を伝えやすくする狙いです。
参照:Sustech「CARBONIX」、(2026年10月時点)
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オンサイト・オフサイトPPAとFIP転換アグリゲーション
PPAは、企業が設備投資をせずに再エネ電力を長期契約で受け取れる仕組みで、Sustechは屋根上などに設置するオンサイトと、離れた発電所から調達するオフサイトの両方を扱います。
FIT制度で売電してきた発電所をFIPへ移行する際は、発電予測と市場取引が必要になります。Sustechはこの部分をアグリゲーターとして引き受けます。PPAの基本は、既存記事で詳しく整理しています。
関連記事:オフサイトPPAとは?仕組み・メリット・導入の流れをわかりやすく解説
系統用蓄電池アグリゲーション
系統用蓄電池は電力系統につないで充放電する大型の蓄電池で、SustechはAIが市場価格や需給調整の必要性、蓄電池の残量を見て30分ごとの運転計画を作り、充放電を制御する役割を担います。
対象市場は、卸電力市場(JEPX)、需給調整市場(EPRX)、容量市場の3つとされています。設備の所有者は蓄電池を持つだけで、市場入札や運転計画はアグリゲーターに任せられます。
参照:Sustech「系統用蓄電池アグリゲーション」、、Sustech「安藤ハザマ系統用蓄電池の稼働」、(2026年9月14日)
ELIC Charge・O&M・Sustech GX Capital
周辺事業として、EV急速充電の機器・ソフト・運営、太陽光の運営保守、非FIT太陽光向けのファンドを用意しています。
太陽光のO&Mでは、20年以上にわたる安定した発電を目標に高度な監視と保守を行うと説明しています。ファンドは非FIT太陽光の資金調達と既存設備の性能向上が対象です。
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Sustechの事例|公式サイトで公開されている4件
Sustechの公式リリースで確認できる事例は、蓄電池2件、PPAと環境価値の組み合わせ1件、ホテル向け脱炭素1件です。以下は、いずれもSustech自身が公開した情報だけで構成しています。
安藤ハザマ|栃木県の系統用蓄電池
安藤ハザマが保有する栃木県栃木市岩舟町の系統用蓄電池で、Sustechがアグリゲーターを務めます。出力は1,990kW、容量は8,170kWhで、Sustechは30分単位の運転計画づくりと充放電制御、市場参加、実績分析を担当します。リリースは2026年9月14日付です。発電や削減量の成果は公表されていません。
参照:Sustech「安藤ハザマ系統用蓄電池」、(2026年9月14日)
とくぎんトモニリンクアップ|徳島県の系統用蓄電池
徳島大正銀行の子会社であるとくぎんトモニリンクアップが徳島県板野郡に設置した蓄電池で、規模は1,990kW、8,226kWhです。Sustechは需給調整市場と卸電力市場への入札、充放電スケジュール、EMSとの制御連携、実績分析を行います。公式リリースは、地域の電力インフラの強靱化と再エネの安定利用につながると説明しています。成果の数値は公表されていません。
参照:Sustech「とくぎんトモニリンクアップ系統用蓄電池」、(2026年9月1日)
ほくほくFG・丸杉|オンサイトPPAとバーチャルPPAの組み合わせ
岐阜県の鉄鋼商社である丸杉の拠点で、Sustechが設置した太陽光の電力を自家消費し、余った電力は市場で売ります。余剰電力に付いた環境価値は、ほくほくフィナンシャルグループがバーチャルPPAで長期調達します。自家消費量に縛られずに太陽光を増やせる点が特徴で、ほくほくFGにとっては3件目のバーチャルPPAです。
リリースが示す計画値は次のとおりです。CO2削減量は環境省の令和7年度全国平均排出係数(2026年8月3日付)で試算した予定値です。
| 契約 | 期間 | 年間電力量(予定) | 年間CO2削減効果(予定) |
|---|---|---|---|
| オンサイトPPA(複数案件の合計) | 20年間(一部は20年超) | 375MWh | 158トン |
| バーチャルPPA(複数案件の合計) | 20年間 | 1,159MWh | 490トン |
参照:Sustech「ほくほくFG・丸杉とのバーチャルPPA」、(2026年9月8日)
JTB商事|ホテル向け脱炭素パッケージ
JTB商事と共同で、宿泊施設向けにCARBONIXを使った脱炭素の管理支援を始めました。Scope1・2の排出量とエネルギーコストを見える化し、1泊あたりのCO2排出量を算出して削減目標と進捗を管理します。2026年8月20日の発表で、導入実績や削減量の数値は示されていません。
参照:Sustech「JTB商事との脱炭素パッケージ」、(2026年8月20日)
Sustechの料金と相談の流れ
Sustechは各サービスの料金を公式サイトに掲載していません。PPAは電力量に応じた契約、アグリゲーションは市場収益を前提とした運用のため、案件ごとの見積もりが前提と考えられます。
| 項目 | 公表状況 |
|---|---|
| ELICの利用料 | 公表なし |
| CARBONIXの料金 | 公表なし |
| PPAの電力単価 | 公表なし |
| 相談窓口 | 公式サイトの問い合わせフォーム |
相談の入り口は公式サイトの問い合わせフォームです。自社の屋根や遊休地、蓄電池の保有・計画の有無、算定したい排出量の範囲を整理してから連絡すると、話が早く進みます。
参照:Sustech「お問い合わせ」、(2026年10月時点)
Sustechと同じ分野で取り組む企業|再エネ運用・PPA・蓄電池
Sustechと同じく、再エネの開発・運用やPPA、蓄電池の運用に取り組む国内企業を4社紹介します。掲載順は社名の五十音順(英字表記は読みで配置)で、優劣や推奨順を示すものではありません。各社の公式サイトに記載された内容だけで整理しています。
比較表の列はすべて公式サイトの記載から揃え、公表がない項目は「公表なし」としています。
| 企業 | 取り組みの対象 | 仕組み | 公表している数値(時点) | 設立 |
|---|---|---|---|---|
| アイ・グリッド・ソリューションズ | 企業の屋根などのオンサイト太陽光、蓄電池・EV関連 | オンサイトPPAの開発・運営、分散型エネルギーの統合プラットフォーム | オンサイトPPA開発が47都道府県で達成(2026年8月14日)、従業員153名(2026年6月末) | 2004年2月 |
| Sustech | 再エネ設備、蓄電池、企業の排出量 | ELICによるアグリゲーション、CARBONIXによる排出量管理 | 累計資金調達額150億円(2026年6月) | 2021年6月 |
| 自然電力 | 再エネ発電所の開発・運営 | IPP、アセットマネジメント、再エネアグリゲーション等 | 資本金12,591百万円(2026年6月末) | 2011年6月 |
| デジタルグリッド | 再エネ電力の取引、系統用蓄電池 | 電力取引プラットフォームの運営、蓄電池アグリゲーション | 系統用蓄電池の取扱量200MW・100拠点超(2026年10月1日) | 2017年10月16日 |
| Looop | 再エネ開発、電力小売、蓄電 | PPA(オンサイト・オフサイト)、発電所の設計・施工・運営、電力小売 | 売上高539.76億円(2026年3月期) | 2011年4月4日 |
アイ・グリッド・ソリューションズ
企業の屋根などにオンサイト太陽光を設置し、電力を供給するオンサイトPPAを中心に事業を展開しています。
事業は、分散型エネルギー資源を統合活用するプラットフォームの開発・運営、オンサイト太陽光の開発・運営と支援、蓄電池やEVを含むGX関連サービス、エネルギートレーディングの4つです。
公式サイトでは、独自の「R.E.A.L. New Energy Platform」と再エネの循環を軸にした「GX City」構想を掲げ、地域の活性化との結びつきを打ち出しています。
参照:アイ・グリッド・ソリューションズ公式サイト、、同社「会社情報」、(2026年10月時点)
自然電力
再エネ発電所の開発から運営までを手がける、2011年6月設立の企業です。
会社概要では、発電事業(IPP)、アセットマネジメント、カーボンフリーソリューション、再エネアグリゲーション、デジタル事業を事業内容として挙げています。サービスページには、太陽光、風力、系統用蓄電池、企業の脱炭素支援などが並びます。
公式サイトは、利益を地球と将来世代のために再投資する新しい資本循環を掲げている点を特徴として説明しています。
参照:自然電力「サービス」、、同社「会社概要」、(2026年10月時点)
デジタルグリッド
日本初の民間による電力取引プラットフォーム「Digital Grid Platform」を運営する企業です。
再エネ調達、環境価値取引、蓄電池を束ねるアグリゲーションサービスを提供しています。2026年10月1日の発表で、系統用蓄電池の取扱量が100拠点超・200MWに達したとしています。
電力の売り手と買い手を結ぶ取引市場の運営を中心に据えている点が、発電所や設備の開発を主軸とする企業との違いです。
参照:デジタルグリッド公式サイト、、同社「会社概要」、(2026年10月時点)
Looop
再エネ電源の開発、電力小売、蓄電までを手がける2011年4月設立のエネルギー企業です。
再エネ領域では、オンサイト・オフサイトPPA、発電所の設計から施工・運営・保守までを一貫して扱うと説明しています。
公式サイトは、つくる、コントロールする、届けるの3つを自社で担う構成を特徴に挙げています。
参照:Looop公式サイト、、同社「会社概要」、(2026年10月時点)
関連記事:再生可能エネルギーおすすめ電力6社比較|選び方の注意点も解説
Sustechが社会に与える良い影響|再エネの無駄を減らす

Sustechの社会的な価値は、発電した再エネを無駄にせず、排出量の可視化で企業の削減行動を後押しする点にあります。以下は、公式リリースと環境省のデータにもとづく整理です。
余剰電力を市場と環境価値に回す仕組み
オンサイトPPAは、使う量に合わせて設備の大きさが決まるため、屋根が広くても発電量を増やせません。丸杉の事例では、余った電力を市場で売り、環境価値をバーチャルPPAで金融機関が買うことで、より多くの太陽光を設置できる設計にしています。
発電設備の収益が増えれば、再エネの設置が進みやすくなります。買い手側の金融機関は、自社の脱炭素と取引先の再エネ導入拡大を同時に進められます。
系統用蓄電池が再エネの出力を受け止める
太陽光は晴れた昼に発電が集中し、需要が少ない時間帯には余ります。蓄電池はこの余る時間に充電し、足りない時間に放電することで、再エネを捨てずに使えるようにします。
Sustechは、系統用蓄電池の接続検討申込みが約172GW、接続契約申込みが約30GWに達したと2025年12月末時点のデータを紹介し、市場の拡大を強調しています。同社は、この数値を経済産業省の審議会資料にもとづくものとして示しています。この市場でアグリゲーターは、蓄電池を電力市場の需給に合わせて動かす役割です。
CO2削減量を国全体の排出量と並べて見る
丸杉の事例で公表された年間CO2削減効果(予定)は、オンサイトPPAが158トン、バーチャルPPAが490トンで、合計は648トンです。環境省によると、2024年度の日本の温室効果ガス排出・吸収量は約9億9,400万トン(CO2換算)です。
648トン÷9億9,400万トン=約0.00007%(編集部推計)です。同じ単位(CO2換算のトン)で比べていますが、削減効果は2026年の計画値、国の排出量は2024年度の実績で、年度が異なります。1案件の効果は国全体から見ると小さく、こうした案件を積み重ねられるかが、社会的な意味を左右します。
CARBONIXのような排出量の見える化は、削減の出発点になります。ホテルの1泊あたりの排出量のように、利用者に伝わる単位で示せる点も、行動を促す仕組みとして有効です。
参照:環境省「2024年度の我が国の温室効果ガス排出量及び吸収量(概要)」、(2026年4月公表)
よくある質問
Sustechについて検索されることの多い疑問に、公式情報の範囲で答えます。
再エネ設備や蓄電池をAIで束ねて電力市場で運用するELICと、企業の排出量を管理するCARBONIXを提供する2021年創業の企業です。PPA、O&M、ファンド運用、EV充電も手がけています。
ELICは、Sustechが運営する分散型電力運用プラットフォームです。発電量の予測、市場取引、蓄電池の充放電制御、入札、運用管理をまとめて担います。
CARBONIXは、GHG排出量の算定から削減目標の設計、進捗管理までを支える脱炭素支援プラットフォームです。サプライチェーンを含むScope1〜3の排出量が対象です。
2021年6月です。2026年6月には、創業5年で累計資金調達額が150億円を超えたと発表しています。
公式サイトに料金は掲載されていません。案件ごとの見積もりになるため、問い合わせフォームから相談する形になります。
まとめ
Sustechの要点を整理します。
- Sustechは2021年創業で、再エネ・蓄電池を束ねて運用するELICと、排出量を管理するCARBONIXが中核です。
- 公式リリースで確認できる事例は、蓄電池2件、PPAと環境価値の組み合わせ1件、ホテル向け1件の計4件です。
- 料金は公式サイトに掲載されておらず、案件ごとの相談になります。
- 丸杉の事例の年間CO2削減効果(予定)は合計648トンで、国の排出量の約0.00007%(編集部推計)にあたります。
- 同じ分野ではアイ・グリッド・ソリューションズ、自然電力、デジタルグリッド、Looopが取り組んでいます。