海ごみ問題とは、陸で出たごみが川や海岸を通じて海に流れ込み、生き物や私たちの暮らしに害を及ぼす問題です。発生源は私たちの日常の選択にあるため、まず「どんなごみが、どんな行動から生まれるのか」を知ることが対策の出発点になります。
その手がかりになるのが、issue+designが運営する「うみごme」です。身近なごみを人の行動パターンで15種類に分類し、海ごみを「自分ごと」として考えるきっかけをつくっています。本記事では、海ごみ問題の現状と原因、生態系や暮らしへの影響、うみごmeの分類、個人でできる行動、そして海ごみ対策に取り組む企業と事例までを整理します。
この記事でわかること
- 海ごみ問題の現状と原因、日本の海岸で多いごみの種類
- 海洋プラスチックが生態系やマイクロプラスチックを通じて私たちに及ぼす影響
- 「うみごme」の15分類と、日常の「エゴ」が海ごみになる仕組み
- 個人・地域・小学生にもできる海ごみ対策
- 企業と国際社会の対策、プラスチック条約交渉の現状
- 海ごみ対策に関わる企業3社と、公式に公開されている事例
海ごみ問題とは?現状と原因をわかりやすく整理

海ごみ問題とは、人が出したごみが川や海岸から海へ流れ込み、生き物や暮らしに害を与える問題です。
海に流れ出るプラスチックの量は、世界全体で少なくとも年間800万トンに上るという試算が2016年1月に示されています。このまま対策をとらなければ、2050年には海中のプラスチックごみの重量が魚の重量を上回るという見通しも、同じ試算で示されました。環境省の環境白書は、この試算を紹介しています。数字は試算であり、実測値ではない点には注意が必要ですが、問題の規模を把握する目安になります。
| 項目 | 内容 | 公表主体 |
|---|---|---|
| 海に流出するプラスチックごみ | 世界全体で少なくとも年間800万トンとの試算 | エレン・マッカーサー財団(2016年1月発表、環境白書が引用) |
| 2050年の見通し | 何も対策をとらなければ、海中のプラスチックごみの重量が魚の重量を上回るとの試算 | エレン・マッカーサー財団(同上) |
| 日本の海岸漂着物の組成 | 重量では自然物、容積と個数ではプラスチック類が最も大きな割合(2016年調査) | 環境省 |
| 漂着ペットボトルの製造国 | 奄美は外国製が8割以上。対馬・種子島・串本・五島は4〜6割。根室・函館・国東は2割以下で、日本製が5〜7割 | 環境省(2016年調査) |
参照:環境省「令和元年版 環境・循環型社会・生物多様性白書 プラスチックを取り巻く国内外の状況と国際動向」(2019年版)
海ごみの種類と量:日本の海岸で多いのは何か
海岸に漂着するごみは、重量でみると流木などの自然物が最も大きな割合を占めます。一方で、容積と個数でみるとプラスチック類が最も大きな割合を占めます。見た目に目立つごみの多くはプラスチックだということです。
具体的には、ペットボトルとそのキャップ、レジ袋、食品包装フィルム、発泡スチロールの破片、漁業用具の一部などが頻繁に見つかります。ペットボトル本体は比較的大きな破片で残りやすく、キャップは単体で多く見つかり、薄いラベルは細かく裂けた状態で漂着します。
食品包装は複数の素材を貼り合わせたものが多く、リサイクルが難しい構造のため、一度環境に出ると長く残ります。歯ブラシ、ライター、ボールペン、洗剤ボトルの破片のような日用品も、耐久性の高いプラスチックでできているため、形を保ったまま漂流しがちです。
海ごみの原因:陸から海へ流れ出る仕組み
海ごみの多くは、もともと陸で出たごみです。ポイ捨てされたごみが雨や風で側溝や下水道へ流され、川を経由して海へ運ばれます。海から遠い街中や山のごみも、川を通じて海ごみになります。海岸でのレジャーに伴うごみの置き去りも、直接の発生源です。
漁業に関わるごみも見逃せません。破損した漁網、ロープ、ブイ、発泡スチロール製の浮きなどが海へ出ると、長く漂流し、海の生き物が絡まる事故の原因になります。
海外から海流に乗って届くごみもあります。上の表のとおり、地域によって外国製ペットボトルの割合は大きく異なり、離島や海流の影響を受けやすい場所ほど外国由来のごみが目立ちます。海ごみは国境を越える課題ですが、足元の発生源を減らすことは、どの国のどの地域でも同じように求められます。
海洋プラスチックごみが生態系と私たちに与える影響

海洋プラスチックは、生き物の誤飲や絡まりを引き起こし、マイクロプラスチックとして食物連鎖にも入り込みます。
影響は生態系だけにとどまりません。観光や漁業、そして私たちの食卓にもつながっています。ここでは、生き物への被害、マイクロプラスチックの仕組み、人間社会への影響の順に整理します。
海洋生物への被害:誤飲と絡まり
最も直接的な被害は、プラスチック片の誤飲です。ウミガメがレジ袋をクラゲと間違えて食べたり、海鳥がプラスチック片を餌と勘違いして雛に与えたりする例が、世界各地で報告されています。消化管に詰まったプラスチックは、栄養不足や内臓の損傷を招きます。
漁網やロープへの絡まりも深刻です。クジラ、イルカ、アザラシなどの海洋哺乳類が漂流する漁網に捕らわれ、自力で脱出できないまま衰弱することがあります。体の小さな幼い個体は、少量のプラスチックでも大きな影響を受けやすくなります。
マイクロプラスチックとは:5mm以下の粒が生まれる仕組み
マイクロプラスチックとは、一般に5mm以下の微細なプラスチック類のことです。環境省の白書は、発生の経路を2つに分けています。ひとつは、プラスチックごみが波や紫外線で小さくなる二次的な形成です。もうひとつは、洗顔料や歯磨き粉のスクラブ剤、合成繊維の衣類の洗濯などから出る一次的な形成です。
海に出たプラスチックは、紫外線による劣化、波や砂による摩耗、温度変化による膨張と収縮が重なって、少しずつ砕けていきます。表面にひびが入って脆くなったプラスチックは、波の力で簡単に細かくなります。ここまで小さくなると、肉眼で見つけて回収することは極めて難しくなります。
表面積が大きくなったマイクロプラスチックは、海水中の化学物質を吸着しやすいという指摘があります。プランクトンや小魚が取り込み、食物連鎖を通じて上位の生き物へ移っていく可能性が研究されています。
参照:環境省「令和2年版 環境・循環型社会・生物多様性白書 海洋プラスチックごみ汚染・生物多様性の損失」(2020年版)
人間社会への影響:健康・観光・企業への波及
食物連鎖を通じて、マイクロプラスチックを含む魚介類が私たちの口に入る可能性が指摘されています。人体への長期的な影響はまだ研究の途上ですが、内分泌系や炎症反応への懸念が議論されており、妊婦や小さな子どもへの影響を心配する声もあります。
経済面の影響もあります。大量のごみが漂着した海岸は観光地としての魅力が下がり、漁業者は漁網にごみが絡まることで作業効率の低下や漁具の破損に悩まされます。回収と処理にかかる費用は、自治体や関係者の大きな負担です。
企業にも影響は及びます。プラスチック製品を大量に生産・販売する企業には、消費者や投資家から環境配慮型の製品開発や包装の見直しを求める目が向けられています。
「うみごme」とは?15分類で海ごみを自分ごとにする取り組み

うみごmeは、issue+designが運営し、拾ったごみを人の行動パターンで15種類に分類するプロジェクトです。
公式サイトは、海ごみの背景にある社会の「エゴ」を可視化する取り組みとして、このプロジェクトを紹介しています。掲げているメッセージは「一人一人が変われば、海ごみはなくせる」です。ごみを素材や重さではなく、「なぜそこに捨てられたのか」という行動から読み解く点に特徴があります。
活動は大きく3つに分かれています。ひとつは、ごみ拾い活動のあとに45分〜1時間程度の対話プログラムを行う取り組みです。ほかに、展示や体験を通じて知識を深めるイベントと、自分の行動を振り返るワークシートをまとめたA5判のワークブックがあります。
公式サイトが示す15の分類名は、次のとおりです。
| 番号 | 分類名 | 番号 | 分類名 |
|---|---|---|---|
| 1 | つめこみごみ | 9 | かくしごみ |
| 2 | サクめしごみ | 10 | 土にかえる?ごみ |
| 3 | ごほうびごみ | 11 | おとぼけごみ |
| 4 | ひきよせられごみ | 12 | 落としものごみ |
| 5 | うっかりごみ | 13 | まちぼうけごみ |
| 6 | 雨の日ごみ | 14 | おいのりごみ |
| 7 | むれごみ | 15 | 知らずごみ |
| 8 | 買わせっぱなしごみ |
参照:issue+design「うみごme」(2026年10月5日確認)
分類の考え方:ごみを「人の行動」から読み解く
分類名を見ると、ごみが生まれる場面が思い浮かびます。急いで食べたあとに残る容器、ご褒美に買った飲み物の空き容器、雨の日にその場へ置かれたもののように、誰にでも覚えのある行動がそのまま名前になっています。
従来の海ごみの整理は、「ペットボトル」「レジ袋」のように品目ごとに数える方法が中心でした。うみごmeの分類は、品目ではなく行動で分けるため、「自分もやっているかもしれない」と感じやすいことが利点です。ごみを単なる廃棄物ではなく、日常の選択の結果として眺める視点が、この分類の核心です。
日常の「エゴ」と海ごみの関係
便利さを優先する習慣と海ごみは、直接つながっています。使い捨てのストローやスプーンを断らない、レジ袋を何枚も受け取る、使い終えた容器をその場に置いていく。一つひとつは小さな選択でも、多くの人が同じ行動をとれば大量のプラスチックが環境に出ていきます。
海岸で見つかるごみの多くが、私たち自身が使った製品の残骸であるという事実を、目の前の実物で示すのがうみごmeの強みです。問題を「遠い国の出来事」ではなく「自分の行動の結果」として受け止めることが、行動を変える最初の一歩になります。
個人でできる海ごみ対策:今日から始める具体的な行動

個人でできる海ごみ対策の基本は、使い捨てプラスチックを減らし、ごみを正しく分別し、清掃活動に参加することです。
最も基本的なのは、使い捨てプラスチック製品を減らすことです。マイバッグ、マイボトル、マイカトラリーを持ち歩けば、レジ袋やペットボトル、使い捨てのスプーンとフォークの消費を抑えられます。買い物では、量り売りや裸売りの商品、詰め替え用商品を選び、オンラインショッピングでは過剰な梱包を避けるオプションがあれば選ぶことも有効です。
ごみの分別も大切です。プラスチック製品を自治体のルールどおりに分けて出せば、再資源化できる可能性が高まります。屋外で出たごみは必ず持ち帰ることも、海ごみの発生を防ぐ基本です。
環境省は、身近に取り組める海洋ごみ対策として、「プラスチック・スマート」「海ごみゼロウィーク」「海ごみゼロアワード」を紹介しています。国や自治体が用意した枠組みに乗れば、一人では続けにくい活動も続けやすくなります。
参照:環境省「身近に取り組める海洋ごみ対策」(2026年10月5日確認)
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日常生活でのプラスチック削減テクニック
キッチンでは、食品保存のラップを蓋付き容器や蜜蝋ラップに替えるだけで、プラスチックの消費が減ります。洗って繰り返し使えるシリコン製の保存袋は、使い捨てのジッパー付き袋の代わりになります。
買い物では、プラスチック包装の少ない商品を意識して選ぶことが大切です。野菜や果物はバラ売りを選び、肉や魚はトレイなしで包んでもらえないか店に尋ねてみましょう。飲み物は、ペットボトル入りを買う代わりに水筒を持ち歩くのが効果的です。給水できる場所を事前に調べておくと続けやすくなります。
洗面所やバスルームでは、固形石鹸やシャンプーバーを使うとプラスチックボトルを減らせます。竹製の歯ブラシや、替えヘッド式の電動歯ブラシを選ぶ方法もあります。
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地域の海岸清掃や環境団体への参加
海岸清掃は、海ごみ問題を体感できる絶好の機会です。多くの自治体やNPOが定期的に清掃イベントを開いています。実際にごみを拾うと問題の大きさを肌で感じられ、その後の行動も変わりやすくなります。
清掃のときは、拾うだけでなく、どんなごみが多いかを観察して記録すると意義が深まります。うみごmeのように、見つけたごみを行動の視点で整理すれば、地域の問題点が見えてきます。こうした記録は、より効果的な対策を考える材料にもなります。
地域の環境保護団体に加われば、同じ志の仲間と情報を交換しながら継続できます。学校や職場で、使い捨てプラスチックを減らす方針やリサイクルの改善を提案することも、周囲の行動を変える力になります。
情報発信と、小学生にもできること
SNSで自分の工夫や清掃活動の様子を発信すれば、周りの人も行動を起こしやすくなります。正確な知識を広めること自体が、社会全体の意識を高める貢献です。情報を共有するときは、出典を確かめてから発信しましょう。
小学生にもできることはたくさんあります。ごみを持ち帰る、ポイ捨てをしない、マイボトルを使う、家族と分別のルールを確認する、学校や地域の清掃活動に参加する、といった行動です。家族や友人と海ごみの話題を共有するだけでも、身近な人の意識を変えるきっかけになります。
企業へ声を届けることも、長期的には大きな影響力を持ちます。過剰な包装への意見を伝えたり、環境に配慮した製品を選んで買ったりすることで、企業の姿勢を変える力になります。
企業・国・国際社会の海ごみ対策とプラスチック条約交渉の現状

海ごみ対策は個人の努力だけでは足りず、企業の製品設計、自治体の回収、国際的なルールづくりが一体で進められています。
国際的には、プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書(条約)の策定に向けた政府間交渉が続いています。2026年2月7日にスイスのジュネーブで開かれた会合(INC5.3)では、チリのフリオ・コルダノ氏が新しい議長に選ばれたと環境省が発表しています。続いて、日本が主催する非公式少数国会合が、2026年3月1日から3日まで東京で開かれました。2026年3月3日の発表時点で、交渉はまだ合意に至っておらず、妥結に向けた次回の再開会合の日程は調整中とされています。
日本は、「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を提唱しています。環境省の説明では、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにすることを目指す構想です。条約の行方にかかわらず、国内の取り組みは続きます。
参照:環境省「プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際文書(条約)の策定に向けた日本主催非公式少数国会合の開催」(2026年3月3日発表)、環境省「プラスチック汚染に関する国際的な条約交渉(INC)」(2026年10月5日確認)
企業・自治体の取り組み
大手飲料メーカーは、ペットボトルの軽量化やリサイクルPET素材の使用率向上に取り組み、使用済みボトルを新しいボトルに再生する循環型のモデルを目指しています。小売業界では、レジ袋の有料化に続いて、食品トレイや包装フィルムの削減、紙製パッケージへの切り替えが広がっています。
自治体レベルでは、プラスチックごみの分別回収の充実や海岸清掃の組織化が進められています。先進的な自治体には、使い捨てプラスチックの使用を制限する条例を設けたり、リユース容器の利用を促したりするところもあります。企業の取り組みは、後述の「海ごみ対策に関わる企業」の節で、公式情報を確認できた3社を取り上げます。
技術革新による解決策
プラスチックに代わる新素材の開発も進んでいます。生分解性プラスチックは、微生物の働きで自然に分解される素材として注目されています。ただし、分解には特定の条件が必要な場合が多く、海洋環境で確実に分解されるかどうかは素材によって異なるため、慎重な評価が必要です。
海に出たプラスチックの回収技術も進化していますが、一度流出したものを回収するのは技術的にも費用的にも難しく、発生源を減らす対策が最も重要であることに変わりはありません。複合素材のプラスチックを化学的に原料レベルまで戻すリサイクル技術や、画像認識による自動分別、ごみ箱の満杯を検知する回収システムも、実用化が進みつつあります。
関連記事:植物性プラスチックとは?環境に優しい素材の可能性と課題を徹底解説
拡大生産者責任と規制の動き
企業に対しては、製品のライフサイクル全体に責任を持つ拡大生産者責任の考え方に基づく要請が強まっています。設計の段階でリサイクルのしやすさを考えることや、使用済み製品の回収の仕組みをつくることが、求められる方向です。
欧州連合では、使い捨てプラスチック製品の使用を制限する指令が施行され、ストローやカトラリー、発泡スチロール容器などが段階的に市場から外されつつあります。プラスチックへの課税やリサイクル製品への補助金のように、経済的な誘因で行動を促す政策も、各国で導入されています。
関連記事:ECOALFを解説|海洋ごみが服になる仕組みと日本での買い方
海ごみ対策に関わる企業:回収・再生・調査を担う3社
海ごみ対策では、ごみ拾いの仕組みづくりから、漁網の再生、分布調査まで、民間企業が担う役割が広がっています。
この節では、公式サイトで事業内容を確認できた3社を、社名の五十音順に並べます。順位づけや評価ではありません。公式情報から確認できた企業が3社にとどまったため、5社には満たないことをお断りします。
| 企業 | 主な事業 | 海ごみ対策での関わり | 公式に公開されている数値 |
|---|---|---|---|
| 豊田通商株式会社 | 廃漁網の繊維リサイクル | 回収した廃漁網から再生ナイロン素材ブランド「NetPlus」を展開 | 2023年7月に参入、千葉県外房エリアで試験回収 |
| 株式会社ピリカ | ごみ拾いSNS「ピリカ」、ごみ分布調査「タカノメ」ほか | 拾う、調べる、再資源化するまでを事業として展開 | 137の国と地域で4.6億個超のごみを回収 |
| 株式会社リファインバースグループ | 再生ナイロンコンパウンド「REAMIDE」の製造・供給 | 使用済み漁網を主原料に再生 | 公式ページは数値を本文で示していません |
豊田通商株式会社
豊田通商は、海洋プラスチック汚染の主な原因のひとつとされる廃漁網の、繊維リサイクル事業に取り組む総合商社です。
支援の範囲は、廃漁網の回収から再生素材の販売までです。2023年7月に廃漁網リサイクル事業へ参入し、米国のBureo Inc.と連携して、廃漁網を100%再生したナイロン素材のブランド「NetPlus」を展開しています。
特徴は、国内でも廃漁網の回収と選別の体制づくりを進めている点です。千葉県外房エリアで試験回収を始め、国内外で回収・選別拠点を広げる計画が公式発表で示されています。
参照:豊田通商「海洋プラスチック汚染の主原因である廃漁網の繊維リサイクル事業へ参入」(2023年9月28日発表)
株式会社ピリカ
ピリカは、「科学技術の力であらゆる環境問題を克服する」ことを掲げる環境ベンチャーです。
支援の範囲は、ごみ拾いSNS「ピリカ」、道路面の映像からポイ捨てや不法投棄を調べるごみ分布調査「タカノメ」、環境コンサルティング、リサイクル、環境DX、海岸のごみを自動で回収するロボットなど、多岐にわたります。
特徴は、拾うだけでなくごみの分布をデータで把握して対策につなげる点です。公式サイトは、SNSを通じて137の国と地域で4.6億個超のごみが回収されたと紹介しています。
参照:株式会社ピリカ公式サイト(2026年10月5日確認)
株式会社リファインバースグループ
リファインバースグループは、廃棄物を資源に変える事業を展開し、使用済み漁網などから再生ナイロンコンパウンド「REAMIDE」をつくる企業です。
支援の範囲は、回収、洗浄とろ過による異物除去、改質、ペレット化、供給までの一連の工程です。公式ページでは、自動車の部品や家電の部品などへの用途が紹介されています。
特徴は、使用済み漁網を主な原料とした再生素材を、製造業向けの部材として供給している点です。海ごみ対策を、素材の販売という事業として成立させています。
参照:株式会社リファインバースグループ「REAMIDE」(2026年10月5日確認)
海ごみ対策の事例:パイロットとスズキの取り組み
海ごみ対策は、再生素材を使った製品づくりと、回収装置の開発という2つの形で、すでに商品やサービスになっています。
この節では、企業自身が公式サイトで公開している2社の事例を紹介します。成果や数値は、公表されている範囲だけを記載しています。公式サイトで確認できた事例が3件に満たないため、2社にとどめます。
株式会社パイロットコーポレーション:海洋プラスチックを使ったボールペン
筆記具メーカーのパイロットコーポレーションが、2020年12月25日に発売した油性ボールペンです。
テラサイクルジャパンが日本国内で回収した海洋プラスチックごみからつくった再生樹脂を、軸の一部に使用した「スーパーグリップG オーシャンプラスチック」を、同社がテラサイクルジャパンと共同で発売しました。
公表されている結果として、消耗部分を除いた全プラスチック重量の74%に再生材を使用しています。価格は110円(税込)です。公式ストーリーでは、グリップ部分の樹脂は、海洋プラスチック10%と再生ポリプロピレン90%の配合と紹介されています。
参照:パイロット「油性ボールペン『スーパーグリップG オーシャンプラスチック』発売」(2020年12月10日発表)、パイロット「日本初! 対馬に漂着した海洋プラスチックから生まれた油性ボールペン。」(2026年10月5日確認)
スズキ株式会社:マイクロプラスチック回収装置つきの船外機
自動車と船外機のメーカーであるスズキ株式会社が、2020年に始動した「スズキクリーンオーシャンプロジェクト」の取り組みです。
同社は、ボートで走行するだけで水面付近のマイクロプラスチックを回収できる装置を開発しました。
公表されている結果として、2022年7月から、この装置を標準で搭載した船外機5機種の生産を開始しています。対象はDF140BG、DF115BG、DF140B、DF115B、DF100Cで、北米や欧州を含む主要な市場への展開が示されています。
参照:スズキ「マイクロプラスチック回収装置を搭載した船外機の生産を開始」(2022年7月22日発表)
よくある質問
海ごみ問題について、よく検索される疑問に答えます。
人が出したごみが川や海岸から海へ流れ込み、生き物や暮らしに害を与える問題です。海ごみの多くはもともと陸で出たごみで、日本の海岸では、容積と個数でみるとプラスチック類が最も大きな割合を占めています。
主な原因は、陸で捨てられたごみが雨や風で川に流れ込み、海へ運ばれることです。漁業で使う漁網やロープの流出、海岸でのごみの置き去り、海外から海流に乗って届くごみも原因になります。
世界全体で、少なくとも年間800万トンのプラスチックが海に流出しているという試算があります。2050年には海中のプラスチックごみの重量が魚の重量を上回るという見通しも示されています。いずれも試算で、実測値ではありません。
使い捨てプラスチックを減らし、ごみを分別して出し、屋外のごみを持ち帰ることです。マイバッグやマイボトルの利用、海岸清掃への参加、正確な情報の共有も効果的です。
あります。ごみを持ち帰る、ポイ捨てをしない、マイボトルを使う、家族と分別のルールを確認する、学校や地域の清掃活動に参加するといった行動が、今日から実践できます。
issue+designが運営する、海ごみ問題のプロジェクトです。拾ったごみを人の行動パターンで15種類に分類し、ごみ拾いのあとに対話の時間を設けて、海ごみを自分ごととして考えるきっかけをつくっています。
まとめ

海ごみ問題の解決は、発生源である私たちの日常の行動を見直し、小さな実践を重ねることから始まります。
要点は次のとおりです。
- 海ごみの多くは陸で出たごみで、川や海岸を経由して海へ流れ込みます。
- 日本の海岸では、容積と個数でみるとプラスチック類が最も大きな割合を占めます。
- マイクロプラスチックは5mm以下の微細なプラスチックで、生態系や食物連鎖への影響が研究されています。
- うみごmeは、拾ったごみを人の行動で15種類に分類し、海ごみを自分ごとにします。
- 個人は、使い捨てプラスチックの削減、分別、清掃活動への参加から始められます。
- プラスチック条約の交渉は、2026年3月3日の環境省発表時点で合意に至っていません。
- ピリカ、豊田通商、リファインバースグループなど、民間企業も海ごみ対策に取り組んでいます。