サステナビリティ企業とは、環境・社会・ガバナンス(ESG)に配慮した経営を長期的に実践し、外部の評価指標やランキングでもその取り組みが可視化されている企業を指します。SDGsのように達成期限が定められた目標ではなく、期限のない継続的な取り組みである点が特徴です。
この記事でわかること
- サステナビリティ企業の定義とSDGs企業・ESG企業との違い
- 企業のサステナビリティを測る代表的な指標・ランキングの種類
- ランキングを読み解くときに注意すべきポイント
- 実際にサステナビリティ企業として評価されている企業の例
- 自社がサステナビリティ企業として評価されるための進め方と支援会社
サステナビリティ企業とは何か

サステナビリティ企業とは、環境・社会・経済の持続可能性を長期的な視点で追求し、その取り組みを外部に開示・評価されている企業のことです。特定の達成年限を持たない点が、2030年を期限とするSDGsへの取り組みとは異なります。
似た言葉に「SDGs企業」「ESG企業」がありますが、SDGs企業は2030年までの17目標・169ターゲットという具体的な行動指針への取り組みを指し、ESG企業は環境・社会・ガバナンスを考慮した経営・投資活動の主体を指します。サステナビリティ企業はこの両方を包含する、より長期的で包括的な概念だと捉えると整理しやすくなります。
「サステナビリティ企業かどうか」が意識される場面は、投資家によるESG投資の銘柄選定だけではありません。就職活動中の学生が企業研究の材料にしたり、取引先が新規のサプライヤーを選定する際の判断材料にしたりと、資金調達・採用・取引の3つの場面で参照されることが増えています。どの立場から見られているかによって、重視すべき指標や開示の粒度も変わってきます。
サステナビリティ経営そのものの考え方や進め方は、サステナビリティ経営とは?意義・メリット・企業一覧を解説で詳しく解説しています。
SDGsへの取り組みを起点に自社の立ち位置を確認したい場合は、SDGs企業とは?認定基準はある?取り組み方と支援会社を解説もあわせて参考になります。
サステナビリティ企業を測る代表的な指標・ランキング
サステナビリティ企業を測る指標は、世界規模で比較する「グローバル系」、国内の消費者・生活者視点で評価する「国内系」、機関投資家向けの「ESG評価機関系」の3種類に大きく分かれます。
グローバル系指標
グローバル系は、業種を横断して排出量などの原単位を絶対値ベースで比較するタイプの指標です。カナダの調査会社Corporate Knightsが選出する「Global 100 Index」や、米TIME誌が発表するサステナビリティランキングなどが代表例で、いずれも世界中の企業を同じものさしで並べます。国や業種の違いを超えて比較できる反面、業種特性による不利・有利が生じやすいという側面もあります。
国内系指標
国内系は、日本の消費者・生活者からの認知や共感、Webサイト上の情報開示の充実度を評価するタイプです。Japan Sustainable Brands Index(JSBI)は2020年に始まった調査で、企業がSDGsに貢献しているという消費者イメージを数値化します。トライベック・ブランド戦略研究所の「サステナビリティサイトランキング」は、コンテンツの充実度を測る「コンテンツスコア」、サイトの使いやすさを評価する「UIスコア」、サイト閲覧後の意識の変化を評価する「パーセプションスコア」の3指標を組み合わせて評価します。2026年版の総合順位では、1位カゴメ、2位東レ、3位TOPPANホールディングスという結果でした。
参照:トライベック・ブランド戦略研究所「サステナビリティサイトランキング2026」(2026年発表)
ESG評価機関系(投資家向け)
ESG評価機関系は、機関投資家の投資判断に使われる非公開スコアが中心です。MSCI、FTSE Russell、S&Pグローバルなどが業種内の相対評価でレーティングを提供し、CDPは気候変動などの情報開示状況を公開スコアとして示しています。これらのスコアは投資家向けの有償レポートとして提供されることが多く、一般消費者が目にする国内系のランキングとは評価の目的も対象読者も異なります。企業側は、投資家対応の一環としてアンケートに回答し、スコア向上を目指すのが一般的な流れです。
ランキングを読み解くときの注意点
ランキングを見るときは、開示している情報量の多さが、そのまま取り組みの実績の高さを意味するわけではない点に注意が必要です。同じ「サステナビリティランキング」でも、業種内での相対評価なのか、業種を問わない絶対値評価なのかで結論が変わるため、まず評価対象の年度と評価軸を確認してから数字を比較することをおすすめします。
| 分類 | 代表的な指標・団体 | 評価主体 | 主な評価対象 |
|---|---|---|---|
| グローバル系 | Global 100 Index、TIME誌ランキング | 海外の調査会社・メディア | 業種横断の排出量原単位など |
| 国内系 | JSBI、サステナビリティサイトランキング | 国内の調査会社 | 消費者認知・Web開示の充実度 |
| ESG評価機関系 | MSCI、FTSE Russell、S&P、CDP | グローバルESG評価機関 | 投資リスク・開示状況 |
同じ企業でも、参照する指標によって評価が異なることは珍しくありません。国内の消費者向けランキングで上位でも、投資家向けのESG評価機関系スコアでは平均的な評価にとどまるケースもあります。自社がどの読者・利用者から見られたいのかを先に決めてから、対応する指標を選ぶ順序が遠回りに見えて確実です。
自社をサステナビリティ企業として評価してもらうには

サステナビリティ企業として評価されるには、重要課題(マテリアリティ)の特定、情報開示の整備、外部評価機関やランキングへの回答という段階を順に踏むのが基本の流れです。一度の対応で終わらせず、評価結果を踏まえて開示内容を見直す継続的なサイクルが欠かせません。
- 自社の事業と関わりの深い環境・社会課題(マテリアリティ)を特定する
- サステナビリティレポートや自社サイトで、特定した課題への取り組みと数値目標を開示する
- ESG評価機関のアンケートやランキングの調査項目に、開示内容を照らして回答する
- 評価結果・スコアを確認し、不足していた開示項目や取り組みを次年度に反映する
最初のステップであるマテリアリティの特定でつまずく企業は少なくありません。あれもこれもと課題を並べてしまうと、開示すべき情報も取り組みの優先順位もぼやけてしまいます。自社の事業内容と照らして、影響が大きい課題を3〜5個程度に絞り込むことが、その後の情報開示や外部評価への対応をスムーズにする土台になります。
中小企業がサステナビリティ企業を目指す場合
サステナビリティサイトランキングや日経SDGs経営調査といった主要な指標は、上場企業や大手企業が対象の中心になりやすいのが実情です。中小企業の場合は、自社の事業に関わりの深い課題を1つずつ選び、全従業員を巻き込みながら取り組みを進めるステップ型のアプローチが現実的です。
参照:中小機構「挑戦する中小企業 次世代へつなぐ新ビジネス/サステナビリティ・SDGs」(2026年9月時点)
サステナビリティ企業として評価されている実例

ここでは、国内系の指標・表彰制度で高く評価された企業の実例を五十音順で紹介します。ランキングでの評価が高い順ではありません。
カゴメ
トマト加工品を中心とする食品メーカーです。国内工場での再生可能エネルギー活用や、ペットボトル容器の100%リサイクル素材化など、原材料から容器包装まで一貫した取り組みを進めています。野菜の栽培・収穫・調理を体験する「植育」など、事業と結びついた社会貢献活動も展開しています。トライベック・ブランド戦略研究所の「サステナビリティサイトランキング2026」で総合1位を獲得しました。
参照:サステナビリティサイトランキング2026(2026年発表)、カゴメ株式会社公式サイト
ソフトバンク
通信事業を中核とする企業で、取締役会の諮問機関として「SDGs推進委員会」を設置し、代表取締役社長が最高SDGs推進責任者を務める推進体制を敷いています。DXによる社会・産業の構築やテクノロジーの力による地球環境への貢献など、6つのマテリアリティを特定して活動しています。「第6回日経SDGs経営大賞」で2年連続の大賞を受賞しました。
参照:日本経済新聞「日経SDGs経営大賞、ソフトバンクなど5社表彰」(2024年11月26日表彰)、ソフトバンク株式会社公式サイト
東レ
炭素繊維や機能素材を手がける素材メーカーです。「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」を策定し、2030年度に向けた数値目標(KPI)を明示している点が特徴です。革新技術・先端材料の提供を通じて、社会の「発展」と「持続可能性」の両立を目指す姿勢を掲げています。サステナビリティサイトランキング2026で総合2位でした。
参照:サステナビリティサイトランキング2026(2026年発表)、東レ株式会社公式サイト
TOPPANホールディングス
印刷技術を起点に事業を広げる企業グループです。「事業活動マテリアリティ」と「全社活動マテリアリティ」を分けて設定し、食品ロス削減につながる電子タグの活用や、リサイクル適性を高めたサステナブルパッケージの開発などを進めています。サステナビリティサイトランキング2026で総合3位でした。
参照:サステナビリティサイトランキング2026(2026年発表)、TOPPANホールディングス株式会社公式サイト
サステナビリティ・ESG経営を支援する会社
ここでは、サステナビリティ・ESG経営の戦略策定や情報開示を支援する会社を五十音順で紹介します。おすすめ順ではありません。個別のコンサル会社をより詳しく比較したい場合は、サステナビリティコンサル7社を比較|料金非公開の理由と選び方もあわせてご覧ください。
イースクエア
2000年創業のサステナビリティ・ESG経営専門のコンサルティング会社です。ビジョン策定やマテリアリティ特定から情報開示、人財育成、海外展開まで幅広く支援します。25年以上・2,000件超の支援実績があり、FTSEやMSCIといったESG評価機関への対応実績も豊富です。CSRやサステナビリティ経営の黎明期から企業を支援してきたグローバルな視点も特徴です。
参照:イースクエア公式サイト
サステナブル・ラボ
ESG・非財務データに特化したデータサイエンス企業です。非財務データ分析ツール「TERRAST」を提供し、企業のESG情報を収集・分析します。CSRD・SSBJなど最新の開示基準への対応やScope1〜3排出量算定の効率化に強みを持ちます。金融機関やサプライヤー向けのデータ管理機能も備え、財務情報と非財務情報を統合して分析できる点も特徴です。
日経BPコンサルティング
日本経済新聞グループのコンサルティング会社です。ESG外部評価・開示フレームワークのアドバイザリーから、統合報告書・人的資本レポートの制作まで一貫して対応します。TCFD・SBT・CDPなど気候変動関連の開示に対応する6ステップの支援体制を備え、非上場企業にも対応します。GRIやSASBといった国際基準に基づいた開示支援や、サステナビリティサイトの制作までワンストップで手がけます。
日立コンサルティング
日立グループのコンサルティング会社です。ESG課題の特定・目標設定からデータ収集・分析、報告書作成までを支援します。AI・アジャイル手法を活用し、CSRDやSASBなど欧州規制への対応も含めて実装まで一体的にサポートする点が特徴です。環境技術やサーキュラーエコノミー分野での知見を活かし、マテリアリティの特定から実行支援までを一気通貫で提供します。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング
政策研究とコンサルティングを一体的に手がける総合シンクタンクです。ESG投資・情報開示、気候変動対策(TCFD対応)、資源循環、ビジネスと人権など幅広い領域を支援します。官公庁から民間企業まで多層的なクライアントに対応している点が強みです。社会課題をビジネス機会として捉える視点で、政策研究の知見をそのまま企業支援に活かせることも特徴です。
| 会社名 | 主な支援内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| イースクエア | 戦略策定・情報開示・人財育成 | 25年以上の実績と評価機関対応の豊富さ |
| サステナブル・ラボ | 非財務データの収集・分析 | 最新開示基準対応のデータツール「TERRAST」 |
| 日経BPコンサルティング | ESG評価対策・レポート制作 | 気候変動対応の6ステップ支援体制 |
| 日立コンサルティング | ESG目標設定・データ分析・実装 | AI・アジャイル手法による実装支援 |
| 三菱UFJリサーチ&コンサルティング | ESG投資・気候変動・人権対応 | 政策研究とビジネス支援の統合提供 |
よくある質問
サステナビリティ企業についてよく寄せられる質問をまとめました。
サステナビリティ企業は期限を定めない長期的な取り組みを指す包括的な概念です。SDGs企業は2030年までの17目標への取り組みを、ESG企業は環境・社会・ガバナンスを考慮した経営・投資活動を指し、いずれもサステナビリティ企業を構成する要素の一部にあたります。
世界規模で比較する「グローバル系」、国内の消費者視点で評価する「国内系」、機関投資家向けの「ESG評価機関系」の3種類に大きく分かれます。それぞれ評価対象や指標の性格が異なるため、投資家向けなのか消費者向けなのかなど、目的に合わせて参照する指標を選ぶ必要があります。
必ずしもそうとは限りません。開示している情報量の多さが、そのまま取り組みの実績の高さを意味するわけではなく、業種内の相対評価か業種を問わない絶対値評価かによっても結果の見え方が変わります。評価対象の年度と評価軸を確認したうえで数字を比較することが大切です。
主要なランキングは上場企業や大手企業が対象の中心になりやすいのが実情です。中小企業の場合は、自社の事業と関わりの深い課題を1つずつ選び、全従業員を巻き込みながら取り組みを積み上げるステップ型のアプローチが現実的です。
マテリアリティの特定、情報開示の整備、外部評価機関やランキングへの回答という順に進めるのが基本です。評価結果を踏まえて開示内容を見直す継続的なサイクルを回すことが欠かせません。自社だけで進めるのが難しい場合は、サステナビリティ・ESG経営を支援する会社に相談する方法もあります。戦略策定を中心に相談したいのか、データ収集・分析を中心に相談したいのかで、向いている支援会社のタイプも変わってきます。
まとめ
サステナビリティ企業とは、環境・社会・ガバナンスへの配慮を長期的に実践し、外部の指標やランキングでもその取り組みが可視化されている企業のことです。指標にはグローバル系・国内系・ESG評価機関系の3種類があり、評価対象の年度と評価軸を確認したうえで読み解く必要があります。自社が評価されるには、マテリアリティの特定から情報開示、外部評価への回答までを継続的なサイクルとして回すことが欠かせません。中小企業の場合は、大手向けのランキングを追いかけるよりも、自社に関わりの深い課題から着手するほうが現実的です。取り組みの入り口として、今回紹介した企業の実例や支援会社を参考にしてみてください。