HOSOOは、1688年創業の京都・西陣の織元である株式会社細尾が展開する、西陣織のテキスタイルブランドです。量産を前提とした日本の製造業で最高スコアの109.9でB Corp認証を取得したことを2026年7月に発表しており、古代染色や端材のアップサイクルなど、伝統工芸を未来へつなぐ取り組みでも知られています。
この記事では、HOSOOとは何かを会社概要・店舗・西陣織の特徴から整理し、B Corp認証の中身、実績の事例、同じ分野で取り組む企業、社会にもたらす良い影響までを、公式情報と国の統計に基づいて解説します。
この記事でわかること
- HOSOOと株式会社細尾の関係、会社概要と拠点の所在地
- 幅150cmの織機や古代染色など、HOSOOの西陣織の特徴
- B Corp認証のスコア109.9の読み方と、評価された取り組み
- GUCCIやフォーシーズンズホテル京都などの実績事例
- 同じ分野で取り組む企業3社の公式情報と同じものさしでの比較
- 養蚕・染料植物・端材など、社会や環境にもたらす良い影響
HOSOOとは?細尾が手がける西陣織ブランドの会社概要
HOSOOは、1688年創業の西陣織の織元・株式会社細尾が展開するテキスタイルブランドです。
株式会社細尾は、帯、きもの、インテリアファブリックの企画・製造卸・販売を事業としています。創業の元禄元年(1688年)から300年以上、京都の西陣で織物をつくり続けてきた会社です。公式サイトの実績ページには、建築やホテル、ファッションブランドとのプロジェクトが並びます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 社名 | 株式会社細尾 |
| 創業 | 元禄元年(1688年) |
| 設立 | 昭和35年6月(1960年) |
| 資本金 | 8,000万円 |
| 代表者 | 代表取締役社長 細尾真孝 |
| 社員数 | 70名(2023年6月現在) |
| 事業内容 | 帯、きもの、インテリアファブリックの企画、製造卸、販売 |
HOSOOは、株式会社細尾だけでなく複数の会社で構成されるグループとして運営されています。2026年7月に発表されたB Corp認証では、株式会社HOSOO Collective、株式会社HOSOO、株式会社細尾、株式会社KYOTO SILK HUBの4社が対象になっています。
参照:株式会社細尾「Company」、(2026年11月時点)
HOSOOの店舗と拠点はどこにある?
本社は京都市中京区、HOUSE of HOSOOは上京区、工房とファームは南丹市にあります。
公式サイトの会社概要に掲載されている拠点は3か所です。丹波の拠点は、工房と古代染色研究所&ファームとして掲載されています。訪問を考えている方は、公式サイトで最新の案内を確認してからお出かけください。
| 拠点 | 所在地 |
|---|---|
| 本社 | 京都市中京区両替町通姉小路下る柿本町412 |
| HOUSE of HOSOO | 京都市上京区黒門通元誓願寺下る毘沙門町752 |
| 丹波工房/古代染色研究所&ファーム | 京都府南丹市日吉町胡麻猫鼻20-4 |
公式サイトのトップページには、オンラインストアへのリンクも用意されています。価格は商品や協業の内容ごとに異なるため、この記事では公式に確認できた範囲を超える金額は掲載していません。
参照:HOSOO公式サイト、(2026年11月時点)
HOSOOの西陣織は何が違う?幅150cmの織機と古代染色

伝統の技を生かしつつ、幅150cmの織機と古代染色で用途を広げているのが特徴です。
西陣織は、先に糸を染めてから柄を織り出す京都・西陣の織物です。HOSOOはその技術を、帯やきものだけでなく建築や店舗の内装にも使えるテキスタイルへと発展させています。
業界標準を超える幅150cmの織機を開発
HOSOOは、業界標準を超える幅150cmの織機を開発し、テキスタイル事業に活用しているとしています。編集部の整理として、帯やきもの向けの狭い幅では内装材に使いにくいため、幅を広げることが壁面や家具などへの利用につながると考えられます。
参照:HOSOOグループ「コーポレートポリシー」、(2025年12月最終更新)
古代染色研究所で草木染めを復活
HOSOOは2021年に京都・西陣で古代染色研究所を設立しました。日本ムラサキや日本茜など、古くから染料に使われてきた植物による草木染めを進める拠点です。拠点は、かつて薬屋だった築100年以上の町家で、丹波の工房の隣には染料植物を育てる畑も用意されています。
2035年を当面の目標として、テキスタイル商品の1割を古代染色でつくる計画を掲げています。化学染料の使用は現時点で全商品に及んでいない、とも自ら明記しています。取り組みの到達点と課題の両方を公表している点は、情報を比べるうえで信頼しやすい部分です。
参照:HOSOO「Reviving Ancient Plant Dyeing」、(2026年11月時点)
関連記事:10YCとは?原価公開の仕組みと下取り・染め直し・修理の使い方
HOSOOのB Corp認証とは?スコア109.9の中身
HOSOOグループ4社が2026年7月にB Corp認証を取得し、スコアは109.9でした。
B Corpは、米国の非営利団体B Labが運営する国際認証です。ガバナンス、顧客、地域社会、環境、従業員の5領域・300項目以上を評価し、合格スコアは80以上とされています。
スコア109.9は何を意味するのか
HOSOOは2026年7月14日の発表で、認証スコアが109.9で、量産を前提とした日本の製造業として最高スコア、世界のテキスタイル製造業の認証企業の中で第6位になったと公表しました。比較の条件が量産を前提とした製造業に限られている点には注意が必要です。
| 項目 | HOSOOの公表内容 |
|---|---|
| 認証スコア | 109.9(合格スコアは80以上) |
| 日本国内の位置づけ | 量産を前提とした製造業として最高スコア |
| 世界のテキスタイル製造業 | 認証企業の中で第6位 |
| 認証の対象 | 株式会社HOSOO Collective、株式会社HOSOO、株式会社細尾、株式会社KYOTO SILK HUB |
| B Corp全体の状況 | 認証企業は約10,900社、スコアの中央値は87〜89と公表 |
参照:株式会社細尾「国際認証『B Corporation(B Corp)』を取得」、(2026年7月14日発表)
評価された取り組みの内容
発表では、領域ごとの評価された取り組みが挙げられています。5領域のうち、事業の中身に直結するものを整理すると次のとおりです。
- 環境:織機・設備の長寿命化、残糸・端材の活用、古代染色の研究、SBTiに基づく温室効果ガス排出量の定量評価、再生可能エネルギーとEVの導入、GOTS認証シルクやRCS認証素材の採用
- 地域社会:職人との継続的な協業、養蚕農家・職人への投資、大学・研究機関との協働、サプライチェーン全体での人権・環境への配慮
- 顧客:伝統工芸・文化の国内外への発信と、双方向のコミュニケーション
- 従業員:安全な職場環境、ワークライフバランス、キャリア開発支援
- ガバナンス:社会・環境課題を経営判断の中核に据えた意思決定
なお、5領域ごとの点数は発表には記載されていません。領域別の内訳が公表されれば、HOSOOがどの分野で強みをもつのかをより具体的に比べられます。
HOSOOの事例|ブランド・ホテル・メーカーとの協業
公式サイトの実績ページには、ホテル・ファッション・メーカーなど多くの協業が並びます。
HOSOOの実績ページには、ファッション、ホテル、メーカーなど幅広い分野のプロジェクトが並びます。ここでは、公式の個別ページで内容を確認できた3件を取り上げます。成果の数値は、公式ページに記載がないため書いていません。
HOSOO x GUCCI 3rd wave
HOSOOとGUCCIの協業の第3弾で、2024年9月に発売されたバッグです。GUCCIのGGパターンとフローラプリントのモチーフを組み合わせ、HOSOOのシグネチャーテキスタイル「Petals」の技法で織っています。本銀箔を織り込み、光の角度で輝きが変わる奥行きのある生地に仕上げています。
参照:HOSOO「HOSOO x GUCCI 3rd wave」、(2026年11月時点)
フォーシーズンズホテル京都
ホテルのデザインはHBAが担当し、HOSOOは全客室・スイートルーム・パブリックスペースのテキスタイルを担当しました。ホテルは2016年10月にグランドオープンしています。800年の歴史をもつ池庭を中心とした京都のリゾートホテルに、西陣の織物が使われた事例です。
参照:HOSOO「Four Seasons Hotel Kyoto」、(2026年11月時点)
GO ON × Panasonic「Electronics Meets Crafts:」
2017年に、パナソニックと共同で家電の新しい姿を提案するプロトタイプを開発し、ミラノサローネに出展しました。テキスタイルを触れると音楽が流れるスイッチとして使ったスピーカーを発表し、展示はミラノデザインアワード2017のBest Storytelling賞を受賞したと公式ページに記載されています。
参照:HOSOO「GO ON × Panasonic」、(2026年11月時点)
HOSOOと同じ分野で取り組む企業|伝統工芸と持続可能なものづくり
伝統工芸を現代に生かす企業は、HOSOOのほかにも各地にあります。公式情報で確認できた3社を並べます。
ここでは、日本の伝統工芸や織物を生かし、環境や地域に配慮したものづくりに関わる企業のうち、公式サイトで内容を確認できた3社を紹介します。公式サイトで確認できた企業が5社に満たなかったため、確認できた3社に絞っています。並び順は社名の五十音順で、優劣やおすすめの順ではありません。
HOSOOを含む4社を同じ項目で比べると
下の表は、各社が自社の公式ページで公表している内容だけを同じ項目で並べたものです。公式ページに記載がない項目は、推測せず「公表なし」としています。
| 企業 | 創業 | 事業の中心 | 環境・社会面の仕組み | 公表している数値 |
|---|---|---|---|---|
| 龍村美術織物 | 1894年 | 美術織物、帯 | 公表なし | 公表なし |
| 中川政七商店 | 創業300年と公表 | 日本の工芸品の企画・販売 | 全国のつくり手と協力してものづくり | 協力するつくり手は全国800 |
| 能作 | 1916年 | 錫100%の製品、鋳物全般 | 使用済みの能作の錫製品を回収し、新しい製品に再生 | 従業員253人(連結、2025年12月1日現在) |
| HOSOO(株式会社細尾) | 1688年 | 帯、きもの、インテリアファブリック | 古代染色の研究、端材の回収とアップサイクル、国内調達50%以上を方針に | B Corp認証スコア109.9、社員70名(2023年6月現在) |
龍村美術織物
1894年の創業以来、織物の研究と復元、独創性のある帯づくりを通じて「美術織物」という分野を確立してきたと公式サイトに記載がある京都の織元です。製品は美術織物から産業用資材までに及びます。緞帳、祇園祭の放下鉾の天井幕、The Okura Tokyoの飾り壁などの制作実績が掲載されています。
参照:龍村美術織物公式サイト、(2026年11月時点)
中川政七商店
日本の工芸を通じて、現在から百年先まで心地よい暮らしをつくり続けることを掲げる企業です。工芸は風土と人がつくるものだという考えのもと、全国800のつくり手と協力してものづくりを行っていると公式サイトで公表しています。
参照:中川政七商店「About」、(2026年11月時点)
能作
富山県高岡市の鋳物メーカーで、1916年創業、錫100%の食器やインテリア用品を製造しています。錫リサイクルプロジェクトでは、使用済みの能作の錫製品を直営店やオンラインショップで回収し、能作の職人が新しい製品に生まれ変わらせます。SDGsの取り組みとして、環境、地域、次世代育成、伝統工芸の継承、働きやすい職場づくりの5分野を挙げています。
参照:能作「会社概要」、能作「錫リサイクルプロジェクト」、能作「SDGsへの取り組み」、(2026年11月時点)
HOSOOが伝統工芸と自然環境にもたらす良い影響

HOSOOの取り組みは、国産絹の供給、絶滅危惧の染料植物、織りの端材の3点で社会や環境に効きます。
ここからは、HOSOOの取り組みがどのように社会や環境の役に立つのかを、HOSOO自身の公表内容と国の統計に分けて整理します。公表されている数値がない項目は、仕組みの説明にとどめます。
国産絹の養蚕農家を支える
HOSOOは、国内で流通するきもの・帯の約99.5%が輸入シルクに頼っている現状を課題として挙げ、希少な蚕種の復活や生産農家との連携に取り組んでいます。国産絹の需要をつくることは、養蚕農家が続けられる環境を保つことにつながります。採用目標として、2035年に全シルク商品の半分、2045年に全量を掲げています。
国内の養蚕は、農林水産省の統計で大きく縮小していることが分かります。令和7年の養蚕農家は113戸、繭生産量は31tでした。平成26年(393戸、149t)と比べると、農家数は113÷393で約29%、繭生産量は31÷149で約21%にあたります(編集部推計)。HOSOOが公表している輸入シルクへの依存の大きさと、国内の供給量の小ささが同じ方向を指しています。
| 年 | 養蚕農家数(戸) | 繭生産量(t) |
|---|---|---|
| 平成元年 | 57,230 | 26,819 |
| 平成26年 | 393 | 149 |
| 令和3年 | 186 | 61 |
| 令和5年 | 146 | 45 |
| 令和6年 | 134 | 38 |
| 令和7年 | 113 | 31 |
編集部推計の数値は農林水産省の公表値から計算したもので、HOSOOの年間の絹の使用量は公表されていないため、HOSOOの取り組みが国内全体にどれだけの規模で効くかは示せません。需要側が国産絹を選ぶことは、供給の細りを止める一つの手段になりうる、という整理にとどめます。
参照:農林水産省「蚕糸業をめぐる事情」、(令和8年9月版)
絶滅危惧の染料植物を畑で育てる
HOSOOは、日本茜(絶滅危惧IA類)と日本ムラサキ(絶滅危惧IB類)を染料に使うだけでなく、自社の工房で栽培を進めています。2050年までにレッドリストの対象外となることを、野心的な目標として掲げています。染料として使い続ける需要があるから栽培が続く、という仕組みです。
染めの需要が自然環境の保全に結びつく点が、古代染色の社会的な意義です。ただし、目標の達成度を示す数値は公表されていないため、進捗は今後の公表を待つ段階です。
織りの端材を焼却せずに活かす
製織の工程で出る端材は、原則として回収し、アップサイクルで焼却を避ける方針です。焼却による温室効果ガスの排出は、2035年までにゼロにすることを目指しています。あわせて、2025年に自社施設の電力を再生可能エネルギー100%へ移行したとしており、2030年までにScope1・2の排出ゼロ、2040年までにScope3の実質ゼロを目標にしています。
関連記事:JEPLANとは?BRINGの服の回収とペットボトル再生の仕組み
地域の調達と若手職人の雇用を守る
HOSOOは、西陣・京都・近隣地域や国内からの調達比率を、全社の調達額の50%以上に保つ方針を示しています。着物事業では、全国40地域以上の地域産品を扱い、その背景も伝えています。若手職人の採用と安定した所得を重要課題に位置づけている点も、技を次の世代へ引き継ぐ土台になります。
読者や企業が関われる点としては、HOSOOが公表する認証スコアや調達方針を、取引先や購入先を選ぶ際の比較の材料に使うことが挙げられます。
関連記事:九鬼ごまとは?フェアトレード商品と国産ごまの取り組み、買い方
よくある質問
HOSOOについて、よく検索される疑問に答えます。
1688年創業の西陣織の織元、株式会社細尾が展開するテキスタイルブランドです。帯やきものに加え、建築やファッションブランド向けのテキスタイルを手がけています。
109.9です。2026年7月に認証を取得し、量産を前提とした日本の製造業として最高スコア、世界のテキスタイル製造業の認証企業で第6位と公表されています。
本社は京都市中京区、HOUSE of HOSOOは京都市上京区にあります。丹波には工房と古代染色研究所&ファームがあります。最新の案内は公式サイトで確認してください。
商品や協業の内容ごとに異なり、この記事では公式で確認できた価格を掲載していません。公式サイトのオンラインストアで、最新の価格を確認してください。
4社です。株式会社HOSOO Collective、株式会社HOSOO、株式会社細尾、株式会社KYOTO SILK HUBが対象になっています。
まとめ
HOSOOは、1688年創業の細尾が展開する西陣織のブランドです。要点は次のとおりです。
- HOSOOは株式会社細尾の西陣織テキスタイルブランドで、拠点は京都と丹波にあります。
- 幅150cmの織機と古代染色で、内装やファッションまで用途を広げています。
- 2026年7月にB Corp認証を取得し、スコアは109.9と公表されています。
- 国産絹、絶滅危惧の染料植物、織りの端材など、伝統工芸と環境の両面で取り組みを進めています。
- 同じ分野の企業として、龍村美術織物、中川政七商店、能作の公式情報を比べられます。