宮城県石巻市・牡鹿半島の桃浦(もものうら)を拠点とする合同会社もものわは、「山が枯れたら海が枯れる」という言葉をきっかけに、荒れた人工林の間伐に取り組んでいる会社です。間伐で採れる杉の球果を生かした「杉ハーブティー」は、「飲む森林浴」として地域内外で愛飲されています。
チェーンソー技術指導や森林環境教育、森林資源の活用を組み合わせた取り組みは、2025年度の第13回グッドライフアワードで環境大臣賞を受けました。
この記事でわかること
- もものわが「海をよくする林業」に取り組む理由
- チェーンソー技術指導・森林環境教育・森林資源の活用の3つの事業
- 杉の球果からつくる「杉ハーブティー」の特徴と飲み方
- 杉ハーブティーを扱うお店と、もものわの受賞歴
- 合同会社もものわの基本情報
「山が枯れたら海が枯れる」から始まった、海をよくする林業

もものわは、海の豊かさを守るために森を手入れする「海をよくする林業」に取り組んでいます。きっかけは、桃浦で出会った漁師が語った「山が枯れると海も枯れる」という言葉でした。
森優真さんと佳代子さん夫妻は、東日本大震災のあとに石巻へ移住し、被災者支援を続けるなかで林業の大切さに気づきました。山から海へ流れる栄養はプランクトンのえさとなり、海の生態系の支えとなるものです。桃浦の山に入ってみると森は暗く荒れていたため、優真さんは林業の知識と経営を学び、チェーンソーの技術を身につけて、もものわを立ち上げました。
間伐で光の差す森をとりもどす
植林や下草刈り、枝打ち、間伐といった手入れが行き届かないと、森は土を保つ力や水を蓄える力を失っていきます。もものわは間伐を進めて林内に日光を届け、下層植生が育つ森づくりを続けてきました。二人が木を切り始めてから、森で鳥などの生き物を見かけることが増えたそうです。
環境省グッドライフアワードの現地訪問の記事によると、もものわは天然林への再生を目指し、広葉樹を残しながら杉を中心に伐採しています。伐った木は、斜面の土留めや林内の歩道、防鹿柵などとして、現地でも生かされているのが特徴です。
関連記事:カーボンニュートラルと循環型社会|持続可能な未来を実現する二つの柱
関連記事:シーフードレガシーとは?事業内容とサミット・調達ラウンドテーブル
3つの事業で森と人をつなぐ
もものわは「チェーンソー技術指導」「森林環境教育」「森林資源の活用」の3つの事業を軸に、人・自然・地域・産業を結びつけた循環づくりを進めています。木を一本も余すことなく生かすことを目指しているのが、もものわの取り組みの特徴です。
| 事業 | 主な内容 |
|---|---|
| チェーンソー技術指導 | 全国の災害現場の最前線で活動するレスキュー隊員に向けて、救助現場に特化したチェーンソートレーニングを提供 |
| 森林環境教育 | 森里海の循環や資源活用起業論、自然と調和した復興などをテーマに、企業研修や学生を受け入れ。森林浴×森林整備体験、森林×スポーツ体験、森林×コスメ体験などのプログラムや出張講習も展開 |
| 森林資源の活用 | 間伐材や端材に加え、林地に残されがちな樹冠や根株も活用。デザイナーとの協働で都内のオフィスや店舗の内装材にするほか、地元企業と新しい商品も開発 |
訓練を重ねるほど間伐が進むチェーンソートレーニング
チェーンソートレーニングでは、間伐が必要な木を先に伐り倒して、災害現場に近い状況を林内につくります。レスキュー隊がその木を伐ることで技術を高めるしくみです。隊員がトレーニングをすればするほど、森の間伐も進んでいきます。一般の人からチェーンソー指導の要望があれば、同じようなプログラムも提供しています。
杉の球果からつくる「杉ハーブティー」

「杉ハーブティー」は、林業の現場ではほとんど使われずに山に残される杉の球果(杉ぼっくり)を生かしたハーブティーです。球果が放つフルーティーな香りに気づいた二人が、未利用の資源を生かそうと商品化しました。
球果は木の高いところにあり、地面に落ちたものは香りが飛んでしまいます。新鮮な球果を収穫するには間伐が必要になるため、お茶をつくるほど森の手入れが進むしくみです。公式サイトでは、飲めば飲むほど森林環境が整備される「ティーカップ一杯でできる森林環境貢献」と紹介されています。
おすすめの飲み方
杉ハーブティーは、杉の球果をグリーンルイボスとブレンドし、さわやかな味わいに仕上げています。
| 原料 | 杉の球果、グリーンルイボス |
|---|---|
| カフェイン | ノンカフェイン |
| 1袋でつくれる量 | ティーバッグ1つ(2g)で200cc |
| 基本の飲み方 | お湯で3〜5分抽出するホットティー |
| アレンジ | 冷やして飲む、お酒や炭酸で割る |
炭酸割りは肉料理との相性がよく、石巻駅の「Reborn-Art STAND」でも提供されています。一年ほど保存できるため、石巻のお土産にも向いているでしょう。
石巻の仲間と一緒につくるお茶
杉ハーブティーの製造には、石巻市の事業者が協力しています。ブレンドを手がけるのは「TEAVER TEAFACTORY」で、球果の選別を担当するのは障がい者就労支援施設「あっぷるぷらす」です。コラボパッケージには、あっぷるぷらすの利用者のアート作品が使われています。
杉ハーブティーのお取り扱い店舗
杉ハーブティーは、石巻市や仙台市などの飲食店で取り扱われています。お取り扱い店舗は、公式サイトで順次更新されています。
環境大臣賞などの受賞

もものわの取り組みは、環境省のグッドライフアワードで環境大臣賞を受けるなど、外部からも評価されています。受賞した取り組みのテーマは、いずれも「人命と海洋環境を守る循環型森林整備システムの構築」です。
| 時期 | 受賞 | 主催 |
|---|---|---|
| 2025年12月 | 第13回グッドライフアワード 環境大臣賞(地域コミュニティ部門) | 環境省 |
| 2025年12月 | 第5回ニュービジネスコンテスト(きたぎんBusiness Pitch 2025)起業部門 優秀賞 | 北日本銀行 |
グッドライフアワードの受賞プレゼンテーションでは、杉ハーブティーを通じて台湾やシンガポールとの縁が生まれていることも紹介されました。もものわは、森と海の循環を国内外へ広げる活動を続けています。
関連記事:GOOD LIFE フェアを解説|入場料・出展企業・環境省との違い
担当者からのひとこと
合同会社もものわから寄せられたコメントは、次のとおりです。
飲む森林浴という新しい体験を、ぜひ多くの人に知っていただけたらと思います。
取材協力:合同会社もものわ 代表社員 森優真様
合同会社もものわの基本情報
杉ハーブティーは、公式サイトのオンラインストアと、石巻市・仙台市などのお取り扱い店舗で購入できます。森林環境教育のプログラムや研修の相談は、公式サイトのお問い合わせから受け付けています。
| 会社名 | 合同会社もものわ |
|---|---|
| 代表社員 | 森優真 |
| 所在地 | 宮城県石巻市桃浦米久保2 |
| 主な事業 | チェーンソー技術指導、森林環境教育、森林資源の活用 |
| 主な商品 | 杉ハーブティー、杉プレート、森のフレグランス |
| 公式サイト | https://momonowainfo.wixsite.com/momonowa |
| @momonowa_1 |
よくある質問
もものわの杉ハーブティーと取り組みについて、よくある質問にお答えします。
杉の球果(杉ぼっくり)を使い、グリーンルイボスとブレンドしてつくられています。球果は、間伐をしながら新鮮なものを収穫しています。
ノンカフェインのハーブティーです。ティーバッグ1つ(2g)で200ccのお茶をつくれます。
公式サイトのオンラインストアのほか、藤崎 石巻店やIRORI石巻などのお取り扱い店舗で購入できます。お店の一覧は公式サイトで順次更新されています。
森林浴×森林整備体験、森林×スポーツ体験、森林×コスメ体験などのプログラムがあります。企業研修や学生の受け入れ、出張講習も行っています。
まとめ
合同会社もものわは、宮城県石巻市・牡鹿半島の桃浦で、海の豊かさにつながる森づくりを続けている会社です。
- 「山が枯れたら海が枯れる」という言葉をきっかけに、荒れた人工林の間伐に取り組んでいます
- チェーンソー技術指導・森林環境教育・森林資源の活用の3つの事業で、森と人をつないでいます
- 杉ハーブティーは、山に残されがちな杉の球果を生かしたノンカフェインのハーブティーです
- 2025年度の第13回グッドライフアワードで、環境大臣賞(地域コミュニティ部門)を受賞しました
- 杉ハーブティーは、公式サイトのオンラインストアや石巻市・仙台市などのお店で購入できます