健康経営優良法人とは?認定基準と2027申請の要点を解説

健康経営優良法人とは、経済産業省の後押しのもと日本健康会議が認定する、優良な健康経営を実践する企業を顕彰する制度です。2026年8月17日、最新の「健康経営優良法人2027」の申請受付が始まり、大規模法人部門は10月9日、中小規模法人部門は10月16日が申請期限となっています。

この記事でわかること

  • 健康経営優良法人の制度概要と2つの部門の違い
  • 認定基準とホワイト500・ブライト500の位置づけ
  • 「健康経営優良法人2027」の申請スケジュールと変更点
  • 認定取得を支援する会社と、実際に認定されている企業の例

健康経営優良法人とは?経済産業省と日本健康会議が認定する制度

デスクで書類を確認しながら微笑むビジネスパーソン

健康経営優良法人とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践している企業を

同じく企業の取り組みを客観的な基準で見える化する仕組みとして、性的マイノリティへの配慮を評価するPRIDE指標もあり、あわせて確認する企業が増えています。

日本健康会議が「見える化」して顕彰する認定制度です。

経済産業省は健康長寿社会の実現に向けた取り組みの一つとして「健康経営」を推進しており、その普及策として平成28年度(2016年度)に本制度を創設しました。制度の運営事務局は日本経済新聞社が務めています。認定を受けると「健康経営優良法人」ロゴマークの使用が可能になるほか、自治体や金融機関からさまざまなインセンティブを受けられます。

認定の母体となる日本健康会議は、経済団体・医療団体・保険者などの民間組織と自治体が連携し、職場や地域で具体的な健康施策を実現するために組織された活動体です。健康経営優良法人は、この日本健康会議が各法人の調査回答をもとに認定します。

対象となるのは株式会社などの会社法人だけでなく、士業法人、特定NPO、医療法人、社会福祉法人なども含まれます。ただし経営トップのみの1人法人は対象外で、従業員を1人以上雇用していることが申請の前提となります。

参照:経済産業省 健康経営優良法人認定制度

大規模法人部門と中小規模法人部門の違い

健康経営優良法人には企業規模で分かれる2つの部門があり、評価方法・上位認定の呼び方・申請料がそれぞれ異なります。

2026年3月9日発表の「健康経営優良法人2026」では、大規模法人部門に3,765法人、中小規模法人部門に23,085法人が認定されました(認定期間:2026年3月9日〜2027年3月31日、経済産業省発表)。2つの部門の違いは次のとおりです。

項目大規模法人部門中小規模法人部門
評価の基礎健康経営度調査への回答認定申請書の提出
上位認定の呼称ホワイト500(上位500法人)ブライト500(上位500法人)/ネクストブライト1000(501〜1500位)
2026年の認定数3,765法人23,085法人
申請料(税込)88,000円16,500円

中小規模法人部門だけでも2万社を超える法人が認定されており、中小企業にとっても十分に狙える制度であることがわかります。どちらの部門に申請するかは会社法上の規模区分ではなく、業種ごとに定められた常時使用する従業員数や資本金の基準で決まるため、自社がどちらに該当するかは「健康経営優良法人認定事務局ポータルサイト」で確認しておくと申請時の手戻りを防げます。

健康経営優良法人の認定基準|5つの評価項目

認定基準は「経営理念・方針」「組織体制」「制度・施策実行」「評価・改善」「法令遵守・リスクマネジメント」の5つの大項目で構成されており、調査票の各設問に実態を踏まえて自己評価する形で審査されます。

評価項目主な内容
経営理念・方針健康経営を経営理念に位置づけ、社内外に明文化しているか
組織体制健康経営を推進する担当者・部署を設置しているか
制度・施策実行健康課題の把握、長時間労働の是正、禁煙支援、メンタルヘルス対策などを実施しているか
評価・改善施策の効果を検証し、翌年度以降の改善につなげているか
法令遵守・リスクマネジメント労働関連法令を遵守し、健康リスクへの備えを整えているか

大規模法人部門では2026年度調査から、取締役会や経営会議での議論・意思決定をより具体的に問う設問への変更、従業員が自身のPHR(パーソナルヘルスレコード)を専門職に共有できる体制を問う項目の追加、性別を問わない「プレコンセプションケア」に関する設問の新設が行われました。中小規模法人部門でも、育児・介護と仕事の両立支援、高年齢従業員への健康対応という2項目が新たに評価対象に加わっています。

健康経営度調査への回答法人数は年々増加しており、前年度は4,175法人が回答しました。日経平均株価を構成する225銘柄のうち8割を超える企業が回答するなど、業界を代表する企業の多くが経営戦略の一つとして健康経営に取り組んでいます

調査票は5つの大項目のもとに数十の設問が並ぶ構成で、そのすべてを満点にする必要はありません。中小規模法人部門では、健康課題の把握や長時間労働の是正といった基礎的な取り組みを積み重ねるだけでも認定ラインに届くケースが多く、まず取り組みやすい項目から着手する企業が少なくありません。

参照:経済産業省プレスリリース(2026年8月17日確認)

健康経営優良法人に認定される4つのメリット

オフィスでミーティングを行う多様なメンバーのチーム

健康経営優良法人の認定を受けると、採用・企業イメージ・生産性・資金調達の4方向でメリットが期待できます。

人材確保に有利になる

求職者に対して「従業員の健康に配慮する企業」であることを客観的に示せるため、採用活動でのアピール材料になります。新卒・中途を問わず、働きやすさを重視する求職者への訴求力が高まり、採用サイトや求人票に認定ロゴマークを掲載する企業も増えています。特に人材獲得競争が厳しい中小企業にとっては、大企業と並ぶ客観的な指標を持てる点が実務上のメリットになります。

企業イメージが向上する

認定ロゴマークを名刺や採用サイト、統合報告書などに掲示できるため、取引先や株主に対する信頼性の向上につながります。日本生命保険相互会社のように10年連続でホワイト500に認定され、対外的な発信を継続している例もあります。第三者機関による外形的な評価であるため、自社発信の「働きやすさ」よりも説得力を持たせやすいのも特徴です。

従業員の定着率・生産性が向上する

健康課題の把握と改善を制度として継続することで、離職率の低下や生産性の向上が期待できます。長時間労働の是正やメンタルヘルス対策は、結果として現場の業務効率にも直結します。認定取得を目的化せず、施策そのものを毎年見直すPDCAとして運用することが、この効果を持続させるポイントです。

金融機関・自治体からインセンティブを受けられる

認定法人に対して、金融機関による融資の金利優遇や、自治体の入札・補助金審査における加点措置を設けている地域があります。具体的な優遇内容は取引先の金融機関や所在自治体ごとに異なるため、個別に確認が必要です。地方自治体が独自に実施する「健康経営顕彰制度」と連動しているケースもあり、地域単位での加点も見込めます。

【2026年8月17日】健康経営優良法人2027の申請受付が始まりました

経済産業省は2026年8月17日、「健康経営優良法人2027」の申請受付を開始したと発表しました。今まさに動き出したばかりの認定サイクルです。詳しいスケジュールは以下のとおりです。

部門回答・申請期間選定・認定時期
大規模法人部門(健康経営度調査)2026年8月17日(月)〜10月9日(金)17時2027年3月頃(予定)
中小規模法人部門(認定申請書)2026年8月17日(月)〜10月16日(金)17時2027年3月頃(予定)

2026年度からの変更点として、健康経営度調査に回答した大規模法人部門の全法人と、ブライト500に申請した中小規模法人部門の法人にフィードバックシートが交付されます。ブライト500申請法人はこのフィードバックシートを自社ホームページ上で開示することが新たな認定要件に加わりました。また2026年度からは、通算10回以上健康経営銘柄に選定された企業を対象にした「健康経営銘柄Premier」も新設されています。申請を検討している法人は、締切まで2カ月弱しかないため早めの準備が必要です。

初めて申請する法人は、まず自社が大規模法人部門と中小規模法人部門のどちらに該当するかを確認したうえで、健康診断の実施状況やストレスチェックの記録など申請書類の土台となる社内データを今のうちに整理しておくことをおすすめします。すでに認定を受けている法人も、2026年度から追加された評価項目に自社の取り組みが対応できているかを早めに点検しておくと、締切間際の慌ただしさを避けられます。

参照:経済産業省 プレスリリース、2026年8月17日確認、経済産業省プレスリリース(2026年8月17日確認)

健康経営優良法人の取得ステップと費用

認定取得までは、健康宣言から申請・審査まで一連の手順を踏む必要があり、初めて取り組む場合は数カ月単位の準備期間を見込んでおくと安心です。

手順内容
1. 健康宣言健康経営に取り組む方針を社内外に表明する(協会けんぽの健康宣言事業などへのエントリーが必要な場合がある)
2. 推進体制の整備健康経営を担当する部署・担当者を配置する
3. 健康課題の把握健康診断結果やストレスチェックをもとに自社の課題を洗い出す
4. 施策の計画・実行長時間労働是正やメンタルヘルス対策など具体的な施策を実行する
5. 評価・申請施策の効果を評価し、健康経営度調査または認定申請書を提出する

費用面では、申請料は中小規模法人部門16,500円、大規模法人部門88,000円(いずれも税込)で、認定は翌年3月31日まで有効なため毎年の更新申請が必要です。申請料以外に、施策の実行やコンサルティングを外部に依頼する場合は別途費用がかかります。

注意点として、認定基準を満たすまでには健康診断の実施状況の整理やストレスチェックの実施など、社内制度の見直しに一定の準備期間がかかります。健康宣言から初回の申請までを数カ月〜1年程度のスケジュールで見込んでおくと、締切に追われずに準備を進められます。

サステナビリティと人的資本の関係を経営戦略として整理しておくと、健康経営優良法人の申請書類づくりもスムーズになります。詳しくはサステナビリティと人的資本の関係とは?で解説しています。

健康経営優良法人の取得を支援する会社6選

木製テーブルを囲んで休憩をとりながら話し合う会社員たち

健康経営優良法人の取得支援会社は数多くありますが、ここでは五十音順で6社を紹介します。順不同であり、特定の会社を推奨するものではありません。社内に健康経営の担当者を置く余裕がない企業ほど、外部の伴走支援を受けることで準備期間を短縮できる傾向があります。自社の規模や課題、依頼したい範囲に合わせて比較検討してください。

より多くの選択肢を比較検討したい場合は、健康経営コンサル8社の費用相場と選び方を比較した記事もあわせてご覧ください。

アポプラスキャリア株式会社

産業医・産業保健師が関わる健康経営コンサルティングサービスを提供しています。健康宣言から環境整備、健康課題の把握、計画策定、施策評価、認定取得までの6段階の支援フローを用意しているのが特徴です。業種・業界別の提案にも対応し、大企業から中小企業まで幅広い規模の企業を支援しています。

参照:アポプラスキャリア株式会社

エムスリーヘルスデザイン株式会社

医師34万人以上が登録するm3.comを運営するグループの一員で、約40年の産業保健の知見をもとにしたコンサルティングを提供しています。現状診断から年間アクションプランの作成、健康経営度調査票の回答支援まで伴走し、2024年〜2026年2月の支援企業で認定取得率100%という実績を公表しています。

参照:エムスリーヘルスデザイン株式会社

株式会社カサマ

関西を拠点に、健康経営エキスパートアドバイザー(東京商工会議所認定)が中小企業の認定取得を支援する会社です。オンライン対応で全国の企業をサポートしており、認定に落選した場合も追加費用なしで取得まで支援を継続する保証を掲げています。

参照:株式会社カサマ

株式会社タニタヘルスリンク

体組成計などで知られるタニタグループの健康支援会社で、中小規模法人部門の認定取得を対象にサポートを提供しています。アセスメントや計画書策定に加え、健康管理アプリを使ったウォーキングラリーやオンラインセミナーなど、継続的な取り組みを後押しするデジタルコンテンツが充実しています。

参照:株式会社タニタヘルスリンク

パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社

人材大手パーソルグループの一社で、現状可視化・認定取得支援・改善フォローの3段階で伴走します。ストレスチェックやヘルスリテラシー研修といった施策の実行支援まで一貫して依頼できる点が特徴で、全国複数拠点で対面・オンラインの両方に対応しています。

参照:パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社

プラグマグループ

会計・労務など経営の伴走支援を手がけるグループで、健康経営優良法人の取得後の運用定着まで見据えたサポートを提供しています。社内に専任担当者を置く余裕がない企業向けに必須事項のみ自社対応し、それ以外は外部リソースを活用する設計を用意している点が特徴です。

参照:プラグマグループ

会社名主な対象部門特徴
アポプラスキャリア株式会社大規模・中小規模産業医・産業保健師による6段階の支援フロー
エムスリーヘルスデザイン株式会社大規模・中小規模認定取得率100%を公表する伴走支援
株式会社カサマ中小規模取得まで追加費用なしで支援を継続
株式会社タニタヘルスリンク中小規模健康管理アプリを使った継続支援
パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社大規模・中小規模施策の実行支援まで一貫対応
プラグマグループ中小規模必須事項のみ自社対応する設計

支援会社を選ぶ際は、初めての認定取得なのか更新・上位認定(ホワイト500やブライト500)を狙うのかによって適した会社が変わります。申請書類の作成だけを依頼したいのか、施策の実行まで任せたいのかを整理してから問い合わせると、見積もりの比較もしやすくなります。

社内で健康経営を推進する担当者を育てたい場合は、資格取得という選択肢もあります。健康経営アドバイザーとは?取得方法と企業での活かし方を解説では、資格の概要や取得方法、実務での活かし方を紹介しています。

健康経営優良法人に認定されている企業事例

ここでは五十音順で、自社の公式発表をもとに確認できた認定企業を4社紹介します。順不同であり、認定企業の優劣を示すものではありません。

株式会社asken(あすけん)

食事管理アプリ「あすけん」を運営する同社は、健康経営優良法人2026(中小規模法人部門)のブライト500に2年連続で認定されました。「ひとびとの明日を今日より健康にする」という企業ミッションのもと、従業員が心身ともに健康に働ける環境づくりを進めています。

参照:株式会社asken

日本生命保険相互会社

健康経営優良法人2026(大規模法人部門)のホワイト500に10年連続で認定されました。定期健康診断で所定基準に該当した従業員への精密検査費用補助(最大1万円)や、全国の支社をオンラインでつないだマインドフルネス体験会などに取り組んでいます。

参照:日本生命保険相互会社

NECネッツエスアイ株式会社

健康経営優良法人2026(大規模法人部門)のホワイト500に認定されました。健康リテラシー向上のため管理職に日本健康マスター検定の取得を必須化し、全社員の4割が合格するなど、社員の健康知識の底上げに取り組んでいます。

参照:NECネッツエスアイ株式会社

FDK株式会社

電池メーカーとして知られる同社は、健康経営優良法人2026(大規模法人部門)のホワイト500に2024年から3年連続で認定されました。2023年に定めた健康宣言・健康経営方針に基づき、心身ともに健康で安全に働ける職場環境の構築を進めています。

認定企業の取り組みは、CSR活動の一環として発信されるケースも多く見られます。他社の事例はCSR活動とは?メリットや企業事例からわかりやすく解説でも紹介しています。また、認定ロゴマークの活用は企業ブランディングとは?初心者でもわかる基本から実践まで徹底解説で触れている対外発信の考え方とも関連します。

参照:FDK株式会社

よくある質問

健康経営優良法人についてよく寄せられる質問をまとめました。

Q
中小企業でも健康経営優良法人に認定されますか?
A

認定されます。健康経営優良法人2026では中小規模法人部門だけで23,085法人が認定されており、実際に多くの中小企業が取得しています。

Q
健康経営優良法人の認定にかかる費用はいくらですか?
A

申請料は中小規模法人部門が16,500円、大規模法人部門が88,000円(いずれも税込)です。認定は1年ごとの更新となるため、毎年申請料がかかります。

Q
健康経営優良法人2027の申請はいつまでですか?
A

2026年8月17日に受付が始まり、大規模法人部門は2026年10月9日17時、中小規模法人部門は2026年10月16日17時が締切です。認定発表は2027年3月頃の予定です。

Q
ホワイト500・ブライト500と健康経営優良法人はどう違いますか?
A

ホワイト500・ブライト500は健康経営優良法人の中でも特に評価の高い上位法人に付く呼称です。ホワイト500は大規模法人部門の上位500法人、ブライト500は中小規模法人部門の上位500法人を指します。

Q
認定の有効期間はどのくらいですか?
A

健康経営優良法人2026の場合、認定期間は2026年3月9日から2027年3月31日までです。翌年度以降も認定を維持するには、毎年あらためて申請する必要があります。

Q
「健康経営銘柄」と「健康経営優良法人」はどう違いますか?
A

健康経営銘柄は経済産業省と東京証券取引所が共同で選ぶ、上場企業を対象とした制度です。健康経営優良法人は上場・非上場を問わず幅広い法人が対象になる点が異なります。

まとめ

健康経営優良法人は、大規模法人部門と中小規模法人部門の2区分で日本健康会議が認定する制度で、2026年時点で合計26,850法人が認定されています。2026年8月17日には最新の「健康経営優良法人2027」の申請受付が始まっており、大規模法人部門は10月9日、中小規模法人部門は10月16日が締切です。認定基準は5つの評価項目で構成され、採用力・企業イメージ・生産性・資金調達の面でメリットが期待できます。

初めて取り組む場合は、健康宣言と社内データの整理から始め、申請書類の作成や施策実行に不安があれば、この記事で紹介した支援会社への相談も選択肢の一つです。締切までの期間は限られているため、まずは自社がどちらの部門に該当するかを確認することから始めてみてください。

この記事の執筆者

The Company Journal編集部

Webマーケティングを行う編集チーム。 サステナビリティ・社会課題・企業の取り組みをテーマに、 実務経験に基づいた情報発信を行っています。