自治体の高齢者見守りサービスを解説|費用と補助金活用法

自治体の高齢者見守りサービスは、多くの市区町村で無料または数百円程度の負担で利用できる基本的な仕組みとして用意されています。加えて、民間の見守り機器や訪問サービスの利用料を助成する制度を設けている自治体もあり、一宮市の例では1世帯あたり最大1万5,000円の助成が受けられます。制度の内容や補助額は自治体ごとに異なるため、まずは自分の住む市区町村がどのような仕組みを持っているかを知ることが第一歩です。この記事では、自治体・民間・NPOのサービスの違いから、見守り協定や補助金制度の仕組み、実際にサービスを提供している企業まで、順を追って解説します。

この記事でわかること

  • 自治体・民間企業・NPOによる高齢者見守りサービスの違いと費用の目安
  • 自治体が運用する「見守りネットワーク」の仕組みと法的な位置づけ
  • 自治体の補助金・助成制度の具体例と対象になる見守りサービス
  • 見守りサービスを提供する主な企業6社の特徴
  • 自治体と連携した見守りの取り組みの実例

高齢者見守りサービスには自治体・民間・NPOの3種類がある

住宅が並ぶ静かな住宅街の通り

高齢者の見守りサービスは、大きく分けて自治体が提供するもの、民間企業が提供するもの、NPOや地域団体が提供するものの3種類があります。

自治体のサービスは無料または低額で利用できる一方、緊急時に人が駆けつける体制まではほぼ持たないのが一般的です。民間企業のサービスはセンサーやGPS端末を使い、月額料金を払うことで24時間の緊急駆けつけに対応します。NPOや地域団体のサービスは訪問と電話を組み合わせ、身元保証や将来の生活支援まで見据えた対応をする例もあります。3種類の特徴を、費用の目安とあわせて次の表にまとめます。

種類費用の目安見守りの方法緊急時の駆けつけ
自治体無料〜低額声かけ・訪問・地域ネットワークが中心ほぼなし(相談窓口への連絡が中心)
民間企業月額3,000〜6,000円程度センサー・カメラ・GPS端末による検知あり(警備会社などが駆けつけ)
NPO・地域団体月額5,000〜15,000円程度訪問と電話を組み合わせて確認団体による(緊急スタッフを派遣する例あり)

参照:いきいきつながる会「高齢者見守りサービス比較2026」(2026年9月確認)

関連記事:高齢者見守りサービスおすすめ比較|費用相場とタイプ別の選び方

自治体が提供する高齢者見守りサービスとは

自治体が提供する見守りサービスは、地域の民生委員や協力事業者、地域包括支援センターが連携して高齢者の異変に早く気づく仕組みで、多くは無料か低額の基本インフラとして運用されています。

具体的な内容は自治体によって異なります。東京都渋谷区では、電球のオンオフで生活リズムを確認する「ハローライト」を使った見守りサービスや、電池の使用状況で安否を確認する「MaBeeeみまもり電池」を案内し、対象の高齢者は費用の一部助成を受けて利用できます。東京都大田区では、区が認定した「高齢者見守り推進事業者」の店舗が、買い物に来た高齢者への声かけを通じて異変に気づいた場合に地域包括支援センターへ連絡する仕組みを運用しています。東京都足立区や北区では、一人暮らしの高齢者の自宅を訪問する見守りや、火災を感知する安全機器の設置を進めています。

これらはいずれも、専用の機器を購入するだけの民間サービスとは異なり、自治体の窓口や地域の協力事業者が間に入ることで、契約手続きの負担を抑えながら利用できる点が共通しています。案内される内容は年度ごとに見直されることがあるため、最新の対象サービスは都度窓口で確認するのが確実です。

こうした取り組みの多くは、住んでいる市区町村の高齢福祉担当窓口や地域包括支援センターに問い合わせることで内容を確認できます。自治体のウェブサイトに一覧が掲載されていない場合もあるため、電話や窓口での確認が確実です。問い合わせる際は、本人の年齢や世帯構成、希望する見守りの方法(訪問・電話・機器のいずれか)を伝えると、対象になる制度を案内してもらいやすくなります。

自治体と地域事業者による「見守り協定」の仕組み

自治体の見守り協定は、新聞販売店や宅配事業者、金融機関など地域の事業者が日常業務の中で高齢者の異変に気づいた際に、自治体の窓口へ連絡する仕組みで、法律上の裏づけを持つ制度です。

この仕組みの多くは、2014年6月の消費者安全法の改正で新設された「消費者安全確保地域協議会」を土台にしています。福祉・医療・警察・教育の関係者や地域の事業者がネットワークをつくり、認知症などで判断力が十分でない高齢者や障害者を見守り、消費者被害の未然防止や拡大防止につなげることを目的とした制度です。

この協議会の設置を消費者庁に報告した自治体は、2026年8月末時点で595市区町村にのぼります。新聞や郵便物がたまっている、応答がない、様子がいつもと違うといった変化に気づいた事業者が、契約や取引の関係がなくても地域の窓口へ連絡できる点が特徴です。

参照:消費者庁「消費者安全確保地域協議会(見守りネットワーク)総合情報サイト」(2026年8月末時点)

自治体の補助金・助成制度|対象機器と補助額の実例

スマートフォンで家族と会話する高齢女性

自治体の中には、民間の見守り機器やサービスを利用する費用の一部を助成する制度を設けているところがあり、対象になるサービスと補助額は自治体ごとに登録リストという形で決められています。

例えば愛知県一宮市では、市内在住で同居家族のいない65歳以上の一人暮らし高齢者を対象に、ICTを活用した見守りサービスの利用助成事業を実施しています。対象者はまず市が登録した見守りサービスの中から1つを選んで事業者と契約し、初期費用を支払った後に申請すると、初期費用またはサービス利用料3か月分のいずれか高い方を上限に、1世帯あたり最大1万5,000円の助成を受けられます。サービスを途中で解約して返金を受けた場合は、対応する助成分を返還する必要があります。

一宮市が登録している見守りサービスは18種類あり、NTTドコモの「チカク」、KDDIの「かんたん見守りプラグ」、セコムの「まごチャンネル」、ALSOKの「みまもりサポート」など、通信会社から警備会社まで幅広い事業者のサービスが対象になっています。まず契約してから助成を申請する順番になっている点は、他の自治体の同様の制度でも共通しやすい流れです。

項目内容
対象者市内在住で住民登録がある65歳以上の一人暮らし高齢者
助成上限額1世帯あたり1万5,000円(初回のみ)
助成対象初期費用、またはサービス利用料3か月分のいずれか高い方
登録サービス数18サービス(通信会社・警備会社・メーカーなど)

参照:一宮市「ICTを活用したひとり暮らし高齢者見守りサービス利用助成事業」(2026年9月確認)

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自治体の見守りサービスを申し込む流れ

自治体の見守りサービスの多くは、窓口への相談から始まり、サービスの案内、申請、利用開始という順に進みます。

  1. 住んでいる市区町村の高齢福祉担当課、または地域包括支援センターに相談する
  2. 案内された自治体独自のサービスや、補助対象になっている民間サービスの一覧を確認する
  3. 利用したいサービスを選び、必要であれば事業者と直接契約する
  4. 自治体が求める書類(申請書、領収書、住民票など)をそろえて申請する
  5. 審査を経て、助成金の交付やサービスの利用開始の連絡を受ける

申請には年齢や世帯構成(一人暮らしであること、同居家族がいないことなど)の条件が設けられている場合が多く、条件を満たすかどうかは事前に窓口で確認しておくと手続きがスムーズです。

自治体の見守りサービスを選ぶときのポイント

見守りサービスを選ぶときは、費用だけでなく緊急時の対応範囲や、本人の生活スタイルに合うかどうかを確認することが大切です。

  • 緊急時に人が駆けつける体制があるかを確認する。自治体のサービスだけでは駆けつけ対応がない場合が多く、心配な場合は警備会社などの民間サービスと組み合わせる
  • 本人が機器の操作を負担に感じないかを確認する。緊急通報ボタンのように操作が必要なものと、ポットや電球のように意識せず使えるものがあり、本人の生活習慣に合わせて選ぶ
  • 費用が自治体の助成対象になるかを確認する。対象サービスに登録されていれば、初期費用や利用料の一部を抑えられる
  • 家族への通知方法(メール、電話、専用アプリなど)が、普段家族が使っている連絡手段と合っているかを確認する
  • 将来的に身元保証や生活支援まで必要になりそうかを見据えて、訪問と相談の両方に対応するNPOなど、対応範囲の広いサービスも選択肢に入れる

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高齢者見守りサービスを提供する主な企業

配達に向かう郵便局員の後ろ姿

高齢者の見守りサービスは、警備会社、通信会社、家電メーカー、物流会社など幅広い業種の企業が提供しています。ここでは、公式サイトで見守りサービスの提供を確認できた企業を五十音順に6社紹介します。順番に優劣の意味はなく、あくまで名称の読み方で並べたものです。

ALSOK(綜合警備保障株式会社)

綜合警備保障株式会社(ALSOK)は、警備会社としての緊急駆けつけ体制を活かした高齢者見守りサービス「HOME ALSOK みまもりサポート」を提供しています。固定電話回線と電源があれば利用でき、火災やガス漏れの感知、体調不良時の緊急通報ボタン、24時間の看護師による健康相談に対応します。購入・レンタル・初期費用ゼロの3つのプランから選べるため、初期費用を抑えて始めることもできます。

参照:ALSOK公式サイト「HOME ALSOK みまもりサポート」(2026年9月確認)

KDDI株式会社

KDDI株式会社は、コンセントに挿すだけで使える見守り機器「かんたん見守りプラグ」を提供する通信会社です。人感・照度・電流・温湿度の4つのセンサーで生活リズムの変化を検知し、離れて暮らす家族のスマートフォンに通知します。複数の自治体の見守り機器補助事業に登録されている点が特徴で、一宮市など対象自治体では購入や利用にかかる費用の助成を受けられる場合があります。

参照:KDDI公式サイト「かんたん見守りプラグ」(2026年9月確認)

セコム株式会社

セコム株式会社は、ホームセキュリティで培った緊急対応網を高齢者見守りに応用した「セコム・ホームセキュリティ(親の見守りプラン)」などを提供しています。生活動線に設置したセンサーが一定時間動きを感知しない場合に自動で異常信号を送るほか、ボタン操作による救急通報にも対応します。GPS端末型の「セコムみまもりホン2」など外出時の見守りに対応する製品もあり、屋内と屋外を通じた選択肢の幅があります。

参照:セコム公式サイト「高齢者見守り(みまもり)サービス一覧・比較」(2026年9月確認)

象印マホービン株式会社

象印マホービン株式会社は、電気ポット「iポット」を使った「みまもりほっとライン」を2001年から提供しているメーカーです。ポットにお湯や水を入れて使うだけで通信機能が使用状況を記録し、あらかじめ設定した時間に離れて暮らす家族へメールで生活リズムを知らせます。見守られる本人が操作や意識をする必要がない仕組みのため、機器の操作が苦手な高齢者にも向いています。

参照:象印ダイレクト公式サイト「みまもりほっとライン」(2026年9月確認)

日本郵便株式会社

日本郵便株式会社は、郵便局員が毎月1回自宅を訪問する「郵便局のみまもり訪問サービス」と、毎日決まった時間に電話で健康状態を確認する「みまもりでんわサービス」を提供しています。訪問サービスでは約30分間の会話を通じて生活状況を確認し、結果をメールまたは郵送で家族に報告します。セコムやALSOKの緊急駆けつけサービスをオプションで追加できるため、訪問による見守りと緊急時対応を組み合わせられます。

参照:日本郵便公式サイト「郵便局のみまもりサービス」(2026年9月確認)

ヤマト運輸株式会社

ヤマト運輸株式会社は、IoT電球「ハローライト」の点灯・消灯データをもとに生活の変化を検知する「クロネコ見守りサービス」を自治体・法人向けに提供しています。電球のオンオフが一定時間確認できない場合に設定した連絡先へ通知が届き、依頼があればヤマト運輸のスタッフが訪問して状況を確認します。全国の自治体への導入実績を公式サイトで公開しているため、自分の住む地域で導入されているかどうかを事前に確認できます。

参照:ヤマト運輸公式サイト「クロネコ見守りサービス 法人・自治体様向け」(2026年9月確認)

企業名サービス名見守りの方式自治体との関わり
ALSOKHOME ALSOK みまもりサポートセンサー・緊急通報ボタン自治体の補助対象サービスに登録される例あり
KDDIかんたん見守りプラグ設置型センサー複数自治体の補助事業に登録
セコムみまもりサービス一覧(親の見守りプランなど)センサー・GPS端末自治体の補助対象サービスに登録される例あり
象印マホービンみまもりほっとライン通信機能つき電気ポット個人契約が中心
日本郵便郵便局のみまもりサービス訪問・電話全国の郵便局網を通じて提供
ヤマト運輸クロネコ見守りサービスIoT電球自治体・法人向けに導入実績を公開

関連記事:ホームセキュリティ比較|駆けつけ対応の有無と料金相場で選ぶ

自治体と連携した見守りの取り組み事例

自治体と地域の事業者が実際にどのように連携しているか、各自治体や事業者が自ら公開している情報をもとに3つの事例を紹介します。協定の相手や補助の仕組みは自治体によって形が異なり、どれか1つのやり方が標準というわけではありません。

市原市(千葉県)

千葉県市原市は、2014年度から高齢者見守りネットワーク事業を続けている自治体です。2026年8月、介護事業を展開するSOMPOケア株式会社と新たに協定を締結し、訪問介護などの通常業務の中で高齢者の異変に気づいた際に地域包括支援センターへ連絡してもらう仕組みに加わってもらうことになりました。この協定により、ネットワークの参加団体は37団体に拡大しました。

参照:市原市「SOMPOケア株式会社との『いちはら高齢者見守りネットワーク事業』の協定締結」(2026年8月4日)

世田谷区(東京都)

東京都世田谷区は、新聞販売店や生活協同組合、宅配事業者、金融機関など幅広い業種と「高齢者見守り協定」を結んでいる自治体です。事業者が配達や訪問など通常業務の中で、新聞や郵便物がたまっている、応答がないといった異変に気づいた場合に、区の窓口へ連絡する仕組みを運用しています。2024年12月時点で35の事業者・団体が協定を締結しています。

参照:世田谷区「高齢者見守り協定」(2024年12月時点)

明石市(兵庫県)

兵庫県明石市は、2014年9月から高齢者見守りネットワーク事業に関する協定を結んでいる自治体です。宅配事業者や小売店、金融機関、警備会社など幅広い業種の事業者が、日常業務の中で高齢者の異変に気づいた場合に市の高齢者総合支援室へ連絡する仕組みを運用しています。2025年2月までに39の事業者・団体が協定を締結しています。

参照:明石市「高齢者見守りネットワーク事業に関する協定」(2025年2月時点)

よくある質問

自治体の高齢者見守りサービスについて、よくある質問にお答えします。

Q
自治体の高齢者見守りサービスは誰でも利用できますか。
A

多くの場合、年齢や一人暮らしであることなどの条件が設けられています。条件は自治体ごとに異なるため、住んでいる市区町村の高齢福祉担当窓口や地域包括支援センターに確認する必要があります。

Q
自治体の見守りサービスにかかる費用はどのくらいですか。
A

自治体が直接提供するサービスは無料か低額の場合が多く、民間企業のサービスは月額3,000円〜6,000円程度、NPOや地域団体のサービスは月額5,000円〜1万5,000円程度が目安です。自治体によっては民間サービスの利用料を助成する制度もあるため、契約前に確認すると負担を抑えられます。

Q
自治体のサービスと民間サービスは併用できますか。
A

併用できる場合が多くあります。自治体のサービスは緊急時に人が駆けつける体制までは持たないことが多いため、民間の緊急通報サービスと組み合わせて利用している家庭もあります。

Q
自治体の補助金はどのサービスにも使えますか。
A

使えません。多くの自治体は補助対象になる見守りサービスをあらかじめ登録制で決めており、登録リストにないサービスは対象外です。契約前に自治体の窓口で対象サービスの一覧を確認する必要があります。

Q
見守り協定は本人が契約しなくても対象になりますか。
A

対象になります。見守り協定は事業者が日常業務の中で異変に気づいた場合に自治体へ連絡する仕組みで、本人や家族がサービスを契約していなくても機能する点が、民間サービスとの大きな違いです。

まとめ

自治体の高齢者見守りサービスは、無料か低額で使える基本的な仕組みであり、緊急時の駆けつけ対応まで必要な場合は民間サービスとの組み合わせを検討する必要があります。まずは住んでいる市区町村の窓口に問い合わせて、利用できる制度と対象になるサービスを確認することから始めてください。

  • 見守りサービスは自治体・民間企業・NPOの3種類に分かれ、費用と緊急時の対応範囲が異なる
  • 自治体の見守り協定は消費者安全法に基づく制度で、契約なしでも機能する
  • 自治体の補助金は対象サービスが登録制で決まっており、契約前の確認が必要
  • ALSOK・KDDI・セコム・象印マホービン・日本郵便・ヤマト運輸など、幅広い企業が見守りサービスを提供している
  • 市原市・世田谷区・一宮市など、自治体ごとに異なる連携の形がある

この記事の執筆者

The Company Journal編集部

企業の取り組み・サステナビリティ・社会課題をテーマにした編集チーム。 企業や自治体の情報を編集部が一社ずつ確認し、 独自の基準で比較・整理した情報をお届けしています。