Earth hacksを解説|デカボスコアの仕組みと費用・事例

Earth hacksは、三井物産と博報堂が50%ずつ出資するEarth hacks株式会社の取り組みで、商品やサービスのCO2排出量が従来より何%少ないかを示す「デカボスコア」を企業に提供しています。デカボスコアの利用料は500,000円からで、LCAの専門家が第三者として算定します。

この記事では、Earth hacksの運営会社、デカボスコアの仕組みと料金、導入事例、同じ分野に取り組む企業、そして社会への影響を、公式サイトと公的な資料に基づいて整理します。

この記事でわかること

  • Earth hacksの運営会社と事業内容
  • デカボスコアの算定方法と料金・導入の流れ
  • 味の素・UCC上島珈琲・愛媛県の導入事例
  • CO2排出量の見える化に取り組む企業・サービスの比較表
  • Earth hacksが脱炭素に与える良い影響

Earth hacksはどんな会社?運営会社と事業内容

Earth hacks株式会社は、2023年5月16日に設立された、三井物産と博報堂が50%ずつ出資する会社です。

公式サイトは、2050年の脱炭素社会の実現に向けて、Z世代や企業との共創を通じて「無理なく楽しく」脱炭素の選択肢を広げていくと掲げています。会社の基本情報は次のとおりです。

項目内容
会社名Earth hacks株式会社(英名:Earth hacks & Co., Ltd.)
設立日2023年5月16日
資本金1億円
出資比率三井物産 50%、博報堂 50%
所在地東京都渋谷区渋谷3丁目6-15-701
事業内容CO2排出削減量の計算・デカボスコア提供、マーケティング支援、EC運営・販売、見本市やイベント開催、新規共創支援

中心となる事業は、デカボスコアの提供です。ほかに、Z世代と企業が脱炭素の新規事業を考える「デカボチャレンジ」、個人の行動別のCO2削減率をまとめた「デカボアクション」なども運営しています。

参照:Earth hacks & Co.「ABOUT」(2026年10月時点)

Earth hacksのデカボスコアはどう算定される?仕組みを解説

スーパーの売り場で買い物かごを載せたカートが並ぶ通路

デカボスコアは、商品のCO2排出量が従来品より何%少ないかを示す指標で、LCAの専門家が第三者として算定します。

公式サイトでは、デカボスコアを従来と比べて商品のCO2排出量が「何%少なくなったか」を直感的に可視化するマーケティングソリューションと説明しています。消費者は、環境配慮型の商品を「○%OFF」のような割引率に近い形で比べられます。

2022年7月に博報堂が公表した際は、スウェーデンのDoconomyが開発した「The 2030 Calculator」などのCO2e可視化ツールを使い、原材料、輸送、製造の各工程で、新しい商品と従来の製法で作った商品の温室効果ガスの差を比べる方式でした。初期の導入例として、トヨタ自動車、日本航空、UCC上島珈琲が挙がっています。

現在の公式サイトは、算定の信頼性と独立性を担保するために、次の取り組みを示しています。

  • 30年以上のLCA(ライフサイクルアセスメント)支援実績を持つ第三者が算定する
  • SuMPOが開催するLCAエキスパート養成塾を修了したLCA専門家が関わる
  • 恣意的な算定(グリーンウォッシュ)の可能性を排除することを掲げている

デカボスコアは、従来品と比べた削減率であり、商品そのものの排出量の多さを示す数字ではありません。比べる対象(従来品)が商品ごとに異なるため、別の商品同士のスコアを単純に並べて優劣を決めることはできません。

導入実績は、2026年4月現在で350社以上、1,800商品以上です。商品パッケージ、広告、自社サイトなどで使われています。

参照:Earth hacks & Co.「デカボスコアについて」(2026年10月時点)、博報堂「Hakuhodo launches Decarbo Score to visualize CO2e reductions」(2022年7月25日)

関連記事:脱炭素とは何か?基礎から最新事例までわかりやすく解説

Earth hacksのデカボスコアの料金と導入までの流れは?

デカボスコアの利用料は500,000円からで、実施内容に応じて都度見積もりになります。最短2週間で利用を始められます。

料金プランの詳細は公開されておらず、まず問い合わせて見積もりを取る形です。公式サイトに掲載されている条件を表にまとめます。

項目内容
利用料500,000円から(実施内容により都度見積もり)
期間の目安最短2週間
算定する人LCAコンサルタント(第三者)
申し込み方法公式サイトのメールフォームから問い合わせ(返信は2〜3営業日以内)

導入までの流れは、公式サイトに次の4段階で示されています。

  1. 対象商品を選び、必要な情報を集める
  2. 各種の数値を算定する
  3. 専門家がレビューする
  4. デカボスコアが納品される

算定の対象になるのは、個々の商品やサービスです。複数の商品に導入したい場合は、全商品を一度に依頼するのか、主力商品から始めるのかも、問い合わせの段階で相談できます。

費用や期間は商品の数や算定の難しさで変わるため、どの商品を対象にするかを先に決めておくと、見積もりが進めやすくなります。

関連記事:脱炭素コンサルおすすめ8社を比較|対応範囲と実績で選ぶ

Earth hacksのデカボスコア以外のサービスは?

デカボスコア以外では、Z世代と企業が共創するデカボチャレンジと、行動別の削減率を示すデカボアクションがあります。

デカボチャレンジ:Z世代と脱炭素の新規事業をつくる

デカボチャレンジは、Z世代の学生が企業・自治体の現場社員と議論し、脱炭素につながる新規事業のアイデアを提案する共創プログラムです。2022年に始まり、公式サイトによると過去16回開催され、のべ120社以上の企業と約1,400名の学生が参加しています(2026年4月時点)。

1回あたり約120名を選抜しており、約30倍の倍率の選考を通ります。アイデアの発想で終わらず、企業・自治体と学生が実装まで進め、Earth hacksが伴走する点が特徴です。

参照:Earth hacks & Co.「デカボチャレンジ」(2026年10月時点)

デカボアクション:行動ごとのCO2削減率を一覧にする

デカボアクションは、日常の行動を従来の行動と比べたCO2排出の削減率で一覧にしたページです。環境省のデコ活データベースを参照して算定されており、個人が「何をすれば効果が大きいか」を比べられるようになっています。掲載例の一部を表にします。

行動デカボスコア
洗濯物を自然乾燥する100%
再利用可能な水筒(マイボトル)を利用する88%
詰め替え洗剤を購入して使用する74%
洗濯機のすすぎ回数を1回にする14%
エコドライブを実施する9%

同じ「身近な行動」でも、削減率には大きな差があることが分かります。

参照:Earth hacks & Co.「デカボアクション」(2026年10月時点)、環境省 デコ活ウェブサイト「デコ活データベース」(2026年10月時点)

Earth hacksの導入事例は?味の素・UCC上島珈琲・愛媛県

マイタンブラーを手に持つ女性

Earth hacksの公式サイトには、味の素、UCC上島珈琲、愛媛県の3件の事例が掲載されています。

味の素:フードロス削減レシピ87件のCO2削減を見える化

味の素株式会社は、フードロス削減プロジェクト「TOO GOOD TO WASTE ~捨てたもんじゃない!~」の環境貢献を可視化するためにデカボスコアを導入しました。

廃棄を避けた分のCO2と、新しく食材を調達しなくて済む分のCO2を算出し、87レシピのデカボスコアを算出しています。料理家と開発した「捨てたもんじゃない!ランチボックス」は、全日程で完売したと公式の事例ページに書かれています。

参照:Earth hacks & Co.「フードロス削減レシピにおける脱炭素への貢献の見える化」(2026年10月時点)

UCC上島珈琲:10商品に導入し、タンブラーの売上が前月比4.5倍

UCC上島珈琲は、ブラック缶コーヒーやバンブータンブラーを含む10商品にデカボスコアを導入しました。

公式の事例ページでは、導入後に上島珈琲店でのタンブラーの売上が前月比4.5倍に増えたと紹介されています。数値はEarth hacksが公表したもので、第三者による検証結果ではありません。

参照:Earth hacks & Co.「マーケティング活用による売上向上」(2026年10月時点)

愛媛県:今治タオルのリブランディングと「デカボマップ」

愛媛県は、県産品の今治タオルにデカボスコアを導入し、品質の良さに加えて環境への良さを発信しました。

公式の事例ページには、導入前よりおよそ2倍前後の売上向上を達成したと書かれています。サステナブルな街として知られる大洲の産品にも導入し、地図にした「デカボマップ」を観光PRに使っています。

参照:Earth hacks & Co.「県産品や観光地のリブランディングで地域活性化に貢献」(2026年10月時点)

Earth hacksと並んでCO2排出量の見える化に取り組む企業・サービス

同じCO2排出量の見える化の分野には、企業向けの算定・管理サービスを提供する会社や、環境ラベルを運営する団体があります。

ここでは、公式サイトで内容を確認できた4つを、名称の五十音順で紹介します。順位や推奨の順序ではありません。Earth hacksは消費者に伝えるための削減率の提供、ほかの4つは企業の排出量や製品単位の排出量を算定・管理する支援が中心で、役割が異なります。各社の公式サイトに書かれた情報だけで同じ項目を並べました。出典は各社の見出し末尾に記載しています。

名称取り組みの対象仕組み公表している実績開始年
Earth hacks(デカボスコア)商品・サービスのCO2排出削減率LCAの専門家が第三者として算定し、従来品との差を「何%少ないか」で示す350社以上・1,800商品以上(2026年4月現在)2022年7月(デカボスコア公表)
アスエネ(ASUENE・ASUENE LCA)企業のGHG排出量、製品・サービス単位のCFP/LCAAIでデータ収集を自動化し、算定・開示や製品単位の算定を支援累計導入社数22,000社以上2021年8月(サービス開始)
サステナブル経営推進機構(SuMPO環境ラベルプログラム)製品の環境情報(EPD)製品分類ごとのルール(Sub-PCR)を公表し、EPDを運営公表なし公表なし
ゼロボード(Zeroboard・Zeroboard CFP)企業のGHG排出量、製品・サービス単位のCFPクラウドで算定・可視化し、LCAで製品のCFPを算定グループ企業含む利用数15,000社(2026年9月末時点)公表なし
booost(booost Sustainability)企業のサステナビリティ情報、製品カーボンフットプリントサステナビリティERPのモジュールとして管理・算定累計導入社数6,500社公表なし

選ぶときは、対象が企業全体の排出量なのか製品単位なのか、算定を自社で行うのか専門家に任せるのか、という点を見比べると違いが分かります。どの会社が優れているかを示すものではなく、目的に合う支援を探すための整理です。

アスエネ株式会社(ASUENE・ASUENE LCA)

アスエネ株式会社は、CO2排出量の算定・開示をAIで支援するプラットフォーム「ASUENE」を提供しています。

支援範囲は、SSBJやCSRDに沿った温室効果ガスの算定・開示、CDPなどの外部評価、CBAMやDPPといった製品規制への対応です。

特徴は、製品・サービス単位のカーボンフットプリントを算定する「ASUENE LCA」を持つことです。公式サイトでは2021年8月のサービス開始から累計導入社数22,000社以上と案内されています。

参照:アスエネ株式会社「ASUENE」(2026年10月時点)、アスエネ株式会社「ASUENE LCA」(2026年10月時点)

一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO環境ラベルプログラム)

一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)は、環境ラベルプログラムを運営する団体です。

製品の環境情報を示すEPD(環境製品宣言)の認証を扱い、製品分類ごとの算定ルールであるSub-PCRを公表しています。

Earth hacksの公式サイトは、デカボスコアの算定にSuMPOが開催するLCAエキスパート養成塾の修了者が関わると案内しており、算定の担い手を育てる側の団体です。認証した製品数は公式サイトで確認できませんでした。

参照:一般社団法人サステナブル経営推進機構(2026年10月時点)、SuMPO環境ラベルプログラム(2026年10月時点)

株式会社ゼロボード(Zeroboard・Zeroboard CFP)

株式会社ゼロボードは、温室効果ガス排出量を算定・可視化するクラウドサービス「Zeroboard」を提供しています。

企業単位の排出量に加え、「Zeroboard CFP」で製品・サービス単位のカーボンフットプリントをLCAで算定でき、専門家による支援も受けられます。

ライフサイクルの段階ごとに分析して改善点を探す「ホットスポット分析」や、部品構成を取り込むBOMインポートが特徴で、公式サイトはグループ企業を含む利用数15,000社(2026年9月末時点)と案内しています。

参照:株式会社ゼロボード「Zeroboard」(2026年10月時点)、株式会社ゼロボード「Zeroboard CFP」(2026年10月時点)

ブースト株式会社(booost Sustainability)

ブースト株式会社は、サステナビリティ情報を一元管理するサステナビリティERP「booost Sustainability」を提供しています。

モジュールには、温室効果ガスの管理、サプライヤーのESG情報管理、製品カーボンフットプリントを算定する「booost PCF」などがあります。

公式サイトは、累計導入社数6,500社、197,000拠点以上、95カ国以上で利用実績があると案内しています。

参照:ブースト株式会社「booost Sustainability」(2026年10月時点)

関連記事:booostを解説|機能・料金の確認方法と導入事例・社会への効果

Earth hacksが脱炭素に与える良い影響

Earth hacksは、買い物でCO2の差を比べやすくし、学生や自治体にも脱炭素の参加者を広げています。

買い物の選択肢に「CO2の差」が加わる

国土交通省の「令和4年版 国土交通白書」は、国立環境研究所の推計として、家計消費のカーボンフットプリントは我が国全体の約6割(2015年)で、このうち住居と移動に関するものが約3割を占めると記載しています。家計の購入する製品・サービスに伴う間接排出まで含めた数字です。

つまり、日々の買い物は、国全体の排出量の大きな部分につながっています。ただし、店頭の商品ごとのCO2排出量は消費者から見えにくく、環境配慮型の商品でも違いが伝わりません。デカボスコアは、従来品と比べた削減率を「何%少ないか」で示し、価格や味と並べて選べる材料にします。

Earth hacksは、デカボスコアによって削減できたCO2の合計量を公表していません。公式サイトで確認できる実績は導入社数と商品数(350社以上、1,800商品以上)にとどまるため、この記事でも削減量の合計は示しません。

参照:国土交通省「令和4年版 国土交通白書」(2022年版)

算定を第三者が担い、環境表示の信頼性を支える

環境配慮をうたう表示は、算定の根拠が見えないと比べられません。Earth hacksは、LCAコンサルタントが公正な第三者として算定し、自社調べではない客観的な数値として使えると案内しています。

算定を担うのは、SuMPOのLCAエキスパート養成塾を修了した専門家です。企業にとっては、環境価値を数値で説明しやすくなり、読者にとっては、広告文だけでは判断できなかった違いを確認する手がかりになります。

学生・自治体を巻き込み、地域の脱炭素へ広げる

デカボチャレンジでは、のべ約1,400名の学生が企業・自治体と脱炭素の新規事業を考えてきました。学生が考えた案を、企業・自治体と実装まで進めることで、脱炭素を事業や地域の取り組みに変えています。

愛媛県の事例では、今治タオルや大洲の産品の環境価値を伝え、売上と観光PRにつなげています。企業や自治体が参加したい場合は、公式サイトのメールフォームから問い合わせます。

よくある質問

Earth hacksとデカボスコアについて、公式サイトの内容に基づいて回答します。

Q
Earth hacksとは何ですか?
A

三井物産と博報堂が50%ずつ出資するEarth hacks株式会社が運営する、脱炭素の取り組みです。デカボスコアの提供、デカボチャレンジ、デカボアクションなどを展開しています。

Q
デカボスコアとは何ですか?
A

商品やサービスのCO2排出量が従来より何%少ないかを示す指標です。LCAの専門家が第三者として算定し、商品パッケージや広告などで使われます。

Q
デカボスコアの料金はいくらですか?
A

利用料は500,000円からで、実施内容により都度見積もりになります。最短2週間で利用できますが、料金プランの詳細は問い合わせが必要です。

Q
デカボスコアは誰が算定しますか?
A

LCAコンサルタントが第三者として算定します。公式サイトでは、SuMPOのLCAエキスパート養成塾を修了した専門家が関わると案内されています。

Q
個人でも使えるサービスはありますか?
A

個人向けには、日常の行動ごとの削減率を一覧にしたデカボアクションが公開されています。環境省のデコ活データベースを参照して算定されています。

まとめ

Earth hacksは、デカボスコアでCO2排出量の差を見える化し、企業と生活者の脱炭素の選択を後押しする取り組みです。要点は次のとおりです。

  • Earth hacks株式会社は、三井物産と博報堂が50%ずつ出資し、2023年5月16日に設立された会社です。
  • デカボスコアは、商品のCO2排出量が従来品より何%少ないかを、LCAの専門家が第三者として算定して示します。
  • 利用料は500,000円からで、最短2週間で利用でき、詳細は問い合わせで見積もりになります。
  • 味の素、UCC上島珈琲、愛媛県が導入しており、成果は公式の事例ページで公開されています。
  • CO2排出量の見える化には、アスエネ、ゼロボード、booostなど企業向けの算定サービスもあります。
  • 削減できたCO2の合計量は公表されておらず、公式サイトで確認できるのは導入社数と商品数です。

この記事の執筆者

The Company Journal編集部

企業の取り組み・サステナビリティ・社会課題をテーマにした編集チーム。 企業や自治体の情報を編集部が一社ずつ確認し、 独自の基準で比較・整理した情報をお届けしています。