空き家ゲートウェイを解説|100円物件の仕組みと費用・注意点

空き家ゲートウェイは、売れない・値段が付かない空き家を100円または100万円で掲載し、使いたい人とつなぐマッチングサイトです。公式サイトは掲載料と成約時の手数料を無料としていますが、仲介は原則行わないため、契約や登記は売主と買主が自分たちで進めます。この記事では、仕組み・費用・利用の流れ・向き不向きを公式情報から整理し、同じ空き家の流通に取り組む3社と、社会に与える影響まで解説します。

この記事でわかること

  • 空き家ゲートウェイの仕組みと「100均物件」の意味
  • 掲載料・手数料と、購入者が別に負担するお金
  • 30日間の入札期間を軸にした利用の流れ
  • 向いている人・向いていない人と、購入前の注意点
  • 自治体と連携した事例と、同じ分野で動くサービスの比較
  • 空き家の流通が社会にもたらす効果

空き家ゲートウェイはどんなサービスか

瓦屋根と庭木のある日本の古い家屋の外観

空き家ゲートウェイは、日本中の「100均空き家物件」を集め、手放したい人と使いたい人をつなぐマッチングサイトです。物件の価格は100円か100万円のどちらかに限られ、売主が購入希望者を選ぶ形で取引が進みます。

100均物件の意味と価格のルール

公式サイトのよくある質問は、100均物件を売りたいのに値段が付かない、売れない物件と説明しています。掲載できる価格は100円か100万円のみで、それ以外の価格を希望する場合はどちらかに変更する必要があります。

物件の傷みが激しくても、公式サイトは「ほとんどの木造住宅は再生可能です」として、まず相談するよう案内しています。再建築不可の物件も掲載できるとされています。また、100均物件に工務店や販売店のプロが程よく手を入れた物件は「プレミアム物件」として扱われます。

参照:空き家ゲートウェイ「F.A.Q」(2026年10月時点)

運営会社と運営の体制

公式サイトの「ABOUT」ページは、運営をアルファクラブ武蔵野株式会社とYADOKARI株式会社の2社としています。目的は、手放したい人が物件情報を提供し、使いたい人に届けることで、日本中の100均空き家物件を網羅し活用方法を創造するプラットフォームをうたっています。

なお、公式サイトには開始年や掲載件数・成約件数の集計値の記載がありません。そのため、この記事では実績の数値を載せていません。

参照:空き家ゲートウェイ「ABOUT」(2026年10月時点)

空き家ゲートウェイの費用はいくらかかるか

サイトの利用料は、物件の掲載料も成約時の手数料も公式サイトでは無料とされています。ただし、登記の費用や司法書士への報酬といった取引そのものの費用は、売主と買主が別に負担します。

項目公式サイトの記載補足
物件の掲載料無料掲載できるのは物件査定で掲載可能と表示された物件
成約時の手数料無料仲介業務は原則行っていない
プロ紹介への掲載掲載料と受注手数料がかかる金額は公式サイトでは確認できませんでした
不動産会社の物件各社が仲介手数料を請求物件記事の下部に記載される
登記費用・司法書士報酬・税金金額の記載なし取引の当事者が別途負担

掲載料と手数料が無料である範囲

公式サイトのトップページは「物件の掲載料と成約時の手数料はかかりません」としています。無料になるのは空き家ゲートウェイ自体の利用料です。一方で、不動産会社が扱う物件には仲介手数料がかかる旨が物件記事に書かれ、プロ紹介への掲載には掲載料と受注手数料が必要とされています。

参照:空き家ゲートウェイ トップページ(2026年10月時点)

購入者が別に用意するお金

公式サイトの「成約までの流れ」では、登記費用・司法書士への報酬・税金の具体的な金額は示されていません。100円で買えても、登記や名義変更に費用がかかるため、購入を検討するときは司法書士など専門家に見積もりを取ることが前提になります。登記の申請は本人同士でも可能ですが、権利を移す手続きは司法書士へ委任するのが一般的とされています。

また、物件によっては修繕費も必要になります。現地調査サービスは公式サイトでは行っていないとされているため、内見で状態を確かめる時間と費用も見込んでおく必要があります。

参照:空き家ゲートウェイ「成約の流れ」(2026年10月時点)

空き家ゲートウェイの利用の流れと30日間の入札期間

木製の家の模型と鍵、契約書類

利用の流れは、売主の物件査定と掲載、30日間のゲートイン入札期間、売主による候補者の選定、当事者同士の商談と契約の順です。問い合わせを受け付けるのは入札期間中だけで、期間外は原則受け付けていません。

売主が物件を掲載するまで

売主はまず物件査定のページで住所を入力します。「おめでとうございます!」と表示された物件が掲載の対象となり、表示に従ってアンケートに答えて送信します。事務局が回答をもとに紹介記事を作り、売主が内容を確認しながら仕上げます。エリアの限定はなく、全国の物件が対象です。

家財道具を残したままの掲載も可能ですが、片付けの扱いは利用希望者との交渉次第とされています。

購入希望者が応募するまで

購入を希望する人は、物件記事の下部にある入札期間のフォームから応募します。手順は次のとおりです。

  1. 気になる物件の紹介記事を読み、掲載から30日以内かを確認する
  2. 物件記事下部のフォームに、購入希望の意思と質問を書いて送る
  3. 応募はまとめて売主へ送られ、売主が候補者を選ぶ
  4. 選ばれた場合、売主と直接連絡を取り合い、内見や条件を詰める

質問への回答は売主の任意で、全件に返信されるとは限りません。返事がない場合もあると理解したうえで、応募時に条件や質問をできるだけ具体的に書くことが大切です。

商談から契約・登記まで

商談が成立すると、売買契約と登記の手続きに進みます。公式サイトの説明では、口頭の合意でも契約は法的に成立しますが、トラブル防止のため書面を交わすのが一般的で、作成は司法書士などへの相談が勧められています。個人間の取引では重要事項説明書は不要とされています。

空き家ゲートウェイは不動産仲介ではないため、契約書の相談は受け付けていません。宅地建物取引士だけが仲介業者として契約書に記名押印できる点も、公式サイトは注意点として挙げています。

空き家ゲートウェイが向いている人と向かない人

手放すことを優先して値段にこだわらない売主、手を入れる前提で安く空き家を探す買主には向いています。一方、高く売りたい人や、仲介の手厚いサポートを求める人には合いにくい仕組みです。

立場向いている人向かない人理由
売主値段より管理負担を減らしたい人高値で売りたい人、早く現金化したい人価格は100円か100万円のみで、買主は売主が選ぶ
買主修繕や活用を自分で進められる人内見や手続きの代行を求める人現地調査サービスはなく、仲介も原則行われない
買主30日以内に条件を整理して応募できる人返信を確実に得たい人応募は入札期間のみで、売主の返信は任意

価格の安さは、手続きと状態確認を自分で担う前提と引き換えです。購入前に、登記や修繕を含めた総額で判断してください。

関連記事:空き家を収益物件に変える「NOSAエステート」とは?地域産業×不動産活用の新モデルを徹底解説

空き家ゲートウェイ周辺の事例|自治体連携と空き家の引き取り

公式サイトで確認できる事例は、長野県中野市との連携協定、青梅市のコンテスト、そして空き家を手放した2件の売主の事例です。成果の数字は各ページに記載がないため、行われた内容のみを紹介します。

長野県中野市との連携協定

空き家ゲートウェイは2021年4月に長野県中野市と、空き家の利活用を目的とした連携協定を結びました。公式サイトによると、中野市の空き家バンクに100円または100万円の物件を掲載し、「手放したい人」と「使いたい人」をつなぐ取り組みで、最初の100円物件の公開と企画の開始イベントが2021年8月20日に開かれました。空き家ゲートウェイ側は中野市専用のページを作り、物件に加えて地域の魅力や施策を紹介しています。

参照:空き家ゲートウェイ「信州なかの“ちょうどいい田舎暮らし”作戦、始動!」(2026年10月時点)

青梅市わがままライフコンテスト

東京都の青梅市は、空き家や遊休地を使ったアイデアを募る「青梅市わがままライフコンテスト2023」を開きました。主催は青梅市、企画協力はポニーキャニオンとYADOKARI、応募は誰でも無料で、応募登録は2024年3月1日、作品提出は3月8日まででした。ページは青梅市で約9戸に1戸が空き家になっていると紹介しています。空き家ゲートウェイ側の具体的な役割は、ページに記載がありません。

参照:空き家ゲートウェイ「青梅市わがままライフコンテスト2023」(2026年10月時点)

福岡県赤村の老朽化した空き家の引き取り

空き家の引き取りを行うアキサポ(株式会社ジェクトワン)の事例ページによると、福岡県田川郡赤村の木造2階建て・昭和41年築の戸建ては、所有者の母親が介護施設に入り、神奈川県に住む娘さんが遠方から管理していました。老朽化で通常の買取が難しい状態でしたが、アキサポが有償での引き取りを受けました。売主の声として「老朽化が進んでいても引き取ってもらえて助かった」と紹介されています。

参照:アキサポ 事例ページ(福岡県田川郡赤村)(2026年2月12日公開)

石川県加賀市の相続した大きな敷地

アキサポの別の事例ページは、石川県加賀市の敷地1,000㎡超の相続物件を取り上げています。地元の不動産会社では「建物・土地が大きすぎる」「土砂災害警戒区域に該当している」といった理由で取引が進みませんでした。アキサポは残置物処理費用の一部を負担する形で引き取りを提案し、現況のまま引き取ることで売却が成立しています。

参照:アキサポ 事例ページ(石川県加賀市)(2026年2月12日公開)

空き家の流通に取り組む他のサービス|同じ尺度で比べる

空き家を手放したい人と使いたい人をつなぐサービスは、空き家ゲートウェイだけではありません。ここでは、各社の公式サイトで確認できた3社を、空き家ゲートウェイと同じ項目で並べます。3社は五十音順で、優劣や推奨の順位を示すものではありません。公式サイトで確認できなかった項目は「公表なし」としています。

サービス運営取り組みの対象仕組み公表している費用公表している実績
空き家ゲートウェイ(本記事の主題)アルファクラブ武蔵野、YADOKARI売れない・値が付かない空き家(100円か100万円)30日間の入札期間に応募し、売主が選ぶ掲載料・成約手数料は無料公表なし
アキサポジェクトワン空き家の活用・買取・販売活用(賃貸)、買取、販売中物件の紹介買取は無料査定。活用はコストゼロとうたうが一部負担の場合あり集計値は公表なし。事例ページを公開
アットホーム 空き家バンクアットホーム自治体が運営する空き家バンクの物件全国の空き家バンクを横断して検索公表なし掲載物件11,625件、参画自治体916(2026年10月7日に公式サイトで表示)
家いちば家いちば株式会社空き家や古ビルなどの不動産売主と買主が掲示板で直接交渉掲載は無料。成約時に基本料と契約サポート料公表なし

アキサポ

アキサポは、株式会社ジェクトワンが運営する、空き家の活用(賃貸)・買取・販売中物件の紹介を1つの窓口で扱うサービスです。対応範囲は、活用が東京・神奈川・千葉・埼玉・大阪・兵庫・京都、売買が全国です。

特徴は、通常の買取が難しい老朽化物件の引き取り事例を公開していることです。買取は無料査定で、活用は「コストゼロ」とうたう一方、建物の状況によっては一部費用の負担を求める場合があると記載されています。

参照:アキサポ 公式サイト(2026年10月時点)

アットホーム 空き家バンク

アットホーム 空き家バンクは、自治体が運営する空き家バンクの物件を、全国まとめて検索できるサイトです。購入と賃貸の両方があり、公式サイトのトップページには自治体ごとの地域紹介や移住支援制度の情報も並びます。

特徴は、自治体の空き家バンクを横断して探せる点です。2026年10月7日に確認した公式サイトの表示では、掲載物件数11,625件(購入10,316件、賃貸1,309件)、参画自治体916でした。

参照:アットホーム 空き家バンク 公式サイト(2026年10月7日確認)

家いちば

家いちばは、家いちば株式会社が運営する、不動産を直接売り買いする人たちの掲示板です。売主が自分で掲載して問い合わせに答え、合意後に宅地建物取引士が契約書類を作る流れで、サイトは2015年10月にオープンしています。

特徴は、掲載と商談の段階では料金が不要で、成約時に費用が発生する点です。公式サイトによると、2026年10月以降は売主の基本料12万円、買主の基本料12万円(いずれも税別)に加え、契約サポート料がかかります。契約サポート料は価格400万円超で1.5%+3万円、400万円以下で2%+1万円、最低5万円・最高50万円です。

参照:家いちば「家いちばの特徴」(2026年10月時点)、家いちば「運営会社」(2026年10月時点)

空き家ゲートウェイは、手数料を無料にして仲介を行わないぶん、手続きを当事者が担います。家いちばは成約時に費用がかかる代わりに、契約書類の作成まで担う点が異なります。

空き家ゲートウェイが社会に与える良い影響

空き家ゲートウェイは、売れずに放置されがちな空き家に「手放す」という出口をつくることで、空き家の増加という社会課題に取り組んでいます。ただし、運営側は効果を示す件数を公表していないため、ここでは仕組みと公的な統計から整理します。

売れない空き家の出口をつくる

総務省の令和5年住宅・土地統計調査によると、2023年10月1日現在の空き家は900万2千戸で過去最多、空き家率は13.8%でした。賃貸・売却用や二次的住宅(別荘など)を除く空き家は385万6千戸で、2018年から36万9千戸増えています。

この385万6千戸を空き家全体の900万2千戸で割ると、385.6万戸÷900.2万戸=42.8%となり、空き家のおよそ4割強が、売りにも貸しにも出されていない計算です(編集部推計)。空き家ゲートウェイは、こうした買い手の付きにくい空き家に100円か100万円という入口を用意します。ただし、同サービスが対象とする物件が統計上どの区分にどれだけ含まれるかは公表されておらず、運営側の成約件数も公表がないため、解消できた戸数は示せません。

参照:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」(2024年9月25日公表)

自治体の空き家バンクと組んで地域に人を呼ぶ

中野市の取り組みでは、市の空き家バンクに100円・100万円の物件を載せ、専用ページで地域の魅力や施策を伝えました。物件の紹介と地域の情報をセットで発信することで、価格の安さだけでなく、その土地で暮らす・使うイメージを持った人に届ける狙いがあります。青梅市のコンテストのように、空き家の使い方のアイデアを広く募る取り組みも、地域に関わる人を増やす入口になります。

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所有者の管理負担と放置のリスクを減らす

空き家を持ち続けると、遠方から管理を続ける負担が所有者にかかります。赤村の事例では、神奈川県に住む娘さんが遠方から実家の管理や手続きを担っていました。手放す選択肢が増えれば、管理されない空き家が放置されるリスクを減らせるという因果です。誰が使うかを売主が選べる仕組みは、地域に合った活用につながる余地も残します。

空き家だけでなく、使われていない土地の活用も、同じく地域の課題です。

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よくある質問

空き家ゲートウェイについて、よく検索される疑問に公式サイトの記載をもとに答えます。

Q
空き家ゲートウェイは本当に100円で買えますか?
A

物件によっては100円で買えますが、価格は100円か100万円のどちらかです。公式サイトは100均物件を、売りたいのに値段が付かない物件と説明しており、登記費用や修繕費などは別にかかります。

Q
空き家ゲートウェイの手数料はいくらですか?
A

公式サイトでは、物件の掲載料と成約時の手数料は無料とされています。ただし、不動産会社の物件には仲介手数料がかかる旨が記載され、プロ紹介への掲載には掲載料と受注手数料が必要です。

Q
空き家ゲートウェイは仲介してくれますか?
A

仲介は原則行っていません。応募は売主へまとめて送られ、売主が候補者を選んだあとは、売主と購入希望者が直接連絡を取り合います。契約書の相談も受け付けていません。

Q
再建築不可や老朽化した空き家でも掲載できますか?
A

再建築不可の物件も掲載できるとされています。傷みが激しい場合も、公式サイトは「ほとんどの木造住宅は再生可能です」として、まず相談するよう案内しています。

Q
購入希望の問い合わせはいつでもできますか?
A

問い合わせは、掲載後30日間のゲートイン入札期間に限られます。期間外の問い合わせは、オーナーの希望がない限り基本的に受け付けていません。

まとめ

空き家ゲートウェイの要点を整理します。

  • 空き家ゲートウェイは、売れない空き家を100円または100万円で掲載するマッチングサイトです
  • 掲載料と成約手数料は無料ですが、登記や修繕などの費用は別にかかります
  • 問い合わせは30日間の入札期間のみで、売主が候補者を選び、仲介は原則行われません
  • 中野市との連携協定など、自治体と組んだ取り組みを公式サイトで公開しています
  • 同じ分野には、アキサポ、アットホーム 空き家バンク、家いちばなどがあります
  • 空き家は2023年に900万2千戸と過去最多で、手放す出口を増やすことが課題です

この記事の執筆者

The Company Journal編集部

企業の取り組み・サステナビリティ・社会課題をテーマにした編集チーム。 企業や自治体の情報を編集部が一社ずつ確認し、 独自の基準で比較・整理した情報をお届けしています。