AIの電力消費はどこまで増える?日本の需要見通しと対策に動く5社

AIの電力消費は、データセンターの新増設を通じて日本の電力需要を押し上げる見通しです。電力広域的運営推進機関(OCCTO)の想定では、データセンターと半導体工場の新増設分だけで、全国の最大需要電力が2035年度に762万kW増えます。AIの電力消費を抑えるには、冷却の工夫、再生可能エネルギーの調達、立地の選び方が柱になります。

この記事では、OCCTOの需要想定を表で整理したうえで、課題と対策の考え方を説明します。あわせて、対策に取り組む国内のデータセンター事業者5社と、公式サイトで確認できた取り組み事例4件を紹介します。

この記事でわかること

  • OCCTOが示すデータセンター・半導体工場の電力需要の想定値
  • AIの電力消費で課題になる電力網・電源・熱の3点
  • 冷却・再エネ・蓄電池・立地による対策の考え方
  • データセンターを選ぶときに確認したい項目
  • 対策に取り組む事業者5社と取り組み事例4件

AIの電力消費はなぜ増えているのですか?

データセンターに並ぶ黒いサーバーラックと配線

AIの処理を担うGPU搭載サーバーは発熱量が大きく、動かす電力と冷やす電力の両方が必要になるためです。

AIの学習や推論は、クラウド上のデータセンターに置かれたサーバーで実行されます。AIの利用が広がるほど、処理を受け持つサーバーの台数と、1台あたりの処理能力が増えます。電力を使うのはサーバー本体だけではありません。サーバーが出す熱を逃がす空調設備も、データセンターの電力を使います。

データセンターの電力効率を表す指標にPUE(Power Usage Effectiveness)があります。施設全体のエネルギー使用量をIT機器のエネルギー使用量で割った値で、1に近いほど、空調など設備側の電力が小さいことを示します。AIの電力消費を考えるときは、サーバーの電力そのものと、PUEが表す設備側の電力の2つに分けて見ると整理しやすくなります。

冷却の面でも、AI向けの設計が始まっています。インターネットイニシアティブ(IIJ)は2025年5月の発表で、AI用途のGPU搭載サーバなど発熱量が著しく高いIT機器の収容を視野に、水冷設備に必要な専用熱源のスペースや冷水配管ルートをあらかじめ確保した「水冷Ready設計」を、白井データセンターキャンパスの3期棟に採用すると説明しています。AI向けの機器は、従来の空冷だけでは冷やしきれない発熱量を想定して設計され始めています。

参照:IIJ「白井データセンターキャンパス3期棟を増設」(2025年5月8日発表)

AIの電力消費は日本でどこまで増える見通しですか?

OCCTOの想定では、データセンターと半導体工場の新増設により、最大需要電力が2035年度に762万kW増えます。

OCCTOは2026年1月21日に、2026年度の「全国及び供給区域ごとの需要想定」を公表しました。この想定は、データセンターと半導体工場の新増設を個別に積み上げています。AI専用の数字ではありませんが、AI向けの計算基盤が増えるほど大きくなる部分であり、日本のAIの電力消費を見るときの公的な目安になります。

年度最大需要電力の個別計上(万kW)うちデータセンター(万kW)全国に占める割合需要電力量の個別計上(億kWh)うちデータセンター(億kWh)
2026年度83640.52%6748
2030年度4203282.59%308243
2035年度7626614.63%568494

2035年度の全国の最大需要電力は164,601千kW(1億6,460万kW)と想定されています。個別計上の762万kWは、その4.63%にあたります。需要電力量では、2035年度に568億kWhが個別計上され、全国の需要電力量(使用端合計)846,129百万kWhの6.71%です。

データセンターと半導体工場の内訳

2035年度の個別計上762万kWのうち、データセンターが661万kW、半導体工場が101万kWです。個別計上の大半はデータセンターで、2026年度の64万kWから2035年度の661万kWまで段階的に積み上がる想定です。半導体工場は2031年度以降、99万〜101万kWでほぼ横ばいです。

想定が後ろ倒しになった理由と読み方

OCCTOは、前回(2025年度)の想定と比べて、2033年度まではデータセンターの個別計上が前回を下回る推移になったと説明しています。事業者が新増設計画を見直したことや、既設データセンターの実績傾向を反映した結果です。一方で、増加傾向そのものは続き、2034年度以降は前回想定を上回る見通しです。

この数字は事業者の申込状況にもとづく想定であり、計画の延期や設計変更で時期が動きます。OCCTOも、今後もデータセンター・半導体工場の動向に注視が必要としています。記事や資料で見かける需要予測は、想定の時点と前提を確かめてから使う必要があります。

増加が目立つ地域は北海道と東京

OCCTOは、2025年度と2035年度を比べたとき、データセンター・半導体工場の新増設に伴う個別計上により、北海道と東京が特に増加するとしています。2035年度の最大需要電力は、東京が287,103千kW、北海道が31,243千kWの想定です。需要の増加は全国一様ではなく、新しい施設が建つ地域に集中します。

参照:電力広域的運営推進機関「2026年度 全国及び供給区域ごとの需要想定」(2026年1月21日)

AIの電力消費で課題になるのは電力の量だけですか?

いいえ。電力の量に加えて、電力網への負荷、電源の種類、サーバーが出す熱の3点が課題になります。

電力網への負荷

データセンターは一か所で大きな電力を使うため、建設地の電力網にまとまった需要が加わります。前の章のとおり、北海道と東京で個別計上が特に増える想定です。どの地域にどれだけの需要が立ち上がるかは、送電設備の整備計画にも関わる論点です。

電源の種類とCO2排出

同じ電力量でも、火力中心の電源か、再生可能エネルギー中心の電源かで、CO2排出量は変わります。AIの電力消費が増えるほど、どの電源で賄うかが、データセンター事業者と利用企業の両方に問われます。後の章で、電源を切り替えた事業者の取り組みを紹介します。

サーバーが出す熱

電力の多くは最終的に熱になり、その熱を逃がすために、さらに空調の電力が要ります。冷却の効率は、データセンター全体の電力消費を左右する要素です。外気を使う冷却や、水冷への対応が進んでいる背景はここにあります。

AIの電力消費を抑えるには何ができますか?

再生可能エネルギーを生む風力発電の風車が並ぶ草原

冷却の効率化、再生可能エネルギーへの切り替え、蓄電池によるピーク抑制、立地の選び方の4つが主な方法です。

対策何を変えるか効く部分確認したい点
冷却の効率化外気を使う空調、水冷への対応設備側の電力(PUE)年間を通じた効率の公表の有無
再エネへの切り替え電源を再生可能エネルギー中心にするCO2排出量実際の電源か、証書による実質か
蓄電池の活用夏季などのピーク電力を抑える電力網への負荷導入規模と実測の効果
立地の選び方冷涼で再エネ資源の多い地域に置く冷却電力と調達電源通信遅延や災害時の運用

冷却を変える:外気冷却と水冷への備え

IIJの白井データセンターキャンパスは、外気冷却の導入で空調電力を減らしています。同社は、敷地内への太陽光発電設備の設置や、大規模リチウムイオン電池によるピークシフトも、カーボンニュートラルに向けた取り組みとして挙げています。外気を使えない季節や発熱の大きい機器には、水冷との組み合わせが必要になります。

参照:IIJ「白井データセンターキャンパス」(2026年10月時点)

電源を切り替える:再生可能エネルギー100%への段階的な移行

さくらインターネットの石狩データセンターは、段階を踏んで電源を切り替えました。2023年6月1日からは、水力発電を中心とした再生可能エネルギー電源に変更し、年間のCO2排出量をゼロにしたと発表しています。

年月取り組み
2013年3月直流給電システムの本格稼働
2015年8月石狩太陽光発電所を開所
2021年6月LNG・ガス火力発電を主とした電力へ変更し、年間CO2排出量の約24%にあたる約4,800トンを削減
2022年6月非化石証書を活用した電力へ変更し、実質CO2排出量ゼロを実現
2023年6月再生可能エネルギー電源100%に切り替え、CO2排出量ゼロを実現

2022年の「非化石証書による実質ゼロ」と、2023年の「再エネ電源への切り替え」は別の段階として示されています。電源の中身を確かめるときは、この違いが手がかりになります。同社の石狩データセンターは、北海道の冷涼な外気を活用した外気冷房でエネルギー効率を高めている点も特徴です。

参照:さくらインターネット「石狩データセンターのCO2排出量ゼロを実現」(2023年6月14日発表)

関連記事:オフサイトPPAとは?仕組み・メリット・導入の流れをわかりやすく解説

ピークを抑える:蓄電池とピークシフト

外気冷却は電力を減らせる一方、夏季は外気温が高くなり、電力のピークが立ちやすくなります。この課題に対し、大規模なリチウムイオン電池で電力需要をずらす(ピークシフト)取り組みがあります。電力の総量を減らす対策と、ピークを抑える対策は役割が違うため、両方を組み合わせる考え方が必要です。

関連記事:Sustechを解説|ELICの仕組みと蓄電池・PPAの事例

AIの電力消費と立地にはどんな関係がありますか?

冷涼で再エネ資源の多い地域は冷却と電源の面で有利ですが、需要地との通信をどう確保するかが課題になります。

北海道の石狩市では、再生可能エネルギー100%で運営するデータセンターの整備が進んでいます。立地の議論で見落としやすいのが通信です。東急不動産は2026年2月の発表で、NTT東日本が提供するIOWNのAll-Photonics Network(APN)を、石狩市と東京・大手町の間で2026年8月に導入する予定だと説明しています。同社は、この区間でのIOWNの実装は初めてだとしています(同社調べ)。

電力の面で有利な地方に計算基盤を置き、光通信で都市部と結ぶ構成が、実際の案件として動き始めています。ただし、導入時期は予定として公表された内容です。稼働状況は、各社の最新の発表で確認してください。

参照:東急不動産「北海道・東京で初のIOWN通信環境を実装」(2026年2月6日発表)

関連記事:IOWN(アイオン)とは?仕組み・課題からIOWN2.0まで徹底解説

AIを使う企業はデータセンターをどう選べばよいですか?

PUEの公表、電源の中身、立地、冷却方式、拡張計画の5項目を、事業者の公式情報で確認すると比べやすくなります。

AIを使う企業は、自社でデータセンターを持たなくても、クラウドやコロケーションを通じて電力消費に関わります。選ぶ側が見る項目を整理しました。

確認項目見るポイント注意したい点
PUEの公表年間平均の数値と、その算出の条件設計値と実測値が別の場合がある
電源の中身再エネ電源の直接調達か、非化石証書による実質か「再エネ100%」の範囲(施設全体か一部か)
立地冷涼な気候、再エネ資源、需要地との距離通信遅延、災害時の運用体制
冷却方式外気冷却、水冷への対応AI用の高発熱機器を収容できるか
拡張計画受電容量と増設の時期計画は延期・変更されることがある

「再エネ100%」と書かれていても、直接調達か証書による実質かで意味が変わります。前の章で見たさくらインターネットの例のように、公式の発表で段階が分けて書かれているかを手がかりにしてください。

AIの電力消費に取り組むデータセンター事業者5社

冷却・電源・立地のいずれかで、AIの電力消費への取り組みを公式サイトで公表している国内の5社を紹介します。

掲載する事業者は、編集部が公開情報から選びました。順序は事業者名の五十音順で、優劣や推奨の順位を示すものではありません。各社の情報は、公式サイトに書かれている内容だけをもとにしています。

事業者拠点・施設公表している取り組み公表の時点
インターネットイニシアティブ(IIJ)白井データセンターキャンパス(千葉県白井市)直接外気冷却、リチウムイオン蓄電池、3期棟は水冷Ready設計3期棟は2026年度中に運用開始予定(2025年5月発表)
さくらインターネット石狩データセンター(北海道石狩市)水力中心の再エネ電源100%、直接・間接外気冷房2023年6月1日から再エネ電源に変更
ソフトバンク北海道苫小牧データセンター(北海道苫小牧市)北海道内の再エネ100%利用の地産地消型を予定、冷涼な気候を活用2026年度の開業を目指す
東急不動産石狩再エネデータセンター第1号(北海道石狩市)再エネ100%で運営、受電容量15MW、6区画2026年3月竣工
ブロードバンドタワー石狩再エネデータセンター第1号内の1データホールDC in DCとして借り受け、北海道の再エネを活用2025年11月の発表ではサービス開始は2026年8月の予定

インターネットイニシアティブ(IIJ)

事業内容:クラウド、ネットワーク、セキュリティなどのITサービスを提供する企業で、千葉県白井市の白井データセンターキャンパスでコロケーションとハウジングのサービスも提供しています。

対応範囲:IIJが提供するITサービスの機器の設置と、顧客のIT機器を預かるハウジングサービスです。

特徴:公式ページは、直接外気冷却方式と、リチウムイオン蓄電池による電力の平準化を掲げ、年間平均PUEを1.3台としています。同ページは、改正省エネ法が目指すべき水準としてPUE1.4以下を定めていることも示しています。

参照:IIJ「白井データセンターキャンパス」(2026年10月時点)

さくらインターネット

事業内容:クラウドコンピューティングサービスを提供する企業で、北海道、東京、大阪の3拠点にデータセンターを所有し、自社で運営しています。

対応範囲:石狩データセンターは、同社のサービスを支える自社運営の拠点です。

特徴:冷涼な外気を取り込む直接外気冷房と、冷媒を外気で冷やす間接外気冷房を導入し、一般的な都市型データセンターと比べて消費電力を約4割削減したと説明しています。電源は2023年6月1日から、水力発電を中心とした再エネに切り替えています。

参照:さくらインターネット「データセンターの新たなあり方」(2026年10月時点)

ソフトバンク

事業内容:通信事業を中心にITサービスを提供する企業で、北海道苫小牧市でAIデータセンターの開業を目指しています。

対応範囲:生成AIの開発やAI関連事業に使うほか、大学、研究機関、企業にも幅広く提供していく予定としています。

特徴:将来的に敷地面積70万平方メートル、受電容量300MW超まで拡大する見込みで、北海道内の再生可能エネルギーを100%利用する地産地消型として運用する予定です。苫小牧は年間を通じて気温が低く、冷却に必要なエネルギー負荷を軽減できると説明しています。

参照:ソフトバンク「北海道苫小牧データセンター」(2026年10月時点)

東急不動産

事業内容:不動産の開発・運営を手がける企業で、データセンター事業にも取り組んでいます。

対応範囲:自社の再生可能エネルギー事業との連携により、クリーンエネルギーの供給やバックアップ電源などの設備能力の確保を含む事業モデルを提案するとしています。

特徴:石狩再エネデータセンター第1号は再エネ100%で運営し、竣工は2026年3月、区画数6区画、受電容量15MWです。公式ページによれば、国の補助金対象事業に採択されています。

参照:東急不動産「データセンター」(2026年10月時点)

ブロードバンドタワー

事業内容:2000年2月に創業した、専業型インターネットデータセンター事業の企業で、東京・大手町の「新大手町サイト」を中核に事業を展開しています。

対応範囲:石狩再エネデータセンター第1号について、建物管理業務委託に基づく施設全体の管理業務を担い、6つあるデータホールのうち1データホール(約570㎡、190ラック相当)を借り受けてサービスを提供する計画です。

特徴:「DC in DC」の事業者として、北海道の再エネ100%のデータセンターで東京・大阪と同等のサービスを提供する構想を示しています。2025年11月28日の発表では、同データセンター内でのサービス開始は2026年8月の予定でした。開始状況は同社の最新の案内で確認してください。

参照:ブロードバンドタワー「石狩再エネデータセンター第1号と建物賃貸借契約及び再エネ電力供給に関する覚書を締結」(2025年11月28日発表)

AIの電力消費を抑える取り組みの事例4件

公式サイトで確認できた、省エネ・再エネ・計算基盤の取り組み4件です。

さくらインターネットとSOINN:AIで空調を制御する実証実験

SOINN株式会社とさくらインターネットの2社の取り組みです。

取り組み:2025年3月3日から、石狩データセンターの特定のサーバールームで、省エネAI「E-1」による空調制御の自動化を検証する実証実験を始めました。石狩データセンターの室温管理データを、さくらインターネットのクラウド上で学習させる仕組みです。

公表されている結果:発表時点では、エネルギー効率の向上や運用管理の省力化の可能性を検証する段階で、削減量の数値は公表されていません。

参照:さくらインターネット「SOINNとさくらインターネットがAIを用いた省エネ技術による実証実験を石狩データセンターで開始」(2025年3月3日発表)

IIJ:蓄電池によるピークカットと再エネ利用率の目標

IIJは、温室効果ガス排出量(Scope1、2)の7割以上をデータセンターが占めるとして、データセンターの再エネ利用とエネルギー効率の向上に取り組んでいます。

取り組み:2030年度にデータセンターの再エネ利用率を85%まで引き上げる目標を掲げ、白井データセンターキャンパスでは2024年7月から非化石証書を活用した実質再エネ由来の電力提供を始めています。

公表されている結果:リチウムイオン蓄電池の導入により、2020年夏季の年間ピーク日に、データセンター全体の電力需要に対して10.8%のピークカット効果を実測したと公表しています。

参照:IIJ「カーボンニュートラル」(2026年10月時点)

東急不動産:再エネ100%の石狩再エネデータセンター第1号が竣工

東急不動産が、北海道石狩市と連携して2022年から進めてきた事業です。

取り組み:2026年3月27日に竣工し、当社と当社が出資する合同会社等が発電した再エネ100%で運営するデータセンターとして開発しました。同社とFlower Communicationsがプロジェクトマネジメント業務を受託しています。

公表されている結果:2026年8月に一部データホールの稼働開始を予定していると発表しています。稼働後の電力使用量などの数値は、この発表には載っていません。

参照:東急不動産「石狩再エネデータセンター第1号 竣工」(2026年4月22日発表)

GMOインターネット:石狩の再エネ100%データセンターにGPUクラウドの新拠点

GMOインターネットグループのGMOインターネット株式会社が、東急不動産、ブロードバンドタワーと連携して進める取り組みです。

取り組み:石狩再エネデータセンター第1号に、国内のAI開発を支える「GMO GPUクラウド」の新拠点を整備し、2026年内の稼働開始を目指すと発表しました。

公表されている結果:発表は2026年10月7日付で、稼働前の計画段階です。電力使用量などの数値は公表されていません。

参照:東急不動産「GMOインターネットが石狩の再エネ100%データセンターでGMO GPUクラウドの新拠点を開設」(2026年10月7日掲載)

関連記事:光技術でデータセンターの電力問題に挑む LightBridgeが進めるフォトニクス開発の民主化

よくある質問

AIの電力消費について、よく検索される疑問に答えます。

Q
AIの電力消費は日本でどのくらい増えますか?
A

OCCTOの想定では、データセンターと半導体工場の新増設により、最大需要電力が2026年度の83万kWから2035年度には762万kWへ増えます。ただし、この数字は事業者の申込状況にもとづく想定で、AI専用の数値ではありません。計画の延期や設計変更で時期が動く点にも注意が必要です。

Q
AIの電力消費を減らす方法はありますか?
A

あります。冷却の効率化、再生可能エネルギーへの切り替え、蓄電池によるピーク抑制、立地の選び方の4つが主な方法です。さくらインターネットは石狩データセンターの電源を水力中心の再エネに切り替え、IIJは外気冷却と蓄電池を組み合わせています。

Q
PUEとは何ですか?
A

PUEは、データセンターの電力効率を表す指標です。施設全体のエネルギー使用量をIT機器のエネルギー使用量で割って求め、1に近いほど設備側の電力が小さいことを示します。IIJの公式ページは、改正省エネ法が目指すべき水準としてPUE1.4以下を定めていると説明しています。

Q
再エネ100%で運営するデータセンターは日本にありますか?
A

あります。さくらインターネットの石狩データセンターは、2023年6月1日から水力発電を中心とした再エネ電源に切り替えています。東急不動産の石狩再エネデータセンター第1号は、再エネ100%で運営するデータセンターとして2026年3月に竣工しました。

Q
データセンターが北海道に集まるのはなぜですか?
A

冷涼な気候で冷却の負荷を抑えやすく、再エネ資源が豊富だと事業者が説明しているためです。ソフトバンクは苫小牧の冷涼な気候と再エネ資源を、東急不動産は石狩市の再エネ地産地消を、それぞれ公式に挙げています。

まとめ

AIの電力消費は日本の電力需要を押し上げる見通しで、数字は想定として読むのが基本です。

  • OCCTOの想定では、データセンターと半導体工場の個別計上が2035年度に762万kW、全国の最大需要電力の4.63%になります
  • 個別計上の大半はデータセンターで、2035年度は661万kWです。増加は北海道と東京で特に目立ちます
  • 課題は電力の量だけでなく、電力網への負荷、電源の種類、サーバーが出す熱の3点です
  • 対策は、冷却の効率化、再エネへの切り替え、蓄電池によるピーク抑制、立地の選び方の4つです
  • データセンターを選ぶときは、PUEの公表、電源の中身、立地、冷却方式、拡張計画を公式情報で確認します
  • IIJ、さくらインターネット、ソフトバンク、東急不動産、ブロードバンドタワーなどが、冷却・電源・立地の取り組みを公表しています

この記事の執筆者

The Company Journal編集部

企業の取り組み・サステナビリティ・社会課題をテーマにした編集チーム。 企業や自治体の情報を編集部が一社ずつ確認し、 独自の基準で比較・整理した情報をお届けしています。