Tony’s Chocolonelyを解説|買える店と調達5原則

Tony’s Chocolonelyは、カカオ産地の貧困や児童労働をなくすことを事業の目的に掲げるオランダ発のチョコレートブランドです。日本では国分グループ本社が2020年11月から発売し、板チョコの不揃いな形と、農家に生活できる価格を払う調達の仕組みが特徴です。

この記事では、ブランドの成り立ち、日本での価格と買える店、調達の5原則を整理します。あわせて、児童労働の是正件数など公式が公表する数字を公的な調査と並べ、同じ課題に取り組む日本企業の取り組みも同じ項目で比べます。

この記事でわかること

  • Tony’s Chocolonelyがどんなブランドで、なぜバーの形が不揃いなのか
  • 日本での発売時の価格、フレーバー、買える店の探し方
  • 調達の5原則と、フェアトレード認証との違い
  • 同じ課題に取り組む日本企業3社を同じ項目で比べた表
  • 児童労働の是正件数を、公的な調査の規模と並べた編集部推計

Tony’s Chocolonelyはどんなチョコレートブランドか

オランダの記者が2005年に立ち上げた、カカオ産地の搾取をなくすことを目的にしたチョコレートブランドです。商品を売ること自体が、業界を変えるための手段という位置づけです。

ブランドの成り立ちと名前の意味

国分グループ本社の発表では、運営会社は2005年11月に設立されたTony’s Chocolonely Nederland B.V.です。設立者はオランダ人ジャーナリストのTeun van de keuken氏で、英語名のTonyがブランド名になりました。カカオの収穫における現代奴隷制と搾取を終わらせることが設立の目的とされています。

社名のChocolonelyは「choco(チョコ)」と「lonely(孤独な闘い)」を合わせた造語です。日本では国分グループ本社が日本初の正規代理店となり、2020年11月5日に発売しました。

参照:国分グループ本社「トニーズ・チョコロンリーを新発売」(2020年10月26日)

板チョコの形が不揃いな理由

公式の説明では、バーを同じ大きさの塊に分けないのは、チョコレート業界で利益が不均等に分配されている現実を思い出してもらうためです。180gのバーの塊は、西アフリカの海岸線をかたどっています。

原料面では、同社のチョコレートはすべてベジタリアンに適しているとされています。一方で、すべて同じ生産ラインで作るため、グルテンなどのアレルゲンが「含まれる可能性がある」と表示しています。アレルギーのある方は、必ず包装の表示を確認してください。

参照:Tony’s Chocolonely日本公式サイト「よくある質問」

Tony’s Chocolonelyの調達の5原則とは何か

カカオの木の幹に実る橙色と黄色のカカオポッド

カカオ豆の追跡、生活できる価格の支払い、強い農家の育成、長期の関係、品質と生産性の向上の5つです。どれか1つではなく、すべてを同時に実行するとされています。

5つの原則を一覧で見る

公式サイトは、この5原則を「選ぶことはできません」と説明しています。カカオ産地の貧困、児童労働、森林破壊の根本原因を直接なくすために作った方針で、フェアトレード認証より踏み込む位置づけです。

原則公式の説明
豆の追跡提携する協同組合と直接取引し、産地と生産者、社会的・環境的な状況を把握する
生活所得を得られる価格ファームゲート価格が生活所得参照価格と同額になるよう、フェアトレード保険料と生計収入保険料の2つを支払う
強い農家の支援協同組合と提携し、高度な農業技術やシステムを導入して農家の専門性を高める
長期的な関係農家や協同組合と長期の協力関係を築き、問題解決と将来の計画に取り組む
品質と生産性の向上農業知識と技術の導入や、協同組合を通じた作業チームの編成で、収量と品質を上げる

同社は自社だけで終わらせず、他のブランドも同じ調達モデルでカカオを買えるようにするTony’s Open Chainを運営しています。参加企業が増えるほど、同じ原則で支援を受けるカカオ農家も増える仕組みです。

参照:Tony’s Chocolonely日本公式サイト「トニーズの調達方針」

Tony’s Chocolonelyの日本での価格・フレーバー・買える店

2020年の発売時の希望小売価格は、180gのバーが税別750円でした。現在の価格は取扱店で異なるため、購入前に店頭で確認するのが確実です。

価格の目安

国分グループ本社の発売時の資料では、180gのバーは7種類が希望小売価格750円(税別)でした。小さなバー(47〜50g)は3種類で、希望小売価格は320円(税別)でした。

サイズ発売時の希望小売価格(税別)種類数
180g750円7種類
47〜50g320円3種類

これは2020年の発売時点の価格で、その後の改定は確認できていません。日本語の公式サイトは商品の価格を掲載せず、「近くのお店を探す」の案内に誘導する作りでした。

フレーバーとサイズ

公式サイトの商品ページでは、大きなバー(180g)にミルクチョコレート32%、ミルクキャラメルシーソルト、ダークアーモンドシーソルト51%、エクストラダークチョコレート70%が並びます。小さなバーは、ミルクチョコレート32%(50g)、ミルクキャラメルシーソルト32%(47g)、ダークアーモンドシーソルト51%(47g)、ダークチョコレート70%(47g)、ミルクアーモンドハニーヌガー32%(47g)です。

取り扱いの種類は時期によって変わります。掲載内容は確認時点のものなので、買う前に最新の一覧を見てください。

参照:Tony’s Chocolonely日本公式サイト「大きなバー」、同「小さなバー」

買える店の探し方

公式サイトには店舗検索ページがあり、取扱店を地図から探せます。発売初年度は、オンライン販売と有楽町マルイのポップアップが中心でした。2021年4月には、マルイ全国6店舗でポップアップが開かれています。

国分グループ本社は、発売2年目以降に取り扱い店を広げる方針を示していました。実際に近くの店に置かれているかは、店舗検索で確かめてください。

参照:Tony’s Chocolonely日本公式サイト「店舗検索」、国分グループ本社「ポップアップショップ第二弾開催」(2021年4月1日)

Tony’s Chocolonelyとフェアトレード認証の違いと注意点

同社は、認証を公正なサプライチェーンへの出発点と位置づけ、自社の調達方針で責任を負う姿勢を取っています。認証だけで済ませない点が違いです。

公式の説明では、フェアトレード認証は最低価格を保証し協同組合と協力する点で同社の考え方に近く、認証は「単なる出発点」です。そのうえで、搾取の根本原因に対処するため、5原則を独自に作ったとしています。

読むときの注意もあります。ここで紹介する数字は、同社が自社の提携先について公表したものです。業界全体の水準ではありません。

Tony’s Open Chainのサイトは、2024/25年度の同モデルが西アフリカの農家の1.3%に届いたと公表しています。裏を返せば、残りの農家は対象外ということです。認証や企業の取り組みは、選ぶ側が範囲を見て評価する必要があります。

参照:Tony’s Open Chain公式サイト

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カカオ産地の課題に取り組む日本企業3社

明治、森永製菓、ロッテが運営するdari Kの3社を、五十音順に並べました。順位や優劣を示すものではありません。

掲載順は五十音順です。Tony’s Chocolonelyと3社を、それぞれの公式ページに書かれた内容だけで、同じ項目に並べて比べます。公表がない項目は「公表なし」と書き、推測では埋めていません。

ブランド取り組みの対象仕組み公表している実績開始年
Tony’s Chocolonelyガーナとコートジボワールのカカオ産地の貧困・児童労働・森林破壊5つの調達原則、生活所得参照価格の支払い、児童労働監視・是正システム2024/25年度に児童労働3,448件を特定、813件を解決2005年(設立)
明治カカオ産地の児童労働・森林減少・栽培技術の不足メイジ・カカオ・サポート(社員が産地で技術指導、苗木センター開設、井戸と学校備品の寄贈)明治サステナブルカカオ豆の調達比率は2023年度が62%、2024年度中に100%となる見通し2006年
森永製菓カカオ産地の子どもの教育環境・児童労働・農家の収入対象商品の売上の一部を、プラン・インターナショナルとACEを通じて寄付支援総額は約3億3856万円(2025年3月時点)2008年
ロッテ(dari K)インドネシア・スラウェシ島のカカオ農家の所得発酵と選別の技術を教え、高品質なカカオ豆を農家から直接買い取る公表なし公表なし

明治|メイジ・カカオ・サポート

明治は、産地の課題に社員が直接向き合うカカオ農家支援を続けているチョコレートメーカーです。

支援の範囲は、栽培方法や病害虫の勉強会、苗木センターの開設、発酵法の指導、井戸の整備と学校備品の寄贈です。

特徴は、支援した地域のカカオ豆だけを調達すると決めた点です。2020年度に40%だった調達比率は、2023年度に62%となり、2024年度中に100%となる見通しと発表されています。

参照:明治「明治サステナブルカカオ豆の調達比率100%を達成へ」(2024年7月12日)

森永製菓|1チョコ for 1スマイル

森永製菓は、対象商品の売上の一部をカカオ産地の子どもたちの支援に充てる活動を続けているお菓子メーカーです。

寄付は国際NGOのプラン・インターナショナルと日本生まれのNGOのACEを通じ、教育環境の改善、児童労働問題への取り組み、農家の収入向上に使われます。

特徴は、買う人が普段のお菓子を選ぶだけで参加できる点です。特別期間には対象商品1個につき1円を寄付するキャンペーンも行われています。

参照:森永製菓「1チョコ for 1スマイル」特別期間開始(2026年1月5日)

ロッテ|dari K

dari K(ダリケー)は、インドネシアのカカオ農家と作るチョコレートを京都から届けるブランドで、公式サイトの企業情報は株式会社ロッテです。

支援の範囲は、スラウェシ島の農家に発酵と選別の技術を教え、できたカカオ豆を直接買い取るところまでです。

特徴は、品質が変わらないカカオを高く買うのではなく、高品質なカカオだけを適正価格で買い取ると明言している点です。仲介業者を通さない取引で、農家の手取りを増やす考え方です。

参照:dari K公式サイト「STORY」

Tony’s Chocolonelyの調達モデルを採用した企業の事例

Tony’s Chocolonelyの調達モデルTony’s Open Chainには、他社のブランドも参加しています。公式サイトに掲載された4社の事例を紹介します。

Albert Heijn|自社ブランドのチョコレート

オランダ最大のスーパーマーケットチェーンです。

自社ブランドDelicataのチョコレートで、最初のパートナーとして参加しました。2024年時点で、自社ブランド全商品のカカオをTony’s Open Chain経由で調達すると約束しています。

参照:Tony’s Open Chain公式サイト「Albert Heijn」

ALDI|CHOCO CHANGERのバー

ドイツ発の国際的なディスカウントスーパーです。

2021年に、世界のディスカウント小売で初めて参加しました。自社ブランドChoceurのCHOCO CHANGERを開発し、2024年時点で欧州、英国、米国、オーストラリアの店舗で3つの味を販売しています。

参照:Tony’s Open Chain公式サイト「ALDI」

Ben & Jerry’s|アイスクリームのカカオ

アイスクリームのメーカーで、「価値に基づく調達」を掲げています。

2022年に参加し、欧州と米国で提携が始まりました。同社は、7年前にコートジボワールのフェアトレード協同組合と組んだ延長として、追跡可能性と5原則を組み合わせることが自社の使命に合うと説明しています。

参照:Tony’s Open Chain公式サイト「Ben & Jerry’s」

PLUS|オランダのスーパーマーケット

オランダのスーパーマーケットチェーンです。

先に、カカオを含む自社ブランドの約300商品すべてをフェアトレード認証のカカオに切り替えました。2022年にTony’s Open Chainにも参加し、自社ブランドのバーを300を超える店舗とオンラインで販売するとしています。

参照:Tony’s Open Chain公式サイト「PLUS」

Tony’s Chocolonelyが児童労働と貧困の解消にもたらす効果

枝に実る緑色と黄色のカカオの実

農家へ生活できる価格を上乗せして払い、児童労働を個別に見つけて是正するのが主な効果です。ただし数字は同社の提携先に限られます。

生活所得に届く価格を払う仕組み

同社は、カカオの買い取り価格が農家の生活所得参照価格に届くよう、差額の追加金を毎年計算して支払います。2024/25年度の参照価格は、コートジボワールがメインクロップとミッドクロップの両方で2,200ユーロ、ガーナのメインクロップで1,899.34ユーロでした。

同年度に農家へ支払った追加金は3,757,268ユーロで、Tony’s Open Chain全体では7,033,727ユーロです。創業からの累計は3,900万ユーロ以上と公表されています。

原因は、農家への構造的な過小払いが貧困を生み、貧困が児童労働や森林破壊につながる負の連鎖にあります。価格を直接引き上げる設計は、その連鎖の入口を断つ狙いです。

公式の「インパクト」ページには、昨年度の実績として1,700万kgのチョコレート販売、32,133人の農家への支援、14,288トンのカカオ豆の購入、380万ユーロの追加金も載っています。このページは年度を明記していません。

参照:Tony’s Chocolonely日本公式サイト「生活収入モデル」、同「トニーズのインパクト」

児童労働を見つけて是正する仕組みと、公的調査との比較

同社の提携協同組合はすべて、ILOが開発した児童労働監視・是正システム(CLMRS)の対象です。地域のファシリテーターが毎年各家庭を訪ね、抜き打ちの農場訪問も行い、見つかった子どもには学校に戻るための支援をします。

2024/25年度は、同社のサプライチェーンで3,448件の児童労働を特定し、813件を解決しました。CLMRSは、同社と取引する世帯の93.7%に適用されています。

この数字を、公的な調査の規模と並べます。米国労働省の資金で行われたNORCの調査は、2018/19年にコートジボワールとガーナのカカオ生産地域で約156万人の子どもが児童労働に従事していたと推計しています。

編集部推計:同社が2024/25年度に特定した3,448件÷NORCの推計156万人=約0.22%です。ただし、調査年が違い、NORCはガーナとコートジボワールの生産地域全体、同社は自社の提携先だけが対象です。同じ範囲での割合ではないため、課題の大きさと1社の取り組みの規模差を測る目安としてご覧ください。

見つけた件数が多いほど、同社の仕組みが機能している面もあります。件数の増減だけでは、児童労働が減ったかどうかは判断できません。

参照:Tony’s Chocolonely日本公式サイト「CLMRS」、NORC「Assessing Progress in Reducing Child Labor in Cocoa Production」(2020年10月)

森林破壊を防ぐ農場の地図化

ガーナは過去30年で森林の65%、コートジボワールは90%を失ったと、同社は公表しています。同社は、すべての農場を地図に載せ、伐採のリスクを把握するとともに、農家と協力して森林破壊の防止と是正に取り組むとしています。

追跡できる豆を買う意味は、ここにもあります。産地が分かれば、森林を切り開いて作られたカカオを避けられるためです。欧州では、森林破壊に関わる産品の輸入を規制する流れも進んでいます。

関連記事:欧州森林破壊防止規則(EUDR)を解説|適用日と日本企業の対応

よくある質問

Tony’s Chocolonelyについて、よく検索される疑問に答えます。

Q
Tony’s Chocolonelyはどこで買えますか?
A

公式サイトの店舗検索で取扱店を確認できます。日本語の公式サイトの商品ページは、価格を載せず「近くのお店を探す」へ案内する作りでした。発売初年度はオンラインと有楽町マルイのポップアップが中心でした。

Q
Tony’s Chocolonelyの値段はいくらですか?
A

2020年の発売時の希望小売価格は、180gのバーが税別750円、小さなバーが税別320円でした。その後の改定は確認できていないため、現在の価格は取扱店で確かめてください。

Q
Tony’s Chocolonelyの板チョコはなぜ不揃いなのですか?
A

チョコレート業界で利益が不均等に分配されている現実を伝えるためです。180gのバーの塊は、西アフリカの海岸線をかたどっています。

Q
Tony’s Chocolonelyとフェアトレード認証のチョコレートは何が違いますか?
A

同社は認証を出発点と位置づけ、豆の追跡や生活所得に届く価格の支払いなどの5原則で、さらに踏み込んだ調達をしています。認証と併用する形で、認証だけでは足りないという立場です。

Q
Tony’s Chocolonelyは児童労働が本当にゼロなのですか?
A

ゼロとは言えません。同社は搾取のないチョコレートを目指す立場で、2024/25年度にも自社のサプライチェーンで3,448件の児童労働を特定したと公表しています。見つけて是正を進めている段階です。

まとめ

Tony’s Chocolonelyは、買うことで産地の搾取を減らすことを目指すブランドです。要点は次のとおりです。

  • 2005年にオランダで設立され、日本では国分グループ本社が2020年11月から発売した
  • 調達の5原則は、豆の追跡、生活できる価格、強い農家、長期の関係、品質と生産性
  • 発売時の希望小売価格は、180gが税別750円、小さなバーが税別320円
  • 2024/25年度に児童労働3,448件を特定し813件を解決したが、数字は同社の提携先に限られる
  • 明治、森永製菓、ロッテのdari Kも、産地の課題に別の方法で取り組んでいる

この記事の執筆者

The Company Journal編集部

企業の取り組み・サステナビリティ・社会課題をテーマにした編集チーム。 企業や自治体の情報を編集部が一社ずつ確認し、 独自の基準で比較・整理した情報をお届けしています。