booostを解説|機能・料金の確認方法と導入事例・社会への効果

booost(ブースト)は、Booost株式会社が提供するサステナビリティERP「booost Sustainability」です。拠点ごとのCO2などの排出量やESG情報を集めて管理し、開示制度への対応までつなげるクラウドサービスで、料金は公式サイトに掲載がなく、導入は問い合わせから相談する形です。この記事では機能と導入事例、同じ領域の5サービスとの見え方の違い、そして社会や環境にどう役立つかを、各社の公式情報と公的データだけで整理します。

この記事でわかること

  • booostの運営会社とサービスの全体像
  • booostのモジュール別の機能と、料金の確認方法
  • 伊藤忠商事・アスクルなど4社の導入事例
  • アスエネ・ゼロボードなど同じ領域の5サービスの比較表
  • booostが脱炭素と情報開示にもたらす社会的な効果

booostはどんなサービス?運営会社と全体像

会議室で資料を囲み、サステナビリティ情報の管理方法を話し合う会社員のグループ

booostは、Booost株式会社が提供するサステナビリティERPです。排出量やESG情報を一つの基盤で管理し、制度対応につなげます。

Booost株式会社とbooost Sustainabilityの位置づけ

運営するBooost株式会社は、東京都品川区に本社を置き、2015年4月15日に設立された会社です。公式サイトは、booost Sustainabilityを「企業価値を最大化するサステナビリティERP」と説明しています。開示規制(SSBJ、CSRD)、製品規制(DPP、CBAM)、脱炭素化、サプライチェーン対応を一つの基盤でまとめて扱うことが、同社の打ち出す特徴です。

対象はグループ会社や海外拠点を含む大企業が中心で、公式サイトの導入企業欄にも、商社、食品、小売、電機、サービスなど規模の大きい会社が並んでいます。

参照:booost Sustainability公式サイト(2026年10月時点)、Booost株式会社のプレスリリース「再エネ調達の意思決定をテーマにしたセミナー(第2回)を開催」(会社概要欄、2026年6月発表)

公表されている導入規模とシェアの読み方

Booost株式会社は、導入実績を約6,500社、197,000拠点以上、95カ国以上と公表しています。いずれも累計の数字で、時点は2025年12月です。拠点数は、各社の過去最大拠点数を合算した値と注記されています。

同社は「大手企業で2年連続シェアNo.1」とも掲げています。公式サイトの注記によると、根拠はITRの市場調査で、年商5,000億円以上の区分における金額シェア(2024年度実績と2025年度予測)です。対象を大手企業に絞った順位であり、中小企業を含む全体の順位ではありません。後述するように、他のサービスも別の基準で「No.1」を掲げているため、数字は基準ごとに読み分ける必要があります。

booostの機能|モジュール別にできること

booostは、GHG算定、取引先のESG管理、開示、財務的影響の算定などを、モジュール単位で提供しています。

モジュール公式サイトが示す役割
booost GXGHG排出量を管理する(Scope1、2、3の算定)
booost SupplierサプライヤーのESG情報を管理する
booost EnergyGHG排出量を削減する
booost PCF製品カーボンフットプリントを算定する
booost Disclosure複数基準への開示対応(XBRL対応)
booost Impactサステナビリティ関連の財務的影響を可視化する
booost CBAMCBAM(炭素国境調整措置)に対応する

booost GX|拠点のGHG排出量を集めて算定する

booost GXは、Scope1、2、3の算定を担うモジュールです。本部で集約して算定する方法と、拠点ごとに算定する方法の両方に対応します。公式サイトが挙げる機能は、会計データをまとめて算定できるCSV取り込み、拠点の担当者ごとに画面を出し分ける拠点入力、複雑な承認経路に対応する承認ワークフローの3つです。

参照:booost GX(2026年10月時点)

booost Supplier|取引先のESG情報を集める

booost Supplierは、取引先へのアンケートを会社単位と製品単位で集めるモジュールです。回答状況の管理やリマインド、経年変化の管理まで製品内で完結し、サプライヤーの削減努力を可視化できると公式サイトは説明しています。自社だけで測れないScope3の把握に使う位置づけです。

参照:booost Supplier(2026年10月時点)

booost DisclosureとImpact|開示と財務的影響をつなぐ

booost Disclosureは、各開示基準のXBRLタクソノミーに沿って開示項目を可視化し、項目ごとに入力者と承認者を設定して証跡ファイルを添付できるモジュールです。監査専用アカウントによる第三者のレビューにも対応します。booost Impactは、気候変動や人権のリスクを金額に換算して財務的影響として算定する機能で、同社は日本初の特許技術と説明しています。この点は同社の自己申告であり、第三者の評価ではありません。

参照:booost Disclosure(2026年10月時点)、booost Impact(2026年10月時点)

booostの料金はいくら?確認方法と伴走支援

booostの料金は、確認できた範囲では公式サイトに掲載されていません。見積りは問い合わせで依頼する形です。

公式サイトには、資料ダウンロードと、サービス説明・導入相談・お見積りの依頼窓口が用意されています。金額は公開されていないため、この記事でも料金の数字は書きません。見積りを依頼するときは、次の順で条件を整理しておくと話が早く進みます。

  1. 対象にする会社数と拠点数(国内か海外か)を洗い出す
  2. 必要なモジュール(GHG算定、取引先管理、開示など)を決める
  3. 開示で使う基準(SSBJ、CSRDなど)と提出時期を確認する
  4. 自社で運用する範囲と、伴走支援に任せる範囲を分ける

伴走支援について、Booostは「サステナビリティ経営を支える10の支援領域」を公表しています。領域の例は、戦略策定とマテリアリティ特定、ISSBやCSRD、SSBJなど各種制度への開示対応です。システムの提供だけでなく、制度対応から経営への実装までを支援範囲として示している点が、同社の説明の軸です。

参照:Booost「伴走支援」(2026年10月時点)

関連記事:ESGコンサルおすすめ8社を比較|評価機関対応と選び方

booostと同じ領域のGHG算定・開示サービス5社

booostと同じく、GHG排出量の算定や開示対応を扱うクラウドサービスを5つ取り上げます。順位や優劣はつけていません。

並べ方は、サービス名の五十音順です。表の項目は、各社が自社の公式サイトで公表している内容だけを使い、公表がない項目は「公表なし」と書いています。導入社数は、各社で数え方が異なるため、並べて大小を比べる指標にはなりません。

サービス(運営)算定・開示の主な対象公表している導入規模(出所の注記)公表している伴走支援
アスエネ(アスエネ株式会社)GHG算定、SSBJ・CSRD開示、CDP、CBAM・DPP累計導入社数22,000社以上(契約済みグループ導入企業社数、時点の明記なし)コンサルティング、BPO
e-dashScope1、2、3算定、CDP回答、SBT認証、省エネ法定期報告公表なしコンサルティング支援
CARBONIX(株式会社Sustech)GHG排出量の登録・可視化、レポート作成、オフセット取引公表なし算定支援・策定支援アドバイザリー
Zeroboard(株式会社ゼロボード)GHG算定、ESGデータ管理、サプライヤー管理、CFP算定15,000社(グループ企業含む利用数、全サービス対象、2026年9月末時点)導入・運用支援、コンサルティング
Persefoni(パーセフォニ)Scope1、2、3算定、金融機関向けの投融資先排出量(PCAF)10000社以上(公式ページの表記、時点の明記なし)公表なし
booost Sustainability(Booost株式会社)GHG算定、取引先ESG、SSBJ・CSRD開示、財務的影響約6,500社(累計、2025年12月時点)伴走支援(10の支援領域)

アスエネ|CO2排出量の見える化から報告までのクラウド

アスエネ株式会社は、CO2排出量の見える化・削減・報告のクラウドサービスを提供しています。

支援範囲は、Scope1から3のGHG算定、SSBJやCSRDの開示、CDPなどの外部評価への回答、CBAMやDPPといった製品規制への対応です。コンサルタントによる開示・評価・削減の実行支援や、カーボンクレジットと非化石証書の調達も案内しています。

特徴として、同社は毎年200社以上のCDPスコア改善を支援していると公表しています。

参照:アスエネ公式サイト(2026年10月時点)

e-dash|請求書から排出量を可視化する総合サービス

e-dashは、CO2排出量の可視化と削減を総合的にサポートするサービスプラットフォームです。

支援範囲は、Scope1、2、3の算定、CDP回答とSBT認証の取得支援、省エネ法の定期報告、電力小売の切り替えやクレジットによるオフセットの提案です。

特徴として、請求書の画像データをアップロードするだけで排出量を可視化できると案内し、算出は大手監査法人による第三者検証を受けたものと記しています。

参照:e-dash公式サイト(2026年10月時点)

CARBONIX(Sustech)|算定からオフセット取引までを一つで

株式会社Sustechは、GHG排出量の算定から可視化、レポート作成、オフセット取引までをワンストップで支援するクラウド型プラットフォーム「CARBONIX」を提供しています。

支援範囲は、排出量の登録と承認ワークフロー、ダッシュボードと削減目標の機能、レポーティング、算定支援や策定支援のアドバイザリーです。

特徴は、排出量の管理と同じ画面からオフセット取引まで進める点です。

参照:CARBONIX公式サイト(2026年10月時点)

関連記事:Sustechを解説|ELICの仕組みと蓄電池・PPAの事例

Zeroboard(ゼロボード)|用途別に製品が分かれたESGデータ基盤

株式会社ゼロボードは、GHG排出量の算定・可視化と環境項目の一元管理を行う「Zeroboard」を中心に、ESG関連データの収集・管理・開示のクラウドサービスを提供しています。

支援範囲は、サプライヤー管理の「Dataseed」、制度対応の「Zeroboard ESG」、カーボンフットプリント算定の「Zeroboard CFP」などで、導入・運用支援とコンサルティングも用意されています。

特徴は、建設事業者向けや、金融機関のファイナンスドエミッションを算定するPCAF向けなど、業種や用途別の製品に分かれていることです。

参照:ゼロボード公式サイト(2026年10月時点)

Persefoni(パーセフォニ)|金融機関向けも持つ炭素会計プラットフォーム

Persefoniは、GHG排出量の算定と分析、サステナビリティ報告に対応する炭素会計とサステナビリティ管理のプラットフォームです。

支援範囲は、企業向けのScope1、2、3の算定と規制報告、スコープ3のサプライヤーエンゲージメントに加え、金融機関向けに投融資先の排出量の算定・分析を行うプランです。

特徴として、すべてのプランにAI機能「Persefoni Copilot」を搭載していると案内しています。

参照:Persefoni公式サイト(2026年10月時点)

booostの導入事例|4社が公表している内容

booostの導入事例は、Booost株式会社が自社の事例ページとプレスリリースで公表した4社を取り上げます。

伊藤忠商事|国内外600拠点のデータ収集基盤

伊藤忠商事は、繊維、機械、金属、エネルギー、化学品、食料など幅広い分野で事業を行う総合商社です。国内外約600拠点からサステナビリティ関連データを集める作業に時間がかかり、Excelやメールでのバケツリレーでバージョン管理が煩雑になっていたため、booostを導入しました。

公表されている成果は、国内外600拠点から効率的にESGデータを集める基盤の構築を進めていることです。導入理由には、ベストプラクティスの提供と柔軟なカスタマイズが挙げられています。

参照:Booost「伊藤忠商事株式会社」導入事例(2026年10月時点)

アルプスアルパイン|海外拠点を含むCO2排出量の可視化

アルプスアルパインは、センサーやスイッチ、車載機器などを手がける電機メーカーで、2023年1月にbooost Sustainability(booost GX)を導入しました。

導入の狙いは、海外拠点を含めたCO2排出量の可視化と、Excelからの脱却です。決め手として、グローバル拠点の可視化・管理ができることと、細かな要望へのカスタマイズ対応を挙げています。今後はSBTiの申請とRE100への加盟を予定していると、インタビューで述べています。

参照:Booost「アルプスアルパイン株式会社」導入事例インタビュー(2026年10月時点)

アスクル|商品ごとのCO2排出量を取引先と算定

アスクルは、事業所向けと個人向けのEC事業を運営する会社です。2023年8月から、サプライチェーンCO2排出量の見える化ツール「booost Supplier」を使い、プライベートブランド商品のCO2排出量の算定を始めました。

同社によると、CO2排出量の99%がScope3で、そのうち仕入商品が75%を占めます。そのため商品ごとの排出量を取引先と一緒に算定することから着手し、2023年9月からパイロットサプライヤー10社への展開を予定していると発表しています。

参照:Booost株式会社のプレスリリース「アスクルとbooost technologiesが共同で…取り組みを8月より本格始動」(2023年8月31日)

ダスキン|約1,200拠点のサステナビリティ情報を管理

ダスキンは、清掃・衛生用品のレンタルと販売、ミスタードーナツのフランチャイズ展開などを行う会社です。1999年から独自の環境数値システムを運用してきましたが、システムの老朽化と開示制度への対応のため、booost Sustainabilityを導入し、運用を始めました。

Booostは、グループ会社を含む約1,200拠点のサステナビリティ情報を管理する基盤として提供すると発表しています。成果の数字は公表されていません。

参照:Booost株式会社のプレスリリース「ダスキンがサステナビリティERP「booost Sustainability」を導入」(2025年12月22日)

booostが脱炭素と情報開示にもたらす良い影響

青空に向かって煙を上げる工場の建物と煙突

booostは、企業の排出量を拠点単位で測れる状態にし、削減と開示の土台を整えます。社会的な効果は、測定の広がりから生まれます。

事業活動の排出量を「測れる状態」にする

環境省と国立環境研究所によると、2024年度の日本のエネルギー起源CO2排出量は9億700万トンでした。部門別では、工場などの産業部門が3億3,400万トン、商業・サービス・事業所などの業務その他部門が1億6,200万トンです。

この2部門の合計は4億9,600万トンで、エネルギー起源CO2全体に占める割合は(334+162)÷907で54.7%になります(編集部推計、いずれも2024年度、電気・熱の排出を使用先に振り分けた後の値)。国内のエネルギー起源CO2の半分以上は、企業の事業活動から出ている計算です。

排出量は、拠点ごとに把握できなければ削減の対象を決められません。booostのようなサービスは、数百から千以上に及ぶ拠点のデータを同じ形式で集め、承認を経た数字として管理します。なお、Booost株式会社は、自社サービスによって減った排出量の合計を公表していません。導入社数の累計は排出量とは単位が異なるため、公的データとの割合は計算していません。

参照:環境省・国立環境研究所「2024年度の我が国の温室効果ガス排出量及び吸収量(概要)」(2026年4月公表)、環境省「日本の温室効果ガス排出量データ」(2026年10月時点)

サプライチェーンの排出を取引先と一緒に減らす

自社の工場や事務所だけでなく、仕入れた商品や物流の排出(Scope3)まで含めると、削減の余地は取引先に広がります。先ほどのアスクルの例では、CO2排出量の99%がScope3で、仕入商品が75%を占めていました。

booost Supplierは、各サプライヤーにアカウントを付与し、材料や加工の活動量を登録してもらうことで商品ごとの排出量を算定します。取引先が自社の排出量を知ることが、削減に向けた具体的な検討の出発点になります。アスクルは、この見える化が購入者にとって環境に配慮した商品を選ぶ助けにもなると説明しています。

開示制度への対応を支える

金融庁は2026年2月20日、プライム市場上場会社のうち平均時価総額が1兆円以上の会社に、SSBJ基準に沿ったサステナビリティ情報の記載を義務づける内閣府令を公布しました。令和9年3月期から、時価総額が一定規模以上の会社に段階的に義務づける方針に沿った制度整備です。

排出量や人的資本のデータを、有価証券報告書の水準で毎年そろえるには、入力者と承認者、証跡が残る仕組みが要ります。開示の根拠となるデータを管理する基盤が整うほど、投資家や取引先が企業の気候への対応を同じ物差しで比べやすくなります。企業にとっては、booostのようなサービスを選ぶ前に、自社が義務づけの対象か、いつから適用されるかを確かめることが第一歩です。

参照:金融庁「内閣府令の公布及びパブリックコメントの結果について」(2026年2月20日公布、3月19日更新)

関連記事:サステナビリティ開示とは?義務化の時期と対象企業を解説

よくある質問

booostについて、料金・運営会社・導入企業など調べられやすい疑問に答えます。

Q
booostとは何ですか?
A

Booost株式会社が提供するサステナビリティERP「booost Sustainability」です。拠点のGHG排出量や取引先のESG情報を集めて管理し、SSBJやCSRDなどの開示対応につなげるクラウドサービスです。

Q
booostの料金はいくらですか?
A

確認できた範囲では、公式サイトに料金は掲載されていません。資料ダウンロードや問い合わせから、お見積りを依頼する形です。

Q
booostの運営会社はどこですか?
A

東京都品川区に本社を置くBooost株式会社で、設立は2015年4月15日です。大阪にも事務所があります。

Q
booostはどんな企業が導入していますか?
A

公式サイトには、伊藤忠商事、日本ハム、ニトリホールディングス、ブリヂストン、アシックス、ダスキンなどが導入企業として並んでいます。導入は商社、食品、小売、製造など多様な業種に広がっています。

Q
booostはアスエネやゼロボードと何が違いますか?
A

どれもGHG算定と開示を扱いますが、公表している導入社数の数え方や製品の構成が異なります。比較するときは、対象拠点数、必要なモジュール、伴走支援の範囲を揃えて見積りを取るのが確実です。

まとめ

booostは、排出量とESG情報を集めて開示までつなげるサステナビリティERPです。要点は次のとおりです。

  • 運営はBooost株式会社で、約6,500社、197,000拠点以上の導入実績を公表している(2025年12月時点、累計)
  • 機能はGHG算定、取引先ESG管理、開示、財務的影響の算定などのモジュールで構成される
  • 料金は公式サイトに掲載がなく、お見積りは問い合わせで依頼する
  • 伊藤忠商事、アスクルなどが、拠点データの集約や商品ごとの排出量算定に使っている
  • 産業部門と業務その他部門は国内のエネルギー起源CO2の54.7%を占め、事業活動の測定は脱炭素の土台になる(編集部推計)

この記事の執筆者

The Company Journal編集部

企業の取り組み・サステナビリティ・社会課題をテーマにした編集チーム。 企業や自治体の情報を編集部が一社ずつ確認し、 独自の基準で比較・整理した情報をお届けしています。