使用済み紙おむつの処分は、環境問題として長年課題とされてきました。日本国内では年間約200万トンもの使用済み紙おむつが排出され、そのほとんどが焼却処分されています。こうした状況に対し、ユニ・チャーム株式会社が開発した「RefF(リーフ)」は、使用済み紙おむつを新しい紙おむつへと再生する、世界初の水平リサイクルシステムです。
この技術は、単なる廃棄物処理の効率化ではなく、資源循環型社会の実現に向けた画期的な取り組みとして注目されています。使用済みおむつに含まれるパルプや高分子吸収材といった貴重な資源を、独自のオゾン処理技術によって衛生的に再生し、未使用品と同等の品質を保ちながら新製品へと生まれ変わらせることに成功しました。
本記事では、ユニ・チャームが推進するリサイクルおむつ「RefF」の技術的特徴、リサイクルプロセスの詳細、環境へのメリット、そして今後の展望について、初心者の方にも分かりやすく解説します。持続可能な社会づくりに貢献するこの革新的な取り組みを、ぜひ最後までご覧ください。
ユニ・チャームのリサイクルおむつ「RefF」とは

ユニ・チャームのリサイクルおむつ「RefF(リーフ)」は、使用済み紙おむつを回収し、新しい紙おむつへと再生する循環型リサイクルシステムです。2010年から技術開発に着手し、2019年には世界で初めてオゾン処理技術を用いた水平リサイクルを実現しました。
この取り組みの最大の特徴は、使用済みおむつから取り出したパルプを、未使用品と同等の品質レベルまで再生できる点にあります。従来、使用済み紙おむつは衛生面の課題から再利用が困難とされてきましたが、ユニ・チャームは独自の洗浄・殺菌技術によってこの問題を克服しました。
「RefF」という名称には、「Recycle for the Future」(未来のためのリサイクル)という意味が込められており、次世代に向けた持続可能な社会づくりへの強い意志が表れています。現在は鹿児島県志布志市や大崎町など、複数の自治体と連携して回収スキームを構築しており、2027年までに年間500トンの再利用を目指しています。
水平リサイクルの意義と環境負荷低減効果
水平リサイクルとは、製品を同じ品質レベルの製品に再生する循環型の資源利用方法です。一般的なリサイクルでは、再生品の品質が元の製品より低下することが多く、これを「カスケードリサイクル」と呼びます。しかし、RefFが採用する水平リサイクルでは、使用済みおむつから取り出した素材を、新しいおむつに必要な品質レベルまで再生することが可能です。
この技術による環境負荷低減効果は極めて大きいと言えます。従来の焼却処分では、おむつ1トンあたり約2.6トンのCO2が排出されますが、RefFのリサイクルシステムではこのCO2排出量を大幅に削減できます。また、新たな原料となるパルプの生産に必要な森林資源の消費も抑えられるため、環境保全に多面的に貢献します。
さらに、使用済みおむつの焼却処分にかかる自治体の廃棄物処理コストも軽減できるため、環境面だけでなく経済面でもメリットがあります。このように、RefFは資源循環と環境保護の両立を実現する革新的な取り組みなのです。
世界初の完全リサイクルシステムの実現
ユニ・チャームのRefFプロジェクトは、2019年にパルプの水平リサイクルを世界で初めて実現しました。その後も技術開発を継続し、2025年現在では排せつ物吸収素材である高分子吸収材(SAP)についても100%再生可能な技術を確立しています。
これは紙おむつのリサイクルにおいて、世界でも類を見ない完全リサイクルシステムの実現を意味します。従来は、パルプ以外の素材については焼却処分やエネルギー回収などの方法が取られることが一般的でしたが、RefFではおむつを構成するほぼすべての素材を再資源化できるようになりました。
この技術的ブレークスルーにより、使用済みおむつ1枚あたりの資源回収率が飛躍的に向上し、真の循環型社会の実現に大きく近づいています。世界各国で高齢化が進む中、紙おむつの使用量は今後も増加が見込まれており、この技術の社会的意義はますます高まっていくでしょう。
リサイクルおむつの製造プロセス

ユニ・チャームのリサイクルおむつは、使用済みおむつの回収から新製品の完成まで、厳格な品質管理のもとで複数の工程を経て製造されます。このプロセスは、衛生面での安全性を確保しながら、高品質な再生素材を生み出すために設計されています。
製造プロセスの全体像は、大きく「回収・選別」「破砕・分離」「洗浄・殺菌」「再生・精製」「製品化」の5つの段階に分けられます。それぞれの工程において独自の技術が活用されており、特にオゾン処理を用いた洗浄・殺菌工程は、RefFの技術的優位性を支える中核となっています。
以下では、各工程の詳細について順を追って解説します。このプロセスを理解することで、ユニ・チャームがいかに高度な技術によって使用済みおむつを衛生的かつ効率的に再資源化しているかが分かります。
使用済みおむつの回収と選別工程
リサイクルプロセスの第一段階は、使用済みおむつの回収です。ユニ・チャームは自治体と連携し、専用の回収ボックスを保育園や介護施設、一般家庭などに設置しています。回収されたおむつは専用の密閉容器に保管され、定期的に再資源化施設へと運搬されます。
施設に到着した使用済みおむつは、まず異物除去の工程に入ります。誤って混入したビニール袋、ウェットティッシュ、その他のゴミなどを人の手と機械で丁寧に取り除きます。この選別作業は、後の工程での機械トラブルを防ぎ、再生素材の品質を保つために極めて重要です。
選別が完了したおむつは、次の破砕工程に進む前に一時保管されます。この段階では、衛生管理を徹底し、臭気の拡散を防ぐための脱臭システムも稼働しています。回収から選別までの工程を適切に管理することが、高品質なリサイクル製品を生み出す基盤となります。
破砕・分離による素材の取り出し
選別された使用済みおむつは、専用の破砕機によって細かく砕かれます。この工程では、おむつを構成する様々な素材を分離しやすい状態にすることが目的です。破砕されたおむつは数センチ程度の小片となり、次の分離工程へと送られます。
分離工程では、破砕されたおむつから主要な素材であるパルプ、高分子吸収材(SAP)、不織布、プラスチックフィルムなどを種類ごとに分けていきます。この分離作業には、素材の密度や性質の違いを利用した機械的な方法が採用されています。たとえば、風力や振動によって軽い素材と重い素材を分けたり、水に浮く素材と沈む素材を分離したりします。
特にパルプと高分子吸収材は、リサイクルの主要な対象となる素材です。これらを効率的に分離し、高い純度で回収することが、最終的な再生素材の品質を左右します。分離された各素材は、それぞれに適した再資源化処理へと進められます。
独自のオゾン処理による洗浄・殺菌技術
RefFプロジェクトの核心となるのが、独自のオゾン処理技術を用いた洗浄・殺菌工程です。オゾンは強力な酸化作用を持つ物質で、細菌やウイルスを効果的に不活化し、臭いの元となる有機物も分解します。この特性を活用することで、使用済みおむつに付着した排せつ物や細菌を衛生的に除去できます。
オゾン処理の工程では、分離されたパルプに対して高濃度のオゾン水や気体オゾンを作用させます。これにより、パルプの繊維を傷めることなく、付着した汚れや細菌を徹底的に除去します。さらに、オゾンは処理後に自然に酸素へと分解されるため、環境への負荷が少ないという利点もあります。
この技術により、再生されたパルプは衛材グレード、つまり医療用品にも使用できるレベルの衛生基準をクリアします。従来の化学薬品を用いた洗浄方法と比較しても、環境負荷が低く、かつ高い殺菌効果を実現している点が、RefFの技術的優位性と言えるでしょう。
再生パルプの精製と品質管理
オゾン処理によって洗浄・殺菌されたパルプは、さらに精製工程を経て、新しいおむつに使用できる品質レベルまで仕上げられます。この工程では、パルプの繊維長や白色度、吸水性といった物性を厳密に測定し、未使用パルプと同等の品質基準を満たすよう調整します。
精製工程では、必要に応じて追加の漂白処理や繊維の選別も行われます。これにより、再生パルプの色や質感が均一になり、製品としての品質が安定します。ユニ・チャームでは、再生パルプの品質検査を複数の段階で実施し、厳格な基準をクリアしたもののみを製品化に使用しています。
また、高分子吸収材(SAP)についても、洗浄・再生処理を経て吸水性能を回復させる技術が確立されています。これらの再生素材は、新しいおむつの製造ラインに投入され、「RefF」ブランドの製品として市場に供給されます。このように、徹底した品質管理によって、リサイクルおむつでも安心して使用できる製品が実現されています。
新技術「ドライ洗浄法」の開発

2025年12月、ユニ・チャームは株式会社富士クリーンと連携し、使用済み紙おむつのリサイクルにおける新たな再資源化技術「ドライ洗浄法」の開発に着手したことを発表しました。この新技術は、従来の水を大量に使用する「水流洗浄法」と比較して、水使用量を約50分の1に削減できる画期的な手法です。
ドライ洗浄法の開発は、RefFプロジェクトのさらなる普及に向けた重要な技術革新となります。従来の方法では水資源が豊富な地域でなければ導入が難しいという課題がありましたが、この新技術によって水資源が限られた地域や海外への展開も可能になります。
以下では、ドライ洗浄法の技術的特徴、従来法との比較、そして社会実装に向けた今後の展開について詳しく解説します。
ドライ洗浄法の原理と技術的特徴
ドライ洗浄法は、ドライクリーニングの発想を応用した革新的な洗浄技術です。水の代わりに、繰り返し使用可能な特殊な溶剤を用いることで、使用済みおむつを衛生的に洗浄、殺菌、漂白します。この溶剤は、汚れや有機物を効率的に溶解する性質を持ちながら、パルプ繊維を傷めない特性を備えています。
洗浄プロセスでは、破砕・分離されたおむつ素材を溶剤中で処理し、付着した排せつ物や細菌を除去します。使用後の溶剤は回収・精製システムによって浄化され、再び洗浄工程で使用されるため、溶剤の消費量も最小限に抑えられます。さらに、独自の殺菌・漂白技術を組み合わせることで、オゾン処理と同等レベルの衛生基準を達成します。
この技術により、水資源の消費を大幅に削減しながらも、高品質な再生素材を生産することが可能になります。環境負荷の低減と処理効率の向上を両立させた、次世代のリサイクル技術と言えるでしょう。
従来の水流洗浄法との比較
従来のRefFプロジェクトで採用されていた水流洗浄法は、大量の水を使用してパルプを洗浄する方法です。この方法では、1トンの使用済みおむつを処理するために数十トンもの水が必要とされていました。水の確保や排水処理のための設備投資も大きく、導入できる地域が限られるという課題がありました。
一方、ドライ洗浄法では水使用量が約50分の1に削減されるため、設備規模をコンパクトにできます。これにより、初期投資コストの低減や、水資源が限られた地域での導入が可能になります。また、排水処理の負荷も大幅に軽減されるため、環境への影響がさらに小さくなります。
処理能力の面でも、ドライ洗浄法は従来法と同等かそれ以上の効率を実現する見込みです。水の加熱や冷却にかかるエネルギーも削減できるため、総合的な環境負荷低減効果は極めて高いと期待されています。このように、ドライ洗浄法は従来技術の課題を克服し、より持続可能なリサイクルシステムを実現する技術と言えます。
香川県での実証実験と今後の展開スケジュール
ドライ洗浄法の開発は、香川県綾歌郡綾川町に本社を置く株式会社富士クリーンとの連携によって進められます。富士クリーンは1975年の創業以来、産業廃棄物の収集運搬・中間処理・最終処分に一貫して取り組み、2001年からはリサイクル事業にも積極的に取り組んでいる企業です。
2026年には富士クリーンの敷地内に実験棟が設置され、ドライ洗浄法の技術開発が本格的に開始されます。この実験段階では、洗浄効率や再生素材の品質、溶剤の回収・再利用システムなどを検証し、実用化に向けた最適化が行われます。
2028年には本格的な再資源化プラントの建設が予定されており、2029年にはプラント設備の稼働開始と、近隣自治体と連携した使用済みおむつの回収が正式に開始される計画です。この取り組みにより、香川県でもRefFプロジェクトが展開され、地域における循環型社会の構築に貢献することが期待されています。
水資源が限られた地域や海外展開への可能性
ドライ洗浄法の最大のメリットは、水資源が限られた地域でもリサイクルシステムを導入できる点です。世界には水不足に悩む地域が多く存在し、そうした地域では水を大量に使用する従来のリサイクル技術の導入は困難でした。ドライ洗浄法は、こうした地域でも持続可能な紙おむつのリサイクルを可能にします。
また、海外展開への道も大きく開かれます。世界的に高齢化が進む中、紙おむつの使用量は今後さらに増加することが予想されます。特にアジアや中東などの新興国では、経済成長に伴い紙おむつの需要が急速に拡大していますが、廃棄物処理のインフラが十分に整備されていない地域も少なくありません。
ドライ洗浄法による省水型のリサイクルシステムは、こうした地域での導入を促進し、グローバルな環境問題の解決に貢献できる可能性を秘めています。ユニ・チャームは「Kyo-sei Life Vision 2035」において、紙おむつのリサイクルに取り組む自治体数を20自治体へ拡大することを目標に掲げており、ドライ洗浄法の確立はその実現に向けた重要なステップとなるでしょう。
RefFがもたらす環境メリットと社会的意義

ユニ・チャームのリサイクルおむつ「RefF」は、単なる廃棄物処理技術にとどまらず、環境保全と持続可能な社会づくりに多面的に貢献する取り組みです。使用済みおむつのリサイクルによって、資源の有効活用、CO2排出量の削減、廃棄物処理コストの低減など、様々な環境メリットが生まれます。
また、この取り組みは地域社会との連携によって進められており、自治体や企業、住民が一体となった循環型社会のモデルケースとしても注目されています。RefFプロジェクトが社会に与える影響は、環境面だけでなく、経済面や教育面にも及んでいます。
以下では、RefFがもたらす具体的な環境メリットと、その社会的意義について詳しく解説します。
CO2排出量削減と森林資源の保全効果
使用済み紙おむつを焼却処分すると、おむつに含まれる有機物が燃焼する際に大量のCO2が排出されます。また、新しいおむつの製造には木材パルプが原料として使用されるため、森林資源の消費にもつながります。RefFのリサイクルシステムは、これらの環境負荷を大幅に削減します。
具体的には、使用済みおむつをリサイクルすることで、焼却時に発生するCO2の排出を回避できるだけでなく、新たなパルプ生産に必要な森林伐採も削減できます。森林は地球温暖化を抑制する重要な役割を果たしており、その保全は気候変動対策としても極めて重要です。
さらに、リサイクルプロセス自体も省エネルギー化が進められており、製造工程全体での環境負荷低減が図られています。このように、RefFは多角的な視点から環境保全に貢献する取り組みと言えます。
廃棄物処理コストの削減と自治体への貢献
日本国内では年間約200万トンもの使用済み紙おむつが排出されており、その処理には自治体に大きな負担がかかっています。焼却処分には専用の設備やエネルギーが必要で、処理コストは年々増加傾向にあります。特に高齢化が進む地域では、大人用おむつの使用量増加により、この問題は深刻化しています。
RefFプロジェクトは、こうした自治体の廃棄物処理コストを削減する効果も期待されています。使用済みおむつがリサイクルされることで、焼却処分される廃棄物の量が減少し、焼却施設の負荷軽減や延命化にもつながります。また、リサイクルによって得られる再生素材は、新製品の製造に活用されるため、資源の地域内循環という観点からも意義があります。
ユニ・チャームは鹿児島県志布志市や大崎町など、複数の自治体と連携してRefFプロジェクトを展開しており、地域における循環型社会の構築に貢献しています。今後、ドライ洗浄法の実用化により、より多くの自治体での導入が進むことが期待されます。
SDGsへの貢献と企業の社会的責任
RefFプロジェクトは、国連が定めた持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも貢献しています。特に「目標12:つくる責任 つかう責任」に直接関連する取り組みであり、持続可能な生産と消費のパターンを確保することを目指しています。
企業が製品のライフサイクル全体に責任を持ち、廃棄後の処理まで含めた循環型のビジネスモデルを構築することは、現代社会における重要な課題です。ユニ・チャームは製品メーカーとして、使用済みおむつのリサイクルに取り組むことで、この責任を果たしています。
また、RefFプロジェクトは環境教育の面でも社会的意義があります。リサイクルの仕組みや資源循環の重要性を広く伝えることで、消費者の環境意識向上にも貢献しています。企業、自治体、住民が協力して持続可能な社会を作り上げていく、そのモデルケースとしてRefFは注目されています。
自治体との連携と回収スキームの構築

RefFプロジェクトの成功には、自治体との緊密な連携と、効率的な回収スキームの構築が不可欠です。使用済みおむつを確実に回収し、リサイクル施設へと輸送する仕組みを整えることは、技術開発と同様に重要な要素となっています。
ユニ・チャームは2010年の技術開発着手以降、鹿児島県志布志市や大崎町といった先進的な自治体と協力し、実証実験を重ねてきました。これらの経験を通じて、実用的な回収システムのノウハウが蓄積されています。
以下では、現在の回収スキームの仕組み、自治体との連携事例、そして今後の展開について詳しく解説します。
鹿児島県志布志市・大崎町での先行事例
ユニ・チャームがRefFプロジェクトを最初に展開したのは、鹿児島県の志布志市と大崎町でした。これらの自治体はもともと廃棄物の分別とリサイクルに積極的に取り組んでおり、使用済みおむつのリサイクルという新たな挑戦にも前向きに協力してくれました。
志布志市と大崎町では、保育園や介護施設に専用の回収ボックスを設置し、使用済みおむつを分別回収する仕組みが構築されました。回収されたおむつは専用の密閉容器に保管され、定期的にリサイクル施設へと運搬されます。この一連の流れを確立するために、自治体職員やユニ・チャームのスタッフが住民への説明会を開催し、理解と協力を求めました。
この先行事例を通じて、回収スキームの課題や改善点が明らかになり、他の地域への展開に向けた貴重なノウハウが得られました。現在では、これらの自治体でのリサイクルシステムが安定的に稼働しており、成功モデルとして注目されています。
保育園・介護施設での回収システム
使用済みおむつの回収において、保育園や介護施設は重要な拠点となります。これらの施設では日々大量のおむつが使用されるため、効率的な回収が可能です。また、施設での回収は、一般家庭からの回収と比較して、分別の徹底や衛生管理がしやすいというメリットもあります。
保育園では、保護者の理解と協力を得ながら、使用済みおむつを専用の回収ボックスに入れてもらいます。施設側は定期的に回収ボックスを交換し、満杯になったものは自治体の収集車によって回収されます。この際、臭気対策として密閉性の高い容器が使用され、衛生面にも十分配慮されています。
介護施設でも同様のシステムが導入されており、施設職員が使用済みおむつを適切に分別しています。特に介護施設では大人用おむつの使用量が多いため、リサイクルによる廃棄物削減効果が大きく、施設側にとっても廃棄物処理コストの低減というメリットがあります。
一般家庭からの回収拡大に向けた課題
RefFプロジェクトのさらなる拡大には、一般家庭からの使用済みおむつ回収を増やすことが課題となっています。保育園や介護施設と異なり、一般家庭からの回収は量が分散しており、効率的な収集が難しいという問題があります。
また、家庭での分別協力を得るためには、住民への丁寧な説明と理解促進が不可欠です。使用済みおむつのリサイクルという取り組み自体が新しいため、その意義や方法について十分に周知する必要があります。自治体は広報誌やウェブサイト、説明会などを通じて、積極的に情報発信を行っています。
さらに、回収頻度や回収場所の設定も重要な課題です。一般家庭では使用済みおむつを長期間保管することは衛生上好ましくないため、こまめな回収が求められます。自治体によっては、既存のゴミ収集システムにRefFの回収を組み込むことで、効率化を図る工夫も行われています。
2027年までの目標:年間500トン再利用
ユニ・チャームは「Kyo-sei Life Vision 2035」において、紙おむつのリサイクルに取り組む自治体数を20自治体へ拡大し、2027年までに年間500トンの使用済みおむつを再利用することを目標に掲げています。この目標達成には、現在の取り組みをさらに加速させる必要があります。
年間500トンという数字は、日本全体で排出される使用済みおむつの量から見ればまだ一部ですが、リサイクルシステムの実用性と持続可能性を証明する重要なマイルストーンとなります。この目標を達成するためには、ドライ洗浄法のような新技術の導入や、より多くの自治体との連携が不可欠です。
ユニ・チャームは今後も自治体や関連企業との協力を強化し、全国各地でRefFプロジェクトを展開していく方針です。また、リサイクルされた製品の認知度向上や、消費者への啓発活動にも力を入れ、循環型社会の実現に向けた取り組みを推進していきます。
まとめ

ユニ・チャームのリサイクルおむつ「RefF」は、使用済みおむつを新しいおむつへと再生する世界初の水平リサイクルシステムです。独自のオゾン処理技術により衛材グレードの再生パルプを生成し、2025年現在では排せつ物吸収素材も100%再生可能な完全リサイクルを実現しています。新たに開発されたドライ洗浄法は水使用量を約50分の1に削減し、水資源が限られた地域や海外展開への道を開きます。自治体との連携により回収スキームを構築し、2027年までに年間500トンの再利用を目指すこの取り組みは、CO2削減や森林資源保全など環境面で大きなメリットをもたらし、SDGs達成にも貢献する革新的なプロジェクトです。