SHIROの制服|天然染めで生まれ変わる、サステナブルなユニフォームの物語

コスメティックブランド「SHIRO」の店舗を訪れたとき、スタッフが着用している制服に目を留めたことはあるでしょうか。シンプルで洗練されたデザインの中に、ブランドの世界観が凝縮されたユニフォームは、実は深いストーリーを秘めています。

SHIROは2025年、廃棄予定だった制服を天然素材で染め直し、世界に一枚だけの個性あふれる制服として再生する取り組みをスタートしました。この取り組みは、単なる制服のリメイクではありません。ブランドが掲げる「廃棄物ゼロ」という理念を体現し、スタッフ一人ひとりの個性を尊重しながら、環境負荷を最小限に抑えるという、三つの目的を同時に達成する試みなのです。

本記事では、SHIROの制服に込められた想いと具体的な取り組み、そして制服がスタッフや顧客体験に与える影響について、詳しくご紹介します。環境配慮とブランディングを両立させる制服の在り方は、これからの時代のユニフォーム設計に多くのヒントを与えてくれるはずです。

SHIROとは?素材を愛するブランドの成り立ち

SHIROとは?素材を愛するブランドの成り立ち

SHIROの制服について理解するには、まずこのブランドがどのような価値観を持って生まれ、成長してきたのかを知る必要があります。制服はブランドの顔であり、企業理念を体現する重要なツールだからです。

ブランドの原点と企業概要

SHIRO(シロ)は「自分たちが毎日使いたいものをつくる」というシンプルな想いからスタートしたコスメティックブランドです。株式会社シロが企画から開発、製造、販売までを一貫して手がけており、創業当初からエシカルな信念に基づくものづくりを続けています。

ブランドの特徴は、厳選した天然素材へのこだわりにあります。厳しい自然環境が育んだ素材を国内外から見つけ出し、その力を最大限に引き出すスキンケア、メイクアップ、フレグランスアイテムを提案しています。商品ラインナップはコスメティックにとどまらず、食のセレクトショップ「SHIRO LIFE」、カフェ「SHIRO CAFE」、美容サロン「SHIRO BEAUTY」など、生活全般にわたる事業を展開しています。

現在、SHIROは日本全国に直営店舗を構えるほか、ロンドン、台湾、韓国にも実店舗を展開し、アメリカでは自社EC、中国では越境ECを通じて販売を行うグローバルブランドへと成長しました。

北海道を起点とした地域密着型の活動

SHIROのものづくりを語る上で欠かせないのが、創業地である北海道砂川市との深い結びつきです。2021年6月から「みんなのすながわプロジェクト」というまちづくり活動を推進しており、2023年4月には新工場と付帯施設を含む「みんなの工場」をオープンしました。

この工場では製品の製造だけでなく、地域住民との交流や環境配慮型の生産プロセスの実践が行われています。さらに2024年4月には、森林環境に配慮した設計建築による一棟貸しの宿泊施設「MAISON SHIRO」を北海道長沼町にオープンするなど、北海道という土地とともに成長する姿勢を貫いています。

こうした地域への愛着と環境への配慮は、後述する制服の天然染めプロジェクトにも色濃く反映されています。北海道で活動する染色職人とのパートナーシップは、偶然ではなく必然だったといえるでしょう。

廃棄物ゼロを目指す「15年目の宣言」

2024年、ブランド誕生から15周年を迎えたSHIROは「SHIRO 15年目の宣言」を表明しました。この宣言では、すべての資源の価値を見つめ直し、本質的な循環のために廃棄物ゼロを目指すことが掲げられています。

具体的な取り組みとして、2024年8月には使用済みガラス容器を回収して繰り返し使い続けるリユースの実証試験を開始しました。同時に一部の対象店舗では衣類の回収も行い、社会の新しい標準を創出するための活動を継続しています。

今回の制服リユースプロジェクトは、まさにこの宣言の延長線上にある取り組みです。新しくつくるのではなく、今あるものに価値を見出して使い続けるという姿勢は、ブランド全体を貫く一本の軸となっています。

SHIROの制服デザインの特徴とコンセプト

SHIROの制服デザインの特徴とコンセプト

制服はスタッフがお客様と接する際の「顔」であり、ブランドの世界観を伝える重要な媒体です。SHIROの制服は、どのようなコンセプトで設計され、どんな役割を担っているのでしょうか。

シンプルで洗練されたデザイン思想

SHIROの制服は、ブランドロゴが入ったオリジナルデザインで統一されています。基本的なデザインはシンプルでクリーンな印象を保ちつつ、温かさや親しみやすさも感じられる絶妙なバランスが特徴です。

このデザインは、店舗空間やプロダクトパッケージとの調和を意識して設計されています。SHIROの店舗は白を基調とした明るく開放的な空間が多く、そこにナチュラルな素材感が加わることで、心地よさと洗練を両立させています。制服もこの世界観に溶け込むよう、過度な装飾を避けたミニマルなスタイルが採用されているのです。

機能性とブランドらしさの両立

制服には見た目の美しさだけでなく、実用性も求められます。SHIROの制服は、ユニフォームレンタル企業との協働により、構想段階からブランドの理念やコンセプトに合うよう企画されました。

具体的には、接客時の動きやすさ、長時間着用しても疲れにくいシルエット、洗濯やメンテナンスのしやすさなど、日々の業務に必要な機能性が考慮されています。同時に、素材感やカラー、ディテールにはブランドらしさが反映され、機能とデザインの両立が実現されています。

制服の素材には綿とポリエステルの混紡生地が使用されており、この選択は後述する天然染めプロジェクトにおいて、予想外の課題をもたらすことになります。

制服が果たすブランド体験の役割

SHIROにとって制服は、単なる業務用の衣服ではありません。それは店舗空間、接客サービス、商品パッケージと一体となって、お客様にブランド体験を提供する重要な要素なのです。

統一感のある制服を着たスタッフが、丁寧に手入れされた店舗で、厳選された天然素材を使った商品を紹介する。このすべてが調和することで、お客様はSHIROの世界観に没入し、ブランドへの信頼や愛着を深めていきます。

また、制服にはスタッフ側にとっても大きな意味があります。ブランドロゴ入りの制服に袖を通すことは、「SHIROの一員である」という誇りや帰属意識を高める儀式のような役割を果たしているのです。

廃棄予定の制服を天然染めで再生する取り組み

廃棄予定の制服を天然染めで再生する取り組み

SHIROの制服プロジェクトで最も注目すべきは、廃棄予定だった制服を天然素材で染め直し、新たな価値を持つユニフォームとして再生させる取り組みです。この挑戦には、技術的な困難創造的な解決策が詰まっています。

倉庫に眠る大量の廃棄予定制服という課題

SHIROの倉庫には、店舗スタッフが着古したり、汚れがついたりして使用できなくなった制服が大量に保管されていました。これらはこれまで廃棄される運命にあり、環境負荷の観点からも課題となっていました。

通常、企業ユニフォームは一定期間使用された後、新しいものと交換され、古いものは処分されます。しかし、廃棄物ゼロを目指すSHIROにとって、この慣習は見過ごせない問題でした。そこで考案されたのが、天然素材による染め直しという解決策だったのです。

この発想の背景には、2025年3月に広島ミナモア店のスタッフが着用を始めた藍染の制服という先行事例がありました。この成功体験が、より大規模なリユースプロジェクトへとつながっていったのです。

北海道の染色職人とのパートナーシップ

制服の染め直しを担ったのは、北海道札幌市で着物の染色やクリーニング、染み抜きなどを行っている「野口染舗」の5代目、野口繁太郎さんです。野口さんは天然染めブランド「BetulaN(ベチュラン)」も運営しており、捨ててしまうもので染める「Re COLOR PROJECT」にも取り組んでいます。

野口さんとSHIROの出会いは、SHIROが発行する情報誌「SHIRO PAPER」がきっかけでした。そこに綴られていた言葉や想いに共感した野口さんが、SHIROと同じ北海道でものづくりをしていることに強い親しみと誇りを感じ、自ら連絡をしたのです。

両者には「循環するものづくり」という共通の価値観がありました。着物は仕立てを解けば一反の生地に戻り、仕立て直しや染め直しを経て着られ続け、最後は雑巾として使われ、燃やされた灰が再び染料の助剤となる。この「最後まで大切に使い切る」思想は、野口さんが考える日本人のものづくりの原点であり、SHIROの活動とも深く重なっていました。

前例のない挑戦がもたらした技術的困難

天然染料で着古した制服を染めることは、極めて難しい挑戦でした。通常、野口さんが運営するBetulaNで染めるのは新品の生地です。しかし今回届いた制服は、実際に店舗で使用されていたもので、油染みやメイク汚れが付着していました。

さらに大きな問題は、SHIROの制服にはポリエステルが30パーセント含まれていることでした。天然染料は綿や麻などの天然繊維には染まりやすいのですが、化学繊維であるポリエステルには浸透しづらいという性質があります。この技術的な壁は大きく、野口さんは当初、化学染料での染色を提案していました。

しかし「自然素材を使い切る」というSHIROの考えに共感した野口さんは、難しいことを承知で天然染料での染色にチャレンジすることを決意します。この決断が、約3か月にわたる試行錯誤の始まりとなりました。

廃液が「宝」に変わる瞬間

野口さんは制服染めに専念し、さまざまな工夫を重ねました。まずドライクリーニングで油汚れを落とし、水洗いを行い、タンパク質を含ませる下処理を施してから、通常よりも濃度を上げて染める方法を試みました。

染料には、野口染舗が用意した天然素材に加えて、SHIROが自然素材を蒸留する過程で生まれた副産物である白樺とヨモギの廃液が使われることになりました。これまでSHIROでは、エッセンシャルオイルやフローラルウォーターを抽出した後の廃液は使い道がなく、廃棄するしかありませんでした。

ところが野口さんは、この廃液を「宝」だと表現したのです。SHIROが捨てざるを得なかったものが、視点を変えることで貴重な染料資源に生まれ変わりました。この発見は、諦めることなく何度も挑戦し続けた野口さんの努力の賜物であり、SHIROにとっては目から鱗が落ちる大発見でした。

7種類の天然素材が生み出す多彩な色

今回の染色には、7種類の天然素材が使用されました。それぞれの素材は、本来廃棄されてしまうものや使われなくなったものばかりです。

一つ目は、小樽のオサワイナリーでロゼワインをつくる際に出たブドウ果皮です。二つ目は、野口染舗の近所にあるリトルフォートコーヒーで、商品として販売できない規格外のコーヒー豆が使われました。

三つ目は、蘭越の白樺の森を管理して白樺樹液を製品化しているSIRACA(シラカ)が、山を育てるために間伐した白樹の枝です。四つ目は、SHIROの旬シリーズ「白樺フェイスミスト2025」に使用された北海道雨龍林の白樺の葉を蒸留したときの廃液でした。

五つ目は、ブドウ果皮で染めた後にヨモギの廃液で二度染めするという技法、六つ目はSHIROの「ヨモギ」シリーズに使用された北海道愛別町のヨモギを蒸留したときの廃液、七つ目は白樺の枝で染めてからヨモギの廃液で二度染めする方法が採用されました。

これらの素材はすべて、野口さんが「捨てられるものを、ただ、活かせるなら活かしたい。染めを通して、もう一度、息吹を吹き込みたい」という想いから色を引き出したものです。

渋谷PARCO店からスタートした段階的展開

染め直した制服が最初に導入されたのは、2025年6月末にオープンした渋谷PARCO店でした。ここでは、いろいろな色に染め直された制服の中から、店舗スタッフがそれぞれ自分の好きな色の制服を選んで着用し、お客様を迎えています。

他の店舗では着用テストも兼ねて、まず店長から着用を始めるという段階的なアプローチが取られています。これらの制服は、通常の制服が着られなくなってから野口染舗で染められるため、染めるタイミングと野口さんが作業できるタイミング、そして染料となる廃液が揃うという三つの条件が揃わなければ実現しません。そのため、すべての店舗スタッフへの展開は徐々に進められています。

今後は、染め上がった制服にワッペンを付けたり、パッチワークを施したりすることで、世界に一枚しかない制服に仕上げていくことも検討されています。人の肌の色がそれぞれ違うように染めの色は異なり、人の個性が異なるように制服にも異なる装飾が施されていく可能性があるのです。

制服がスタッフ・採用・お客様体験に与える影響

制服がスタッフ・採用・お客様体験に与える影響

制服は見た目のデザインや環境配慮だけでなく、働く人々のモチベーションや採用活動、さらには顧客体験にも大きな影響を与えます。SHIROの制服は、これらの側面でどのような効果をもたらしているのでしょうか。

スタッフの誇りと帰属意識を育む力

ブランドロゴ入りの制服は、「このブランドの一員である」という誇りや帰属意識を高める役割を果たします。SHIROの採用情報やスタッフインタビューでは、制服に袖を通すことが「夢の一歩」として語られている事例があり、制服が単なる作業着以上の意味を持っていることがわかります。

特に天然染めでリユースされた制服は、一枚一枚が異なる色合いを持っているため、スタッフが自分の好きな色を選べるという楽しみがあります。この選択の自由は、自己表現とブランドらしさを両立させる工夫であり、接客時の自然なコミュニケーションにもつながります。

お客様から「素敵な色の制服ですね」と声をかけられたとき、スタッフは制服のストーリーを語ることができます。廃棄予定だった制服が天然素材で染め直されたこと、北海道の職人との協業で生まれたこと、SHIRO製品の蒸留廃液が染料として使われていること。こうした物語を共有することで、スタッフとお客様の間に深いつながりが生まれるのです。

採用ブランディングにおける制服の役割

SHIROで働きたいと考える人々にとって、制服は重要な情報源の一つです。採用サイトや店舗見学で目にする制服のデザインや着こなしは、ブランドの雰囲気や働く環境を知る手がかりとなります。

特に「エシカル」「サステナブル」「地域との連携」といった価値観を重視する求職者にとって、制服リユースの取り組みは強力な魅力となります。自分が働く会社が環境問題に真剣に向き合い、実際に行動していることを示す具体例として、制服は雄弁に語りかけるのです。

また、制服を通じてブランドの創造性や挑戦する姿勢も伝わります。前例のない天然染めプロジェクトに取り組む姿勢は、SHIROが保守的ではなく革新的なブランドであることを示しています。こうした企業文化に共感する人材を惹きつける効果は、長期的な組織づくりにおいて非常に重要です。

顧客体験を深める統一感と物語性

SHIROの店舗を訪れるお客様は、商品を購入するだけでなく、ブランドの世界観を体験しに来ています。統一感のあるユニフォームと店内空間、プロダクトデザインの連動は、この没入感を高める重要な要素です。

制服がただ統一されているだけでなく、それぞれに物語があることは、お客様にとって新たな発見となります。スタッフが着ている制服が、実は廃棄予定だったものを天然素材で染め直したものだと知ったとき、お客様はSHIROのサステナビリティへの取り組みを具体的にイメージできるようになります。

この体験は、商品選びにも影響を与えます。環境に配慮したブランドから商品を購入したいと考えるお客様にとって、制服のストーリーはブランドへの信頼を高める材料となるのです。結果として、リピート購入やブランドのファン化にも寄与すると考えられます。

組織内のコミュニケーションを活性化させる効果

制服リユースプロジェクトは、組織内のコミュニケーションにもプラスの影響を与えています。各店舗のスタッフは、自分たちが着ている制服がどのように染められたのか、どんな素材が使われているのかを学ぶ機会を得ます。

この学びのプロセスは、スタッフがブランドの理念をより深く理解することにつながります。野口さんという職人との協業の物語、北海道という土地のつながり、SHIRO製品の製造過程で生まれる廃液の活用。これらの知識は、接客時にお客様へ伝える内容を豊かにするだけでなく、スタッフ自身がブランドに愛着を持つきっかけとなります。

また、制服の色や装飾を選ぶという行為は、スタッフ同士の会話のきっかけにもなります。「どの色を選んだの?」「この染めはヨモギの廃液を使っているんだって」といった日常的なコミュニケーションが、チームの一体感を高める効果も期待できるのです。

shiroの制服から学べるユニフォーム設計のポイント

shiroの制服から学べるユニフォーム設計のポイント

SHIROの制服プロジェクトは、これからの時代のユニフォーム設計において、多くの示唆を与えてくれます。環境配慮とブランディングを両立させるためには、どのような視点が必要なのでしょうか。

ブランド理念との一貫性を保つ重要性

SHIROの制服が成功している最大の理由は、ブランド理念との一貫性にあります。「自然素材を使い切る」「廃棄物ゼロを目指す」という企業の掲げる価値観が、制服のリユースプロジェクトという形で具現化されているのです。

多くの企業では、環境方針や企業理念が文書として存在していても、実際の業務とは切り離されていることがあります。しかしSHIROは、スタッフが毎日着用する制服というアイテムを通じて、理念を日常に落とし込むことに成功しました。

ユニフォームを設計する際には、まず自社のブランド理念や企業文化を明確にすることが重要です。そしてその理念を、デザインや素材選び、運用方法といった具体的な要素にどう反映させるかを考える必要があります。

パートナーシップによる価値創造

SHIROの制服プロジェクトは、野口染舗という外部パートナーとの協業によって実現しました。この協業が成功した背景には、価値観の共有と相互のリスペクトがありました。

野口さんは着物という日本の伝統文化を守りながら、現代的な天然染めブランドを展開している職人です。一方SHIROは、天然素材にこだわりながらも現代的なライフスタイルを提案するブランドです。両者は異なる分野で活動していますが、「自然素材を大切にする」「循環を意識する」という共通の価値観を持っていました。

企業がサステナブルなユニフォームを実現しようとする際、自社だけで完結させることは困難です。染色や縫製、素材開発など、それぞれの分野の専門家と協力することで、技術的なハードルを乗り越えることができます。重要なのは、単なる取引関係ではなく、共通の目標に向かって協働するパートナーシップを築くことです。

完璧を求めず段階的に進める柔軟性

SHIROの制服プロジェクトは、すべての店舗で一斉にスタートしたわけではありません。まず広島ミナモア店で藍染の制服を試し、次に渋谷PARCO店で多色展開を行い、他店舗では店長から着用を始めるという段階的なアプローチが取られています。

この柔軟性は、サステナブルなプロジェクトを成功させる上で重要な要素です。最初から完璧なシステムを構築しようとすると、技術的な困難やコストの問題で頓挫してしまうことがあります。しかし小規模から始めて、試行錯誤を重ねながら徐々に拡大していくアプローチなら、問題が発生しても修正しながら前に進むことができます。

また、染料となる廃液が揃うタイミングや、野口さんの作業スケジュールなど、外部要因に左右される部分があることも認識しています。こうした制約を受け入れながら、できる範囲で最善を尽くすという姿勢が、長期的なプロジェクトの継続には不可欠です。

スタッフの主体性を引き出す仕組み

渋谷PARCO店では、スタッフが自分の好きな色の制服を選べるという仕組みが導入されています。この選択の自由は、単なるデザイン上の工夫ではなく、スタッフのエンゲージメントを高める重要な要素です。

ユニフォームは本来、組織の統一感を生み出すために全員が同じものを着用することが多いです。しかしSHIROは、天然染めという特性を活かして、統一感と個性の両立を実現しました。基本的なデザインは同じでも、色が異なることで、スタッフは自分らしさを表現できるのです。

企業がユニフォームを設計する際には、一方的に支給するのではなく、着用する人の意見や好みを取り入れる余地を残すことが大切です。スタッフが自分の制服に愛着を持つことで、より誇りを持って仕事に臨むことができるようになります。

物語を伝えるコミュニケーション戦略

SHIROの制服プロジェクトが多くの人に知られているのは、その取り組みを積極的に発信しているからです。プレスリリースやブランドの公式サイト、SNSなどを通じて、制服の背景にあるストーリーが丁寧に語られています。

ただ環境に配慮した制服をつくるだけでなく、なぜそれに取り組むのか、どんな困難があったのか、どんなパートナーと協力したのかという物語を伝えることで、社会的な共感が生まれます。この共感は、ブランドの評価を高めるだけでなく、他の企業や個人が同様の取り組みを始めるきっかけにもなります。

ユニフォームのサステナブル化を考える企業は、その取り組みを社内外にしっかりと伝えることも忘れてはいけません。スタッフ向けの研修資料や、お客様向けのパンフレット、メディア向けのプレスキットなど、さまざまなコミュニケーションツールを活用することで、取り組みの価値を最大化できます。

まとめ

まとめ

SHIROの制服は、単なる業務用の衣服ではありません。それはブランドの理念を体現し、スタッフの誇りを育み、お客様との絆を深める重要なツールです。廃棄予定だった制服を天然素材で染め直すというプロジェクトは、環境負荷を減らすだけでなく、世界に一枚だけの個性あふれる制服を生み出すという創造的な価値も持っています。

野口染舗との協業によって実現したこの取り組みは、完璧ではありません。染料となる廃液が揃わなければ染められませんし、すべての店舗への展開には時間がかかります。しかし、完璧を求めず、できることから少しずつ進めていく姿勢こそが、持続可能な取り組みを実現する鍵なのです。

SHIROの制服から学べることは、環境配慮とブランディングは対立するものではなく、むしろ相乗効果を生み出せるということです。これからユニフォームの導入や見直しを検討している企業にとって、SHIROの事例は多くのヒントを与えてくれるはずです。

参考:SHIRO