葬儀業界では人手不足と環境負荷の削減が喫緊の課題となっています。特に花祭壇の制作には熟練の技術が必要とされ、経験者の減少に伴い業務負荷が特定の技術者に集中する傾向が強まっています。こうした課題に対して、日比谷花壇が開発した「SusBase(サスベース)」は、生産性向上と環境配慮を同時に実現する画期的なソリューションとして注目を集めています。
SusBaseは、従来「だれdemo花祭壇」として提供されていた生花祭壇ベースユニットをリブランディングした新しいプロダクトブランドです。金属製パイプとPP製試験管で構成された繰り返し使用可能なベースシステムにより、未経験者でも短時間で高品質な花祭壇を制作できるようになりました。2025年11月には、曲線を表現するライン祭壇に対応する新モデル「typeC」がシリーズに追加され、より幅広い祭壇デザインに対応できるようになっています。
本記事では、SusBaseの特徴や仕組み、葬儀業界が抱える課題への具体的な解決策、導入によるメリット、そして環境配慮の取り組みについて詳しく解説します。
SusBaseが解決する葬儀業界の深刻な課題

葬儀業界では現在、複数の構造的な課題が同時に進行しており、事業者にとって大きな負担となっています。これらの課題は相互に関連しており、単一の解決策では対応が難しい状況です。SusBaseはこうした複合的な課題に対して、システマティックなアプローチで解決を図る製品として開発されました。
深刻化する人手不足と技術格差の問題
葬儀業界では花祭壇の需要が右肩上がりに伸び続けている一方で、経験者の減少に伴う人手不足が深刻化しています。特に花祭壇の制作には高度な技術と長年の経験が必要とされるため、技術者間の格差が拡大し、熟練者に業務負荷が集中する傾向が顕著になっています。
従来の花祭壇制作では、花の向きや開花度合いを見極めながら一本一本丁寧に配置していく繊細な作業が求められます。特にライン祭壇の場合は、菊を異なる長さにカットし、曲線を表現するためにライン上に正確に配置する必要があり、この工程には熟練の技と多くの時間が必要でした。
こうした状況により、新人スタッフの育成に時間がかかり、即戦力として活躍できるまでに数年単位の経験が必要となっていました。また、ベテラン技術者への依存度が高まることで、その方が休暇を取りにくくなるなど、労働環境の悪化にもつながっていました。
環境負荷の高いフローラルフォームの課題
葬儀装花で花を挿すために多用されるフローラルフォーム(吸水スポンジ)は、石油由来の化学成分から成る素材です。この素材は製造・運搬・使用・廃棄する過程において二酸化炭素を多く排出するため、サステナビリティの観点から環境負荷の低減が企業にとって避けられない課題となっています。
フローラルフォームは一度使用すると再利用ができず、葬儀ごとに大量に廃棄される仕組みになっています。また、保管にもスペースが必要であり、在庫管理のコストや手間も発生します。さらに、廃棄時には産業廃棄物としての処理が必要になるため、処理費用も事業者の負担となっていました。
環境意識の高まりとともに、企業には持続可能な事業運営が求められるようになっており、石油由来資材の使用量削減は葬儀業界全体で取り組むべき重要なテーマとなっています。
SusBaseの革新的な仕組みと製品ラインナップ

SusBaseは日比谷花壇が独自に開発した金属製パイプで構成された、繰り返し使用が可能な花祭壇専用のベースシステムです。その設計思想は「誰でも・短時間で・高品質な花祭壇を制作できる」ことにあり、従来の職人技に依存していた制作プロセスを標準化することに成功しています。
基本構造と使用方法の特徴
SusBaseの基本構造は、金属製パイプの内部にPP製試験管が装着された設計になっています。制作者は菊(ピンポン菊を推奨)の茎を一定の長さにカットし、各金属パイプ内の試験管の指定挿入口に花を入れていくだけで、高さとバランスの揃った花祭壇のライン部分が完成する仕組みです。
造花のグリーンがあらかじめ取り付けられた状態でベースが配置されるため、下地作りの時間も大幅に短縮されます。試験管に水が入っているため、生花の鮮度も保たれ、長時間の式典にも対応できる品質が確保されています。
この仕組みにより、従来は熟練者でなければ難しかった曲線の表現や高さの調整が、明確な指示に従うだけで実現できるようになりました。制作者のスキルレベルに関わらず、一定の品質を保てることが最大の特徴です。
新モデル「typeC」の追加と製品ラインナップ
2025年11月28日には、曲線を表現するライン祭壇の制作に対応する新モデル「SusBase-typeC」がシリーズに追加されました。これまで特に熟練の技術を必要としていたライン祭壇の制作が、初心者でも可能になる画期的なモデルです。
「SusBase-typeC」の本体サイズは外周W750×H510×D450、内周W550×H400×D480で、価格は300,000円(税別)となっています。また、ライン内部のグラデーション部分を制作するための「SusBase-typeC add」も同時に提供されており、こちらはW560×H190×D300のサイズで価格は400,000円(税別)です。
これらの新モデルは、従来の「typeH」や「typeL180」といった既存モデルと組み合わせることで、多様なデザインの花祭壇に対応できます。例えば、祭壇中央にtypeHを配置し、両側にtypeCを組み合わせることで、曲線美のあるライン祭壇が完成します。
分割可能な設計になっているため、非力な方でも運搬が可能であり、現場での取り扱いやすさにも配慮されています。
SusBase導入による具体的なメリットと効果

SusBaseを導入することで、葬儀社には複数の明確なメリットがもたらされます。これらのメリットは単に作業効率の向上にとどまらず、事業運営全体の改善につながる包括的な効果を生み出しています。
制作時間の大幅短縮と労働環境の改善
SusBaseの最も顕著な効果は、花祭壇の制作時間を大幅に短縮できることです。従来は熟練者が数時間かけて制作していたライン祭壇が、未経験のスタッフでも短時間で完成させられるようになりました。
制作時間の短縮により、スタッフの過重労働が解消され、労働環境の改善につながります。特に葬儀業界では急な対応が求められることも多く、短時間で確実に祭壇を用意できることは、スタッフの精神的負担の軽減にも寄与しています。
また、特定の熟練者に依存しない制作体制が構築できるため、人員配置の柔軟性が高まり、休暇取得の促進や働き方改革の推進にもつながります。複数のスタッフが同じ品質で祭壇を制作できることで、チーム全体の生産性が向上します。
品質の標準化と顧客満足度の向上
SusBaseを既に導入している葬儀社からは、未経験スタッフでも短時間で統一された高品質な祭壇制作が可能となり、顧客満足度が向上したという声が寄せられています。制作者のスキルレベルに関わらず、常に一定の品質を提供できることは、サービス品質の安定化に直結します。
誰が制作しても大きさや形、品質が一定に保たれることで、顧客に対して安定したサービスを提供できるようになります。これは葬儀社のブランド価値向上にもつながり、口コミや評判の改善にも寄与する可能性があります。
また、制作プロセスが標準化されることで、事前に完成イメージを正確に伝えやすくなり、顧客とのコミュニケーションもスムーズになります。期待と実際の仕上がりのギャップが小さくなることで、トラブルの減少にもつながります。
コスト削減と業務効率化の実現
フローラルフォームを使用しないことで、廃棄のコストと手間を削減できることも大きなメリットです。産業廃棄物としての処理費用がなくなり、廃棄作業にかかる人件費も削減されます。
また、フローラルフォームの仕入れが不要になることで、在庫管理がスムーズになり、保管スペースの削減にもつながります。資材の発注や在庫チェックにかかる管理業務が軽減され、スタッフはより付加価値の高い業務に時間を割けるようになります。
SusBaseは繰り返し使用が可能なため、長期的に見れば初期投資を回収でき、ランニングコストの削減につながります。耐久性の高い金属製の構造により、適切にメンテナンスすれば長期間使用できることも経済的なメリットとなります。
SusBaseが実現する環境配慮とサステナビリティ

SusBaseは単なる生産性向上ツールではなく、環境配慮とサステナビリティを事業の中核に据えた製品です。その名称にも「Sustainability Base」の意味が込められており、持続可能な葬儀事業の実現を目指しています。
石油由来資材の使用削減による環境貢献
SusBaseを使用することで、フローラルフォームという石油由来資材の使用量を大幅に削減できます。フローラルフォームは製造過程で石油化学製品を使用し、輸送時には重量があるため多くの燃料を消費します。使用後は再利用できず、廃棄時には焼却や埋め立てが必要となり、各段階で二酸化炭素を排出します。
SusBaseの金属製パイプとPP製試験管は繰り返し使用が可能であり、適切に洗浄・管理すれば数百回以上の使用に耐えられます。これにより、葬儀一件あたりの資材廃棄量が大幅に削減され、環境負荷の低減に直接的に貢献します。
二酸化炭素排出量の削減は、企業の環境目標達成にも寄与します。近年では環境報告書やサステナビリティレポートの作成が求められる企業も増えており、SusBaseの導入はこうした取り組みの具体的な成果として示すことができます。
循環型社会への貢献と企業価値の向上
使い捨てから繰り返し使用へという発想の転換は、循環型社会の実現に向けた重要なステップです。SusBaseは資源を有効活用し、廃棄物を最小限に抑える仕組みを葬儀業界に導入することで、業界全体のサステナビリティ向上に貢献しています。
環境配慮への取り組みは、企業のブランドイメージ向上にもつながります。特に若い世代を中心に環境意識が高まっている現代において、持続可能な事業運営を実践している企業は顧客からの支持を得やすくなります。
また、取引先や協力会社との関係においても、環境配慮の姿勢は評価の対象となります。SDGsやESG投資が注目される中、サステナビリティへの取り組みは企業価値を高める重要な要素となっています。
長期的な環境効果の可視化
SusBaseを導入することで、具体的な数値として環境貢献を示すことができます。例えば、年間の葬儀件数にフローラルフォームの使用量を掛け合わせることで、削減できた石油由来資材の量や二酸化炭素排出削減量を算出できます。
こうした数値の可視化は、社内での環境意識の向上にもつながります。スタッフ一人ひとりが自分たちの仕事が環境保護に貢献していることを実感でき、モチベーション向上にもつながる可能性があります。
また、顧客に対しても環境配慮の取り組みを具体的に説明できることで、差別化要因となり、サービス選択の際のポジティブな判断材料となります。
SusBase導入の実践的なポイントと今後の展望

SusBaseを効果的に活用するためには、適切な導入計画と運用体制の構築が重要です。また、日比谷花壇が今後どのような展開を予定しているかを理解することで、長期的な視点での導入判断が可能になります。
効果的な導入と運用のポイント
SusBaseの導入にあたっては、まず現場スタッフへの丁寧な説明と実地研修が重要です。従来の方法に慣れているベテランスタッフほど、新しいシステムへの移行に抵抗を感じる可能性があるため、メリットを具体的に示しながら理解を得ることが必要です。
制作手順はシンプルですが、最初は実際に手を動かしながら覚えることで、より早く習熟できます。日比谷花壇では制作デモンストレーション動画も提供しており、これを活用することで効率的な研修が可能です。
また、複数のtypeを組み合わせることで多様なデザインに対応できるため、どの組み合わせがどのような祭壇に適しているか、事前にパターンを整理しておくことも有効です。顧客のニーズに応じて迅速に最適な構成を提案できる体制を整えることで、サービス品質の向上につながります。
葬儀業界の変革を支える取り組み
日比谷花壇は長年培った知見を活かし、葬儀現場が抱える課題だけでなく、社会全体の問題解決に寄与するサービスのさらなる拡充に努めています。SusBaseはその取り組みの一環であり、今後も継続的な改善と新モデルの開発が期待されます。
葬儀業界全体が直面している人手不足と環境課題は、一企業の努力だけでは解決できない構造的な問題です。しかし、SusBaseのような革新的なソリューションが普及することで、業界全体の変革が促進される可能性があります。
日比谷花壇が提供するSusBaseは、葬儀事業者向けの商品であり、一般消費者が直接購入するものではありません。導入を検討する葬儀社は、株式会社日比谷花壇の葬儀代理店事業部に問い合わせることで、詳細な情報や資料を入手できます。
持続可能な葬儀業界の実現に向けて
SusBaseの登場は、葬儀業界における持続可能性の追求が新たな段階に入ったことを示しています。生産性向上と環境配慮という一見相反するように見える二つの目標を、技術的イノベーションによって同時に達成する道筋が示されました。
今後は、SusBaseのようなシステムがさらに進化し、より多様なデザインや用途に対応できるようになることが期待されます。また、他の葬儀関連資材や設備においても、同様のサステナビリティを重視した製品開発が進むことで、業界全体の環境負荷がさらに低減される可能性があります。
葬儀という人生の節目に関わる仕事において、品質を保ちながら働きやすい環境を整え、同時に地球環境にも配慮するという姿勢は、これからの時代に求められる企業のあり方そのものです。SusBaseはその実現に向けた具体的な一歩として、業界に新しい風を吹き込んでいます。