エシカル・スピリッツとは?酒粕ジンLASTの特徴と買える場所

エシカル・スピリッツ(The Ethical Spirits)は、日本酒造りで余る酒粕や飲み頃を過ぎた酒を蒸留し、ジンとして売る東京・蔵前の蒸留所です。売上の100%がアップサイクル製品という点が、ほかのクラフトジンとの大きな違いです。

この記事では、エシカル・スピリッツの会社と主力ブランドLAST、価格と買える場所、B Corp認証の内容を整理します。あわせて、同じく食べ物の「行き場」をつくる企業を、同じ項目で並べて紹介します。

この記事でわかること

  • エシカル・スピリッツの事業と4つのジンブランドの違い
  • LASTやREVIVEの価格と、買える場所・蔵前の店舗
  • B Corp認証と、同社が公表している環境面の数値
  • 未活用の食を生かす企業・サービスの比較表
  • ジンを買う前によくある質問

エシカル・スピリッツとは?会社と事業の基本

エシカル・スピリッツは2020年2月7日設立の酒類メーカーで、廃棄されるはずだった酒粕などを蒸留する「再生型蒸留所」を運営しています。本社は東京都台東区蔵前です。

同社の公式サイトによると、事業内容は未活用素材に光を当て、新しい価値を生み出すエシカルなスピリッツ(蒸留酒)の製造・販売です。代表取締役CEOは小野力氏、取締役CTOは山口歩夢氏です。蒸留所と店を同じ建物に置き、素材を再生する場を街の中につくっている点も特徴です。

2026年7月には、社会と環境への取り組みを第三者が検証する国際認証「B Corp」を取得しています。認証の中身は、社会に与える良い影響の章で詳しく扱います。

参照:エシカル・スピリッツ公式サイト「トップ」(2026年11月5日確認)

経営理念は「Nothing is Meaningless」

同社は3つの理念を掲げています。1つ目の「Nothing is Meaningless」は、無駄なものはなく、視点を変えれば才能の原石になり得るという考え方です。2つ目の「Dig the New Tasty」は、まだ存在しない美味しさを探し続けるという方針です。3つ目の「Beyond the Ethical」は、エシカルであることが当たり前になった先を目指すという構想です。

酒粕は日本酒造りの副産物なので、捨てる素材を「味の出発点」に変えるというのが事業の骨格です。

蒸留所は都市型で、店とバーが同じ建物にあります

2021年に設立された「Tokyo Riverside Distillery」は、東京で3つ目の都市型蒸留所です。1階がオフィシャルストア、2階がBar & Diningで、蒸留から飲む体験までが1か所でつながっています。

今後の拠点として、茨城県つくば市の廃校になった小学校の体育館を使う「Tsukubane Greenhill Distillery」を計画中です。建設予定の段階で、稼働時期は公表されていません。

エシカル・スピリッツのジンは4つのブランド|LASTとREVIVEの違い

蒸留器が並ぶクラフトジン蒸留所の室内(イメージ写真)

同社のジンはLAST、REVIVE、ETHIQUE、ENIGMAの4ブランドです。主力のLASTは酒粕、REVIVEは飲み頃を過ぎたビールや日本酒が原料です。

ブランド原料や位置づけ公式の説明
LAST(東京エシカルジン)酒粕など、最後に残された素材シグネチャージン
REVIVE飲み頃を過ぎたビールや日本酒など蒸留してジンとして蘇らせる商品
ETHIQUEカカオハスクなど、まだ知られていない素材素材の風味を楽しむジン
ENIGMA毎月変わる素材とレシピ毎月誕生する限定スピリッツ

LAST:酒粕を蒸留した主力ジン

LASTは、さまざまな場所で最後に残された素材を蒸留し、新たな価値を見出すシグネチャージンです。公式ショップのLASTシリーズには、EN、ELEGANT、ELYSIUMなどの種類があります。

公式ショップはLASTを、すてられるはずだった酒粕を蒸留したジンと説明しています。種類が複数あるため、飲み比べもできます。

参照:エシカル・スピリッツ公式ショップ「LAST」(2026年11月5日確認)

REVIVE:余った酒を別の形で蘇らせるジン

REVIVEは、飲み頃を終えたビールや日本酒などの酒を蒸留し、ジンとして蘇らせたエシカルジンです。公式ショップの説明では、コロナ禍で余剰となった輸入ビールや日本酒などを原酒に使っています。

商品には「REVIVE from BEER」「REVIVE from Hoegaarden <Root>」「REVIVE from IPA <Disrupt>」などがあり、元のお酒の違いがそのまま商品名になっているため、選びやすい構成です。

参照:エシカル・スピリッツ公式ショップ「REVIVE」(2026年11月5日確認)

ETHIQUEとENIGMA:素材を変えて挑戦するシリーズ

ETHIQUEは、カカオハスクなど、まだ知られていない素材の風味を楽しむジンです。ENIGMAは毎月誕生する限定スピリッツで、これまでにない素材とレシピを使っています。

どちらも、酒粕以外の未活用素材にも対象を広げていることを示すシリーズです。公式ショップには「TURKISH COFFEE ETHIQUE」という商品もあります。

エシカル・スピリッツのジンの値段とどこで買えるか

公式オンラインショップで買えます。蔵前の店舗でも購入できます。価格の一例として、LASTのEN、ELEGANT、ELYSIUMは各1,650円と表示されています。

商品公式ショップの表示価格
LAST EN/ELEGANT/ELYSIUM(各1種)1,650円
LAST ELEGANT 700ml 3本セット/ELYSIUM 700ml 3本セット各11,550円
LAST ギフトセット(EN/ELEGANT/ELYSIUM)送料無料3,900円
REVIVE from Hoegaarden <Root>/from IPA <Disrupt>各3,300円
REVIVE from VERTERE/from WAKAZE各4,400円
REVIVE from BEER5,500円

価格は公式ショップの一覧表示で、税込か税別かの明記はページ上にありません。容量やアルコール度数は商品詳細ページで確認してください。

オンラインショップの送料と購入の目安

公式ショップの商品一覧には、5,500円以上の購入で送料無料との表示があります。それ未満の場合の送料額は、一覧ページには書かれていません。

ギフトセットの一部には「送料無料」と明記されたものがあります。カートで最終金額を確認してから購入してください。

参照:エシカル・スピリッツ公式ショップ「全商品」(2026年11月5日確認)

蔵前のオフィシャルストアとBar & Dining Stage

Tokyo Riverside Distilleryの1階がオフィシャルストア、2階がBar & Dining Stageです。ストアではボトルとテイクアウトドリンクを買え、香水瓶でジンの香りを試せます。

場所営業時間(公式ページの記載)
オフィシャルストア(1F)平日13:00〜19:00、土日祝12:00〜18:00
Bar & Dining Stage(2F)火〜土18:00〜23:00(ラストオーダー:フード22:00、ドリンク22:30)

所在地は東京都台東区蔵前3-9-3の臼井ビルです。都営大江戸線の蔵前駅A5・A6出口から徒歩3分、都営浅草線の蔵前駅A0出口から徒歩3分です。1階のガラス越しに蒸留所をのぞけるため、買い物のついでに製造現場も見られます。

参照:エシカル・スピリッツ「Tokyo Riverside Distillery」(営業時間はページ記載のとおり、日付の記載なし)

未活用の食を生かす企業・サービス|同じ項目で比較

エシカル・スピリッツと同じく、食べ物や食品の副産物に行き場をつくる企業を、各社の公式ページの記載だけで並べました。表の1行目は本記事の主題で、2行目以降は五十音順です。順位やおすすめ順ではありません。

今回は公式ページで事業内容を確認できた5社を掲載しています。公式ページに記載のない項目は「公表なし」としています。

企業・サービス取り組みの対象仕組み公表している実績開始年
エシカル・スピリッツ酒粕、飲み頃を過ぎたビールや日本酒、カカオハスクなど蒸留してジンにする使用量は公表なし(売上の100%がアップサイクル製品と公表)2020年設立
クラダシ期限が近い商品、販売時期を過ぎた商品、行き場をなくした商品などソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」の運営公表なし2014年設立(サービス開始年は公表なし)
日本フードエコロジーセンター動植物性残渣などの食品残さ破砕・発酵処理による飼料化飼料化の処理能力49t/日2005年10月に施設開設
ファーメンステーション未利用バイオマス、食品ロスなど発酵・蒸留でエタノールや食品原料にする公表なし2009年設立、エタノール事業は2013年
rebake(運営:合同会社クアッガ)パン屋で廃棄されそうなパン(ロスパン)冷凍便で届く通販マーケットおたのしみ便で100万個超のパンを廃棄から救出(2026年9月11日発表)2021年(おたのしみ便)
ロスゼロ食品メーカーなどの食品ロス予備軍不定期便、アップサイクルなど不定期便1回で約4〜5kgの食品ロス削減(時点の記載なし)2018年4月

「公表している実績」は、各社が別の指標で出している数字のため、横並びの優劣比較には使えません。

クラダシ

株式会社クラダシが運営する、ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」です。フードロス・食品ロスの削減をうたっています。

扱う商品は食品、お菓子、お酒、飲料、美容・健康、日用品です。対象の例として、期限が近い商品、販売時期を過ぎた商品、行き場をなくした商品、見た目や仕様に理由がある商品が挙げられています。

食品以外の日用品まで扱う点が、食品メーカー中心のほかの企業との違いです。会社は2014年7月7日の設立です。

参照:Kuradashi「会社概要」(2026年11月5日確認)

日本フードエコロジーセンター

神奈川県相模原市に本社と工場を置く、食品リサイクル事業の会社です。事業内容は廃棄物処分業と飼料製造業などです。

取扱廃棄物には、動植物性残渣、廃酸、廃アルカリ、汚泥(食品に限る)、一般廃棄物(生ごみ)が挙がっています。

飼料化の処理能力は1日49tで、365日稼働と公式ページに書かれています。2005年10月に小田急ビルサービス環境事業部が施設を開設し、2013年10月に現在の株式会社として開業しました。

参照:日本フードエコロジーセンター「会社概要」(従業員数は2026年4月1日現在)、同「沿革」

関連記事:日本フードエコロジーセンターとは?見学の申込みと優とんの買える店

ファーメンステーション

株式会社ファーメンステーションは、食品ロスなどの未利用バイオマスからエタノールや食品原料を研究開発し、製造販売する会社です。

事業内容には、化粧品・雑貨のOEM/ODMと、未利用資源を使った事業共創も含まれます。製造拠点は岩手県奥州市の奥州ファクトリーです。

2009年7月7日に設立され、2010年に奥州市の実証実験を受託し、2013年にエタノール製造事業を引き継いで販売を開始しました。エシカル・スピリッツが酒粕をお酒にするのに対し、こちらは発酵でエタノールや原料にする点が異なります。

参照:ファーメンステーション「会社概要」(2026年11月5日確認)

rebake

rebakeは、全国のパン屋さんのパンを取り寄せられる通販マーケットです。廃棄されそうなパンを「ロスパン」として扱い、食品ロスの削減に取り組んでいます。

運営は合同会社クアッガです。購入後は冷凍便で届き、温め直して食べます。収益の一部は、自然環境を守る団体や貧困の解決に取り組む団体に渡る仕組みです。

2026年9月11日の発表では、おたのしみ便の開始から5年で、100万個超のパンを廃棄から救出したとしています。おたのしみ便の開始は2021年です。

参照:rebake「rebakeとは」(2026年11月5日確認)、PR TIMES「100万個超のパンを廃棄から救出。ロスパンの定期便「rebakeおたのしみ便」、開始より5年」(2026年9月11日)

関連記事:rebakeを解説|ロスパンの届き方・料金と食品ロスへの効果

ロスゼロ

株式会社ロスゼロ(大阪市)は、行き先を失った食品を、背景やつくり手の想いと一緒に消費者へ届ける会社です。

取り組みは5つで、配送日と中身を任せる福袋型の「ロスゼロ不定期便」、規格外の作物などのアップサイクル、食品ロス予備軍商品の単品販売、法人向け福利厚生の導入、情報発信と研修です。

公式ページは、不定期便1回の配送で約4〜5kgの食品ロス削減と18.13kgのCO2削減になると説明しています。時点の記載はありません。事業開始は2018年4月です。

参照:ロスゼロ「会社概要」(2026年11月5日確認)

関連記事:ロスゼロとは?不定期便の料金・届く頻度・解約の期限・送料

エシカル・スピリッツが社会に与える良い影響

日本酒の酒造りを象徴する、積み上げられた酒樽(イメージ写真)

主な影響は、日本酒の副産物である酒粕に新しい用途を与えること、再生可能エネルギーの利用、素材や場所の再生へ事業を広げることの3点です。

酒粕に用途が生まれると、何が変わるのか

酒粕は日本酒をしぼったあとに残る副産物です。エシカル・スピリッツは、公式サイトで未活用の酒粕を年間約3,200トンと推計しています。国税庁の令和3酒造年度の酒粕発生量約32,000トンをもとに、10%が未活用だと仮定した数字です。

これは同社の推計であり、国の統計値ではありません。また、同社は自社の酒粕使用量を公表していないため、3,200トンのうちどれだけをジンに生かしているかは確認できません。

社会全体の規模としては、環境省が令和5年度の食品ロス発生量を464万トン(事業系231万トン、家庭系233万トン)と推計しています。酒粕の用途開拓は、この大きな課題の一部に対する具体的な1つの打ち手と位置づけられます。

酒粕に買い手がつくと、酒蔵にとっては副産物に価値が生まれます。

参照:環境省「我が国の食品ロスの発生量の推計値(令和5年度)の公表について」(2025年6月27日公表)

再生可能エネルギー100%とCO2削減の公表数値

2026年10月20日のプレスリリースによると、同社は2025年9月から使用電力を100%再生可能エネルギーに切り替えました。2026年1〜9月のCO2削減量は14,028kgで、算定はUPDATERによるものと書かれています。

製品単位では、自社蒸留の原酒を使うことで1本あたり約21%の削減効果があったとされます。ただし、これは2022年12月に計測した「LAST ELEGANT」の旧レシピ(当時の名称「LAST EPISODE 0 -ELEGANT-」)を第三者が算定した値で、現行品の数字ではありません。

同じリリースでは、自社製品の売上の100%がアップサイクル製品だとしています。また、有害廃棄物の排出はゼロで、包材は100%リサイクル可能な素材とされています。2021年に取得したISO 22000に基づく管理体制が、資源循環の取り組みを支えているという説明です。

B Corp認証の評価は、ガバナンス、従業員、コミュニティ、環境、顧客の5分野で行われます。同社は「未利用の副産物を再生する事業」そのものが、環境分野のインパクト・ビジネスモデルとして認定されたと説明しています。具体的な点数は公表されていません。

参照:PR TIMES「エシカル・スピリッツ、B Corp認証取得」(2026年10月20日発表)

酒粕から木や廃校へ、素材と場所の再生が広がる

公式サイトによると、同社は「WoodSpirits」という森林総合研究所の技術を活用した「木の酒」の製品化プロジェクトを進めています。民間事業者として世界初の商品化だと同社は説明しており、森林資源の新しい使い道を探る取り組みです。

茨城県つくば市で計画中の蒸留所は、廃校になった小学校の体育館を活用する予定です。空いた施設を地域の拠点に変える試みで、完成すれば素材だけでなく場所の再生にもつながります。

参加の仕方として、読者にできる最も簡単な行動は、蔵前のストアやオンラインショップでジンを選ぶことです。

よくある質問

エシカル・スピリッツについて、よく聞かれる点をまとめました。

Q
エシカル・スピリッツのジンはどこで買えますか?
A

公式オンラインショップと、東京・蔵前のオフィシャルストアで買えます。公式ショップの商品一覧は5,500円以上で送料無料と表示されています。店舗の営業時間は、平日13:00〜19:00、土日祝12:00〜18:00です。

Q
LASTの値段はいくらですか?
A

公式ショップの表示では、LASTのEN、ELEGANT、ELYSIUMは各1,650円で、ギフトセットは3,900円です。700mlの3本セットは11,550円です。税込かどうかの明記はないため、購入前に確認してください。

Q
酒粕ジンとは何ですか?
A

日本酒造りで出る酒粕を再蒸留した原酒をベースにしたジンです。LASTがその代表で、穀物由来のスピリッツを使う一般的なジンとは、香りの土台が異なります。

Q
B Corp認証とは何ですか?
A

社会と環境へのパフォーマンス、透明性、説明責任などを、非営利団体B Labの基準で検証された企業に与えられる国際認証です。同社は2026年7月に取得しました。

まとめ

エシカル・スピリッツは、酒粕や余った酒を蒸留してジンにする、東京・蔵前の再生型蒸留所です。要点は次のとおりです。

  • 主力はLASTで、酒粕を蒸留した原酒がベースです。
  • REVIVE、ETHIQUE、ENIGMAと、素材の異なる4ブランドがあります。
  • LASTは公式ショップで1,650円からで、蔵前の店舗でも買えます。
  • 2026年7月にB Corpを取得し、使用電力は2025年9月から100%再生可能エネルギーです。
  • 未活用の酒粕3,200トンは同社推計で、自社の使用量は公表されていません。

この記事の執筆者

The Company Journal編集部

企業の取り組み・サステナビリティ・社会課題をテーマにした編集チーム。 企業や自治体の情報を編集部が一社ずつ確認し、 独自の基準で比較・整理した情報をお届けしています。