ふるさと納税の電気は、寄附額の一部が毎月の電気料金に充てられる返礼品です。ただし、電気を返礼品にできるのは区域内で発電された電気などの条件を満たした自治体に限られ、住んでいる地域や契約中のプランによっては申し込めません。
この記事では、電気が返礼品になる仕組みと総務省の条件、電気代の計算の考え方、申込の手順と注意点を整理します。あわせて、返礼品の電気を扱う電力会社4社と、実際に取り組んでいる自治体3件を、各公式ページの記載に基づいて紹介します。
この記事でわかること
- ふるさと納税の電気が通常の返礼品と違う点
- 電気が返礼品になるための総務省の3条件
- 電気代の充当額を比べるときの考え方
- 申込の手順と、失敗しやすい注意点
- 電力会社4社の対応エリアと申込条件
- 電気を返礼品にしている自治体の事例
ふるさと納税の電気はどんな仕組み?

ふるさと納税の電気は、寄附をした自治体の電気を、電力会社との契約を通じて電気料金の値引きとして受け取る返礼品です。
肉や果物のような返礼品は自治体や事業者から品物が届きます。これに対して電気は、自治体が直接届けるのではなく、返礼品として指定された電力会社が電気を供給し、その電気料金に寄附に応じた金額を充当する形が一般的です。そのため、寄附の手続きとは別に、電力会社との電気の契約が必要になります。
電気は目に見えない返礼品ですが、地域の発電所で作られた再生可能エネルギーを自分の家庭で使うことになり、寄附が地域の発電事業を支える点に特徴があります。総務省も、返礼品としての電気について一定の条件を満たせば地場産品基準に適合するものとして扱う考え方を示しています。
| 項目 | 一般的な返礼品(食品・雑貨など) | 電気の返礼品 |
|---|---|---|
| 受け取るもの | 品物やサービス | 電気料金への充当(値引き) |
| 届ける主体 | 自治体が指定した事業者 | 自治体が指定した小売電気事業者 |
| 寄附のほかに必要な手続き | 多くの場合は不要 | 電力会社との電気の契約や申込が必要 |
| 効果が出るまで | 寄附後、発送を待つ | 契約や切替を経て、電気料金に反映されるまで待つ |
参照:総務省「ふるさと納税に係る指定制度の運用についてのQ&Aについて(通知)」(令和8年4月1日付 総税市第33号)(2026年9月時点)
ふるさと納税の電気が返礼品になる総務省の3条件
電気が返礼品になるには、区域内での発電、供給契約での明示、提供量の上限という3条件を満たす必要があります。
総務省の通知は、返礼品等が地域の雇用創出や新たな地域資源の発掘など、地域経済の活性化に寄与するものであることが必要という考え方から地場産品基準を定めています。電気については、次の3つを満たす場合に、地場産品基準に適合するものとして扱うとしています。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 1. 区域内での発電 | 地域資源を活用して、当該自治体の区域内で発電された電気であること |
| 2. 供給契約での明示 | 電気の供給契約において、区域内で発電された電気を提供することが明示されていること |
| 3. 提供量の上限 | 返礼品として寄附者に提供する電気の総量が、区域内の発電量の範囲内であること |
1つ目の条件は、発電事業者と小売電気事業者の間の電気の調達契約等と、発電場所を特定できるトラッキング付非化石証書によって、区域内の発電所で発電された電気と認められるかどうかで確認されます。
寄附者にとって大切なのは、どの発電所の電気なのかが契約や案内ページで明示されているかです。後ほど紹介する4社も、風力発電所や水力発電施設など、電源をそれぞれの公式ページで示しています。
この通知は、令和8年4月1日から9月30日までと、10月1日以降で別の別紙に分けて運用の考え方を示しています。寄附する時期によって適用される内容が変わる可能性があるため、申込前に総務省の最新の資料と自治体の案内ページを確認してください。
関連記事:オフサイトPPAとは?仕組み・メリット・導入の流れをわかりやすく解説
ふるさと納税の電気で電気代はいくら安くなる?
安くなる額は、寄附額に対する充当額の割合と、充当の期間、実際の電気料金の3つで決まります。
電気の返礼品は、寄附額の一定割合が電気料金に充当される仕組みです。割合は自治体と電力会社の組み合わせによって異なり、1か月分をまとめて充当するものもあれば、12か月に分けて毎月少しずつ充当するものもあります。
比べやすくするために、寄附額に対する充当額を割合で見てみましょう。たとえば寄附額が10,000円で充当額が2,500円なら25%、3,000円なら30%です(計算例)。ただし充当割合が高いほど得とは限りません。充当の対象が電気料金のうちの電力量料金なのか、月ごとの上限があるのか、対応エリアや契約プランに合うのかによって、実際に受け取れる額は変わります。
選ぶ前に、次の順番で確認すると判断しやすくなります。
- 寄附額に対する充当額と、その割合を確認する
- 充当が1か月分か、複数か月に分けられるかを確認する
- 自宅の電気料金で、充当額を使い切れるかを確認する
- 自宅のエリアで、電力会社との契約ができるかを確認する
主要4社の充当額や条件は、この記事の電力会社の項で一覧にしています。数値はいずれも各社や自治体の公式ページに掲載されているものだけを載せています。
ふるさと納税の電気を申し込む手順
申込は、寄附と電力会社への電気の申込の2段階で進み、寄附後に受け取る番号や案内が必要になることが多いです。
細かい手順は事業者ごとに異なりますが、基本的な流れは次のとおりです。寄附の前に、電力会社の申込条件を満たしているかを必ず確認してください。
- 電気を返礼品にしている自治体と、提供する電力会社を確認する
- 自宅のエリアや契約プランで申込ができることを確認する
- ふるさと納税のポータルサイトなどで、対象の返礼品を選んで寄附する
- 自治体から届く寄附番号や案内に従い、電力会社に申し込む
- 電気の供給開始後、電気料金への充当が反映される
ポータルサイトにより、ポイントなどの扱いや申込画面が異なります。ポータルサイトの選び方は別の記事で解説しています。
関連記事:ふるさと納税おすすめポータルサイト比較|ポイント廃止後の選び方を解説
ふるさと納税の電気で失敗しない注意点

失敗を避けるには、対応エリア、契約プランや住居の種類、返礼の反映時期を寄附前に確認します。
対応エリアと電力会社の契約を先に確認する
電気の返礼品は、寄附する自治体が全国にあっても、電気を届けられるエリアは電力会社ごとに限られます。寄附の前に、自宅が対応エリアに入っているかを確認します。寄附を済ませてから対象外だとわかっても、返礼を受け取れません。
また、電力会社との契約が必要な返礼品では、現在の契約先から切り替える手続きが発生します。切替にかかる期間や条件は事業者ごとに異なります。
集合住宅や現在のプランで使えない場合がある
契約中の料金プランや、住まいの種類によっては申し込めない場合があります。たとえば集合住宅で電気料金を管理組合経由で支払っている場合や、スマートメーターが未設置の場合は、事業者によって対象外になることがあります。具体的な条件は、後ほどの電力会社4社の項で公式ページの記載を紹介しています。
返礼が反映されるまで時間がかかる
電気の返礼は、寄附をしてすぐに電気料金へ反映されるわけではありません。電力会社への申込、供給の開始、充当の反映と段階を踏むため、返礼を受け取るまで数か月かかる場合があります。年内に寄附した分を年内の電気料金に充てたい場合は、余裕を持って早めに手続きを進めてください。
ふるさと納税の電気を扱う電力会社4社
返礼品の電気は、電力会社ごとに対象自治体、対応エリア、充当の仕組みが違うため、公式ページの条件を比べて選びます。
ここでは、公式ページで返礼品の電気の内容を確認できた4社を、社名の五十音順に紹介します。順位や優劣を示すものではありません。掲載はすべて編集部が公開情報から選んだ企業紹介で、公式ページの記載日や確認時点を各項の参照に示しています。なお、公式ページで内容を確認できた事業者に絞ったため、掲載は4社です。
株式会社イーネットワークシステムズ(百森でんき)
岡山県西粟倉村のふるさと納税の返礼品として提供される再エネ電気「百森でんき」の電力供給と契約関連業務を担う小売電気事業者です。
対応範囲は、沖縄電力のエリアと離島を除く、ほぼ全国です。電気は村内の第二水力発電施設「みおり」で発電されたもので、販売代理店として西粟倉百年の森林でんき株式会社と株式会社エーゼログループが案内されています。
沖縄と離島を除くほぼ全国から申し込める点が特徴です。申込ページには、30,000円の寄附で年間9,000円分の電気代を返礼する例と、返礼は供給開始の2か月後に適用される旨が記載されています。
参照:株式会社イーネットワークシステムズ「西粟倉村、脱炭素化に向けてふるさと納税で再エネ電気を返礼品に」(2023年11月16日発表)、百森でんき 申込ページ(2026年9月時点)
中部電力ミライズ(ふるさと納税×Greenでんき)
中部エリアで電気を供給する中部電力ミライズが、対象自治体産の再生可能エネルギー由来の電気を、ふるさと納税の返礼として提供するメニューです。
対応範囲は中部エリアの契約者です。寄附10,000円(1口分)で、該当月の電気料金が2,500円になるよう充当されます。上限は150kWhです。対象自治体は、三重県の川越町・大台町・名張市・松阪市・多気町、長野県の小谷村・天龍村・伊那市・宮田村・阿智村・信濃町・中川村・長和町・木島平村、岐阜県の本巣市・揖斐川町・下呂市、静岡県の川根本町・島田市・御前崎市の20自治体です。
20の自治体から寄附先を選べる点が特徴です。申込にはカテエネへの登録、中部エリアでの中部電力ミライズとの契約、対応料金プラン(従量電灯B・C以外の指定プラン)の契約、スマートメーターの設置が必要で、返礼の実施は申込から2〜3か月後が目安とされています。
参照:中部電力ミライズ「ふるさと納税×Greenでんき」(2026年9月時点)
みんな電力
再生可能エネルギーの電気を供給する電力会社で、三重県度会町へのふるさと納税で得られるポイントを電気代に充てられるプログラムを案内しています。
対応範囲は、北海道・北陸・沖縄・離島を除くエリアです。度会町への寄附で発行されるカタログポイントを電力ポイントに交換し、電気代に充当します。10,000円の寄附から利用でき、1ポイントは1円分、有効期限はありません。対象プランはプレミアム100プランのみで、集合住宅で管理組合経由の支払いをしている場合は利用できません。
ポイントに有効期限がなく、好きなタイミングで電気代に充てられる点が特徴です。契約後に電力の切替が完了するまでには1〜6週間かかるとされています。
参照:みんな電力「ふるさと納税で電気代をおトクに」(2025年6月11日)
株式会社ワット(W電力)
地域新電力のW電力を運営する株式会社ワットが、鹿児島県薩摩川内市の風力発電の電気を、ふるさと納税の返礼品として提供しています。
対応範囲は九州限定(福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、宮崎県、鹿児島県)で、離島は除かれます。電気は柳山ウインドファーム風力発電所で発電された再生可能エネルギー100%の電気で、返礼額は電力量料金に充当されます。寄附額と充当のプランは、20,000円で月500円を12か月、40,000円で月1,000円を12か月、120,000円で月3,000円を12か月、200,000円で月5,000円を12か月、240,000円で月6,000円を12か月です。
寄附額に応じた毎月の充当額が明確で、何度でも申し込める点が特徴です。ただしオンライン決済限定で、薩摩川内市民は受け付けられず、W電力との契約が必須です。
参照:W電力「W電力のふるさと納税」(2026年9月時点)
4社を比べる要点を、公式ページの記載から一覧にまとめました。
| 会社 | 寄附先の自治体 | 充当の仕組み(公式ページの例) | 対応エリア |
|---|---|---|---|
| イーネットワークシステムズ(百森でんき) | 岡山県西粟倉村 | 30,000円の寄附で年間9,000円分の電気代を返礼 | 沖縄電力エリアと離島を除くほぼ全国 |
| 中部電力ミライズ | 三重・長野・岐阜・静岡の20自治体 | 10,000円で該当月の電気料金2,500円、上限150kWh | 中部エリア |
| みんな電力 | 三重県度会町 | 10,000円から。1ポイント1円の電力ポイント | 北海道・北陸・沖縄・離島を除く |
| ワット(W電力) | 鹿児島県薩摩川内市 | 20,000円で月500円を12か月、など | 九州7県(離島除く) |
関連記事:再生可能エネルギーおすすめ電力6社比較|選び方の注意点も解説
ふるさと納税の電気に取り組む自治体の事例
電気を返礼品にする自治体は、地域の発電所の電気を外へ届け、地域の再生可能エネルギーを支える寄附を集めています。
ここでは、自治体の公式ページで内容を確認できた3件を紹介します。各事例は自治体自身が公開している情報だけを載せ、成果や数値は公表されているものに限っています。
鹿児島県薩摩川内市
鹿児島県薩摩川内市は、市内の風力発電の電気を返礼品にしている自治体です。
柳山ウインドファーム風力発電で発電された電気を、九州限定のプランとして令和5年6月12日から受付しています。10,000円の寄附で3,000円分、15,000円で4,500円分、30,000円で9,000円分の電気が返礼品です。薩摩川内市民は対象外とされています。
参照:薩摩川内市「新しいふるさと納税返礼品として「地球にやさしい再エネ100%の電気」を追加します」(2023年6月8日更新)
三重県度会町
三重県度会町は、度会ウインドファームで発電された再生可能エネルギー由来の電気を返礼品にしている町です。
寄附者はふるさと納税ポータルサイト「ふるなび」を通じて、電気代の支払いに充当できる返礼品として電力を申し込みます。サービスは令和3年12月9日から始まりました。
参照:度会町「度会町ふるさと納税のご案内」(2026年9月時点)
群馬県中之条町
群馬県中之条町は、2013年に国内初の自治体系新電力として一般財団法人中之条電力を設立し、再生可能エネルギーの活用を進めてきた町です。
町の公式ページでは、ふるさと納税の返礼品「お礼の電力」として、寄附額に対する3割程度の金額分の電力を寄附者に届ける仕組みを案内しています。申込は東京電力管内にお住まいで、株式会社中之条パワーとの電力供給契約を結べる方が対象で、ふるさとチョイスから申し込みます。
参照:中之条町「中之条町ふるさと納税お礼の電力を再開します」(2026年9月時点)
よくある質問
ふるさと納税の電気について、検索でよく見られる疑問に、一つずつ答えます。
はい、条件を満たせば返礼品になります。総務省は、区域内で発電された電気であること、供給契約で区域内の電気を提供する旨が明示されていること、提供する電気の総量が区域内の発電量の範囲内であることを満たす場合に、地場産品基準に適合するものとして扱うとしています。
寄附額と提供事業者によって異なります。公式ページの例では、中部電力ミライズが10,000円の寄附で該当月の電気料金2,500円、薩摩川内市が10,000円で3,000円分、W電力が20,000円で月500円を12か月分としています。
いいえ、事業者ごとに対応エリアが異なります。百森でんきは沖縄電力エリアと離島を除くほぼ全国、みんな電力は北海道・北陸・沖縄・離島を除くエリア、W電力は九州7県、中部電力ミライズは中部エリアが対象です。
事業者によります。みんな電力は、集合住宅で管理組合経由の支払いをしている場合は利用できないとしています。中部電力ミライズはスマートメーターの設置が条件です。申込前に各社の条件を確認してください。
事業者により異なりますが、数か月かかる場合があります。中部電力ミライズは返礼の実施を申込から2〜3か月後が目安とし、みんな電力は契約後に電力の切替が完了するまで1〜6週間としています。
まとめ
ふるさと納税の電気は、返礼品の電気を電力会社との契約で受け取り、電気料金に充当する仕組みです。寄附の前に、次の点を確認してください。
- 電気が返礼品になるには、総務省の3条件(区域内の発電、供給契約での明示、提供量の上限)を満たす必要があります。
- 寄附とは別に、電力会社との契約や申込が必要です。
- 対応エリア、契約プラン、住居の種類によっては申し込めません。
- 充当額や反映時期は事業者ごとに異なるため、公式ページで条件を確認します。
- 電力会社4社と自治体3件の内容は、各公式ページの記載に基づいて確認できます。