分身ロボットカフェ DAWNは、外出が難しい人が分身ロボット「OriHime」を自宅から遠隔操作して接客する、東京・日本橋の常設実験カフェです。運営はオリィ研究所で、入場チケットは大人2,200円、食事つきの「OriHimeダイナー」は完全予約制です。
この記事では、分身ロボットカフェ DAWNの料金と予約の流れ、営業時間と場所、遠隔接客の仕組みを公式情報に沿って整理します。あわせて、同じ課題に取り組む企業、分身ロボットの導入事例、そして社会に与える影響を、公表されている数値と公的統計で読み解きます。
この記事でわかること
- 入場チケットとOriHimeダイナーの料金
- 予約方法、営業時間、場所と行き方
- OriHimeとパイロットが働く仕組み
- 同じ課題に取り組む企業と分身ロボットの導入事例
- 社会への影響を公表数値と公的統計で整理した結果
分身ロボットカフェ DAWNはどんなカフェ?
分身ロボットカフェ DAWNは、東京・日本橋にある、外出が難しい人が分身ロボットで働く常設実験カフェです。
運営する株式会社オリィ研究所は、2012年に設立された会社です。カフェは2018年の「第一回分身ロボットカフェDAWN ver.β」から数回の実証イベントを重ね、2021年に東京・日本橋で初の常設店舗として開業しました。2025年にはデンマークで初の海外実験カフェも開催されています。
店内では、難病や重度の障害、介護や子育てなどの事情で外出が難しい人が「OriHimeパイロット」として、卓上サイズの「OriHime」と身長120cmの「OriHime-D」を遠隔操作し、注文を受けたり配膳したり、来店者と会話したりします。公式サイトは、このカフェを「常設実験カフェ」と位置づけ、AIが接客する店ではなく、人が操作するロボットで接客する店であると説明しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 店名 | 分身ロボットカフェ DAWN ver.β |
| 運営会社 | 株式会社オリィ研究所 |
| 常設店の開業 | 2021年(東京・日本橋) |
| 所在地 | 〒103-0023 東京都中央区日本橋本町3-8-3 日本橋ライフサイエンスビルディング3 1F |
| 横浜店 | 2027年8月に開業予定(仮称は「分身ロボットカフェDAWN YOKOHAMA」、国際情勢などで変更の可能性あり) |
参照:分身ロボットカフェ DAWN 2021 公式サイト、(2026年10月時点)、オリィ研究所「寝たきりでも働ける「分身ロボットカフェDAWN」横浜店のオープンが決定!」(2026年7月7日)、オリィ研究所「会社概要」(2026年10月時点)
分身ロボットカフェ DAWNの料金はいくら?
分身ロボットカフェ DAWNは入場チケットが大人2,200円、OriHimeダイナーが大人5,500円です。
分身ロボットカフェ DAWNの利用には、OriHime接客サービス料として入場チケットが必要です。3歳以下は無料です。料金はいずれも税込で、公式サイトに載っている内容を表にまとめました。
| サービス | 大人(12歳以上) | 子供(4〜11歳) | 含まれるもの | 予約 |
|---|---|---|---|---|
| 入場チケット | 2,200円 | 1,100円 | ドリンク1杯 | 当日券のみ。店頭でキャッシュレス決済 |
| OriHimeダイナー | 5,500円 | 2,750円 | 入場チケット、専属パイロットによる卓上接客、お食事1品、ドリンク1杯 | 完全予約制 |
| OriHime日本橋ガイドツアー | 6,000円 | 3,000円 | 入場チケット、ツアー後のドリンク、オリジナルの日本橋ツアーMAP | 完全予約制 |
ガイドツアーは、大人4名以上で参加する場合、3人目以降が1,000円引きになります。お子様だけでの参加はできません。
料金は2025年に改定されました。公式のお知らせでは、OriHimeダイナーが2025年11月16日から大人4,400円から5,500円へ、入場チケットが2025年11月7日から大人1,800円から2,200円へ変わったと案内されています。古い記事や口コミに載っている金額は、この改定前の可能性があります。
参照:分身ロボットカフェ DAWN 公式サイト「ニュース」、(2025年10月1日のお知らせ、2026年10月時点)
分身ロボットカフェ DAWNの予約方法は?
OriHimeダイナーは完全予約制で、公式サイトからオンラインで予約し、クレジットカードで事前に支払います。
入場チケットだけで入る場合は予約が要らず、来店時に購入します。予約が必要なのは、OriHimeダイナー、OriHime日本橋ガイドツアー、日本酒バー「OrySNACK」の3つです。OriHimeダイナーの予約手順は次のとおりです。
- 公式サイトの予約ページから、OriHimeダイナーの日時と人数を選びます。ダイナーは2名(お子様を含む)から利用できます。
- オンラインでクレジットカードの事前決済をします。現金での支払いや電話での予約受付は行っていないと案内されています。
- 予約は前日の17時までに済ませます。Webからの予約は前日17時が締め切りです。
- 日時や人数を変えたいときは、前日17時までなら予約完了メールから予約サイト上で変更またはキャンセルできます。それ以降はメール(dawn@orylab.com)か電話(03-3527-2136)で連絡します。
- 当日は、予約時間に遅れる場合に必ず連絡します。連絡なく15分以上遅れると自動的にキャンセル扱いとなり、規定のキャンセル料がかかります。
2026年10月19日の営業時間延長にあわせて、OriHimeダイナーには「18:00〜」「19:00〜」の遅い時間帯の予約枠が新設されました。夕方以降に行きたい人は、この新しい枠が選べます。10名以上の団体は、通常の予約とは別の窓口で受け付けています。
当日予約については、公式サイトの記載が分かれています。サービスの案内では当日の予約は承っていないとされ、よくある質問では枠に空きがあれば電話で当日予約ができ、受付は木曜を除く10:30〜17:00とされています。確実に入りたい場合は、前日までのオンライン予約が安全です。
参照:分身ロボットカフェ DAWN 公式サイト「よくあるお問い合わせ」、(2026年10月時点)
分身ロボットカフェ DAWNの営業時間と行き方
2026年10月19日から11:00〜21:00(最終入店20:30)の営業で、東京・日本橋本町のビル1階にあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 営業時間 | 11:00〜21:00(最終入店・ラストオーダー20:30)。2026年10月19日から延長。同年10月18日までは11:00〜19:00(フードのラストオーダー18:30) |
| 営業日 | 毎日。2026年5月7日から、定休日だった木曜日も営業 |
| 住所 | 東京都中央区日本橋本町3-8-3 日本橋ライフサイエンスビルディング3 1F |
| 最寄駅 | 東京メトロ日比谷線「小伝馬町駅」徒歩4分、JR総武線「新日本橋駅」5番出口すぐ、東京メトロ銀座線「三越前駅」徒歩7分、JR山手線「神田駅」徒歩10分 |
| 電話 | 03-3527-2136 |
| 駐車場 | 提携駐車場はなく、近隣のコインパーキングを利用 |
営業時間と営業日は、公式サイトのお知らせで変わってきました。公式サイトの一部には「木曜定休」という以前の表記が残っているため、来店前にはお知らせの最新の内容を確認してください。貸し切りなどで営業時間が特別に変わる日もあり、公式サイトはGoogleの店舗ページで確認するよう案内しています。
遠隔接客の仕組みは?OriHimeとOriHime-D、テレバリスタ

自宅のパイロットが、卓上のOriHime、配膳のOriHime-D、テレバリスタを遠隔操作して接客します。
分身ロボットカフェ DAWNでは、役割ごとに使うロボットが分かれています。主なサービスは次のとおりです。
| サービス | ロボット | 内容 |
|---|---|---|
| 卓上接客(OriHimeダイナー) | OriHime(卓上サイズ) | テーブルの上のOriHimeがオーダーを聞き、カフェの案内や会話を担当する。ダイナー限定メニューもある |
| 配膳 | OriHime-D(身長120cm) | 注文したドリンクをテーブルまで運ぶ。運んできたパイロットと会話や写真撮影ができる |
| テレバリスタ | OriHimeとロボット「NEXTAGE」 | バリスタ研修を受けたパイロットが遠隔でコーヒーを淹れる。開催は月・水・土曜日の12:20〜、14:20〜、16:20〜で、事前予約は不要 |
| 体験スポット | 店内の各所 | OriHime操作体験、ハンドジェスチャーカプセルトイ、手動と電動の車いす体験、物販コーナー |
テレバリスタは、元バリスタのパイロットが、ALSの診断でコーヒーを淹れる仕事を続けられなくなったことをきっかけに生まれたと、公式サイトに書かれています。ロボットの腕でも「その人が自分に淹れてくれた一杯」という価値を残すことが、開発の狙いとされています。
ロボットは人が操作しているため、ドリンクをこぼすなどの失敗が起きることがあります。OriHime-Dは、故障や衣服の巻き込み、指を挟む事故を防ぐため、触れることが禁止されています。
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分身ロボットカフェ DAWNで働くパイロットはどんな人?

OriHimeパイロットは、外出が難しく自宅から遠隔で働く人で、公式の募集ページでは約115人です。
オリィ研究所は、2026年7月の発表で、開業当初はALSなどの難病や重度の肢体障害のある人が大半だったと説明しています。近年は、精神疾患、がんサバイバー、家族の看護など、従来の形では働くことが難しかった幅広い背景の人が在籍するようになりました。
公式の募集ページによると、働き方は1日1時間から始められ、体調が最優先です。応募から面接、研修までがすべて自宅で完結し、未経験からでも始められます。業務はステップごとに分かれています。
| ステップ | 業務 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 卓上接客業務 | OriHimeを通じてお客様に挨拶し、メニューの案内や雑談をする。多くのパイロットが最初に担当する |
| 2 | 受付案内業務 | 来店したお客様を迎え、お席や店内の利用方法を案内する。卓上接客に慣れた人が担当する |
| 3 | 外部受託案件 | DAWNカフェ以外の場所で、OriHimeやOriHime-Dを使って受付や接客をする。経験を重ねた人が担当する |
- 応募フォームに連絡先と志望動機を入力します。
- 一次選考を通過すると、自宅からのオンライン面接があります。
- オリエンテーション、基礎研修、実践研修を自宅から受けます。研修は6月と12月に始まります。
- デビュー後も、定期的な面談や振り返りで体調や困りごとを確認します。
募集の状況については、公式サイトの記載が分かれています。募集ページには「OriHimeパイロット募集中」とありますが、よくある質問には募集を休止中とする以前の記載が残っています。応募を考える場合は、募集ページの最新の案内を確認してください。
参照:分身ロボットカフェ DAWN 公式サイト「OriHimeパイロット募集」、(2026年10月時点)
分身ロボットカフェ DAWNに行く前に知っておきたい注意点
分身ロボットカフェ DAWNは、車いすやストレッチャーで入店でき、えんげ調整食にも対応します。
- バリアフリー:店内に段差はなく、手動や電動、ストレッチャータイプの車いすで入場できます。人工呼吸器などの医療機器や電動車いすの充電用に、電源を貸し出しています。
- バリアフリートイレ:ストレッチャーで入れるトイレがあり、最大旋回サイズは1900mm、オストメイトと介助ベッドを備えています。
- 食事の支援:離乳食やえんげ調整食が必要な人には、ミキサー、カッター、シリコンスプーンなどの調理器具を貸し出します。予約時の備考欄で申し込みます。
- お子様メニュー:用意されています。4〜11歳は子供料金、3歳以下は入場無料です。
- 撮影:撮影機材の持ち込みや、複数のスタッフを伴う撮影は、事前に「取材のお問合せ」から問い合わせが必要です。
- アンケートとSNS:店内体験についてのアンケートへの協力が呼びかけられています。感想を投稿するときは、ハッシュタグ「#分身ロボットカフェ」「#BunshinRobotCafe」が案内されています。
参照:分身ロボットカフェ DAWN 公式サイト「メニュー紹介」、(2026年10月時点)
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分身ロボットカフェ DAWNと同じ課題に取り組む企業・サービス
障害のある人の就労や社会参加を支える企業のうち、公式サイトで確認できた4社を五十音順で紹介します。
分身ロボットカフェ DAWNが向き合うのは、病気や障害などで外出や通勤が難しい人が、働く機会や社会とのつながりを持ちにくいという課題です。ここでは同じ課題に別の方法で取り組む企業を、編集部が公式サイトで事業内容を確認できた範囲でまとめました。確認できたのは4社で、5社には届いていません。
掲載の順番は社名の五十音順で、おすすめ順や評価の順位ではありません。下の表は、分身ロボットカフェ DAWNを含む5つを、同じ項目で各社の公式ページに書かれている内容だけから整理したものです。公式ページで見つからなかった項目は「公表なし」としています。
| 名称 | 取り組みの対象 | 仕組み | 公表している実績 | 開始年(設立年) |
|---|---|---|---|---|
| 分身ロボットカフェ DAWN(オリィ研究所) | 外出が難しい人(パイロット)と来店者 | 分身ロボットの遠隔操作による接客 | 来店者は年間約60,000人、パイロットは約115人(公式の募集ページ) | 2021年(常設店の開業。会社の設立は2012年) |
| ウェルビー | 就職を目指す障害のある人 | 就労移行支援、就労定着支援、就労選択支援、自立訓練(生活訓練)、職業紹介 | 公表なし | 2011年12月(設立) |
| ゼネラルパートナーズ | 就職や転職を目指す障害のある人 | 求人情報サービス、人材紹介、就労移行支援、就労定着支援、就労継続支援A型 | 公表なし | 2003年4月(設立) |
| ミライロ | 障害のある人や高齢者が使う施設・サービス | ユニバーサルデザインのコンサルティング、教育研修、デジタル障害者手帳「ミライロID」 | ミライロIDのユーザーが70万人を突破(2026年9月30日)、支援実績は1,000社以上 | 2010年6月(設立) |
| LITALICO | 障害のある人と、障害福祉に関わる人 | 就労支援サービス「LITALICOワークス」ほか | LITALICOワークスの2025年度の就職先企業は5,000社以上、事業拠点は168拠点(2026年6月末) | 2005年12月(創業) |
ウェルビー株式会社
ウェルビー株式会社は、障害のある人の就職を支える就労移行支援を中心に事業を行う会社です。
公式サイトの会社概要では、事業内容として、障害者総合支援法による就労移行支援、就労定着支援、就労選択支援、自立訓練(生活訓練)、特定相談支援と、有料職業紹介事業が挙げられています。
埼玉県の委託事業として、発達障害者就労支援センターも運営している点が、会社概要に記載された特徴です。
参照:ウェルビー株式会社「会社概要」、(2026年10月時点)
株式会社ゼネラルパートナーズ
株式会社ゼネラルパートナーズは、障害のある人の就職や転職を支える求人情報サービスと人材紹介を行う会社です。
公式サイトの会社概要では、求人情報サービス、人材紹介サービス、就労移行支援事業、就労定着支援事業、就労選択支援事業、就労継続支援A型事業が事業内容に挙げられています。
就労移行支援の事業所「atGPジョブトレ」を東京、神奈川、愛知、大阪などで運営し、就労継続支援A型の「アスタネ」も持つことが、会社概要から確認できます。
参照:株式会社ゼネラルパートナーズ「会社概要」、(2026年10月時点)
株式会社ミライロ
株式会社ミライロは、障害のある人や高齢者を含む誰もが利用しやすい社会に向け、ユニバーサルデザインとユニバーサルマナーに関する事業を行う会社です。
公式サイトの会社概要では、ユニバーサルデザインに関するコンサルティング、教育研修、バリアフリーマップなどの企画、アプリの開発と提供、障害者や高齢者を対象とした情報保障と遠隔サポートが事業内容に挙げられています。
デジタル障害者手帳「ミライロID」のユーザーは、2026年9月30日に70万人を突破したと、公式サイトのお知らせで公表されています。
参照:株式会社ミライロ「会社概要・沿革」、(2026年10月時点)、株式会社ミライロ公式サイト(2026年10月時点)
株式会社LITALICO
株式会社LITALICOは、「障害のない社会」の実現を目指し、就労支援や教育などの事業を行う会社です。
就労支援では、就職を目指す障害のある人のための就労移行支援事業所「LITALICOワークス」を運営しています。ほかに、発達障害のポータルサイト「LITALICO発達ナビ」や、障害のある人の就職情報サイト「LITALICO仕事ナビ」を展開しています。
LITALICOワークスは、就職後も最長3年半、働く環境を調整すると説明しています。2026年4月時点で、利用者の7割が自己負担0円で利用しているとも公表されています。
参照:株式会社LITALICO「会社概要」、(2026年7月時点)、LITALICOワークス公式サイト(2026年10月時点)、株式会社LITALICO「沿革」(2026年10月時点)
分身ロボットを導入した企業と自治体の事例
テレバリスタの共同開発、飲食企業との提携、福岡県と豊島区の実証など、公式の資料で確認できる4つの事例を紹介します。
ここでは、導入した当事者や公的機関が自ら公開している資料だけを使い、公表されている内容の範囲で紹介します。順番は名称の五十音順です。
川田テクノロジーズ:テレバリスタの共同開発
川田テクノロジーズ株式会社は、鉄構、土木、建築などを事業とする会社です。
同社とカワダロボティクスは、オリィ研究所と、OriHimeとロボット「NEXTAGE」を組み合わせたテレバリスタを共同開発しました。2020年4月に共同研究開発を始め、同年8月31日にプロジェクトの始動を発表しています。
2021年6月に、分身ロボットカフェ DAWN ver.βでテレバリスタを実店舗に初めて導入し、フレンチプレス方式のコーヒーを提供する実演を常設サービスとして始めました。
参照:川田テクノロジーズ「テレバリスタプロジェクト」、(2025年3月25日現在の沿革)
豊島区:サンシャインシティでの雇用モデルの実証
東京都豊島区は、新しい障害者雇用モデルの有用性を確かめるため、2024年11月に実証実験を行いました。
2024年9月6日に株式会社サンシャインシティと協定を結び、11月の1か月間、サンシャインシティ内を実験の場にしました。分身ロボットを使う「遠隔操作型分身ロボット雇用モデル」(1名)と、短時間で働く「超短時間雇用モデル」(7名)の2つを試しています。
アンケートでは、全体の81%が効果・成果を「とても思う」と評価しました。参加者の生活満足度は実証の前後で160%向上したと報告されています。課題としては、ロボットで就業できる業務の切り出しと、導入時のフォロー、費用対効果が挙げられています。
参照:豊島区「「新たな障害者雇用モデルの実証実験」の報告【概要版】」、(2026年10月時点)
福岡県:企業での就労実証事業
福岡県は、外出が難しい重度の障害のある人の雇用を進めるため、企業で分身ロボットを使う就労実証を行いました。
2024年度は鉄道運輸とレジャー観光施設の2社、2025年度はサテライトオフィスと特例子会社の2社で、いずれも3か月間、平日6時間の実証です。サテライトオフィスでは、受付業務とイベント会場での声掛けを組み合わせると、週10時間以上の勤務が可能になったと報告されています。
一方、鉄道運輸では、分身ロボットを駅職員の近くに置いたため、利用者が職員に直接問い合わせる傾向があり、職員の負担軽減にはつながりませんでした。県は、結果を公表したうえで、うまくいかなかった点も記録しています。
参照:福岡県「分身ロボットを活用した就労実証事業のご紹介」、(2025年6月11日更新)、福岡県「分身ロボットを活用した障がい者就労事業のご紹介」(2026年4月時点の価格を含む)
ロイヤルホールディングス:飲食企業との業務提携
ロイヤルホールディングス株式会社は、福岡県福岡市に本社を置き、食品、ホテル、コントラクトなどの事業を傘下に持つ会社です。
同社は2022年9月1日付で、オリィ研究所と、難病や重度の障害で外出が難しい人が働ける次世代型カフェ・レストランの開発と運営で業務提携しました。分身ロボットカフェ DAWN ver.βのリニューアルに合わせて、家庭用フローズンミール「ロイヤルデリ」を活用したメニューを提案し、カレーやスープなどが採用されています。
福岡での期間限定カフェでは、同社の子会社が「ココロ館カフェ」の運営を担当しました。続く札幌では、2023年2月18日から3月3日までの14日間、「モディッシュ札幌」で開催されました。
参照:ロイヤルホールディングス「ニュースリリース(2022年11月11日)」、、ロイヤルホールディングス「ニュースリリース(2023年1月12日)」
分身ロボットカフェ DAWNが社会に与える良い影響
外出が難しい人の働く場をつくり、障害への理解を広げ、企業や自治体の障害者雇用に新しい選択肢を示している点が挙げられます。
ここでは、分身ロボットカフェ DAWNの社会への影響を、オリィ研究所が公表している数値と、国の公的統計を並べて整理します。数値の出どころはそれぞれ明記し、会社の公表値は会社の公表として扱います。
外出が難しい人に働く場をつくる
公式の募集ページによると、パイロットは約115人で、1日1時間から働けます。外出が難しいという理由で働く機会を持てなかった人が、自宅から仕事に就ける点が、このカフェの大きな特徴です。オリィ研究所は、働く自信を取り戻したパイロットが外部の団体へ「卒業」していく例も多く生まれていると説明しています。
この規模を、国の統計と並べて見てみます。厚生労働省によると、令和7年6月1日現在、民間企業で働く障害のある人は70万4,610.0人でした。パイロットの約115人は、これに対してどのくらいにあたるのでしょうか。
| 項目 | 数値 | 出典と時点 |
|---|---|---|
| 分身ロボットカフェ DAWNのパイロット | 約115人 | オリィ研究所 公式の募集ページ(2026年10月時点) |
| 民間企業の雇用障害者数 | 70万4,610.0人 | 厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」(令和7年6月1日現在) |
| 民間企業の実雇用率 | 2.41% | 同上 |
計算式は、約115人 ÷ 70万4,610.0人 ≒ 0.016%(編集部推計)です。パイロットの人数は、国内の民間企業で働く障害のある人全体の0.02%に満たない規模です。
この比較には注意点が2つあります。1つ目は、数え方が違うことです。雇用障害者数は、重度の身体障害者と重度の知的障害者を1人で2人分と数えるなど、法令に基づく換算をした値です。パイロットの人数は在籍者の実人数です。2つ目は、時点が違うことです。パイロットの人数は2026年10月、雇用障害者数は令和7年6月1日です。このため、厳密な割合ではなく、規模感をつかむための目安として見てください。
オリィ研究所自身が「常設実験店」と位置づけているとおり、カフェ単体で雇用全体を動かす規模ではありません。意義は、外出が難しい人でも働ける形を実際に動かして示している点にあります。
参照:厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」、(2025年12月19日公表)、厚生労働省「令和7年障害者雇用状況の集計結果(PDF)」(2025年12月19日公表)
孤独や孤立を減らし、障害への理解を広げる
オリィ研究所は、「人類の孤独の解消」をミッションに掲げています。公式サイトは、障害者と健常者の区別なく、出会い、語り合い、楽しむことを、このカフェの挑戦の一つとしています。
オリィ研究所は、2026年7月の発表で、年間約6万人が来店していると公表しています。2025年10月のお知らせでは、月間約5,000人が来店していると書かれています。店内には、OriHime操作体験や、手動と電動の車いす体験もあり、来店者が自分で体験しながら理解を深められる仕組みです。
関連記事:まごチャンネルを解説|料金・解約条件と高齢者の孤立を防ぐ仕組み
企業や自治体の障害者雇用に新しい選択肢を示す
オリィ研究所は、日本橋本店の開業から5年の間に、企業、自治体、教育機関などへのOriHimeの導入が800件を超えたと発表しています。OriHimeの導入先が、企業や自治体、教育機関へと広がっていることが分かります。ただし、この数字は就労に限らないOriHimeの導入の件数です。
導入を検討する企業や自治体にとって、費用は重要な判断材料です。福岡県が2026年4月時点の価格として公表している導入コストは、次のとおりです。
| 導入方法 | 費用の内訳 | 1年目の費用 | 2年目以降の費用 |
|---|---|---|---|
| 機器を購入する場合 | 購入費400,000円、利用料9,000円/月(スタンダードプラン) | 508,000円 | 108,000円 |
| レンタルの場合 | レンタル費50,000円/月(送料は別途) | 600,000円(年間費用) | 600,000円(年間費用) |
福岡県は、導入を成功させる工夫として、短時間や体調に合わせた柔軟なシフトを可能にするガイドラインの策定、操作者の急な欠勤に備えた複数名体制、定期的な面談による定着支援、レンタルで試験的に運用して初期投資後のリスクを抑えることを挙げています。豊島区の実証でも、業務の切り出しと費用対効果が課題とされており、導入には業務設計が欠かせません。
個人として関わるなら、まず来店して体験する方法があります。働く側として関心がある場合は、公式の募集ページから応募する道があります。
よくある質問
分身ロボットカフェ DAWNについて、よく聞かれる疑問に答えます。
入場チケットだけなら、予約なしで入れます。当日券を店頭でキャッシュレス決済で購入します。OriHimeダイナー、日本橋ガイドツアー、OrySNACKは予約制です。貸し切りなどで営業時間が変わる日もあるため、公式サイトのお知らせも確認してください。
入場チケットは大人2,200円、子供1,100円で、ドリンク1杯付きです。OriHimeダイナーは大人5,500円、子供2,750円で、入場チケットが含まれます。いずれも税込で、3歳以下は無料です。
2026年10月19日から、11:00〜21:00です。最終入店とラストオーダーは20:30です。2026年5月7日から、木曜日も営業しています。
OriHime-Dには触れないでください。故障、衣服の巻き込み、指挟みの事故の可能性があるため、公式サイトで禁止されています。パイロットとは会話や写真撮影を楽しめます。
公式の募集ページにある応募フォームから応募します。選考と研修はすべて自宅からオンラインで行い、研修は6月と12月に始まります。募集の状況は、応募前に公式の最新の案内で確認してください。
子ども連れでも行けます。4〜11歳は子供料金、3歳以下は無料で、お子様メニューも用意されています。OriHimeダイナーは2名から利用でき、お子様もその人数に含まれます。
まとめ
分身ロボットカフェ DAWNについて、この記事で整理した要点は次のとおりです。
- 分身ロボットカフェ DAWNは、オリィ研究所が東京・日本橋で運営する、外出が難しい人が分身ロボットで接客する常設実験カフェです。
- 入場チケットは大人2,200円、OriHimeダイナーは大人5,500円で、ダイナーは前日17時までのオンライン予約が必要です。
- 営業時間は2026年10月19日から11:00〜21:00(最終入店20:30)で、2026年5月7日から木曜日も営業しています。
- パイロットは約115人で、1日1時間から自宅で働けます。国内の民間企業で働く障害のある人(70万4,610.0人)に対する比率は約0.016%(編集部推計)で、実験規模の取り組みです。
- 福岡県や豊島区の実証では、業務の切り出しと費用対効果が課題として挙げられており、導入には業務設計が欠かせません。