クラウドファンディングで集めたお金や支援したお金には、方式や受け取る側の立場によって所得税や贈与税などがかかり、多くの場合は確定申告が必要です。
この記事でわかること
- 購入型・寄付型・投資型で異なる税金の種類
- 起案者(資金調達者)に必要な確定申告の判断基準
- 支援者(資金提供者)にかかる税金の有無
- 今日から使える節税のポイント
- クラウドファンディングの税務相談ができる税理士法人
クラウドファンディングの税金は誰に関係するのか

クラウドファンディングは、資金を集める起案者と支援する側の双方に税金の判断が必要になる仕組みです。
起案者は集めた資金の性質によって所得税や贈与税の対象になり、支援者側も寄付型で控除を受けたり、投資型で分配金を受け取ったりすれば確定申告に関わってきます。立場によって関係する税金がまったく異なるため、まず自分が「起案者」「支援者」のどちらの立場で、どの方式のクラウドファンディングに関わっているかを整理することが出発点になります。
同じプロジェクトでも、起案者にとっては「集めたお金にいくら税金がかかるか」という論点になり、支援者にとっては「支援したお金が控除の対象になるか」「リターンとして受け取った分配金を申告する必要があるか」という別の論点になります。この記事では、この2つの立場を分けたうえで、方式ごとの違いを整理していきます。
そもそもクラウドファンディングをどう始めるかについては、クラウドファンディングのやり方|個人と法人で異なる7ステップで手順を解説しています。
【方式別】購入型・寄付型・投資型でかかる税金の違い
クラウドファンディングの税金は、購入型が所得税、寄付型が贈与税や一時所得、投資型が分配金への所得税が中心になります。
同じ「クラウドファンディング」でも、支援と引き換えに何を受け取るかによって法律上の性質が変わり、かかる税金の種類も申告の要否も別物になります。以下、3つの方式ごとに起案者側の扱いを整理します。
| 方式 | 起案者への課税 | 支援者への課税 |
|---|---|---|
| 購入型 | 売上として所得税(事業所得・雑所得) | 原則なし(商品購入と同じ扱い) |
| 寄付型 | 個人から受領は贈与税、法人からは一時所得 | 原則なし(寄附金控除の対象になる場合あり) |
| 投資型 | 資本金・借入金として扱い、原則非課税 | 分配金・利息を雑所得等として課税 |
購入型クラウドファンディング
購入型は、支援者が商品やサービスを受け取る対価として資金を支払う方式です。起案者が受け取る資金は商品・サービスの売上とみなされ、必要経費を差し引いた利益に所得税がかかります。
支援者側は消費者として商品を購入した立場にあたるため、通常は税金も確定申告も発生しません。
寄付型クラウドファンディング
寄付型は対価を伴わない支援で、個人から資金を受け取ると贈与税、法人から受け取ると一時所得として所得税の対象になります。
贈与税には年間110万円の基礎控除があり、1年間に個人から受け取った金額の合計がこれ以下であれば贈与税はかかりません。逆に110万円を超えた部分には贈与税の申告と納税が必要です。
参照:国税庁「No.4402 贈与税がかかる場合」(2026年9月時点)
投資型クラウドファンディング
投資型は、株式投資型・融資型(ソーシャルレンディング)などに分かれ、起案者が調達した時点では課税されず、支援者が受け取る分配金や利息に課税される点が特徴です。
起案者側は調達した資金を資本金や借入金として扱うため、購入型・寄付型のように資金そのものが売上や贈与として課税されることはありません。投資型はさらに株式投資型と融資型(ソーシャルレンディング)に分かれ、支援者側の課税方法も異なります。株式投資型で得た配当金は配当所得、株式の売却益は譲渡所得として扱われ、融資型で受け取る分配金(利息相当)は雑所得として給与など他の所得と合算する総合課税の対象になるのが一般的です。
起案者(資金調達者)に必要な確定申告

個人が継続的・営利目的で行えば事業所得、単発であれば雑所得として、いずれも一定の利益が出れば確定申告が必要になります。
国税庁の整理では、雑所得は利子所得や事業所得など他の所得区分のいずれにも当たらない所得を指し、副業のように営利目的で継続的に行う活動からの所得は雑所得の中でも「業務に係るもの」として扱われます。クラウドファンディングを単発で行った場合はこの雑所得、繰り返し事業として行っている場合は事業所得に区分されるのが一般的な考え方です。
| 起案者の状況 | 所得区分の目安 | 確定申告の要否 |
|---|---|---|
| 会社員が単発でプロジェクトを実施 | 雑所得 | 雑所得等が年20万円超で必要 |
| 個人事業主が事業の一環として実施 | 事業所得 | 他の事業所得と合算して必要 |
| 法人としてプロジェクトを実施 | 法人の益金 | 法人税の確定申告に含めて必要 |
表の「雑所得等が年20万円超で必要」は、給与所得者が年末調整を受けたうえで、給与・退職所得以外の所得の合計が年間20万円を超える場合に所得税の確定申告が必要になるという目安です。20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも、別途住民税の申告は必要になるため注意してください。
たとえば、個人が購入型クラウドファンディングで300万円を集め、リターンの製造費・送料・プラットフォーム手数料の合計が180万円だったとします。この場合、300万円から180万円を差し引いた120万円が利益となり、この120万円を基準に所得税額が計算されます。集めた金額の全額に税金がかかるわけではなく、あくまで経費を差し引いた後の利益が課税対象になる点がポイントです。
なお、購入型クラウドファンディングで多額の資金を集めた場合は、所得税とは別に消費税の課税事業者に該当するかどうかも確認が必要です。基準期間(個人は前々年、法人は前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超えると、消費税の申告・納税義務が生じます。
参照:国税庁「No.1500 雑所得」(2026年9月時点)、国税庁「No.6501 納税義務の免除」(2026年9月時点)、国税庁「こんな収入の申告漏れにご注意」(2026年9月時点)
確定申告の流れ|起案者が行う4つのステップ
起案者の確定申告は、資料集め・申告書作成・提出・納税という4つのステップで進めます。
初めて確定申告をする場合でも、順番通りに準備すれば大きく迷うことはありません。
- プラットフォームの入出金明細、手数料の領収書、リターンにかかった経費の領収書など、収入と経費が分かる資料をすべて集める。
- 所得区分(事業所得または雑所得)を確認し、収入から必要経費を差し引いた金額をもとに申告書を作成する。青色申告をしている場合はあわせて青色申告決算書も作成する。
- e-Tax、税務署窓口への持参、郵送のいずれかの方法で申告書を提出する。
- 算出された税額を、振替納税、e-Tax、コンビニ納付などの方法で期日までに納付する。
| 区分 | 申告・納付の期間 |
|---|---|
| 個人 | 原則として翌年2月16日から3月15日まで |
| 法人 | 原則として決算日の翌日から2か月以内 |
簿記や会計の知識に自信がない場合は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使うと、画面の案内に沿って金額を入力するだけで税額が自動計算され、申告書を作成できます。作成したデータはそのままe-Taxで送信することも、印刷して税務署に郵送することもできます。
支援者(資金提供者)にかかる税金
支援者は原則として税負担はありませんが、寄付型で寄附金控除を使う場合や、投資型で分配金を受け取る場合は確定申告に関わります。
購入型は商品購入と同じ扱いのため、支援者側に申告義務は生じません。寄付型のうち、寄付先が認定NPO法人など税制上の優遇対象に該当する場合は、支援者は寄附金控除を受けられることがあります。投資型で分配金や利息を受け取った場合は、その金額を雑所得として他の所得と合算し、確定申告で精算する必要があります。
寄附金控除の金額は、「その年に支出した特定寄附金の合計額」と「所得金額の40%」のいずれか低い方から2,000円を差し引いた額です。たとえば認定NPO法人に3万円を寄付した場合、(30,000円-2,000円)で28,000円が所得控除の対象になります。控除を受けるには、寄付先が発行する受領証明書を添えて確定申告をする必要があります。
参照:国税庁「No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」(2026年9月時点)
今日からできる節税のポイント
起案者側の節税は、必要経費を漏れなく計上することと、青色申告特別控除を使うことの2つが基本になります。
プラットフォームの決済手数料やリターンの制作費・送料などは必要経費として利益から差し引けます。手数料の相場については、クラウドファンディングの手数料はいくら?内訳と主要6サービスの料率を解説で詳しく整理しています。個人事業として青色申告をしている場合は、複式簿記での記帳とe-Taxでの申告などの要件を満たすと、最大65万円の青色申告特別控除を受けられます。
| 節税の方法 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 必要経費の計上 | 手数料・送料・制作費などを利益から控除 | 領収書など根拠資料の保存が必要 |
| 青色申告特別控除 | 要件を満たせば最大65万円を控除 | 複式簿記の記帳とe-Tax申告等が条件 |
| 寄付額を基礎控除内に収める(支援者側) | 個人からの寄付は年110万円以下なら贈与税なし | 複数の寄付先からの合計で判定 |
参照:国税庁「No.2072 青色申告特別控除」(2026年9月時点)
ふるさと納税型・ガバメントクラウドファンディングとの違い
自治体が起案者になるガバメントクラウドファンディングは、ふるさと納税の仕組みが適用される点が通常の寄付型と異なります。
通常の寄付型クラウドファンディングでは寄付先が限られた要件を満たす場合にしか控除を受けられませんが、自治体宛てのガバメントクラウドファンディングはふるさと納税として扱われるため、支援者は自己負担2,000円を除いた金額の控除を受けられます。仕組みや自治体の選び方は、クラウドファンディングふるさと納税とは?仕組みと自治体の選び方で解説しています。
海外のクラウドファンディングを利用した場合はどうなるか
日本の居住者であれば、海外プラットフォームを使った場合でも国内の場合と同じく確定申告が必要です。
国税庁の整理では、居住者は所得が生じた場所が国内か国外かを問わず、そのすべての所得に対して課税されます。海外のクラウドファンディングサイトを利用して資金を調達・支援した場合も、この原則がそのまま当てはまります。受け取った金額や支払った金額は日本円に換算して所得を計算する必要があるため、入出金があった日の記録と、その時点の為替レートが分かる資料を保存しておくことが大切です。
参照:国税庁「No.2010 納税義務者となる個人」(2026年9月時点)
「申告しなくてもバレない」は本当か
クラウドファンディングの入金は決済代行会社を通じた記録として残るため、無申告は税務署に把握される可能性があります。
クラウドファンディングはインターネット上で完結する取引に見えますが、資金の流れはプラットフォーム運営会社や決済代行会社を経由しており、入出金の記録が残ります。申告が必要な所得を申告しなかった場合、後から発覚すると本来の税額に加えて無申告加算税や延滞税が課される可能性があるため、「ネット上の取引だから分からない」という考え方は避けるべきです。
無申告加算税は、税務署から指摘を受ける前に自主的に期限後申告をすれば5%で済みますが、税務調査の通知後に申告した場合や税務署の調査によって課税された場合は税率が上がります。
| タイミング | 50万円までの部分 | 50万円超300万円までの部分 | 300万円を超える部分 |
|---|---|---|---|
| 調査の事前通知の前に自主的に申告 | 一律5% | ||
| 事前通知の後、調査前に申告 | 10% | 15% | 25% |
| 税務署の調査を受けてから申告 | 15% | 20% | 30% |
参照:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」(2026年9月時点)
クラウドファンディングの税務相談ができる税理士法人・サービス

クラウドファンディングの税金は方式や立場によって判断が分かれるため、実際の申告では税理士への相談が有効です。
特に、複数の方式のプロジェクトを並行して行っている場合や、法人としての利用と個人としての利用が混在している場合は、所得区分や必要経費の線引きが複雑になりがちです。ここでは、クラウドファンディングの税務について情報発信している税理士法人・サービスを、法人名の五十音順で紹介します。順序に優劣の意味はなく、あくまで名称の読み方に基づく並びです。
アクタス税理士法人
税務会計・人事労務・システムの3分野を組み合わせた総合コンサルティングを展開する税理士法人グループです。
クラウドファンディングの税務会計について解説する会報を発行するなど、法人の会計処理に関する情報発信を行っています。税理士法人・社会保険労務士法人・ITコンサルティング企業が連携し、税務だけでなく労務やシステム面の相談も一括で受けられる点が特徴です。東京・赤坂を本拠に立川、大阪、長野、名古屋にも拠点を持ちます。
税理士法人木村会計
会計・税務から経営コンサルティング、事業承継まで「一つの窓口」で対応する税理士法人です。
自社サイトでクラウドファンディングの税務を解説するページを設けています。相続税申告では約70年の実績を持ち、顧客満足度94%を掲げています。千葉県旭市を本部に、東京都荒川区、千葉市にも拠点を展開しています。
小谷野税理士法人
会計・税務からプライベートバンキング、事業承継、M&Aまで幅広い分野をワンストップで支援する税理士法人です。
クラウドファンディングの税金や節税対策について複数のコラムを公開しています。ISO 9001・ISO 27001の認証を取得しており、品質管理と情報セキュリティの両面を意識した体制で、東京・渋谷(代々木)を本拠地に各分野の専門家と提携した対応を特徴としています。
freee税理士検索
freeeが運営する税理士・会計士・社労士の検索・紹介サービスです。
クラウドファンディングの会計処理や税金について相談できる税理士を条件検索できるほか、専門コーディネーターによる無料紹介も利用できます。掲載事務所は2,300件以上、登録は無料です。
税理士法人FLAIR
資金繰りコンサルティングやクラウド会計導入支援を軸に、経営者の成長を伴走支援する税理士法人です。
会社設立や税務調査対応に関するコラムの一つとしてクラウドファンディングの税金と確定申告の注意点を解説しています。東京都千代田区に拠点を置いています。
ほまれ税理士法人
経営者の「選択」「決断」「覚悟」を支えることを掲げる、大阪の税理士法人です。
自社サイトでクラウドファンディングにかかる税金の種類や確定申告について解説しています。職種や規模を問わず、経営者一人ひとりに向けた専門的なコンサルティングを提供しています。
| 名称 | 拠点 | 特徴 |
|---|---|---|
| アクタス税理士法人 | 東京(赤坂)ほか4拠点 | 税務・労務・システムの総合グループ |
| 税理士法人木村会計 | 千葉県旭市ほか2拠点 | 会計からコンサルまで一つの窓口で対応 |
| 小谷野税理士法人 | 東京(渋谷) | 専門家提携によるワンストップ支援 |
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| ほまれ税理士法人 | 大阪 | 経営者の意思決定に寄り添う伴走支援 |
よくある質問
クラウドファンディングの税金について、よく検索されている質問をまとめました。
方式によって基準が異なります。寄付型は個人から受け取った金額の年間合計が110万円を超えると贈与税の対象になり、購入型や投資型は金額の大小にかかわらず、必要経費や取得費を差し引いた利益が生じれば所得税の対象になります。
原則として支援者に税金はかかりません。ただし、寄付先が認定NPO法人など税制上の優遇対象に該当する場合は、支援者が確定申告をすることで寄附金控除を受けられることがあります。
継続的・営利目的で反復して行っていれば事業所得、単発で行った場合は雑所得として扱われるのが一般的です。判断に迷う場合は、確定申告前に税理士に相談することをおすすめします。
入金記録が残るため、税務署に把握される可能性があります。申告が必要な所得を申告していなかったことが後から発覚すると、本来の税額に加えて無申告加算税や延滞税が課されることがあります。
いいえ、扱いが異なります。自治体が起案者となるガバメントクラウドファンディングはふるさと納税の仕組みが適用され、通常の寄付型クラウドファンディングとは支援者側の控除の受けやすさが変わります。
プラットフォームへの決済手数料、リターンの製造費や送料、プロジェクトページ制作にかかった費用などが必要経費に含まれます。事業に直接関連する支出であることを示す領収書や明細を保管しておくことが重要です。
まとめ
クラウドファンディングの税金は、購入型・寄付型・投資型という方式の違いと、起案者・支援者という立場の違いの掛け合わせで決まります。起案者は必要経費の計上や青色申告特別控除を活用しつつ、雑所得か事業所得かを見極めて確定申告を行うことが基本です。支援者側も寄付型の控除や投資型の分配金申告に関わる場合があるため、自分がどの立場でどの方式に関わっているかを整理したうえで、必要に応じて税理士法人などの専門家に相談することをおすすめします。
特に、複数のプロジェクトを継続的に起案している場合や、調達額が大きく所得区分や消費税の判定に迷う場合は、自己判断で申告を済ませるよりも早い段階で税理士に相談したほうが、結果的に節税にも申告漏れの防止にもつながります。