PRIDE指標は、一般社団法人work with Prideが2016年に創設した、企業や団体のLGBTQ+施策を評価する日本発の指標です。5つの評価項目の達成状況に応じてブロンズ・シルバー・ゴールドのいずれかに認定され、2025年度は931社の応募に対し750社がゴールドを獲得しました。
参照:work with Pride「PRIDE指標2025」結果発表(2025年11月14日)
この記事でわかること
- PRIDE指標の5つの評価基準とランクの仕組み
- レインボー認定との違い
- 2026年度の応募期間・費用(企業規模別)
- 中小企業がPRIDE指標に挑戦するメリットと注意点
- ゴールド認定企業の事例
- PRIDE指標の取得を支援する企業
PRIDE指標とは?

PRIDE指標は、企業・団体のLGBTQ+施策を5つの観点から評価する日本初の指標です。
策定されたのは2016年で、2025年度で10回目の実施となりました。応募数は年々拡大しており、2025年度の応募は931社(グループ複数社連名を含む)と過去最多となっています。日本ではじめてつくられた職場のLGBTQ+評価指標という位置づけから、採用ブランディングやESG開示の文脈で参照されることが増えています。
評価・認定を行うのは、work with Prideの内部に設置されたPRIDE指標事務局です。PRIDE指標事務局の選考には、指標を策定した実行委員会は関与しない独立した体制がとられています。
work with Pride自体は2011年からLGBTQ+ダイバーシティマネジメントを広めるセミナーを開催しており、2015年12月に24の企業・団体によるワーキンググループを発足させ、2016年6月に指標が完成した経緯があります。指標の目的は、(1)企業がLGBTQ+施策を進めるうえでの社内指針として活用してもらうこと、(2)毎年、取り組み状況や事例を募集し優れた企業・団体を表彰すること、(3)取り組み方のノウハウを社会全体に共有することの3点とされています。
応募できるのは日本法に定めのある法人格を有する組織で、株式会社などの会社形態に限らず、社団法人・財団法人や地方公共団体等も対象に含まれます。一方で、外国法に基づいて設立された、いわゆる外国会社は応募主体にはなれず、日本法人との資本関係の有無を問わず採点対象外です。
参照:work with Pride「PRIDE指標2025」結果発表(2025年11月14日)、work with Pride「PRIDE指標とは」(2026年8月時点)、work with Pride「PRIDE指標2026応募要項」(2026年8月時点)
PRIDE指標の5つの評価基準とは?
評価基準はPolicy・Representation・Inspiration・Development・Engagement/Empowermentの5項目です。
| 評価項目 | 英語表記 | 内容 |
|---|---|---|
| 行動宣言 | Policy | 企業・団体の一部ではなく全体としてLGBTQ+の取り組みを行うことを示す宣言 |
| 当事者コミュニティ | Representation | 社内に当事者コミュニティや相談窓口を設置しているか |
| 啓発活動 | Inspiration | LGBTQ+への理解を深めるための啓発活動を実施しているか |
| 人事制度・プログラム | Development | LGBTQ+の社員が他の社員と同等に扱われる人事制度・プログラムがあるか |
| 社会貢献・渉外活動 | Engagement/Empowerment | 他社やNGO/NPO、行政等と連携した社会貢献・渉外活動を行っているか |
5項目は社内制度だけでなく社外との連携まで含む点が特徴で、啓発活動や研修だけでは全項目を満たせない設計になっています。特にEngagement/Empowermentは、自社の中だけで完結する取り組みでは満たせない項目で、行政・学術機関・NGO/NPOなど社外のプレイヤーとの協働実績が問われます。この項目は、後述する「レインボー認定」の考え方にもつながっています。
PRIDE指標のような非財務の取り組みは、人的資本の情報開示の一部としても位置づけられています。人的資本とサステナビリティ経営の関係はサステナビリティと人的資本の関係とは?企業価値向上につなげる経営戦略を解説で紹介しています。
参照:work with Pride「PRIDE指標とは」(2026年8月時点)
認定ランクの仕組み|ブロンズ・シルバー・ゴールドの違いは?

5項目中5点獲得でゴールド、4点でシルバー、3点でブロンズに認定される仕組みです。
| 認定ランク | 必要ポイント | 2025年度の認定数 |
|---|---|---|
| ゴールド | 5点(全項目達成) | 750社 |
| シルバー | 4点 | 119社 |
| ブロンズ | 3点 | 53社 |
数値はいずれもグループ複数社連名応募を含む合計です。
参照:work with Pride「PRIDE指標2025」結果発表(2025年11月14日)
レインボー認定との違いは?
レインボー認定は、PRIDE指標とは別に2021年に新設された、行政・学術機関・NPO/NGOなどとのセクターを超えた協働を評価する認定です。2025年度は41件の応募に対し38社が認定されました。PRIDE指標がゴールドであることはレインボー認定の前提条件ではありませんが、両方に挑戦する企業も見られます。
参照:work with Pride「PRIDE指標2025」結果発表(2025年11月14日)
2026年度の応募期間・費用は?(企業規模別)
2026年度の応募期間は2026年7月1日から8月31日23時59分までで、結果は同年11月に発表される予定です。
評価対象となるのは2026年1月1日から12月31日までの取り組みです。申請料は企業規模によって異なり、300名以下の企業・団体には低い料金区分が設けられています。
| 対象 | PRIDE指標 申請料 | レインボー認定 申請料 |
|---|---|---|
| 301名以上の企業・団体 | 55,000円(税込) | 33,000円(税込) |
| 300名以下の企業・団体 | 33,000円(税込) | 22,000円(税込) |
認定された企業・団体名はすべてwork with Prideのウェブサイトやレポートで公表される仕組みで、匿名での認定は認められていません。
応募方法は、work with Pride公式サイトから2026年6月1日以降に配布される所定のExcel様式をダウンロードし、該当する評価項目にチェックを入れたうえで、取り組み内容を具体的に記入して提出する形式です。審査料の支払い確認も併せて必要になります。一次審査結果は2026年10月に通知される予定で、レインボー認定については、PRIDE指標事務局と特定非営利活動法人エティック、経済・教育・報道など各分野の専門家による委員会が協働実績を審査します。
参照:work with Pride「PRIDE指標2026応募要項」(2026年8月時点)
中小企業がPRIDE指標に挑戦するメリットと注意点は?

中小企業でも300名以下区分の申請料で挑戦でき、採用力の向上につなげやすい制度です。
メリットとしては、まず採用面での訴求があります。LGBTQ+の就職・転職に特化した求人サイトや専門メディアで取り組みが紹介される機会が増え、求職者への発信力を持てます。また、PRIDE指標のような社会(S)に関するKPIは、人的資本の情報開示やESG評価の材料としても使われます。ESG指標全体の考え方はESG指標とは?企業が押さえるべき主要KPIと導入ステップを徹底解説で解説しています。
一方で注意点もあります。5項目には当事者コミュニティの設置や相談窓口の整備といった社内体制づくりが必要で、研修の実施だけでは全項目を満たせません。また、認定企業・団体名は原則として公表される仕組みのため、匿名での認定を前提に応募することはできません。
これから挑戦する中小企業が最初に確認すべきなのは、5つの評価項目それぞれについて「すでにあるもの」と「これから整備するもの」の切り分けです。特に当事者コミュニティ・相談窓口や、社外との連携実績は、研修と違って準備に時間がかかりやすい項目です。
| 評価項目 | 中小企業が準備を始めやすい取り組み例 |
|---|---|
| 行動宣言(Policy) | 経営層名でのLGBTQ+方針の社内外への表明 |
| 当事者コミュニティ(Representation) | 社内外の相談窓口の設置、既存の相談窓口へのSOGI項目の追加 |
| 啓発活動(Inspiration) | 全社員向け研修、管理職向けのハラスメント防止研修 |
| 人事制度・プログラム(Development) | 就業規則・福利厚生における同性パートナーの扱いの見直し |
| 社会貢献・渉外活動(Engagement/Empowerment) | 自治体やNPO/NGOが主催する啓発イベントへの協賛・参加 |
この表はPRIDE指標の5つの評価項目をもとに整理した準備の方向性であり、work with Prideが公式に推奨する取り組み例ではありません。実際の記入内容や証跡の示し方は、応募要項の設問文に沿って個別に確認してください。
健康経営優良法人と同様に、PRIDE指標も自社の制度整備状況を客観的に示す認定制度です。認定基準や申請の要点は健康経営優良法人とは?認定基準と2027申請の要点を解説で紹介しています。
参照:work with Pride「PRIDE指標2026応募要項」(2026年8月時点)
PRIDE指標ゴールド認定企業の事例
以下は、各社の公式発表からPRIDE指標2025のゴールド認定を確認できた企業の例です。連続認定年数が長い順に掲載しています。特定の企業を推奨する趣旨のものではありません。
KDDI株式会社
KDDIは、PRIDE指標2025で10年連続となる最高評価「ゴールド」を受賞しました。2014年から全社員向けのeラーニングを継続しているほか、2016年に採用選考での性別要件を撤廃、2017年には同性パートナーへの慶弔休暇などの適用を開始しています。社内では2018年に「KDDI ALLY」のロゴを制定し、2020年には公式のアライコミュニティを発足させるなど、社外への発信だけでなく社内での可視化にも取り組んでいます。
参照:KDDI公式ニュースリリース(2025年11月14日)
株式会社ブリヂストン
ブリヂストンは、PRIDE指標2025で8年連続となる最高評価「ゴールド」を受賞しました。「性的指向」「性自認」「性表現」「家族構成」を理由とする差別の禁止を明文化し、同性パートナーについても事実婚と同等の福利厚生・慶弔・転居支援を適用しています。入社時・管理職向け研修や全従業員向けeラーニングに加え、2025年からは人事・採用担当者向けの専門研修も追加し、社内の「Ally」コミュニティを通じた理解促進にも取り組んでいます。
参照:ブリヂストン公式ニュースリリース(2025年11月21日)
P&Gジャパン
P&Gジャパンは、PRIDE指標2025で6年連続となる最高評価「ゴールド」認定を、5年連続で「レインボー」認定を受けました。社内には従業員リソースグループ「GABLE」があり、階層別のアライ育成研修を継続実施しています。採用選考では性別欄を「男性・女性・回答しない」から選べる形式に変更し、写真添付も不要にしました。社外向けには2021年から無償の「アライ育成研修」を約180団体に提供しているほか、ドラッグストアのウエルシアと連携した「インクルーシブショッピングプロジェクト」など、社外との協働にも力を入れています。
参照:P&Gジャパン公式サイト(2025年11月27日)
武田薬品工業株式会社
武田薬品工業は、PRIDE指標2025でゴールドを5年連続で獲得するとともに、レインボー認定を2年連続で受けました。2024年4月から福利厚生上の「配偶者」の定義に事実婚・同性パートナーを含め、パートナーの子や親も対象に加えています。採用選考では性別欄を男女以外にも選べる形式にし、東京グローバル本社・大阪本社・大阪工場には誰でも使えるユニバーサルトイレを設置しました。社員が主体となる「TAKE PRIDE Japan」は、製薬7社が参画する業界横断ネットワーク「Pharma Ally Japan」の設立にも関わっています。
参照:武田薬品工業公式ニュースリリース(2025年11月17日)
PRIDE指標の取得を支援する企業
PRIDE指標の取得には、当事者コミュニティの設置や社内研修など人事制度の整備が欠かせません。以下は、企業のLGBTQ+施策の設計や研修を支援する企業です。五十音順に掲載しており、対応範囲や評価に基づく序列ではありません。
株式会社アウト・ジャパン
LGBTQ+の採用・転職支援や企業向けコンサルティングを行う専門企業です。求人サイトの運営に加え、採用選考プロセスの見直しや社内研修、相談窓口の設置支援まで対応します。採用活動を切り口に社内制度整備まで進めたい企業に向いています。
株式会社JobRainbow
LGBTQ+の就職・転職に特化した求人サイト「JobRainbow」を運営し、500社以上への研修実績を持つ企業です。研修に加え、社内アンケートに基づく改善提案や組織設計への助言まで対応します。研修から組織改善まで一貫した支援を求める企業に向いています。
認定NPO法人虹色ダイバーシティ
2013年からLGBTQ+の職場環境改善に取り組む認定NPO法人です。企業向けの研修・セミナーに加え、継続的な制度導入を支援するコンサルティングやeラーニング、独自教材の提供を行っています。調査データに基づいた研修設計に強みを持ちます。
株式会社Nijiリクルーティング
自社がPRIDE指標で9年連続ゴールドを受賞した実績を持つ、LGBTQ+施策支援企業です。人事担当者・管理職・経営者向けの研修に加え、社内規程やマニュアルの作成支援、相談窓口の設置、成功報酬型の採用支援まで対応します。自社の認定実績に基づく実践的な助言が特徴です。
レインボーノッツ合同会社
社会保険労務士やメンタルヘルスの専門家などが在籍する、SOGI・LGBTQ+専門のコンサルティング企業です。外部相談窓口の運営、社内制度設計のコンサルティング、階層別のオンライン研修まで対応します。労務・メンタルヘルスの専門知見を踏まえた支援が特徴です。
| 企業名 | 主なサービス | 特徴 |
|---|---|---|
| 株式会社アウト・ジャパン | 採用支援・研修・コンサルティング | 求人サイト運営による採用面からの支援 |
| 株式会社JobRainbow | 研修・組織改善コンサルティング | 500社以上への研修実績 |
| 認定NPO法人虹色ダイバーシティ | 研修・セミナー・コンサルティング | 調査データに基づく研修設計 |
| 株式会社Nijiリクルーティング | 研修・規程整備・採用支援 | 自社が9年連続ゴールド認定 |
| レインボーノッツ合同会社 | 相談窓口運営・制度設計コンサル・研修 | 社労士・メンタルヘルス専門家が在籍 |
支援企業を選ぶ際は、自社がPRIDE指標の5項目のうちどこで不足しているかを先に整理しておくと相談がスムーズです。研修や啓発活動が中心であれば教育系の企業、就業規則や相談窓口など労務面の整備が課題であれば社労士が在籍する企業、採用面での発信力を強化したいのであれば求人サイトを運営する企業というように、課題に応じて相談先を使い分けることができます。
よくある質問
PRIDE指標に関してよく寄せられる質問をまとめました。
一般社団法人work with Prideが2016年に創設した、企業・団体のLGBTQ+施策を評価する日本発の指標です。Policy・Representation・Inspiration・Development・Engagement/Empowermentの5項目の達成状況に応じて認定されます。応募できるのは日本法に定めのある法人格を有する組織で、会社形態に限らず社団法人・財団法人や地方公共団体等も対象です。
2026年度は、従業員301名以上の企業・団体でPRIDE指標55,000円・レインボー認定33,000円、300名以下ではPRIDE指標33,000円・レインボー認定22,000円です(いずれも税込)。応募時には所定のExcel様式への記入に加えて、審査料の支払い確認も必要です。
PRIDE指標は自社内のLGBTQ+施策を評価する指標で、レインボー認定は行政・学術機関・NPO/NGOなどとのセクターを超えた協働を評価する認定です。2021年に新設され、2025年度は38社が認定されました。
取得できます。従業員300名以下の企業・団体は申請料が低く設定されており、企業規模を問わず応募が可能です。
2026年7月1日から同年8月31日23時59分までです。評価対象は2026年1月1日から12月31日までの取り組みで、一次審査結果は同年10月に通知され、最終結果は2026年11月に発表される予定です。
まとめ
PRIDE指標は、企業のLGBTQ+施策を5つの観点から客観的に評価する日本発の認定制度です。ブロンズ・シルバー・ゴールドの3段階があり、2025年度は931社の応募に対し750社がゴールドに認定されました。
2026年度の応募は8月31日まで受け付けており、従業員規模に応じた申請料が設定されているため、中小企業でも挑戦しやすい制度です。認定企業・団体名は公表される仕組みのため、応募する場合は事前に社内の合意形成を済ませておくことが前提になります。自社だけで研修や制度整備を進めるのが難しい場合は、本記事で紹介した支援企業への相談も選択肢の一つです。