日本情報システムユーザー協会(JUAS)は、情報システムを利用する企業が集まり、IT利活用の向上を目指して活動する一般社団法人です。1994年から続く「企業IT動向調査」の実施や、プライバシーマークの指定審査機関としての役割を担っており、企業規模や目的に応じて年会費が異なる複数の会員区分を設けています。
この記事でわかること
- 日本情報システムユーザー協会(JUAS)の概要と沿革
- 企業IT動向調査など主な活動内容
- JUASに入会する主なメリット
- プライバシーマーク審査機関としての役割とJIPDECとの違い
- 会員種別・会費・入会条件
- IT予算やIT投資のベンチマークを支援する企業
日本情報システムユーザー協会(JUAS)とは
JUASは情報システムを利用する企業が集まり、IT利活用の向上と経営革新を目的に活動する一般社団法人です。
目的は、産業活動におけるITの高度利用(経営革新を含む)に関する調査及び研究、普及啓発及び指導、情報の収集及び提供等を行うことで、我が国産業経済の発展に寄与することとされています。もともと経済産業省の所管団体で、ユーザー企業の立場からIT活用を推進してきました。現在の本部は東京都中央区築地のNBF東銀座スクエアにあり、東京メトロ日比谷線・都営浅草線の東銀座駅から徒歩2分の場所にあります。
参照:JUAS「協会概要」(2026年8月確認)、JUAS「アクセス」(2026年8月確認)
沿革(日本データ・プロセシング協会からJUASへ)
JUASの起源は1962年に発足した任意団体「日本データ・プロセシング協会」にさかのぼります。
1981年に社団法人として法人化し、1992年に現在の団体名へ全面改組しました。その後2012年に一般社団法人へ移行し、現在の法人形態で活動しています。60年以上にわたり、ユーザー企業の立場から情報システムの利活用に関する調査・研究・普及啓発を続けてきた団体です。現在の会長は片野坂真哉氏で、会員企業のIT・DXの課題解決を支援しながら、業種を越えた関係者どうしのつながりを強めていく方針を掲げています。
参照:JUAS「協会概要」(2026年8月確認)、JUAS「会長挨拶」(2026年8月確認)
JUASの主な活動内容

JUASの活動の柱は、企業IT動向調査などの調査研究と、会員企業どうしが学び合う研究会・フォーラム活動です。
企業IT動向調査(1994年から毎年実施)
企業IT動向調査は、1994年度から毎年継続しているJUASの代表的な調査で、経済産業省商務情報政策局の監修を受けて実施されています。
調査は東証上場企業とそれに準じる企業を対象に、IT部門へのアンケートとインタビューによって、IT投資・IT利用の現状と経年変化を明らかにするものです。「企業IT動向調査2026」は2025年9月から10月にかけて実施され、調査対象4,500社のうち957社から回答を得ました。2025年度のIT予算が前年度より「増加した」と回答した企業は52.6%で、DI値は43.3ポイントとなり、新型コロナの影響で落ち込んだ2020年度以降5年連続の上昇となっています。2026年度のDI値予測は39.9ポイントで、上昇後の高水準を維持する見込みです。
| 調査項目 | 結果 |
|---|---|
| 調査期間 | 2025年9月〜10月 |
| 調査対象 | 東証上場企業とそれに準じる企業4,500社 |
| 回答数 | 957社 |
| IT予算が増加したと回答した企業の割合(25年度) | 52.6% |
| IT予算DI値(25年度計画) | 43.3ポイント(5年連続上昇) |
| IT予算DI値(26年度予測) | 39.9ポイント |
IT予算が増加した理由は「既存システムの刷新・更新・増強」が66.3%で最多で、「円安・人件費高騰・価格値上げ」46.6%、「クラウドサービスの増加」45.0%と続きます。26年度予測では「AI関連投資・利用料増加」が43.7%(第4位)に伸び、前年から7.4ポイント上昇して最も伸び幅の大きい理由となりました。業種別のDI値は建築・土木が56.2ポイントと全業種で最も高く、サービス業も24年度の32.9ポイントから47.5ポイントへ14.6ポイント上昇しています。IT投資で解決したい課題は「業務プロセスの効率化・スピードアップ」が34.6%で全業種を通じて最多でした。
| IT予算増加の理由(25年度計画) | 割合 |
|---|---|
| 既存システムの刷新・更新・増強 | 66.3% |
| 円安・人件費高騰・価格値上げ | 46.6% |
| クラウドサービスの増加 | 45.0% |
| AI関連投資・利用料増加 | 36.3%(26年度予測は43.7%・第4位) |
前年の「企業IT動向調査2025」では、調査報告書の全文データPDFが「JUASライブラリー」で無料公開されました。最新の報告書もJUASライブラリーで確認できます。
参照:JUAS「『企業IT動向調査2026』プレスリリース第1弾」(2026年8月確認)、JUAS「最新調査報告書『企業IT動向調査2025』全文無料公開しました」(2026年8月確認)
ソフトウェアメトリックス調査
ソフトウェアメトリックス調査は、2004年からユーザー企業の開発・保守・運用プロジェクトの実態を段階的に収集している調査です。
企業IT動向調査と並ぶJUASの継続調査の一つで、システム開発プロジェクトの実績データを蓄積し、運用コストの見える化や管理指標を用いた分析、運用コストの適正化に役立てられています。会員企業が自社の開発・運用案件を業界水準と比較する際の材料としても活用されています。
参照:JUAS「ソフトウェアメトリックス調査・IT運用コストメトリックス調査」(2026年8月確認)
研究会・フォーラムなどの会員活動
会員企業どうしが業種を越えて議論する「研究会」や「フォーラム」が、JUAS会員活動の中心となっています。
研究会は毎年4月に参加者を募る参加型のコミュニティで、翌年4月の発表に向けて業種を越えた議論を行います。テーマを会員自身が選ぶ「アドバンスト研究会」は企画委員会の審査・承認を経て進められ、報告は翌年3月までにまとめられます。学術関係者や専門家も加わる「研究プロジェクト」は公募ではなく招待制で運営されます。経営と情報に関するテーマを扱う「フォーラム」はユーザー企業の会員に限定された活動で、東京と関西の両方で開催されています。JUAS全体では40以上の研究会・委員会が活動しており、年間延べ1,000名以上の会員が参加しています。
参照:JUAS「会員活動の概要」(2026年8月確認)、JUAS「特長」(2026年8月確認)
JUASに入会する主なメリット
JUASは業種を越えた本音の意見交換や実務研修、行政への提言活動など5つの特長を掲げています。
- 企業の立場を問わず本音で意見交換できるユーザー企業どうしのネットワーク
- IT活用や業務改革、開発・運用をテーマにした実務家による研修・セミナー(会員割引あり)
- 情報システムに関する政策について、統一したユーザー団体として関係省庁へ意見・提言を行う活動
- 企業IT動向調査などの調査研究を通じた、会員企業の開発・利用・運用レベルの向上支援
- プライバシーマークの審査による、個人情報保護マネジメントシステム構築の支援
参照:JUAS「特長」(2026年8月確認)
プライバシーマーク審査機関としての役割とJIPDECとの違い
JUASはプライバシーマーク制度の指定審査機関として、申請の受付から審査、付与の適否判定までを担っています。
プライバシーマークは、JIS Q 15001に沿った個人情報保護マネジメントシステム(PMS)を整備している事業者を評価し、事業活動でのマーク使用を認める制度です。付与する主体は一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)で、JUASはJIPDECから指定を受けた審査機関の一つという位置づけです。検索すると混同されがちですが、「付与機関のJIPDEC」と「指定審査機関の一つであるJUAS」は別の組織です。
審査を申請できるのはJUASの会員企業に限られません。国内で法人格を持って事業を営み、常時雇用者が2名以上いること(1人事業者はPMSを構築できないため対象外)、欠格事由に該当しないことなどの条件を満たせば申請できます。付与されたプライバシーマークの有効期間は2年間で、2年ごとに更新が必要です。
参照:JUAS「プライバシーマーク審査」(2026年8月確認)
会員種別・会費・入会条件
JUASの会員は企業規模や目的に応じて正会員A・B・Cと準会員に分かれ、年会費も区分ごとに異なります。
正会員は従業員数500人を境に年会費が30万円と10万円に分かれており、プライバシーマーク取得のみを目的とする企業・団体には年会費1万円の正会員Cという区分が用意されています。入会は企業・団体単位で受け付けており、営業・勧誘・宣伝目的での入会や、活動内での営業行為は認められていません。入会を希望する場合は定款を確認したうえで入会申込書に必要事項を記入し、事務局へメールで送付する流れです。入会金・年会費はいずれも消費税課税対象外の取引とされています。
| 会員区分 | 対象 | 入会金 | 年会費 | 会員数(2026年8月1日時点) |
|---|---|---|---|---|
| 正会員A | 従業員500人以上の企業・団体 | 3,000円 | 300,000円 | 282社 |
| 正会員B | 従業員500人未満の企業・団体 | 3,000円 | 100,000円 | 192社 |
| 正会員C | プライバシーマーク取得を目的とする企業・団体 | 3,000円 | 10,000円 | 4,172社 |
| 準会員 | 公式の会員名簿に別区分で掲載 | 公式サイトで要確認 | 公式サイトで要確認 | 15社 |
正会員Cの会員数が突出して多いのは、プライバシーマーク取得を目的とする企業が年会費1万円で加盟できる区分だからです。会員全体では4,600社を超える規模になっています。
公式の会員名簿には、株式会社IHI、アクセンチュア株式会社、旭化成株式会社、イオン株式会社、伊藤忠商事株式会社、株式会社NTTデータ、花王株式会社、キリンホールディングス株式会社、日本電気株式会社、本田技研工業株式会社など、幅広い業種の企業が名を連ねています。
評価基準や認定要件を公開している他の制度としては、PRIDE指標の5つの評価基準も参考になります。
参照:JUAS「入会のご案内」(2026年8月確認)、JUAS「協会概要」(2026年8月確認)、JUAS「会員名簿」(2026年8月確認)
IT予算・IT投資のベンチマークを支援する主な企業

企業IT動向調査のようなIT予算の実態を踏まえ、自社のIT投資を業界水準と比較・最適化する支援を行う企業もあります。ここでは五十音順で紹介します。順序に優劣の意味はありません。
IT予算の使い道を見直す際は、DXコンサルの費用相場もあわせて確認しておくと予算感がつかみやすくなります。
株式会社アイ・ティ・アール(ITR)
独立系のITリサーチ・コンサルティング企業で、自社のIT投資動向調査データをもとにしたITコストベンチマークサービスを提供しています。他社のIT支出と比較してDXやセキュリティ投資の優先度を検討できる点が特徴です。このほか、システム投資の妥当性を第三者の立場で評価するレポートの作成や、次期ERPの候補製品を比較するFitGap分析とコスト試算、ERP候補の機能・コスト・実装パートナーの対応力を評価するレポート作成も手掛けています。
参照:ITR「コンサルティング」(2026年8月確認)
KPMGコンサルティング株式会社
大手監査法人グループのコンサルティングファームで、IT戦略立案からシステム導入、クラウド活用、ITガバナンス、コスト最適化までを一貫して支援しています。製造業やインフラ業界向けの業種特化ソリューションや、生成AIを含む最新技術の統合に強みを持ちます。
参照:KPMGコンサルティング「IT戦略/IT導入支援」(2026年8月確認)
タナベコンサルティング
業務とシステムの両面から現状分析を行い、経営視点と現場視点の両方からIT戦略・IT変革計画を策定するコンサルティングを提供しています。特定のベンダーに偏らない中立な立場でのシステム選定支援と、計画策定から実行段階まで伴走する点が特徴です。
参照:タナベコンサルティング「IT戦略・システム構想」(2026年8月確認)
株式会社日立コンサルティング
IT投資の目的を明確化し、既存システムの維持と将来への投資の間で予算配分を最適化する「IT投資マネジメントコンサルティング」を提供しています。DX戦略とIT投資ポートフォリオ管理を両輪で支援し、投資判断のガバナンスプロセス構築まで踏み込む点が特徴です。このほか、COBITやCMMIといった標準フレームワークを使ってDX・IT部門の現状と目指す姿とのギャップを可視化する「DX/IT部門成熟度クイックアセスメントサービス」も提供しています。
参照:日立コンサルティング「IT投資マネジメントコンサルティング」(2026年8月確認)、日立コンサルティング「DX/IT部門成熟度クイックアセスメントサービス」(2026年8月確認)
パーソルクロステクノロジー株式会社
DX戦略の策定から、DX活用のための業務コンサルティング、DXプロジェクトの推進支援までを手掛けています。事業運営とテクノロジー実装の両方を経験したコンサルタントが伴走し、戦略策定から実行段階まで一貫して支援する体制が特徴です。
参照:パーソルクロステクノロジー「DX戦略コンサルティング」(2026年8月確認)
| 会社名 | 主なサービス | 特徴 |
|---|---|---|
| アイ・ティ・アール(ITR) | ITコストベンチマーク | 自社調査データによる他社比較が軸 |
| KPMGコンサルティング | IT戦略/IT導入支援 | 業種特化と生成AI活用に強み |
| タナベコンサルティング | IT戦略・システム構想策定 | ベンダー中立の立場で選定を支援 |
| 日立コンサルティング | IT投資マネジメントコンサルティング | DXとIT投資ポートフォリオを両輪で支援 |
| パーソルクロステクノロジー | DX戦略コンサルティング | 戦略策定から実行まで一貫伴走 |
よくある質問
日本情報システムユーザー協会(JUAS)についてよく寄せられる質問をまとめました。
情報システムを利用する企業が集まり、IT利活用の向上を目指して活動する一般社団法人です。1962年発足の任意団体を起源とし、2012年から現在の法人形態で活動しています。
JUASはプライバシーマークの指定審査機関を務める、情報システムユーザー企業の一般社団法人です。マークを付与する主体は一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)で、両者は別の組織です。
1994年度から毎年実施されており、経済産業省商務情報政策局の監修を受けてJUASが行っています。直近の「企業IT動向調査2026」は2025年9月から10月にかけて実施されました。
会員区分によって異なり、従業員500人以上の正会員Aは年会費30万円、500人未満の正会員Bは年会費10万円、プライバシーマーク取得のみを目的とする正会員Cは年会費1万円です。入会金はいずれの区分も3千円で、消費税課税対象外の取引です。
情報システムを利用する幅広い業種の企業が加盟しています。公式の会員名簿には、株式会社IHIやアクセンチュア株式会社、株式会社NTTデータなど500社を超える企業が掲載されています。
「JUASライブラリー」で公開されています。企業IT動向調査2025の報告書は全文データのPDFが無料で公開されました。
まとめ
日本情報システムユーザー協会(JUAS)は、情報システムを利用する企業が集まり、IT利活用の向上を目的に活動する一般社団法人です。1962年発足の任意団体を起源に、1981年の社団法人化、1992年の全面改組を経て、2012年から一般社団法人として活動しています。1994年から続く企業IT動向調査やソフトウェアメトリックス調査、研究会・フォーラムといった会員活動を通じて、ユーザー企業どうしが知見を共有できる場を提供しています。プライバシーマークの指定審査機関としての役割も担っており、入会は企業規模に応じた会員区分ごとに会費が設定されています。自社のIT投資を業界水準と比較したい場合は、本文で紹介したベンチマーク支援企業の活用もあわせて検討するとよいでしょう。
JUASのような業界団体の仕組みをほかにも知りたい方は、日本サステイナブルレストラン協会の評価の仕組みも参考になります。