日本サステイナブルレストラン協会(SRA-J)は、飲食店の食材調達・社会・環境への取り組みを星の数で評価する日本の一般社団法人です。飲食店だけでなく食材メーカーや卸などの企業もサプライヤーメンバーとして加盟でき、無料のセルフ診断ツールから始めることができます。ミシュランの「グリーンスター」とは運営主体も評価方法も異なる別の制度で、評価結果は年に一度の表彰式で発表されます。
この記事でわかること
- 日本サステイナブルレストラン協会(SRA-J)がどのような団体か
- 星の評価がどのような基準で決まるか
- ミシュラン「グリーンスター」との違い
- 加盟することで得られる具体的なメリット
- 無料のセルフ診断ツール「Food Made Good 50」の使い方
- 年に一度の表彰式「FOOD MADE GOOD Japan Awards」の内容
- 飲食店以外の企業も加盟できる仕組み
- 実際に認定を受けている飲食店の例
日本サステイナブルレストラン協会(SRA-J)とは
日本サステイナブルレストラン協会(SRA-J)は、英国発の評価プログラム「FOOD MADE GOOD」を日本で運営する一般社団法人です。
母体となる英国のSustainable Restaurant Association(SRA)は2010年に発足し、飲食店の食材調達や運営のサステナビリティを格付けする活動を続けてきました。日本では2018年3月20日に「一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会」として設立され、東京都渋谷区を拠点に活動しています。代表理事は下田屋毅氏で、飲食店経営者やシェフを含む理事・監事によって運営されています。ミッションは、飲食店を生産者と消費者をつなぐ橋渡し役と位置づけ、フードシステム全体の持続可能性を推進することです。英国本部とも連携し、「世界のベストレストラン50」のサステナブル・レストラン賞の評価などにも関わっています。
評価プログラムの名称は「FOOD MADE GOOD」で、飲食店・レストランだけでなくカフェ、居酒屋、バー、大学食堂、社員食堂、ケータリング事業者まで幅広い食のプレイヤーが対象です。評価はオンラインの自己評価をもとに算出され、基準を満たした事業者には1つ星から3つ星までのレーティングが与えられます。星の意味や算出方法は次の見出しで具体的に説明します。
グローバルでは「ワールド・ベスト・レストラン50」「サン・ペレグリーノ・ヤングシェフ」「エレン・マッカーサー財団」といった国際的な取り組みとも協働組織として連携しています。日本国内だけで完結する認証ではなく、海外のレストラン業界やサステナビリティ団体の動きともつながっている点が特徴です。
国内の食に関する認証・表彰制度は他にもあり、例えばジャパンフードセレクションの仕組みは品質面を重視した表彰制度という点でSRA-Jとは評価の切り口が異なります。
参照:FOOD MADE GOOD Japan「団体概要」(2026年8月時点)、FOOD MADE GOOD Japan「協働組織」(2026年8月時点)
評価の3分野と星の見方

評価は「調達」「社会」「環境」の3分野のスコアをもとに、星なしから3つ星までの4段階で格付けされます。
評価対象となる3分野のうち「調達」では、地産地消や旬の食材の活用、より多くの野菜と環境負荷の低い肉(ベターミート)の使用、水産資源に配慮した魚介類の選定、生産者支援への取り組みなどが見られます。「社会」では、従業員への公正な評価・処遇、地域コミュニティへの支援、健康的な食事の提供などが対象です。「環境」では、エネルギー資源の有効活用、食料廃棄の削減、リデュース・リユース・リサイクルの推進などが評価されます。
さらにこの3分野を、現在実施している取り組みそのものを見る「オペレーション」、大企業には正式な方針文書を、小規模事業者には測定可能な目標設定を求める「方針」、顧客への発信や成功事例の共有、従業員研修を通じた変化創出を見る「影響」という3つの視点から評価します。各分野で算出したパーセンテージスコアの平均が全体のサステナビリティスコアとなり、その達成率に応じて星の数が決まる仕組みです。
| 星ランク | スコアの目安 | 意味 |
|---|---|---|
| 星なし | 50%未満 | 取り組みの記録段階 |
| ★1つ星 | 50〜59% | 基本的な取り組みが定着 |
| ★★2つ星 | 60〜69% | 複数分野で実践が進む |
| ★★★3つ星 | 70%以上 | 3分野で高水準の実践 |
参照:FOOD MADE GOOD Japan「評価の仕組み」(2026年8月時点)
FOOD MADE GOOD Japan Awardsという年に一度の表彰式
星の評価結果は、年に一度の表彰式「FOOD MADE GOOD Japan Awards」で発表されます。
2025年の「FOOD MADE GOOD Japan Awards 2025」は第5回にあたり、2025年11月17日にザ・キャピトルホテル東急(東京都千代田区)で開催されました。表彰は、FOOD MADE GOODスタンダードに基づく星つきレストランの発表に加えて、専門家による審査委員会が選ぶ「大賞」と「調達」「社会」「環境」の3部門賞、パートナー企業が贈る「リサイクル賞」「フェアトレード賞」「アニマルウェルフェア賞」の特別賞で構成されています。2025年の大賞は、後述するL’Effervescence(レフェルヴェソンス)が受賞し、部門賞は調達部門をOPPLA’! DA GTALIA、社会部門を中国料理「星ヶ岡」(ザ・キャピトルホテル東急内)、環境部門をKITCHEN MANEがそれぞれ受賞しました。表彰式は実践者同士が互いの取り組みを称え合い、学び合うネットワーキングの場にもなっています。
参照:FOOD MADE GOOD Japan「FOOD MADE GOOD Japan Awards 2025」開催報告(2026年8月時点)
ミシュラン「グリーンスター」との違い
検索すると混同されがちですが、ミシュランガイドの「グリーンスター」は日本サステイナブルレストラン協会の評価とは別の制度です。
ミシュラングリーンスターは、2020年12月10日発売の「ミシュランガイド東京2021」で新設された指標で、フードロスの削減、環境に配慮する生産者の支援、絶滅危惧種の保護などに積極的に取り組む飲食店を対象としています。審査はミシュランの調査員による実地調査やアンケート、聞き取り調査によって行われ、料理のおいしさを表す星やビブグルマンの評価とは全く別の評価です。日本での初回選定では、カンテサンス、シンシア、NARISAWA、フロリレージュ、ラチュレ、L'Effervescence(レフェルヴェソンス)の6軒が選ばれました。運営主体(ミシュランガイド/日本サステイナブルレストラン協会)と評価方法(調査員による実地調査/オンラインの自己評価)のどちらも異なる、別々の制度だと理解しておくと混同しません。
参照:@DIME「ミシュランガイド東京2021に新設されたミシュラングリーンスターの選考基準」(2026年8月時点)
加盟することで得られるメリット
加盟の主なメリットは、年1回以上のレーティングチェックと、加盟店同士のネットワークです。
公式noteによると、加盟した飲食店は年1回以上のレーティングチェックを通じて自店の取り組みを継続的に見直せるほか、加盟店限定のクローズドなオンラインコミュニティに参加できます。さらに毎月開催されるオンライン交流会で他の加盟店と情報交換ができるほか、協会と関わりのある企業やメディアとのパートナーシップの機会も得られます。星の取得そのものだけでなく、同じ課題意識を持つ飲食店同士がつながる場としての側面も大きいといえます。
参照:日本サステイナブル・レストラン協会公式note「日本サステイナブル・レストラン協会とは」(2026年8月時点)
Food Made Good 50で始める無料のセルフ診断
本格的な認証の前に、無料のセルフ診断ツール「Food Made Good 50」で自店の現在地を把握できます。
Food Made Good 50は、50の質問に答えることでサステナビリティの重要項目を理解できるセルフ・アセスメント・ツールです。質問は「調達」(地産地消、水産資源への配慮、生産者支援など)、「社会」(従業員の処遇、地域コミュニティへの貢献、健康的な食事の提供など)、「環境」(エネルギー利用、3Rの推進、食料廃棄の削減など)に分かれており、公式サイトのフォームから回答する形式です。所要時間は公式サイトに明記されていませんが、質問数が50問と絞られているため、本格的なアセスメントより短時間で回答できる設計になっています。
Food Made Good 50はあくまで自己診断の位置づけで、星の評価には反映されません。ここで自店の強みと課題を洗い出したうえで、正式な評価基準である「FOOD MADE GOODスタンダード」に基づく本アセスメントへ進むかどうかを検討する、という2段階の流れになっています。おおまかな流れは次のとおりです。
- 公式サイトの「Food Made Good 50」で50の質問に回答し、自店の現在地を無料で把握する
- 本格的な評価に進む場合は、公式サイトの問い合わせ窓口から本アセスメントについて相談する
- 「FOOD MADE GOODスタンダード」に基づくオンラインの自己評価に回答する
- 調達・社会・環境の3分野のスコアが算出され、星なし〜3つ星の格付けを受ける
- 加盟後は年1回以上のレーティングチェックで取り組みを継続的に見直す
本アセスメントの具体的な申込方法や審査期間は公式サイトに明記されていないため、興味があれば公式サイトの問い合わせ窓口を通じて確認するのが確実です。
食品ロスの削減は評価対象の一つでもあり、実際に食品ロスへの向き合い方を扱った記事として食品ロス通販サービスの選び方も参考になります。
参照:FOOD MADE GOOD Japan「Food Made Good 50」(2026年8月時点)
加盟できるのは飲食店だけではない
レストランだけでなく、食材メーカーや卸などの企業もサプライヤーメンバーとして加盟できます。
サプライヤーメンバーは、飲食店に食材やサービスを提供する立場からサステナビリティの推進に関わる企業向けの加盟区分です。例えば、サステイナブルなチョコレートなどを扱うハインデ&ヴェレは2024年4月からサプライヤーメンバーとして加盟しており、加盟によって取り組みをより多くの飲食店に知ってもらう機会を得ています。飲食店の食材調達を協会の側から支える存在として、調達先の選択肢を広げる仕組みになっています。
公式サイトの案内によると、加盟の区分は飲食店だけでなく、企業パートナー、サプライヤーパートナー、NPO・NGOパートナー、地方公共団体パートナー、ソーシャルビジネスパートナー、生産者パートナーまで幅広く用意されています。フードシステムに関わる立場であれば、レストラン以外の組織でもそれぞれの形で協会の活動に加われる設計になっている点が特徴です。飲食店単体では取り組みにくい「調達先の見える化」を、サプライヤー側の加盟によって補う仕組みともいえます。
調達面でのサステナビリティを重視する企業例として、オーガニック食品通販サービスの比較も参考になります。
参照:FOOD MADE GOOD Japan「サプライヤーメンバーに加盟するメリット」、ハインデ&ヴェレ「日本サステイナブル・レストラン協会への加盟」(いずれも2026年8月時点)
認定を受けている飲食店の例

認定を受けている飲食店は星の数や所在地もさまざまで、都市部の名店から地方の店まで幅広く含まれます。
ここでは公式サイトの加盟店一覧に掲載されている飲食店の中から5店を紹介します。並び順は所在地の北から南、同一都道府県内は施設名の五十音順で、星の数は各店の評価結果であり優劣を示すものではありません。公式サイトの加盟店一覧には、ここで紹介した5店以外にも星なしを含む多様な飲食店が掲載されているため、他の店舗も知りたい場合はあわせて確認するとよいでしょう。今回紹介した5店だけを見ても、フランス料理・日本料理・イタリア料理と業態はさまざまで、団体向けの貸切スタイルの店から蔵をリノベーションした一軒家まで含まれます。サステナブルな取り組みが特定のジャンルや価格帯に限られたものではないことがうかがえます。
| 店舗名 | エリア | 星ランク |
|---|---|---|
| ヒカリヤ ニシ | 長野県松本市 | ★★2つ星 |
| 伊勢すえよし | 東京都港区 | ★★2つ星 |
| ウマミタクラミ 赤坂溜池山王店 | 東京都港区 | ★★2つ星 |
| L’Effervescence | 東京都港区 | ★★★3つ星 |
| Nishideria | 大阪府大阪市 | ★1つ星 |
参照:FOOD MADE GOOD Japan「加盟店一覧」(2026年8月時点)
ヒカリヤ ニシ
明治20年に建てられた米蔵をリノベーションした、長野県松本市のレストランです。長野県で唯一ルレ・エ・シャトーに加盟しており、地元・信州の食材を主役にしたナチュレフレンチ(マクロビオティックを取り入れたフレンチ)を提供しています。ランチとディナーで営業日・時間帯が分かれており、隣接する結婚式場と同じ蔵群の中にあります。
参照:ヒカリヤ ニシ公式サイト(2026年8月時点)
伊勢すえよし
東京都港区西麻布にある割烹料理店で、三重県伊勢地方を中心とした食材に特化しています。全十品の懐石コースに加え、ヴィーガンや食制限に対応したコースも用意されており、生産者と消費者の心をつなぐことをコンセプトに掲げています。
参照:伊勢すえよし公式サイト(2026年8月時点)
ウマミタクラミ 赤坂溜池山王店
東京都港区赤坂の地下にあるレストランで、20名以上から店舗を丸ごと貸し切れる完全プライベート空間が特徴です。歓送迎会やチームビルディングなど団体利用向けのコースを備えており、溜池山王駅から徒歩すぐの立地にあります。
参照:ウマミタクラミ 赤坂溜池山王店公式サイト(2026年8月時点)
L’Effervescence(レフェルヴェソンス)
東京都港区西麻布にあるフランス料理店で、2026年ミシュランガイド東京で三つ星を獲得しています。シェフの大江太一郎氏が手がける、食材の魅力を引き出す独創的な料理が特徴で、前述の「FOOD MADE GOOD Japan Awards 2025」では大賞を受賞しました。ミシュランガイド東京2021で日本第1回のグリーンスターにも選ばれており、2つのサステナビリティ評価の両方で結果を残しています。
参照:L’Effervescence公式サイト(2026年8月時点)
Nishideria(ニシデリア)
大阪府大阪市中央区天満橋にあるイタリア料理店で、ミシュランガイド京都・大阪でセレクテッドレストランに選出されています。大阪湾の魚介やなにわ野菜、能登牛など地元食材を生かした料理を提供しており、大阪発の「なにわイタリアン」として紹介されています。
参照:Nishideria公式サイト(2026年8月時点)
よくある質問
日本サステイナブルレストラン協会について、よく検索されている疑問に回答します。
両者は同じ取り組みを指す一体の関係です。日本サステイナブルレストラン協会(SRA-J)が日本での運営団体であり、「FOOD MADE GOOD」はその評価プログラムの名称です。
調達・社会・環境の3分野にわたる質問への回答をもとにスコアを算出し、達成率50%未満は星なし、50〜59%で1つ星、60〜69%で2つ星、70%以上で3つ星と判定されます。
はい、参加できます。食材メーカーや卸などの企業は、サプライヤーメンバーとしてレストラン以外の立場からサステナビリティ推進に関わることができます。
公式サイトでは加盟費用は公開されておらず、個別の問い合わせが必要です(2026年8月時点)。費用を確認する前に、まずは無料のセルフ診断ツール「Food Made Good 50」で自店の現状を把握しておくと、問い合わせの際の話がスムーズです。
別のものです。ミシュランのグリーンスターはミシュランの調査員が実地調査で選定する評価で、日本サステイナブルレストラン協会の星はオンラインの自己評価をもとにした評価という違いがあります。
星の評価結果を発表する年に一度の表彰式です。2025年は第5回として11月17日に開催され、大賞や調達・社会・環境の部門賞、リサイクル賞などの特別賞が贈られました。
まとめ
日本サステイナブルレストラン協会は、飲食店の調達・社会・環境への取り組みを星の数で見える化する団体です。評価は自己評価をベースにしたスコアリングで、達成率に応じて星なしから3つ星までの4段階に格付けされ、その結果は年に一度の「FOOD MADE GOOD Japan Awards」で発表されます。無料のセルフ診断ツール「Food Made Good 50」から気軽に始められる点も特徴で、飲食店だけでなく食材メーカーや卸などの企業もサプライヤーメンバーとして関わることができます。
実際に認定を受けている飲食店は、今回紹介した長野の名店から東京・大阪の名店まで都市部から地方まで幅広く、星の数はそれぞれの取り組みの到達度を示すものです。ミシュランのグリーンスターのように調査員が実地で審査する制度もあれば、日本サステイナブルレストラン協会のようにオンラインの自己評価から始められる制度もあり、どちらも「フードシステムの持続可能性を高める」という目的自体は共通しています。自店や取引先のサステナビリティを見直すきっかけとして、まずは公式サイトの無料診断ツールを試してみてはいかがでしょうか。